3月23日

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◆サッカー日本代表フランス遠征現地レポート◆

フランス代表試合前日会見
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  フランス代表・ロジェ・ルメール監督は24日の試合を前に、集まった約100人ほどのフランスプレスに対して2度目の記者会見を行った。
 会見の中で監督は「私が日本戦のための情報のベースとしているのは昨年のモロッコ戦になる。中田を中心にしたいいチームであり、外からのものを多く取り入れた向上心に満ちているのではないか」と話した。また、昨年の日本戦では失点を許したDFのデサイーは「日本の立ち上がり20分の攻撃には驚かされた」とし、日本の攻撃への全体的な印象に「スピード感」をあげていた。

ルメール監督(抜粋)「W杯の優勝経験を持った私たちとの試合は、正直なところそう簡単なものではないだろう。しかし、私としては大陸のサッカーにはそれぞれの気風や文化があって、それらに触れることが明日の私たちにも非常に重要なものになるはずだ。日本は海外に対して、広く門戸を開いてここまで成長をしてきた国で、この点を私は非常に注目している。もちろんトルシエ監督が率いていることで、彼が日本文化をふまえた上で強化を成功させたことも想像できる。しかし、私は自分の友人であり仲間である監督に対して、うんちくを傾けるような真似はしたくない。(日本を知らない自分が)何を言っても、的外れになるからだ」

先発が予想されるデサイー「はっきり言って名前を挙げることのできるほど印象をもった選手はいないが。全体的なイメージとして、日本の攻撃には活力を感じた。特にモロッコ戦での最初の20分間の攻撃には驚かされた。明日の試合は特別どうこうというものではなく、今年の強化にとって重要な試合のひとつだと位置づけている。日本に注意するとすれば、それはヨーロッパにはあまりないスピード感だ。スピーディな攻守に、キャリアの差がかなりあったとしても油断はしない」


「日本の左攻撃は興味深い」

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 22日に続いて2度目の会見となったルメール監督は、日本への具体的な印象や、トルシエ監督への評価といったものへの質問には徹底して答えることがなかった。
 トルシエ監督が、こちらに到着して以来、すべての練習を公開しプレスを集め、さらにラジオ出演などをこなして自分と日本代表、フランス戦への意気込みをアピールする様子とは対照的でもある。トルシエ監督がこうした形で代表をPRするのは当然のことで、これによって試合への関心も高まっていると、地元のメディアは評価している。

 ルメール監督は「日本が私たちと対等に戦うというのは、経験を基準にして困難が多いはずだ」としたが、別の場所でのフランスメディアに対して、「アジアカップのビデオを見る限り、日本は左(サイド)の攻撃がユニークだと感じた」とコメントしている。
 対日本戦の情報のベースは、この日明らかにしたようにモロッコでのハッサン国王杯だという。しかし一方ではアジアカップで中田、城のいなかった日本代表のプレー振りにも注目。名波浩(磐田)、中村俊輔(横浜)からの左攻撃で、高原直泰(磐田)、西澤明訓(エスパニョール)につなぐ厚みには注意を払っているようだ。
 会見には、アンリ(アーセナル)、トレゼゲ(ユベントス)、リザラズ(バイエルン・ミュンヘン)、ミクー(パルマ)らが出席。23日午後からの練習は完全非公開とされる。


「ムッシュー吉田登場」

 フランス代表のトレーニングセンターに、フランスで野球を広め、受勲している元阪神監督の吉田義男氏が訪れた。吉田氏は、24日のフランス×日本戦のために、フランスサッカー協会からの招待を受けて22日にパリに到着したもので、氏の知名度への敬意がうかがえる。サッカー協会からも副会長らが案内役を買ってクレーヌフォンティーヌを視察。
「あすはサッカーのゲームだが、ムッシューヨシダは、フランスの野球界にとってプラティニと同じ存在だ」と、関係者に大歓待を受けていた。吉田氏は「あすは楽しみにしている。サッカー関係ともよく交流しているしサンドニはすばらしい競技場だから」と話していた。

注 日本はこの日、午前、午後もフリーとなっており、夜7時(日本時間24日午前3時頃)から会場となるサンドニで前日練習を行なう。(マスジマスタジアムでは続報あり)


日本代表、試合前日練習、トルシエ監督会見
(パリ・サンドニ)

 24日の試合を前に、日本代表は試合が行れるスタッド・ドゥ・フランスで公開練習を行い、最後の調整を終えた。この練習に先立って、トルシエ監督が競技場内で記者会見を行い、「結果よりも何より内容を求める。ボールをもって前を向く姿勢、勝とうとする意欲がなければもちろん内容はついてこない」と話し、フランス戦への意気込みを話した。

トルシエ監督の会見、質疑応答から(抜粋)

 いよいよこのゲームで日本代表の2001年のプログラムがスタートする。フランス戦、スペイン戦と非常にすばらしい試合になる。目標は明らかに経験を積むことであり、しかもアウェイで、さらに伝統と歴史のあるスタジアムで試合ができることはいい経験になることに間違いない。私たちは、相手はフランスでもスペインでもブラジルでも自分たちのサッカーをしなければならない。何と言っても世界チャンピオンでしかもヨーロッパチャンピオンでもある彼らとの一戦、名誉以外何ものでもない。
 同時に日本だけでなく、フランス代表にとっても大事な試合になる。彼らは間違いなく、本気で試合に臨むだろう。このために5日間の合宿をして十分な準備が整っていることを私は知っている。
 ボールは恐らく7割以上フランスが占有するだろう。まだアジアレベルではこのような経験をしていないが、しかし、そういったことを意識せずにやろうと、選手には説明した。

