ゴミ焼却場は我々を地獄に落とす

ベルギー・サンタクロース(シントニクラース)市で今起こっている背筋の凍る出来事です。

それでも、あなたは子供をゴミ焼却場の近くで育てますか・住みますか!?

以下のような献辞が最後に載っています、多くの死者たちが二度と自分たちのような犠牲者を出さないように、我々に語っている遺言です。
[献辞]
「この報告書を、がんで亡くなった子どもたちにささげます。また、ごみ焼却炉が原因で、いろいろ深刻な病気にかかっている多くのシントニクラースに住む子どもたちにささげたいと思います。子どものことを考えない社会は、原始社会や発展途上国の社会より劣った社会です。」
      フレッド・デ・ベーレ、クリスティーネ・デ・レーウ
      (ベルギー・シントニクラース市)
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許可を得て以下の情報を転載いたします。
<<<<<  ごみ焼却炉周辺で若者のがん多発  >>>>>
フレッド・デ・ベーレ
クリヅティーネ・デ・レーウ
(ベルギー・シントニクラース市)
                 
               別処珠樹(訳)

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子どものころ『フランダースの犬』という物語をお読みになった方
はたくさんいらっしゃるでしょう。少年ネロと愛犬の話でしたね。
フランダース地方はベルギーの西北部にあたります。この地方の東
のはずれ、もう大都市アントウェルペン(アントワープ)に近いと
ころにサンタクロース市という小さな町があります。

ウソでしょうとおっしゃる方は、またまた世界地図を出して調べてみてください。現地の言葉でシントニクラース(フラマン語の正確な発音が分からないので、本当はどう発音するのかご存知の方があれば教えてほしいのですけれど)と書いてあるかもしれません。

このサンタクロース市の中心から2キロばかりのところに花梨(か
りん)通りという名の通りがあります。むかしむかし、まだ私が若
いころ(今もまだ若いですが)、果物屋の店先に花梨が並べてあり、
これが花梨なのかと感心して買って帰ったことがありました。とこ
ろが香りはいいのですけれど、硬くて食べられない。しかたなくテ
ーブルの上において眺めていたことがありました。あとで知ったの
は果実酒にするということでした。店主は何も教えてくれなかった
のですけれど。

おっと、脱線してしまった。この花梨通りの近くに周辺5町村の合
同ごみ焼却炉があります。この周辺で地域住民が健康調査を実施し
ました。これには医師も協力しています。その結果、若ものたちを
中心に、がんが多発していること、生殖障害や各種難病が多いこと
などがわかりました。

この焼却炉は年間5万5500トンのごみを燃やしています。日量
にすると約150トンです。
炉は1977年に操業を始めてから、電気集塵機(静電気でススを集めて除去する装置)を使って汚染を防いできました。
焼却灰は開放型のコンテナに貯め、輸送しています。この焼却炉のほかにはダイオキシン類などの有害な物質を出すような工業施設などはない田園地帯です。

93年に周辺の土壌をベルギー政府が調べ、風下で高いダイオキシ
ン濃度を検出しました。年間を通じて南西風が多いので北東方向に
汚染がかたよります。煙突から北東1.4キロの地点で 108ピコグラム/gTEQ というダイオキシンの最高値を観測しています。

1ピコグラムは1グラムの1兆分の1です。大型の10トン・トラ
ックを10万台つらねて、そのなかから1グラムだけ取り出すと、
この単位になります。といっても10万台の大型トラックなど想像
を超えていますね。いや、ばかげた説明でした。ドイツの基準でい
いますとこの濃度は、子どもの遊び場に使うのなら土を入れ替えま
しょうという基準です。

花梨通りは、焼却炉から300〜900メートルの範囲にあります。
98年1月、地元の人がアンケートを実施し、一軒一軒調査員が回
って調査票を集めました。145世帯のうち回答をくれたのは88
世帯で約6割の回答率でした。残りはずっと留守だったり、回答を
拒否したりした家庭でした。結局あつまったのは、281人分(男
136・女145)です。このうち98人がなんらかの体の不調を
訴えています。
この調査には地元自治体から補助がでなかったため、すべて調査員が自己負担で行ったということです。

身体の不調の主なものをあげると、喉頭がん、大腸がん、肺がん、
皮膚がん、乳がん、前立腺がん、腎臓がん、白血病、膀胱腫瘍、多
動症、心臓障害、不整脈、気管支炎、塵埃アレルギー、アレルギー
性鼻炎、喘息、胃腸病、皮膚アレルギー、かゆみ、背痛、リューマ
チ、疲労感、呼吸障害、下痢、頭痛、その他のアレルギー。

なかでも目立つのは2歳から9歳までの男の子が9割まで不調を訴えていることでした。また、若者の白血病が他の地域と比べて多いのも特徴です。

ベルギーの平均死亡年齢は女78歳・男71歳ですが、この地区で
は女60歳・男65歳と大変ひくくなっています。死亡原因でいう
と、がん死がベルギー全体では50%であるのに対して、この地区
では71%と、これは随分たかくなっています。

そのほか注目に値するのは、乳がんや子宮頸がんで死んだ女性が地
区にいないことで、ベルギー全体では、これが21%あります。こ
のほか卵巣がんなども発生率が低くなっていました。これはダイオ
キシンの大規模な汚染があったイタリアのセベソと共通する現象で
す。その原因は、ダイオキシン類に女性ホルモンに対抗する働きが
あるためと考えられています。

がん全体の発生率を見ると、初めベルギー平均と同じだったがんの
発生率が、95年?97年には 4.8倍に跳ね上がっていました。

[まとめ]

●目立つのは若者の白血病・リンパ腫(腺がん)が多いこと。17
歳までのこの種のがんは、焼却炉からいずれも1キロ以内で発生し、
風下に位置している。

●先天障害をもって生まれる子どもが多い。自閉症、心臓欠陥など。

●心臓疾患・循環系疾患で死ぬ人が異常に多い。

●焼却炉ができた当初から呼吸器の問題、湿疹、アレルギー疾患が
発生している。

●焼却炉ができて数年たつと、免疫系、生殖系の問題が発生し始め、
不眠・疲労感やホルモン系の問題が出始めた。

●風下では半径7キロ以内で先天障害が現れている。

●焼却炉が操業を始めて13年たつと、発がん率が2倍になった。

[献辞]
「この報告書を、がんで亡くなった子どもたちにささげます。また、ごみ焼却炉が原因で、いろいろ深刻な病気にかかっている多くのシントニクラースに住む子どもたちにささげたいと思います。子どものことを考えない社会は、原始社会や発展途上国の社会より劣った社会です。」
      フレッド・デ・ベーレ、クリスティーネ・デ・レーウ
      (ベルギー・シントニクラース市)

☆訳者後書き

【全世界の焼却炉の三分の二は日本にあると言われます。
私たちにとって無関心ではいられない内容です】

もとの報告書(英文)には地図などの図も載っています。
 http://www.milieugezondheid.be/
 Report on the health impact of the waste incinerator in
 Sint-Niklaas(Belgium),
 English version, pdf-bestand (acrobat)  : 829 kbs

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