わんだふる スイスアルプス (3)

  1.私にとってのスイスアルプス
  2.膨れ上がるスイスアルプス
  3.いよいよ出発 : 8月5日(土)
  4.あこがれのスイス(チューリッヒ)到着 : 8月5日(土)
  5.氷河特急に乗ってツェルマットへ : 8月6日(日)
  6.ヴァリスの山々 : 8月7日(月) 
  
7.エッシネン湖経由でグリンデルワルトへ : 8月8日(火) 
  8.ベルナーオーバーランドの山々(1) : 8月9日(水)  
  9.ベルナーオーバーランドの山々(2) : 8月10日(木)  
 10.さよならスイスアルプス : 8月11日(金)  
 11.我に帰って : 8月12日(土)  
                                               
=> Prev. Page
                                               
=> TOP PAGE

7.エッシネン湖経由でグリンデルワルトへ : 8月8日(火)

 昨日は気分が悪く、早く寝たためか、今朝は5時に目を覚ました。窓から外を見ると、星空の中に、昨日見たマッターホルン(Matterhorn)の白い姿が浮かんでいた(ホテルの部屋は、窓からマッターホルンが真正面に見える部屋である)。すばらしい幻想的な風景である。早速カメラを取り出し、シャッターを切った。今日も快晴である。一昨日の大雨が信じられないではないか。ついているぞ!!
 だんだんと空が明るくなるにつれ、空が薄紫色に染まり始め、6時頃にはマッターホルンの先頭が赤味を帯び始めてきた。急いで、家内とホテルの外へ出て、展望台に上がった。そこにはすでに10人くらいおり、マッターホルンの先端が赤紫色に輝き、その色が下方へ広がっていく光景を堪能していた。やがては、マッターホルンのピラミッドが真っ白く光り輝き、あたりを見下ろすように、威厳のある姿に変わった。となりのブライトホルン(Breithorn)も、少し遅れて赤く染まり始め、みるみるうちに大きな山容を真っ赤に染めはじめた。最後には、スケールの大きい、真っ白に輝いた山容を横たえていた。。一方、その下には、大氷河が、薄暗く、ひっそりと横たわっている。もう、何と言っていいか分からない。北アルプスの槍ヶ岳や穂高連峰が朝日に輝き始める姿を見て、多いに感激したこともあるが、やはりスケールが違いすぎる。スイスアルプスに来てよかったなーと、しばらく感激しながらあたりの様子を眺めていた。

Brighting Matterhorn Brighting Breithorn Matterhorn in the morning

 いよいよマッターホルンともお別れだ。こんなすばらしい山々と別れるのはたいへん辛い。ずーっとツェルマットにいて、このすばらしい光景を見ていたいなどと、ありえないことを考えてしまう(仕事のことが、頭の中をかすめるのがうらめしい)。ゴルナーグラートの駅に行くと、始発の赤い登山電車がゆっくりと、あえぐように登ってくるのが見えた。まずは、電車に乗り、ツェルマットへ下る。駅の待合室は、朝から登山者、ハイカーでにぎわっていた。
 ここで、氷河特急(Glachier Express)に乗り換え、今日の目的地であるカンデルシュテーク(Kandersteg(エッシネン湖(OeschnenSee))へ向かう。一昨日通ったブリーク(Brig)でベルン(Bern)行きの列車に乗り換える。この列車は、落ちたらどうしようかなどと考えてしまうほど、断崖を切り開いたようなガケの途中の細い軌道を登っていく。ツェルマットへ行く途中もそうだったが、スイスでは、よくこんな険しいところに電車を通すものだと感心してしまう(後で、もっと驚く、あるいはあきれてしまうような登山電車に乗るのだが)。途中、ヨーロッパで一番長いといわれるレッチベルクトンネル(Lotschberg Tunnnel)を通る。車は、列車に乗せて、このトンネルを抜けるとのことである。トンネルを抜けると、すぐにカンデルシュテークに到着である。
 大きなリュックサックは、駅のコインロッカーに預け、駅前に出た。すると、目の前に、真っ青な空を背景に、ドルデンホルン (Doldenhorn (2583m))の真っ白な山並が見える。駅前には土産物店もなく、保養地らしくとても落ち着いたきれいな村である。エッシネン湖へ登るリフトの乗り場までは、15分ほど歩く。途中も、食品スーパーや土産物店、レストランなどがちょっとあるだけで、とてもきれいな街並みである。ちょっと、木曽駒へ登るときの起点、駒ヶ根の雰囲気に似ているなーと思った。リフト乗り場に着くと、思いもよらず、長い人の行列ができていた。早く上へ行きたいという気持ちであせってしまうが、結局30分ぐらい待たされてしまった(ここは、日本のパックツアーではあまり立ち寄らないせいか、日本人はほとんどいなかった)。
 リフトは二人乗りで、およそ10分くらいでレーガー駅(Lager(1682m))に着く。ここの展望もすばらしい。両脇は鋭い岩壁となっており、駅の方を振り返ると、大きな岩山クリナ・ローナー(Chlyne Lohner(2583m))が見える。もちろん、前方といえば、真っ白なプリュムリスアルプ(Blumlisalp(3663m))、エッシネンホルン(Oeschnenhorn(3486m))、ドルデンホルンの山々とそこから流れる氷河が立ちはだかっている。もう、うれしくてたまらないという気持ちになってしまう。ここから、エッシネン湖まで、ゆるい下り道を行くハイキングである。途中には牧草地もあり、大きなカウベルを付けた牛達がのんびりと過ごしている。ちょっと人が多いけれど、とても気持ちのよいコースである。30分くらい歩くと、真正面に、絶壁を背景にしたエッシネン湖(標高1578m)が見えてきた。氷河はまぶしいほど光り輝き、緑と白と黒のコントラストがすばらしい。これは、ゴルナーグラートのような壮観な大パノラマとは違うが、山に囲まれ、自然の中に溶け込んでいくような感じがする。本当に絵本に出てくるような景観である。

