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L05  感想文「温暖化問題の難しさについて」  (TK) 2006年4月16日

「研究の指針」の「K14.温暖化問題(専門向け講演)」
ここでは、著者が2005年12月19日に気象庁で行った2時間の講演「地球温暖化 問題-気象観測体制の強化に向けて-」の概要が紹介されている。
「研究の指針」の中で、温暖化問題を扱った内容は全部で8章あるが、 この章はいわばそれらのダイジェスト版に該当し、温暖化問題に関心がある 読者はまずこの章から読み始めると全体の理解に役立つ。

日本の中都市における過去100年間の気温上昇量は約0.9℃と見積もられる。 著者は現地調査と緻密なデータ解析に基づいて、その変化の大部分は都市化 による影響であり、田舎観測点における100年間の気温上昇量はわずか 0.2℃程度でしかないことを示している。これらの分析結果に基づいて、 気候変動の実態把握のための今後の気象観測所のあり方に関する提言も 行われている。

温暖化問題に関する社会的な関心が世界的に高まっている現在、これらは 重要かつインパクトの高い研究成果であると思う。これらの研究成果を著名な 国際誌へ論文として発表されることを期待したい(特に7章の図7.16とK10章の 図10.17の結果は重要であると思う)。

著者は大学を定年退官された後、一旦は研究の場から離れていたが、 ホームページの開設を契機として2年ほど前から研究を再開し、現在では 精力的に温暖化問題に関する研究に取り組んでおられる。現在のアクティブ な研究活動に敬意を表すとともに、今後ともこのような研究ならびに 後輩研究者に対する指導、温暖化問題に関する啓蒙活動を続けていただき たい。

[編者のメモ]
編者は現役中の、学生に対する「放射冷却」の講義の際に、「旭川に おける年最低気温(極値)がこの100年間に約10℃も上昇している図」を 見せて、その原因を考察させていた。 しかし、編者はそれまで旭川へ行ったことがなかったことをずっと気に していた。

講義で利用していた図は、元・旭川地方気象台長の三本木亮さんが1988年に 発表された解説「旭川の気象100周年を迎えて」の中に示された1889年~1987 年期間の図である。詳細は本ホームページの「身近な気象」の 「8.都市化と放射冷却」 に掲載してある。旭川の訪問後、新しいデータも追加し考察を加えた結果 は、三本木亮さんに手紙とともにお送りすることができた。

もう一つ、以前から気になっていたことは、気象庁が温暖化資料と して選んでいる17気象官署(網走、秋田、長野、彦根、・・・・・・・)の ほとんどは中都市にあり、近年の過大な気温上昇は都市化の影響によるに 違いない、と思っていた。

少し暇ができるようになったので、2004年10月に、はじめて旭川を訪ねる機会 ができた。その時から、温暖化の実態を調べることがはじまったのである。 現地を見て回ることは誰にでも出来そうだが、実際には、おそらく 編者にしかできない仕事だと思い、時間を見つけては各地を見て周り、データ 解析している。




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