ええと、先週は母音について説明したわけですが、今日は、子音の発音の規則をやっていきます。
何でこんな規則を話しているかと言うと、ドイツ語では、スペルと発音が規則正しく対応しています。ですから、初めて見た、知らない単語でも、ちゃんと音読することができる、というわけなんですね・・。
えー、それでは、子音の注意しなければならない発音について、説明していきます。ローマ字とか英語とかと違うやつ。
-b, -d, -g | ![]() ![]() ![]() |
b、d、g、が、単語の最後に来た場合です。
bは、単語の頭では、例えばBootは「ぼーと」と読んだように、まあローマ字みたいにして読めばいいのですが、単語の最後に来た場合には、「ぷ」という、pの音になります。それじゃ、実際に読んでみましょう。gelb 、げるぷ!
(げるぷ!)
それから、dも、単語の最後に来たときは、「ど」じゃなくて、「と」となります。Kind、きんと!
(きんと!)
gもですね、これは「く」と発音して下さい。Tag、たーく!
(たーく!・・以下同様)
いったいどうして、こういうふうに、b と書いてあるのに p みたいに読んで、d と書いてあるのに t、g なのに k か、ということなんですが・・。
例えば、bとp、これ、両方とも唇をいったん閉じて、それから空気を通して音を出していますよね。その意味では、よく似ている音ですよね?
dとtについても、両方とも、舌で上の歯茎の裏のところを弾いている。gとkも、口の中で使っている部分は同じ。
それじゃ、どこが違っているのか、と言えば、これは、有声音と無声音の違い、ということになります。この有声音とか、無声音とかいう言葉、聞いたことある?
(しーん・・)
ええと、有声音というのは、声帯が震えて出ている音です・・と言うと、なんだか難しそうですけど、こう、喉のところに手をあててみて、「あ〜」とか言うと、ほら、びりびり感じるでしょ?これは、声帯が震えているからなんですよね。
それに対して、「しーっ!」とか言うとき。ね、何も感じないでしょ?・・声出して、いいですよ。
(しーっ)
これは、無声音。
あるいは、もっと簡単に言って、ひらがなで書いたとき、てんてん、つまり濁点がついているかどうか、ってことですね。濁点をつける、ってことは、子音を有声音化する、ってことなんですね・・。
(ひらがなやカタカナで、「ど」と「と」、「ぐ」と「く」のように考えてみるのもいいかも知れませんね(^^)日本語のは行音についてはちょっと複雑で、「ば」と「ぱ」の組になりますが)
それじゃ今度は、chの発音に行ってみましょう。
chは、2通りあります。
ch: a, o, u, au の後 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
ch: それ以外 | ![]() ![]() ![]() |
まず、a、o、u、auの後にchが来た場合ですが、これは、「はっ」というふうになります(Ach-Laut)。あの、犬とかが暑いとき、「はっ、はっ、」ってやってる感じですね・・舌出さなくていいけど(^^;)
それじゃ、実際に言ってみましょう。Bach、ばっは。あの、作曲家のバッハもこのスペルです。「小川さん」ってことなんですね。ちなみに、ベートーベン(Beethoven)は、「花園さん」とでも言えばいいかな。似合いませんけどね(^^;)
それから、kochen、こっへん、Buch、ぶーふ。あの、昔どっかに「ブーフバルト」ってサッカーの選手、いなかった?auch、あおほ・・アウチ!とか、読まないでね(笑)
それから、それ以外のchですが、これは、「ひ」と読みます。ちょうど、関東から東の出身の人は、「ひかり」とか「ひきさく」とか言うときの「ひ」です(ich-Laut)。東日本の人は、"hikari"の"i "は、脱落しちゃってるでしょ?"hi-ka-ri"と、母音をはっきり言うと、ちょっと関西の言い方みたいになる。
それでは、実際に発音してみましょう。ich、いひ、echt 、えひと、Milch、みるひ。
(ちなみに講師は京都生まれであるせいか、「ひ」の発音は、やや関西風なのである(^^;))
それから、単語の最後がig で終わっている場合ですが、これも「いひ」となります。
-ig | ![]() ![]() |
Honig、ほーにひ、K"onig、け〜にひ。
それから今度は、chsです。これやxは、「くす」と読みます。
-chs, x | ![]() ![]() |
Fuchs、ふっくす、Examen、いくさめん・・「いくざめん」ではないです。
それからjです。これは、英語やローマ字とは違う読み方です。
j | ![]() ![]() |
jは、英語だと jeans とかの「じ」って音ですが、ドイツ語では、「や」とかいう音になりますが、日本語のや行よりは、やや強い音になります。
Japan、やーぱん。せっかくドイツ語をやるんですから、ドイツ語で「日本」ってなんて言うかくらい、覚えておきましょう(笑)jung、ゆんぐ。あの、「ユングフラウ」とか、ありません?
