A24.高知地方気象台、2015年12月8日

報告者: 近藤 純正
2015年12月8日に高知地方気象台の観測露場を見学した。この周辺は2001~2005年の都市再開発に ともなう環境変化が気温観測値に影響した典型的な例として注目している。(完成:2015年12月10日)

本ホームページに掲載の内容は著作物であるので、 引用・利用に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを 明記のこと。

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        目次
        24.1 見学者
    24.2 露場周辺の時代変遷
        24.3 現在の観測所の環境



24.1 見学者

近藤純正


24.2 露場周辺の時代変遷

高知地方気象台の観測露場は、1945年の終戦後から1970年代にかけて周辺に住宅が急速に増え、1979年 以後は密集住宅が安定化した時代であったが、2001~2005年にかけて再開発が行なわれた。 これら周辺状態の詳細は「写真の記録」の「53.高知と室戸岬の観測所」 に掲載されている。

こうした周辺環境の変化が気温観測値に影響する典型的な例を見ることができる。その意味で、この露場 周辺の環境変化と気温変化に注目している。

図24.1は最低気温の年平均値について、高知と室戸岬の差の経年変化である。1940年代と比べると (室戸岬を基準として)、高知の最低気温年平均気温は 1.3℃ほども高温になった。1.3℃の約半分が2001~2005年の再開発で生じている。

高知室戸岬最低気温差
図24.1 年平均最低気温の高知と室戸岬の差の経年変化。
破線は長期変化の傾向を示す。


2001~2005年の都市再開発では、2階建て住宅を挟んで西側には25~27m幅に拡幅された南北に走る幹線 道路が整備され、周辺には2階建て住宅、少し離れてビル群が立ち並ぶようになった。JR高知駅の北側から 観測所にかけての広範囲が都市化された。

露場周辺の江ノ口東公園内の裸地を除くと、広範囲は舗装されて、都市化が進んだ。そのため、都市の 特徴「朝の最低気温が下がりにくい」が短期間に生じた。



24.3 現在の観測所の環境

北方向
図24.2 江ノ口東公園入口から北東の露場の方向を撮影(2015年12月8日)。
高いフェンスは公園内のこどもサッカー練習場、その遠方に露場がある。

北方向
図24.3 露場の南側から北方向を撮影(2015年12月8日)。

東方向
図24.4 こどもサッカー練習場の西側から東の露場の方向を撮影(2015年12月8日)。


2005年に見学したとき、サッカー練習場をとり囲む高いフェンスの周辺には蔓が植栽されていた。 蔓がフェンスを覆うと、周辺からのこどもの監視ができなくなり防犯上の問題であり、さらに観測所の 風止めになり、観測値は高知市内を代表するのではなくごく近傍30~50m範囲の微気象を観測する ことになる。

このことを、高知市役所公園管理の担当者に伝えてもらったところ、蔓は移植された。 詳しくは、「所感」の「11.気象観測と住民の協力」 に掲載されている。

筆者はこのことが気になっていたので、フェンスのまわりを注意した。通りかかった女性に、「この 夏、フェンスに蔓が巻きついていなかったでしょうか?」と訊ねると、蔓には気づかなかったと 教えていただいた。

南方向
図24.5 露場の北側から南方向を撮影(2015年12月8日)。

北西方向
図24.6 露場の東側入口付近から北西方向を撮影(2015年12月8日)。

露場の東側は、板張りになっていて、露場内とその西方は見えない。 それゆえ、図24.6は露場入り口の門扉ごしに北西方向を撮影した写真である。

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