AMI用語集 サ行
セリー (仏)se´rie 音楽の中で用いられる音を、音高、強度、音価(=音の長さ)、音域、音色等の要素に分けて考えるとき、個々の音型は音の要素のデータの連なりとして現れる。「セリー音楽」というときのセリーとは、そのデータの連なりを指すと云える。逆に云えば、音の要素をデータ化してセリーを作り、その統御によって曲を構成するやり方を取る音楽をセリー音楽と呼ぶ、とも云える。 この起源を辿ると、アーノルト・シェーンベルク(Arnold Schoenberg, 1874-1951)が創始した、「12音技法(音列技法)」に帰着する。1オクターヴの音程は平均律においては12の半音によって等分されているが、彼はこの12の音を一度ずつ全て用いた「音列」を定めてから、これを用いて作曲した。これは云わば音高(=音程)に対して適用されたセリーであるわけだが、これを音高以外のあらゆる要素に拡張したのがセリー音楽であると、取りあえずは云ってよいだろう。 曲の中にセリーがどう現れているかを、ほんの少しだけ例で見てみよう。「セリー音楽の教科書」とも呼ぶべき、ピエール・ブレーズ(Pierre Boulez, 1925-)の「構造 Structures」(Universal Edition刊) Ia 冒頭にある、「(32分音符×)12, 11, 9, 10, 3, 6, 7, 1, 2, 8, 4, 5」といった「音価列」(下図参照)や、Ic 冒頭の「ffff, ff, fff, mf, pppp, ppp, f, pp, p, mp, quasi f, quasi p」といった「強度列」は、譜面上ですぐ見つけられるセリーの一つである。 関連事項:音列技法(大項目) |
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