'98年12月


「X-ファイル ザ・ムービー」- The X-Files -

 TVシリーズは、第2クールあたりからマンネリ化したけど最近は面白いという噂。でも第1クールだけしかちゃんと観てない。
 今回の劇場版はU.F.O.、謀略説、地球外生命体などなど、お得意の分野を盛り込んで、それなりに面白くしているので、まあ気軽には楽しめる。でも、映画的な深みとかはまるでないなあ。TVでいいじゃん、という気がする。
 ロブ・ボーマン監督、デイビッド・ドゥカブニー、ジリアン・アンダーソン、ジョン・ネビル。

「The X-Files」Official Website


「ハーフ・ア・チャンス」- Une Chance Sur Deux -

 パトリス・ルコント監督脚本、ジャン=ポール・ベルモンド、アラン・ドロン、ヴァネッサ・パラディ。

 予想外に面白かった。「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」のルコントが、こんなアクションを撮れる事が予想外の第一で、ベルモンド、ドロンの二人がアクションで非常に頑張っているのが予想外の第二。
 元軍人のレオ、銀行泥棒のジュリアン、父親がどちらか判らずに二人を尋ねるアリス。三人が麻薬絡みの事件に巻き込まれていく。とにかく、老体二人のアクションをここまで見せてくれたのには感激。

 ところで、警察がニコンのF4で取引現場を隠し撮りしていたけど、音がとにかくデカイいF4を使うというのはちょっと無茶です(^^;)。


「落下する夕方」 ☆

 河津直枝監督脚本製作、江國香織原作、原田知世、菅野美穂、渡部篤郎。
 「幻の光」のプロデューサー河津直枝、やはり同じような静かな空気の映画。静かな中にも、精神的に張り詰めた緊張感がよい。

 健吾は新しい人、華子(菅野)を好きになったと、同棲中のリカ(原田)の元を去る。しかし、華子はリカの部屋へ転がり込んでくる。菅野美穂の演技はややオーバーアクションかとも思ったけど、原田知世との対比の中ではしっくり来た。ラストの方になると、そのオーバーアクションが逆に悲しくさえある。
 いい映画だと思う。


「ナイトウォッチ」- Nightwatch -

 オーレ・ボルネダル監督脚本原作。ユアン・マクレガー、ニック・ノルティ、J・ブローリン。'94年のデンマークのスリラー「モルグ」を、同じ監督でハリウッドでリメイク。期待していなかったが、これは意外に面白かった。今年はスリラー物では、期待があった「スクリーム2」「ラストサマー」がまったくつまらなかったが、これで多少挽回した感じ。

 法学生のマーティン(マクレガー)が、死体安置所のバイトを始める。やがて、罠により連続殺人事件の犯人に仕立て上げられる…。この死体安置所という設定自体がかなりいい。何でも無い夜警のシーンが、非常に不気味で緊張感があって、面白い。

「ナイトウォッチ」official website


「アルマゲドン」 - Armagedodon -

 今年のお正月映画の目玉がコレとは…情けない。
 「ザ・ロック」のマイケル・ベイ監督製作、ブルース・ウィリス、ベン・アフレク、リブ・タイラー、スティーブ・ブシェーミ。

 小惑星の追突による人類破滅まで2週間という事が判明する。軌道を変えるべく、世界の運命を背負って石油採掘のプロが宇宙へと向かう。「ディープ・インパクト」みたいな映画だけど、こっちはずっとお気楽な能天気映画。
 CGとか派手でいいけど、宇宙へ行ってからのストーリが酷い。ただ、事件を起こして繋げばいいってもんじゃないでしょ。まあ、お正月の能天気な気分にはこういう映画の方がいいのかなあ??

 スティーブ・ブシェーミ、ロシア人宇宙飛行士ピーター・ストーメアと「ファーゴ」の二人を使っているのは何故だろう?俳優で唯一いいと思ったのは、「スリング・ブレイド」(未見)のビリー・ボブ・ソーントン、NASAの指揮官。

「アルマゲドン」 official website


「アンナ・マデリーナ」☆

 ハイ・チョンマン監督、金城武、アーロン・クォーック、ケリー・チャン。

 ピアノの調律師のガーフ(金城)のもとに、まだ何も書いてない自称小説家のモッヤン(アーロン)が転がり込んでくる。上の階に住むマンイー(ケリー)に二人が恋するが…。
 予想外の面白さ。金城武、ケリー・チャンの「世界の涯てに」が、あんまり好きじゃなかったので、再び二人の共演というこれには期待は薄かった。が、逆に裏切られた面白さ。特に金城の繊細な雰囲気は見事。ガーフが書く小説もいい味が出ている。

「アンナ・マデリーナ」official website


「6デイズ/7ナイツ」- Six Days,Seven Nights -

 アイバン・ライトマン監督製作、ハリソン・フォード、アン・ヘッシュ、デビッド・シュワイマー。

 ハリソン・フォードは久しぶりにワイルドな役で、一匹狼のチャーター機のパイロットのクイン。恋人との休暇を急遽切り上げた雑誌の編集者のロビンを運ぶが、嵐で無人島に不時着する。そこでさまざまな冒険の末に、やっとの思い脱出する…はずなんだけど、なんかほとんど冒険が無い(^^;)。あの地割れは何??あの海賊の弱さは何?まったく物足りない冒険物語だった。