(なお、 Judo 柔道 のことを「ゆーどー」と読むドイツ人は多いです。もちろん、日本のことをよく知っている人は、「じゅーどー」と読んでくれることもありますが)
それから今度は、rの音です。
r | ![]() ![]() |
えーと、ドイツ語のrは、独特の言い方をします。巻き舌を使って、江戸っ子べらんめえ調で言ってもいいのですが(笑)普通、喉のところでこすったような音を出します。あの、うがいをするときに、水を使わなかったら出る音ですね(笑)
だからこのrot、「ろーと」も、「ごーと」とかいう感じに聞こえるかも知れません。Freund、ふろいんと、「ふごいんと」ですかね。
ええと、慣れなかったら難しく思うかも知れませんが、ともかく、lと区別するようにして下さい。あの、舌を歯茎の裏のところで止めるlと。そうしたら、英語のwriteとかのrでも、ちゃんと通じます。
単語の最後のrは、軽く流すように言って下さい。
-r | ![]() ![]() |
Uhr、うーあ、Butter、ぶったー。
今度は、sです。
s +母音 | ![]() ![]() |
sの後に母音が来た場合、英語のときとは違って、「ず」と濁った音になります。Sohn、ぞーん、Suppe、ずっぺ。
ss/"s | ![]() ![]() |
sが二つ続いた場合、あるいはエスツェットの時は、「す」と、澄んだ音になります。エスツェットは、「ss」で置き換えて書いたりもします。essen、えっせん、gro"s、ぐろーす。
それから、schと続けて書いてあったときは、「しゅ」という音になります。
sch | ![]() ![]() |
Schule、しゅーれ。「学校」というのは、「しゅーれ」と言います。「すく」とか、読まないようにして下さいね。Fisch、ふぃっしゅ。これは、英語と似てますね。
sp-、st-と続いたときのsも、「しゅ」となります。
sp-, st- | ![]() ![]() |
Sprache、しゅぷらーへ、Stein、しゅたいん。これらの「しゅ」と言う音は、日本語の、さしすせそ、の、「し」と言うときのように言いますが、もっと強い感じです。なんて言うか、動物かなんかを飼い馴らすときに、「しゅっ」とかいう感じ・・(?)
それから、tsch、これは、「ちゅ」となります。
tsch | ![]() |
Deutsch、どいちゅ。もちろん、ドイツの「どいちゅ」ということで、覚えてしまいましょう(笑)
dt、thは、「と」と読みます。
dt, th | ![]() ![]() |
Stadt、しゅたっと、Theater、てあた−。シアター、ではなくて、「てあたー」です。
それから、vですが、これは英語のvとは違って、「ふ」、fのように読みます。
v | ![]() ![]() |
Vater、ふぁーたー、Volk、ふぉるく。これは、フォルクスワーゲン(Volkswagen)の「フォルク」です。
これに対して、wは、「う゛」、英語のvのように読みます。
w | ![]() ![]() |
Wagen、う゛ぁーげん。これは、フォルクスワーゲン(Volkswagen)の「ワーゲン」の方です。Wein、う゛ぁいん。
また、quと書いてあった場合、「くう゛」というように、「う゛」の音が入ります。
qu | ![]() ![]() |
Quelle、くう゛ぇれ、Quittung、くう゛ぃとぅんぐ。
それから、pfという連続、これは、一つの音として言うと、いいんですよね。
pf | ![]() ![]() |
Apfel、あぷふぇる、Kopf、コップフ。ええとね、pfを続けて言うのは難しいんですけど、pを言う前に、fをスタンバイするんですね。こう、唇の下を歯で噛んだりして。そのまま、pと言う、と。
最後に、zです。
z, ds, ts, tz | ![]() ![]() ![]() ![]() |
z、それからds、ts、tz、全部ひっくるめて、「つ」と言います。「おとっつぁん」とか「つぇつぇ蝿」とか言うときの、「つ」って感じ(^^;)
Zahn、つぁーん、abends、あーべんつ。「あー」の方に、アクセントがあります。nichts、「にひつ」、Katze、かっつぇ。
以上が大体、子音の規則です。