134. 高知県東部の奈半利
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室戸岬から高知へ向かう途中、2014年7月17日、土佐黒潮鉄道ごめん・なはり線
の終点の奈半利駅(なはりえき)で次の列車までに少し時間があった。ここは高架駅で
あり、1階には物産館がある(写真134.1)。
写真134.1 奈半利駅。
写真134.2 藤村六郎翁の頌徳碑。
港へ向かって歩くと、昭和49(1974)年3月に建てられた頌徳碑(しょうとくひ)
があり、その台座には「スエズ運河に照る月は奈半利港をまた照らす(六郎)」と
記されている(写真134.2)。裏面には次の内容がある。
奈半利に港を造りたい要望は明治維新のころからの悲願であったところ、昭和22
(1947)年に町長に就任した藤村六郎を中心とした不断不屈の陳情によって国政と
県政を動かすこととなり、昭和28(1953)年に難工事の起工式にたどり着いた。
そのときの感動として、藤村六郎は次の内容を述べた。
「奈半利港修築の栄誉を担う者は皆様であり、室戸港は一木政利(江戸時代初期の土佐
藩の普請奉行)による港、津呂港は野中兼山(江戸時代初期の土佐藩家老)による港、
と言われるような特定の人によるのではなくて、多くの無名の人々がこの港を造った
ことに価値がある」。
道路端に「サンゴ船乗り場」の矢印があり、その方向(東)へ歩いて行くと、体格の
よい外国人が「グッド・デイ」と挨拶して通り過ぎた。すぐ後でわかったことだが、
いまロシアの貨物船が奈半利港に来ているという。この外国人は乗組員だったのかも
しれない。岸壁の赤錆だらけの船がロシア船だろうか(写真134.3)。
写真134.3 奈半利港の貨物船。
写真134.4 サンゴ遊覧船。
サンゴ船を見るために、港の修復工事をしている人に教えてもらった方向へ行くと、
「コーラル号」と書かれた観光船が泊まっていた(写真134.4)。
近くで休憩中の数人によれば、奈半利の海岸の浸食が進み砂浜が減少傾向と
なり、防止対策として沖合に離岸堤防を整備した。そうしたところ、離岸堤防に多種の
サンゴが着生するようになったという。
土佐黒潮鉄道ごめん・なはり線の開通(2002年)によって、町おこしとして
サンゴ・ウオッチングが行われるようになったらしい。
駅の物産館でもらった「なはりサンゴ遊覧船運行案内」によれば、平日は予約運行で
1日2便、3名以上の予約があれば運行、大人800円である。休日は1日に3回の
定期運行である。
高知県はもともとサンゴが特産品であり、高知市内にはサンゴの専門店がある。とくに
高価な赤サンゴは「土佐サンゴ」と呼ばれている。
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