グリーンウッド夫妻は2003年の秋、オランダとデンマークの散策の旅に出た。6月に予定していたコートダジュールの旅はイラク戦争後の航空機テロを恐れて断念したが、オランダとデンマークならターゲットにはならぬだろうとの判断であった。ところがコペンハーゲンについてから知ったのだが、9月11日に人魚姫が爆破されて海に落ち、顔など擦り傷ができて修理中だという。たまたまこの事件を知ていたら心の平安なしに旅にでることはなかったかもしれない。
グリーンウッド氏は世界 三大絵画のうち二つはスペイン旅行の時プラド美術館とトレドのサント・トメー教会で見ているのでアムステルダムの国立博物館でレンブラントの「夜警」を見ればすべて観たことになる。ついでにフェルメールが1658年に描いた「デルフトの眺望」を描いたその地点に立って見たいという願望を満たすこともできる。
ビジネスでハーグにあるシェルの事務所を訪れた時、スキポール空港からハーグに向かう高速道路の頭上にかかる運河橋を悠々と通過する船に驚かされたこともあり、どうせ出かけるなら、大堤防を見てみたし、干拓地から水をどうやって海に排出しているのかその複雑な水路も見てみたいとも思った。
夫人にとっては毎日見ていた1999年に描かれたカレンダーの水彩画、「アムステルダムのモンテルバーンズ塔」を直接自分の目で見たいという願望を満たす旅であった。また江戸末期、シーボルトが長崎の出島に居ながらにして収集した文物や植物を確かめにライデンにある国立民族博物館やライデン大学付属植物園を訪問したいという長年の願望を満たす旅でもあった。
デンマークはついでにチョッと訪れることであった。
カレンダーの水彩画、「アムステルダムのモンテルバーンズ塔」
出発直前に予習として読んだ3冊の本のうち、堀淳一著「風変わり オランダ紀行」はオランダの干拓地や湿原をくわしく報告している。司馬遼太郎著「オランダ紀行」、はその干拓の歴史となぜ、ここオランダが英国に先駆けて民主的な資本主義国家を築きえたかを語っている。オランダの干拓事業は1980年代初頭に中止され、自然保護に方針を変えたという。日本はまだ干拓やっているので土木事業で20年は遅れていることになる。そもそも日本の土木事業はオランダをモデルにしたものが多いが、真似事の悲しさ、後塵を拝している。在日30年のオランダ人カレル・ヴァン・ウォルフレン著「日本/権力構造の謎」は日本が現在かかえる政治社会体制の問題をオランダ人の立場で解析し、解決法を提言しているが、その見解のよって立つ風土を見てみたいとも思ったのである。氏の見解に関しては「市川先生の矛盾容認社会論に触発されて 」にくわしく紹介した。
航空券は格安のKLM便を買い、ホテルはオランダ大使館に教えてもらったインターネット経由のBookings NLで予約した。四つ星ホテルも旅行代理店が契約すると思われる料金で泊まれる。列車と徒歩をベースにバックパッカースタイルの旅支度をし、ホテルもアムステルダム、コペンハーゲン共、中央駅近くのものを選んだ。大堤防はレンタカーで渡ろうとハーツに予約しておいたのだが、役所は運転免許証の残期間が一年以上なければ国際免許を発行しないという。免許は来年7月まであるのだから期限を短くして発行すればよいとおもうのだが、まず免許証を更新し、残期間を1年以上にしなければだめという。更新している時間もないのでやむなく、レンタカーを解約した。
出発前日に電車とバスに切り替えたわけであるが、オランダの国鉄、Binennlandの発車時刻、ホーム番号、乗換え駅、料金が我が自宅に居ながらにしてで簡単に調べることができるのでたちまちのうちに詳細旅程の組みなおしができた。このソフトがすぐれものでcgiで書かれていて乗換え駅とホーム番号まで教えてくれる。日本では民間会社の作った有料の乗換え検索ソフトはあるがCD-ROMで売られているだけである。それも最新データ更新料が1万円もする。同じ機能をもったインターネットサービスはいまだ存在しない。JRもJRだけの時刻表サービスをしてもよさそうなものだが、JTBの有料時刻表の既得権に気兼ねしているのか何もしない。
出発前から日本の役所は独善的で融通がきかないし、観光業仲介業のサービスは劣悪で、オランダはやはり先進国だと実感させられた。e-ガバメントなどと空虚な言葉が聞こえてくるがなにが実現したのだろうか?観光立国という国策もなく、立ち遅れていると思う。石原新大臣がどこまで出来るかお手並み拝見。親父のような強さがないので多分無理だろう。
KLMは完璧なまでに無駄を省いて安値攻勢で全席満席のフル運転をしていた。それでも経営は苦しいらしく、エアフランスと提携するために資本の持ち合いをすることになったと旅の間に報道があった。アリタリアも経営難でこれに参加するかもしれぬとか。JALも赤字を出したとか。9月11日の影響は大きいようだ。
