事ここに至っては、もう現地法人の運営どころではない。まずは、きちんと税務処理をしなければならない。脱税などで捕まって、その後アメリカへ入国できなくなってしまっては、それこそ困る。 ニューヨークの現地コーディネーターに、日本語のわかる会計士を紹介してほしいと連絡をとる。そこで紹介をうけた会計士が、ニューヨークという甘い蜜にひき込まれて落ち込んでしまった私を、蟻地獄からすくい上げてくれたのである。 捨てる神あれば拾う神あり、まさしくスーパーウーマンの登場である。こんな表現をすると当のご本人からは「私は、そんな歳ではないわよ」とお叱りを受けるかもしれないが、まさしく「ニューヨークの肝っ玉母さん」・・・と言ってもいいくらいに大いに頼りきってしまった私には、救いの神の出現と言っても過言ではない。ハドソン川越しにマンハッタンの景色が一望できる、ニュージャージー州のお宅にその方をお訪ねした時には、そのお顔は、まさしく本当に女神に見えた。 米国公認会計士・村上真呂(ムラカミ・マロ)さんが、その人である。東洋経済新報社から「対米投資の国際税務戦略」(=上の写真)という本を出されているが、その奥付にある著者紹介を引用して村上さんのプロフィールをご紹介させていただく。 「東京女子大学、ミシガン州立大学(M.S.U.)卒業。1989年ニューヨーク市立大学バルークカレッジ大学院で米国税法専攻のMBA取得。ミシガン州、ニューヨーク州、ニュージャージー州のCPA認可。石塚松本会計事務所(ニューヨーク市)、サンワ・等松青木監査法人ニューヨーク事務所税務担当シニアマネージャーを経て独立。現在、村上税務会計事務所所長(ニュージャージー州)、米国公認会計士協会会員、ニューヨーク州公認会計士協会会員。」 というように、華麗なキャリアをお持ちの方なのだが、とても懐の深い方で、ついこちらもそれに甘えてしまって何でもお任せしてしまい、ずいぶんとご迷惑とご面倒をおかけしてしまった。 アメリカの税務当局からの不当と思われる要求には、といっても何も知らない者が、行き当たりばったりに行動をとった結果なのだから責任はこちらにあるのだが、それでも反論すべき時には、きちんと連邦、州、市などの税務当局にクレームを出していただいたりして、なるほど、アメリカでのビジネスはこういうものなのかと、その後、多くを学ばせていただいた。 最近では、ちょっとお体を壊され入院されていたようだが、もうすっかり回復されて、連日ゴルフを楽しまれているとのお噂を聴いて、とても嬉しく思っている。 ほんのちょっとした出来心から、軽はずみな行動をとってしまった結果、見知らぬ多くの方に大変な迷惑をかけてしまった。夢見る夢夫さん状態で、家族にもずいぶんと不安な思いをさせてしまった。中でも、妻には、結婚当初から隠し持っていたへそくりまで拠出させてしまった。しかし、その助けがなければ、どこかでとっくに個人破産していたかもしれないというのも、また事実である。 さて、いよいよ次回は最終回へと突入です。 |
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