「キリンチャレンジカップ2003」U-22日本代表×U-22ニュージーランド代表戦は21日午後7時3分から神戸ウイングスタジアムに1万6380人の観衆を集めて行われ、日本が4-0で快勝した。スタジアムの屋根を閉じた状態で、気温は23.0度、湿度35%。ピッチは痛みが目立ち、大量の砂を入れていたため、キック、スライディングのたびに砂煙が上がった。5月1、3日に行われたアテネ五輪2次予選でミャンマーを下し来年の最終予選に進出を決めている日本は自信に満ちた戦いを見せた。体格で上回るニュージーランドに激しくプレスをかけて攻め手を与えず、ボールを支配。序盤は再三チャンスを逃したが、37分、中央でボールをつないで左サイドのMF根本裕一(仙台)に展開。根本が質の高いクロスをゴール前に送り、飛び込んだFW中山悟志(G大阪)がヘディングで合わせて鮮やかに先制した。41分には左サイドで得たフリーキックをMF阿部勇樹(市原)がファーポストに合わせ、FW大久保嘉人(C大阪)がヘディングで決めて2-0とした。
後半も日本は主導権を渡さず、後半開始から出場したMF森崎浩司(広島)が後半5分に左足でミドルシュートを決めて、後半38分には、やはり途中出場のMF山瀬功治(浦和)が、浦和のチームメートFW田中達也からのクロスに合わせてDFラインの裏に飛び出し、出てきたGKの頭上を超えるループシュートを決めて4-0とした。
山本昌邦監督は、8人の交代枠をフルに活用。後半4バックをテストするなどチーム作りのためのテストを行った。相手のニュージーランドがチーム作りの初期の段階にあることなどから、予想外に歯ごたえのない相手だったため、手放しで喜べる結果ではないが、様々な収穫があったことも事実である。
山本昌邦監督「2次予選が終わって最終予選に向けた再スタートの試合。相手のコンタクトの強さにどれだけやれるかと思っていたが、選手はよく戦った。狙いとしてはグループでボールを動かして、ゴール前で迫力あるコンタクトをすることだった。決めなきゃいけないシーンがたくさんあった。ジーコ監督が見に来ていて、明日A代表の発表もある。選手は精力的にやってくれた。こういう試合を経験してチーム、個々のレベルアップをやっていきたい。いくつかのテストもできた。全体の底上げとしては意味のある試合になった。ゴール前のフィニッシュについては、ラストパスの精度、中の作りもあるが、判断のスピードを上げることでゴール前で一瞬の余裕を持てるようにしないといけない。Jリーグの中で90分ピッチに立てる前線の選手が大久保しかいないのは悩みだ。松井、石川、大久保はJリーグでも実績があるし、余裕あるプレーが増えてきた。確実に前進している選手。この中から上(A代表)に上がって欲しい。4バックはまだまだ。1年前は4バックをやれるタレントがいなかった。徳永、三田がサイドをできて、センターバックとボランチの関係も改善されたのでやった。バランスを見ながら最終予選に向け準備していきたい」
MF石川直宏(FC東京)「最初からこういう戦いになると言われていた。特にアピールとか考えていない。自分の中で1試合1試合しっかりやることが大事。やるべきことはわかっている。最後のフィニッシュが課題。これには完成がないと思う。納得いく形も作れていない。最終予選に向けて長い課題になる。長くやればコミニュケーションも深くできる。代表ではずっとやってきた仲なので、コミニュケーションは取れてきている。裏に抜けるスピードは日本の方が上なので、そういう形はどんどん狙っていた」
MF山瀬功治(浦和)「ゴールはポジション的に飛び出すのが仕事なので。逆にパスの出し手として、前の二人がうまく動いてくれていたので、いいアイコンタクトができたと思う。コンセプトとしては、攻撃の選手は流動的に動いてゴールにつなげようということだった。うまく動けたと思う。(負傷離脱中)間に合わせようとやってきたわけではない。完治させることが重要だと思ってきた。周りの選手は成長している。1年間は短い時間ではない。でも、焦ってもしようがない。アテネはサッカー人生の中で通らなければいけないところ。まずは五輪代表に入ることから始まる」
GK川島永嗣(大宮)「こういう結果で終われてよかった。やはりJ1の人たちは個人能力が高かった」
MF阿部勇樹(市原)「半分しか出られなかったけど、人数がたくさんいたから仕方ない。(ゴールにつながった)フリーキックはかなり距離もあったし、毎回うまく入るものでもないと思ったので、ゴール前に合わせた。嘉人(大久保)がうまく合わせてくれた」
FW大久保嘉人(C大阪)「相手が大柄で、付いて来れないのはわかっていた。あそこまでドフリーで外してばかりいたので、決めなきゃいけないと思っていた。A代表は入りたいけど、まだそこまで考えていない。ただ、今日はいいアピールになったと思う。これから、普通にやっていって、それで上(A代表)に行ければいい」
FW中山悟志(G大阪)「先制点を狙っていた。結果として取れて良かった。また次につなげていきたい。最初はなかなか点が取れなかったけど、嫌な感じはしなかった。得点シーンは前にスペースがあったので、得点できると思って走り込んだ。A代表? もっと自分のレベルを上げていきたい」
ジーコ監督「パフォーマンスはよかった。いい形でスペースをうまく使えていた。結果よりも山本監督にとって、いろんな選手のパフォーマンスが見ることができたし、貴重な試合になった。(コンフェデで対戦する)ニュージーランド代表と、U-22代表は違うチーム。差があると思う。これからつぶさに研究していきたい。もっと点が取れた? 確かにもっと点差が開いていい試合だった。それが課題だ。A代表の戦いでは、これだけスペースを与えてもらえない。(韓国戦のメンバーは)明日3時に発表する。驚くような選手? 驚くかどうかわからないが、(東アジア選手権予備登録の)30人の中から23人を選ぶ」