「6デイズ/7ナイツ」official website


「スモール・ソルジャー」 - Small Soldires -

 ジョー・ダンテ監督、グレゴリー・スミス、声優にトミー・リー・ジョーンズ。
 子供向けだと思って、まるで期待してなかったけど、意外な面白さ。昔のディズニーのマッドサイエンスものを思い出させる。軍事用のチップを使ってしまう事により、オモチャの世界最最小のコマンドー・エリートが誕生。これが、またオモチャである、怪物っぽい見かけとは逆の平和主義のゴーゴーナイト軍団を襲う。そこで巻き起こる事件。子供向けではあるが、手抜きしないで作ってあるので大人でも楽しめる。
 SFXが凄い。実写との溶け込み方が見事。まるで違和感が無い。

「スモール・ソルジャー」official website


「ロスト・イン・スペース」 - Lost in Space -

 スティーブン・ホプキンス監督製作、ウィリアム・ハート、ミミ・ロジャース、ゲイリー・オールドマン。

 おぼろげながら覚えている程度だけど、「宇宙家族ロビンソン」は見ていた。それほど思い入れは無いながら、この映画とは随分とイメージが違っている。お気楽極楽なトコは同じだけど、大げさな仕掛けの割には中身が薄い。ちょうど劇場版「スタートレック」みたいな能天気さ。まあ、映画としてはそれでいいのかもしれないけど。
 ゲイリー・オールドマンもなんか、浮いていた感じ。
 各所でふんだんに使っているCGは見ごたえがある。でも、シーン、シーンによって作っているスタジオやソフトが違っているのか、微妙に絵のニュアンスが違うのが気になる。

「ロスト・イン・スペース」official website


「ポルノスター」☆

 「ビリケン」の脚本家豊田利晃が監督脚本。千原浩史、鬼丸、緒沢凛、広田レオナ、杉本哲太。
 これは、面白かった。舞台は澁谷。ヤクザを恨む謎の少年荒野(千原)、デートクラブを経営する上条(鬼丸)。千原浩史演ずる荒野の謎っぽさがいい。千原浩史は「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」でもいい味出していたし、役者としても魅力的。
 ナイフのシーンの迫力や、幻想的なシーンなど、映像的にもいい。


「ラスト・ゲーム」 - He Got Game -

 スパイク・リー監督脚本製作、デンゼル・ワシントン、レイ・アレン、ミラ・ジョヴァヴィッチ。

 天才バスケット選手の息子ジーザスの進路の説得と刑期短縮を引き換え条件に出されるジェイク(ワシントン)。父を恨むジーザスと、ジェイクの心の交流を、バスケットを中心に描いていく。展開も飽きさせないし、二人の演技もバスケットもいい。2時間はちょっと長い気がするけど、楽しめる。


「たどんとちくわ」

 市川準監督脚本、椎名誠原作、役所広司、真田広之、根津甚八、田口トモロヲ。

 前半が役所広司のタクシーの運転手、後半が売れない小説家の真田、二人のキレた演技が見もの。「東京夜曲」のような市川準の静かな演出が、後半では目一杯過激になっている。部分、部分では面白いのだけど、一貫して、どういう映画なのかよく判らない。


「ドクター・ドリトル」

 ベティ・トーマス監督、エディ・マーフィー、オシー・デイビス、オリバー・プラット。
 '67年の「ドリトル先生不思議な旅」のリメイクという話だけど、まーったく違う。オマケにまーったくつまらない。原作やオリジナルをバカにしている。動物の言葉を理解出来るっている設定意外はまったく違う。原作やオリジナルのイメージを大事にしたいなら観ない方がマシ。

→ 「ドクター・ドリトル2」感想


「ジョー・ブラックをよろしく」 - Meet Joe Black -

 マーティン・ブレスト監督脚本、ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、クレア・フォーラーニ。

 コーヒーショップで出会った大富豪の娘と若手弁護士、二人は恋に落ちるが男は直後、交通事故に会う。その男の姿を借り、死を目前にした大富豪の前に死神が現れる。
 全編、ホプキンスとピットの演技の対決みたいな感じで、セリフ廻しもなかなかいいんだけど、とにかく3時間は長すぎる。展開があまり無いというのに…。ラストもとりあえず、ハッピーエンドにしている感じで、あんまり好きじゃない。

 自動車の事故シーンはなかなかな名シーンだと思う。多分、ILMの仕事。

→ 「Meet Joe Black」official website


「イン&アウト」- In & Out -

 フランク・オズ監督、ケビン・クライン、ジョン・キューザック。

 結婚間近の田舎教師がケビン・クライン演ずる真面目な田舎教師ハワード。アカデミー賞授賞式のスピーチで教え子に「ゲイ」だと言われてからの田舎町の大騒ぎ。
 予告編だと、もうちょっとまともな映画な感じがするけど、これはもう完全なコメディ、パロディの固まり。テアトル西友、シネセゾンでロードショーは、どう考えても客層が違う気がする。観客は年齢層が随分高かった(^^;)。

 「ワンダとダイヤと優しい奴ら」のケビン・クラインだから、まあ、ギャグ映画なんだろうけど予告編とのギャップは凄く感じる。アカデミー賞授賞式なんか、パロディ丸出しだし、ラストなんか感動的な雰囲気出しているけど、どう考えてもギャグでしょう。あれを真面目に観ているのはヘンですよ。

「イン&アウト」official website


「花のお江戸の釣りバカ日誌」

 栗山富夫監督、やまさき十三/北見けんいち原作、山田洋次脚本、西田敏行、三國連太郎、谷啓といつも変わらぬメンバー。ヒロインに黒木瞳。
 「釣りバカ日誌10」でとりあえず十作という事で、今回は目先を変えたのか、舞台は江戸時代。西田敏行は釣り好きの浪人、三國連太郎は釣り好きの庄内藩江戸家老。時代は変わっても役どころはあんまり変化ナシ。今回は独身で、ヒロインに黒木瞳を持ってきている所はちょっと違うか。まあ、マンネリ化してない分、いつもより面白い。


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