 以下質疑応答

──明日の試合、中田はスタメンか
監督 明日のキックオフ1時間前まで私はメンバーを決めない。彼は昨年のアジアカップにも出場していないので彼のプレーを是非とも見たいものだと思っている。しかし、彼をどこで使うか、スタートなのか途中からなのか、また中田に限らず、私はまだ十分な時間を使って考えたい。

──1977年、あなたは(フランス協会の強化プログラムで)ルメール監督の弟子であったことがあります。彼から学んだことは何でしょうか
監督 学んだのは監督はボスである、ということだった。とても厳しくルールを自ら決めなくてはならないということだった。そういう制約を自ら作るべきでGM的な役割も担わなくてはならない。すべて自分でやる、それを学んだ。

──明日の試合で求めるのは結果かそれとも内容か
監督 明らかに内容だ。もちろん、そのためには勝つ姿勢、積極的な姿勢がなければならない。ボールを持ったときに前に向かう気持ちや、ディフェンスへの切り替えなどどういうサッカーをするか見たい。

──アジアチャンピオンの意味を教えて欲しい
監督 2年前私はアジアNo.1になれると思っていたし、今実際になってみてW杯にも勝てるという自信を得た。カップ戦はリーグ戦とは違って、色々なハプニングが起きるということだ。

──もし明日フランスに勝ったらどんなインパクトがあるでしょう
監督 日本のメディアはW杯に優勝と書くだろうし、W杯チャンピオンに勝ったのだからいっそW杯には出なくていいんじゃないかと書くだろう。もちろん、私はナショナルヒーローとなって、大きなレストランを開いて死ぬまで儲けさせてもらう。得点者は、向こう60年(長い間という意味か)ナショナルヒーローとなれる。まあ冗談はさておき、真面目な話、明日は試合のひとつに過ぎない。もし勝っても私たちがフランスよりも強いという意味ではないし、負けたとしても私のサッカーの意味がなかったというわけではない。サッカーは論理的なものではなく。あくまでも自信を得るために自分たちのサッカーをどのくらい見せられるかにかかっている。

──現在日本から海外でプレーしているのは2人しかいませんが
監督 残念ながらそうだ。フランスが98年に優勝を果たすことができたのは、明らかに、フランス選手全員が海外でプレーをしたからだ。しかし日本では合宿への招集が可能で、FIFAルールと喧嘩(代表招集のルール)することもなく集められる。いいこともあると思っている。

──明日は経験を積むという点で、多くの選手を使うのか
監督 そういうつもりはない。全部のカードを切る必要はないし誤解して欲しくないのは、代表ではまだ見知らぬ選手を抜擢してどのくらいできるかという時間を与えるつもりはない。すでに使っている選手の中から私が十分にテストをしている選手たちを使うということで、テストの時期はもう終わった。あくまでも繰り返す中で、信頼を強くしていくことが重要なのだ。


「中田はフォワード」


98年フランスW杯決勝の舞台となったスタッド・ドゥ・フランスで紅白戦を行う日本代表
 日本代表は午後7時からの練習でこれまでの確認を行った。メンバーはいろいろと動かしていたが、おおよそはGK楢崎正剛(名古屋)、森岡隆三(清水)、DF松田直樹(横浜)、服部年宏(磐田)、中盤の底には稲本潤一(G大阪)を中央に、伊東輝悦(清水)、名波浩(磐田)を並べ、アウトサイドは右が明神智和(柏)、左が中村俊輔(横浜)、1.5列目に中田英寿(ASローマ)、トップに西澤明訓(エスパニョール)といったメンバーで、左に三浦淳宏(東京V)、右に望月重良(神戸)を入れる布陣も試していた。
 この日監督は、会見とは別に、「中田のポジションについては2トップの後ろ、9.5の位置(1.5列目)におくか、2人のFWとして前線に置くか、戦術的なバランスを考えればトップで使ったほうがいいだろう。中盤に入れると、オートマチズムがまだ足りない」と話し、中田には、これまでとは違ってボール出しの役割以外を求める考えを明らかにした。監督の意図は、2トップを通常通りにおくと、立ち上がりから極めて攻撃的に行く可能性が高く、こうした「行け行け」が通用するのは「アジア的」だとしているようだ。
 また中田がローマで中盤をマルチで動く役割をこなしているために、当然のことながら「下がり気味」でボールを受けることも、日本の攻撃にはマイナスになると判断して、中田をできるだけ前に、といった戦術を示した。
 サンドニ(スタッド・ドゥ・フランス)での公開練習では、このシステムで初めてボールを回し、攻撃を行なったが、監督からは厳しい指示が飛ぶなどし、最後の調整に緊迫感が漂っていた。ラグビーの試合が行われた直後だけに、芝が長く、てこずる場面もあった。

注 24日午前中にマネージャーズミーティングを行うが、交代は5人枠で行なう予定。

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