《 ミギーの恋 (2) 》 ◆なぜ描かなかったか -------------------- では、なぜ描かなかったのか? ストーリーの最初に、寄生獣の卵が空から降ってきます。その数不明。 寄生獣の生命サイクルは、必ずここに戻ってくるはずです。 いっせいに繁殖時期を迎えて、大量に卵を産むという繁殖行動をとるようです。 そういうやり方は、少しも不自然ではない。そういう生物は多い。 そして、ミンチ殺人事件が起こる。 寄生獣という生物がそういう一生を繰り返しているのならば、 以前にも繰り返しそういうことがあったはずだ。 それは、何十年前か、何百年前か。 今回は捜査能力の進歩のおかげで、寄生獣という生物の仕業であることが わかったのだが、以前は「寄生獣」の仕業とはわからず、ただの連続異常殺人 事件として扱われたかもしれない。 その周期は何年か? ミンチ殺人事件が起こり、また次に起こっても忘れられている程度以上の期間。 少なくとも1〜2年ではない。 人間に寄生し、人間が死んだら寄生獣も死ぬわけだから、その人間が 死ぬ前、健康なうちには繁殖行動をとるだろう(リスクを犯して 胴体を渡り歩くとは思えない)。 通常の人間よりはうまく生きることで長生きしそうだが、それでも 数十年だろう。寄生獣が取り付く人間は若者とは限らないわけだし。 今回のストーリーは、新一が高校生から浪人生まで、せいぜい2〜3年 くらいのものだから、寄生獣の誕生から始まるこの話の中では、 どうしても繁殖までは描けない。 ラストの場面で、いきなり「…30年後」と場面展開するのは不自然だし。 つまり、ここで、終わらなくてはならなかったのだ。 ちゃんと、つじつまはあっている。 パズルのピースはぴっちり合って、残りは彼がまだ持っている。 ミギーの「眠りにつこうとおもう…今度は少し長い…何年 何十年… ひょっとしたら死ぬまでだ」はそういうことだったのだ。 ちゃんと伏線まで張ってある。 ____ * 引用は「寄生獣」岩明均より。
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp