《 ミギーの恋 (3) 》

◆ミギーが目覚めるとき
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 繁殖期がいつ来るのかはミギー自身にさえわからない。
 でも、繁殖期はいつか必ずやってくる。
 生物なら、必ずそうできている。
 
 ある日、ミギーが目覚めて、

 「シンイチ、私にも"その時"が来たようだ。」

 と言うのだろうか。

 ミギーは繁殖という衝動を抑えられない。
 その衝動は生物として当然の、根源から沸き上がるものだ。
 それは、ミギーにとって、同種他個体を大切に愛しく思う、
 初めての感情となるだろう。
 ミギーはなんとしても、新一に繁殖行動を協力して
 もらうようにしむけるだろう。

 寄生獣が繁殖する、ということは、また大量の人間に危害が
 及ぶわけだから、新一はそれに抵抗するだろう。
 ミギーは以前のように、体を傷つけるぞと脅すだろうか。
 そして新一は、自分の身を犠牲にしてでも阻止しようとするだろうか。

 その頃は、新一にも守るべき家庭や、子供がいるはずだ。
 ミギーは、新一の家族を傷つけるぞと脅すだろうか。
 もし里見がパートナーなら、彼女は新一の体のことを少しは知っている。
 彼女に相談できるだろうか? 彼女は新一の無事を何よりも望むだろう。
 
 いや、ミギーはもっと賢い。
 繁殖が目的だと知って、新一が抵抗するだろうことは予想している。
 そう気づかれないように、新一の行動をコントロールする方法を探すだろう。
 つまり、だますだろう。

1995/04/03 T.Mineawki
1999/06/25 last modified T.Minewaki

ミギーの恋(4) 寄生獣の繁殖行動
寄生獣 [1〜10]
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