119. 日光

著者=近藤 純正
日光は何度も行ったところである。今回、家康の「御遺訓」の続きを知ることが できた。(完成:2013年7月14日)

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三陸の宮古、青森県の深浦、岡山県の津山、高知県の室戸岬における試験観測が 終わり、今度は日光観測所で行う計画である。日光観測所は標高約1200mの 中禅寺湖の近くにある。

まず、観測所隣地の二荒山神社中宮の敷地で観測するために自冶会長の小島喜美男さん を通して神社の許可をもらう。日本各地には有志がいて協力していただいている。

2013年4月29日、観測装置を大きなリュックに背負って運び設置した。 地面付近の風を測れば周辺の環境変化がわかるので、この試験観測の結果を気象庁の 観測所の環境管理に生かして欲しいと考えている(写真119.1)。

参加者記念撮影
写真119.1 風速計の設置と参加者。(「気候観測応援会」の 「A20.日光観測所、2013年4月29日」の図20.1に同じ)

華厳の滝
設置の作業が終わり、天気もよく暖かになったので、観光していくことにした。 すでに何度も見たのだが、まずは華厳の滝へ行くと、滝の途中に白いものが見える。 残雪のようである(写真119.2)。

華厳の瀧
図20.6 華厳の瀧。(「気候観測応援会」の 「A20.日光観測所、2013年4月29日」の図20.6に同じ)

大門さんの車に乗せてもらい松島さんと共に、いろは坂を下り、日光二荒山神社本社、 日光東照宮へと向かう。

鳴き龍と眠り猫
日光東照宮の薬師堂では有名な鳴き龍の実演が行われていた。天井には大きく描かれた 龍の絵がある。部屋の真ん中で拍子木を打つと、天井と床の間で音が反響して余韻の ある音に変わる。余韻が聞こえた人にはご利益があると説明していた。私は年なのか、 よく聞こえなかった。

日光東照宮には様々な建物にいろんな動物の彫刻が飾られている。三匹の「見ざる、 言わざる、聞かざる」の猿が有名である。

奥社入口を護る眠り猫を見るのははじめてである。説明を受ければわかるかも知れ ないが、私には猫の姿には見えない(写真119.3)。

眠り猫
写真119.3 眠り猫。

御遺訓「急ぐべからず」
奥宮に御宝塔(家康の墓所)がある。ここもはじめてなので、登ってみることにした。 私は平坦地なら普通の早さで歩けるが、登りはゆっくりでないと歩けない。若い二人の 後をつけて200段の階段を上る。かなりきつい。

  階段の終わりに近いところに立札があり
「人の一生は重荷を負って遠き道を行くがごとし」
とある。ここまでは私の記憶にあるのだが、その続きの
「急ぐべからず」
があることをはじめて知る(写真119.4)。

御遺訓
写真119.4 東照宮御遺訓の立札。

階段途中の適当な場所に「急ぐべからず」とあったことで、なだめられたようで、 安心してゆっくりと登り、宝塔にたどり着いた(写真119.5)。

墓所
写真119.5  奥宮御宝塔=墓所(右)とその案内板(左)。

遺訓は続く
日光から帰宅して数日後のこと、「こどう」503号(平成25年5月号)が配達 された。仙台市泉区の阿部勤さんの「下駄ばき人生お先にどうぞ」に、徳川家康の 遺訓のことが書かれていた。「急ぐべからず」には、まだ続きがあった。

阿部さんはお家の床の間に掛けてあった「徳川家康の家訓」を子どものとき暗記して いたとのことである。

「人の一生は重荷を負って遠き道を行くがごとし、急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。心に望み起こらば、困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つことばかり知りて、負くることを知らざれば、害その身にいたる。
おのれを責めて人を責めるな。
及ばざるは過ぎたるより優れり。」


家康の墓所は静岡市の久能山東照宮にもある。久能山東照宮には何年か前に私は 行ったことがある。

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