 湖畔で、ビールを飲みながら、おにぎり弁当を食べたが、これはまずかった。ここはスイスアルプスなのだから、サンドイッチ・ランチが似合うはずなのに、旅行会社と契約しているからなのだろうか。白人は、湖に入って水浴びをしている。日差しが強いとはいえ、山の中腹の湖で水浴びをするなど、日本ではあまり考えられない (山中湖(1000m)では、たまに見かけるが)。湖畔ではゆっくり過ごす時間が取れなかったのは残念であるが、日本にはないピクニックができ、満足することができた。帰りは、リフトまでゆるやかな登り道を戻り、リフトに乗って下った。

牧草地と牛 (Up)         

Oeschnen See (1578m)
 
カンデルシュテークの駅へ戻り、再びベルン行きの列車に乗り、北へ向かう。途中、スピーツ(Spiez)で列車を乗り換え、トゥーン湖 (Thuenr See)の湖岸に沿って東へ走り、インターラーケン(Interlaken)に着く。再度、ここで、グリンデルワルト(Grinderwald)行きの登山電車に乗り換え、いよいよベルナーオーバーランド(Berner Oberland)へ向かう。ツェルマットへ行くときのような、するどく切り立った渓谷ではなく、氷河に削り取られたU字谷の中を登って行く。だんだんと谷が開けてくると、白い山が見えてきたが、山の名前は分からない。ようやく、夕方の5時頃グリンデルワルトの駅に着いた。
 ここも、路面電車の停車場といった感じで、駅舎はあるが、プラットホームには屋根もない。駅前で、添乗員さんから、「これがアイガー (Eiger)、その左がシュレックホルン(schreckhorn(4078m))、その向こうがヴェッターホルン(Wetterorn(3701m))」と説明されたが、アイガーの中腹から上は霧がかかっており、ただ眼前に大きな岩壁があるだけで、あの有名な’アイガー北壁’のイメージがまったくわかなかった。シュレックホルンやヴェッターホルンも同様に、上は霧のため、大きな岩山が見えるだけであった。何かキツネにつままれたような感じがしたが、明日の天気を期待するしかない。
 ホテルは、町の中心街を10分ほど歩いたところにあった。ツェルマットと違って、メインストリートは自動車が多く通っており、その両側には土産物店やレストラン、ホテルなどがびっしりと建っている。もちろん、日本人もたくさんおり、日本語の看板や張り紙などもあちこちで見かけるくらいである。グリンデルワルトは、安曇野村と姉妹都市の関係にあるらしく、町の中心に’安曇野村’とかかれた大きな看板があり、興ざめしてしまった。ツェルマットに比べ俗化されており、軽井沢や清里の繁華街のようなイメージがあるが、目の前のアイガー北壁と、南西方向に広がる緑の牧草地帯が、スイスらしさを表している。
 夕食後、街中を歩いた。ほとんどの店は閉っているが、日本人相手の免税ショップが開いており、いつも外国で見かけるように、大勢の日本人が買物にいそしんでいる姿が見られた。我が家はお金がないのと、私自身ブランド品の趣味がまったくないので(家内は不満であるが)、免税ショップで貴金属やバッグなどは買わないことにしている。明日からは、ベルナーオーバーランドのハイキングや登山(乗り物に乗って)があるので、いつものとおり早めにベッドに入った。明日の好天を期待して!!

ようやく、グリンデルワルトに着きました。
この後は、いよいよアイガー、メンヒ、ユングフラウ、シルトホルン等のベルナーオーバーランドとなります。ご期待ください。
                                                                                                                2000.09.10

                                               => Next Page 
                                               
=> TOP PAGE