オランダ旅行中323枚の写真と2時間分のビデオ、デンマーク では137枚の写真と1時間半分のビデオ撮影を行なった。以下、若干を紹介する。
アクマール・大堤防・レールワールデン・ヒートホールン・アペルドールン周遊
旅程
旅行日 | 歴日 |
国 |
都市または地方 |
時刻 | 移動法 |
ホテル |
訪問場所 |
0 | 9月24日(水) | 日本 | 成田 | 16:00 | JR | 成田ビューホテル | - |
1 | 25日(木) | 日本 オランダ |
成田 アムステルダム |
10:25 15:10 |
航空機KL862 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre (Hotel Serial No.260) | スキポール空港、Amsterdam中央駅、ダム広場 |
2 | 26日(金) | オランダ | アムステルダム | 電車 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre | Den Haag、Skeveningen and Delft(ハーグ市内、スケベニンゲン、デルフト市内) | |
3 | 27日(土) | オランダ | アムステルダム | 電車 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre | Amsterdam(アンネ・フランクの家、プリンセン運河沿いの散策、アムステルダム・カナルクルーズーLovers) | |
4 | 28日(日) | オランダ | アムステルダム | 電車 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre | Leiden(ライデン市内)、Koog-Zaandijk(コーフ・ゼーンディック駅), Zaanse Schans(ザーンセ・スカンス風車村) | |
5 | 29日(月) | オランダ | アムステルダム | 電車 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre | Amsterdam(コンセルトヘボー、国立博物館、ヴィンセント・ファンゴッホ国立美術館) | |
6 | 30日(火) | オランダ | アムステルダム | 電車 | Golden Tulip Hotel Inntel Amsterdam-Centre | Amsterdam(旧東インド会社、植物園、オランダ料理) | |
7 | 10月1日(水) | オランダ | レーワールデン | 9:00 | 電車・バス | Hotel Paleis Het Stadhousderlijk Hof. (Hotel Serial No.261) | Amsterdam Centraal, ,Alkmaar, 大堤防(バス), Leeuwarden(レーワールデン) |
8 | 2日(木) | オランダ | アペルドールン | 電車・バス | Hotel Buitenlust (Hotel Serial No.262) | Leeuwarden(レーワールデン)、Steenwijk(スティーンヴィック)、Giethoorn(ヒートホルン)(バス)、Apeldoorn(アペルドールン) | |
9 | 3日(金) | オランダ | スキポール空港 | 16:00 | 電車 | Ibis Amsterdam Airport (Hotel Serial No.263) | Apeldoorn(アペルドールン)、Amsterdam Centraal, Schiphol(スキポール空港) |
10 | 4日(土) | オランダ デンマーク |
アムステルダム コペンハーゲン |
9:50 11:10 |
航空機KL1127 | Comfort Hotel Europa(Hotel Serial No.266) | - |
11 | 5日(日) | デンマーク | コペンハーゲン | 電車 | Comfort Hotel Europa | Kobenhavn(コペンハーゲン) | |
12 | 6日(月) | デンマーク | ヘルシンゴー | 電車 | Comfort Hotel Europa | Helsingor(ヘルシンゴー)、 Kronborg Slot(クロンボー城) | |
13 | 7日(火) | デンマーク | ロスキレ | 電車 | Comfort Hotel Europa | Roskilde(ロスキレ) | |
14 | 8日(水) | デンマーク オランダ |
コペンハーゲン アムステルダム アムステルダム |
12:25 13:50 14:40 |
航空機KL1128
航空機KL861 |
機中泊 |
- |
15 | 9日(木) | 日本 | 成田 | 8:45 | - |
- |
2003/10/10