126. 予土線江川崎
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2013年8月12日、高知県四万十市江川崎アメダスで国内観測史上最高気温41.0℃が記録
された。この日、私はそれまでの最高気温40.9℃の記録をもっていた岐阜県多治見で気温観測を
していた。多治見の記録は、多治見アメダスの環境悪化による一種の誤差(地域を代表しない値)
であることを確かめるためであった。
東京のテレビ局から多治見にいた私に電話があり、江川崎アメダスの写真を持っていないかと聞かれた。
最高気温は、観測所の環境悪化や、観測器に草が絡んでいたりして起きることがあり、報道関係者も
江川崎アメダスの環境悪化による記録ではないかという疑いを持っていた。こんなわけで、
私はその翌年(2014年)の1月に江川崎アメダスの環境を視察することにした。
四万十市西土佐地区
江川崎は四万十川の中流域、土佐湾の河口からの直線距離で33km、西方の宇和島湾からの直線距離
で23kmの内陸である。晴天日の土佐湾からの海風が四万十川に沿って北上する距離は40~50
kmほどある。ここは、高知県幡多郡西土佐村と呼ばれていたが、2005年4月に中村市と合併し、
現在は四万十市西土佐地区となった。
予土線
JR高知駅から西方の窪川駅まで土讃線で行くことができる。窪川から海岸へ下って中村を経て宿毛
(すくも)までが「土佐くろしお鉄道中村線」、高知県東部の後免(ごめん)から海岸沿いに東方の
奈半利(なはり)までが「土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線」である。
窪川駅のひと駅西隣の若井駅から四万十川上流域を下り、愛媛県の宇和島までのJR線の途中に
江川崎駅がある。これがJR予土線であり、愛称「しまんとグリーンライン」と呼ばれている。
四万十川は窪川から江川崎を経て中村へ流れ下る。鉄道は江川崎で大きく曲がり支流の広見川を上り
ながら西の宇和島へ向かう。かなり内陸だが、鉄道線路の傾斜はゆるく、江川崎駅の標高は約55mで
ある。
予土線の歴史年表によれば、宇和島~若井間の鉄道は宇和島から順次開通し、1953年には江川崎
まで、1974年に全線開通している。今年は全線開通40周年記念の年である。
40周年を記念して観光列車「予土線3兄弟」が運転されている。鉄道ホビートレイン(写真126.1)、
しまんトロッコ(写真126.2)、海洋堂ホビートレインが予土線3兄弟と呼ばれている。
鉄道ホビートレインの中には、昔から最近までの列車のミニュチュア模型が展示されている(写真126.3)。
写真126.1 予土線観光列車「鉄道ホビートレイン」、江川崎駅にて撮影。
写真126.2 観光列車「しまんトロッコ」、江川崎駅にて撮影。
写真126.3 鉄道ホビートレイン内に展示された列車模型。
江川崎アメダスで国内観測史上最高気温が記録されたことから、駅には「ようこそ日本一暑い駅へ、
41℃」が掲げられている(写真126.4)。
写真126.4 江川崎駅改札口に掲げられた案内板。
写真126.5 江川崎駅のプラットホーム西端に設置した気温計。
41℃の記録は本物らしいので、確かめるために、アメダスの周辺数か所で高精度気温計により観測を
続けており、駅のプラットホームにも設置させてもらった(写真126.5)。
江川崎駅は無人駅であり、管理は須崎駅が担当している。気温計はプラットホームの西端にあり、
乗客が気づきにくいので、「ただいま江川崎駅のホームで41℃の最高気温を検証するために観測中
です」と、駅の目立つところに案内板を掲げておいてはどうでしょうか、と提案しておいた。
この地区のバスに書かれている40010の数字は何だろうと思っていたところ、4万十と読める
ことから四万十川、四万十市を連想させる(写真126.6)。
写真126.6 バスに描かれた40010の数字。
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