回答3: 実験 E と比べて空気層の温度上昇は小さい。
実験 E では、t=0直後、底面の発泡スチロール表面が急激に昇温するが、
実験 F では下面のアルミホイルが放射の多くを反射し、アルミホイル自体の
昇温は殆どない。
t=0直後、熱拡散を無視するならば、空気層は上面からの放射と、下面で
反射された放射の両方による加熱を受ける。ただし、上面に比べて下面からの
放射は空気層による減少分だけ小さく、上・下が非対称な昇温率と温度分布に
なろうとする。
少し時間が経過すると、底面に近い空気からの熱伝導でアルミホイルが暖め
られ、 底面の温度は次第に上昇していく。空気下層の昇温率は実験 D
(底面が水) より大きく、実験 E(底面が断熱材)より小さい状態となり、
弱い対流が発生する可能性がある。
模型実験では空気層が小スケール(高さ=0.55m)であるため、空気層が
獲得する熱エネルギーは小さく2.7 W m-2に対し、底面下へ
伝わる地中伝導熱は桁違いに大きく48 W m-2である。ただし、
天井の上の高温水の温度がほぼ一定とみなされる時間経過35分までの平均
熱収支量である。2.7 W m-2の大部分は放射によるもの、残りの
一部分は底面からの顕熱輸送によるものである。
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