151. 日立ITエコ実験村(秦野市)
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神奈川県秦野市は湧水が多いことで有名である。東京新宿から小田原までの
小田急沿線にある。秦野市の「名水秦野マップ」によれば、北のほうにそび
える山地には滝も多い。大正12年の関東大震災のときに、渋沢丘稜の一部が
崩れて谷川がせき止められてできた新しい湖「震生湖」もある。
2016年5月15日、小田急の渋沢駅から歩いて秦野市千村の「若竹の泉」
を見学した(写真①)。
写真① 若竹の泉(2016年5月15日)。
水道蛇口から水が出ているが、この場所で湧き出ているのか不明である。
ちょうど近くにおられた方(小野実佳さん)に、「若竹の泉の源泉は
どこですか?」と訊ねると、「源泉は南西方にあり、ここまで水道管で水
がきています」。「源泉までご案内してもよいですが、道が悪いので長靴を
はかないと行けません」という。
1週間後の日曜日5月22日、小野実佳さんに案内していただく。水路沿いに
登っていくと、倒れた竹などが散乱、地面は湿っていて歩き難い。源泉にたどり
着くと大きな鉄網で覆われ、獣が入って壊されないように保護されている
(写真②)。
写真② 若竹の泉の源泉(2016年5月22日)。
私が一人でこの源泉に時々来て水温を測るには厳しい道である。万一、
足をとられて転んでも、遠くに声が届かないような場所であり、この水温は
測らないこととした。
また、別の日に千村へ来ると、別の流れがある。鈑金塗装・車検などされて
いる小野薫さん宅の脇を流れている。小野薫さんに源流を案内していただく。
若竹の泉の源泉と同様に、私一人で行くのは危険な場所と判断した。
小野薫さん宅に隣接する「千村・生き物の里」を案内していただく。
ここは日立製作所の「日立ITエコ実験村」である。生態系の保全に IT
(情報技術)がどう役立つかを検討・実証するために、2011年に開設
されたものである。生態系と生物多様性の保全に貢献するさまざまな IT
機器があり、データは無線通信で近くの管理棟内のサーバに蓄積されている
ことを知る。
小型の太陽光発電やマイクロ水車発電機などもある。水車の水の源まで
案内していただく。ここは、日立エコ実験村が管理しており、源流まで
入りやすい。後日、私の気温計と湧水温度の記録装置を設置させていただく
ことになる。
エコ実験村では、社会貢献として一般向けに田植え体験のイベントも開催
している。長靴をはいた大勢が参加している(写真③)。
写真③ 日立ITエコ実験村田植体験会(2016年5月28日)。
8月2日(火)のこと、6月22日に設置させていただいた気温計と湧水温度計
の記録をパソコンへ読み込むために内藤玄一さんとともに日立エコ実験村を
訪ねた。日立製作所の担当者数名は毎週火曜日にお見えになる。また、
地元在住のOBの尾崎文隆さんは毎日、機器類の点検・見回りをされている。
写真④では、百葉箱の右側のポールに設置した私の気温観測装置が写って
いる。この奥の樹林地を登った所に湧水の源泉がある(写真⑤)。気温は
10分ごと、湧水温度は1時間ごとに記録する。
日立エコ実験村からの帰途、東方の約5百メートルの所に秦野市管理の
谷津湧水がある。この湧水は、奥の源泉から太い塩ビパイプで水がひかれ、
道路から数十メートルほどの所で多量の水が出ている(写真⑥)。案内
掲示板にはここに生える植物などが紹介されている。
写真④ エコ実験村の気温などの観測地点(2016年8月2日)。
写真⑤ エコ実験村の湧水源泉。大木の根元から水がわき出ており、
左方の小さな白箱が記録計、その下の紙は水温を測っている説明掲示
である(2016年8月2日)。
写真⑥ 谷津湧水(2016年8月2日)。
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