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5-(1).「事故滅価証明」 の取り方

前述のページ : 「4-(1).読者の皆さんによる事例(投稿・その1)」 にて、体験例を述べて
下さったFmanさんが、今度は 「事故滅価証明の取り方」 についてまとめて下さいました。
Fman さんのご厚意により、ここに転載させていただきます。皆様でご活用下さい。

●1999-10-27:新製、 ●2001-10-18:レイアウト変更    

【0】 はじめに

■■■ もっと利用しよう、自動車査定協会 ■■■
■■■    『事故減価額証明』 を取る    ■■■
■■■             by Fman    ■■■

 みなさんは、自分に過失がない貰い事故などで愛車を損傷したとき、加害者に原状回復(修理)の損害賠償を求めますね。一般的には、加害者と直接交渉するではなく、相手の保険屋さんと交渉する場合が多いと思われます。

 ここで、車両の『価格落ち(車両の減価)』を請求しようとしても、保険屋さんは通常、「んなもん、普通は認められへんわ」 的なリアクションを返します。しかし、相手も人間、キッチリした機関がキッチリと証明すれば、価格落ちを認めざるを得なくなるのです。                            
 価格落ち(以下、減価額)の考え方は、実際に部品費や工賃という実費が発生する修理費と違い、具体的な数値を示すのが難しいため、保険屋さんはそれを口実に、まず前述の「んなもん…」といいます。また、現在の残価値が150万円の車両でも、1年後には価値が110万円になり2年後には70万円… と、価値が下がるのが自動車です。当然、損傷による減価額も 現在額20万円だったものが、15万円、10万円 と年々下がっていきます。これも、保険屋さんの言い訳になりやすい要素です。「価格落ち分は年々少なくなってくでー。ほんま、近々買い換えの予定があったんかー?」と。

 しかし、事故によるの現状の損害は、今、賠償して貰うのが原則です。そこで、減価額を誰かに証明してもらう必要が出てきます。一般的にディーラには査定士の資格を持つ人が 何人か在籍しています。では、その人に証明書を書いてもらえるかというと「そんな前例はないので…」「ウチではできかねます」とやんわりと断られるのが普通です。これは、ディーラが保険の代理店も兼ねている場合がほとんどであるため、保険会社の利益を減らす証明は出せないという構造的な理由によるものだと思われます。

 では、誰に…。
そうです、ここで第三者機関である(財)日本自動車査定協会の登場です。
ディーラの査定士もこの機関が資格を認証しています。
 

【1】 自動車査定協会(http://www.jaai.com/home.htm)
自査協のについてはHPに詳しい情報が掲載されていますが、「通算省、運輸省の両省が承認する」とあるとおり、公正な権威ある機関のようです。ここでは、各種証明書の発行や査定士の試験やイエローブック等の書籍の発行など、自動車の査定業務に関する業務全般を行っています。

 事故による車両の減価額については「事故減価額証明」という書類を発行します。だだし、この機関で発行する減価額は、一般的に「事故車」といわれる扱いになる車両にのみ発行されます。事故車とはフェンダ交換、バンパー交換、ボンネット交換などは対象とならず、シャーシに損傷を受けた場合にのみ対象となるようです。(自査協HPに詳細説明が図入りであります)
 

【2】 「事故減価額証明」を申し込み
証明の申込みは電話にて行うようです。Fmanが「事故減価額証明」の取得を電話で申し込むと、中年の女性が丁寧に対応してくれました。実際に持ち込んでも (前述の理由で) 証明の対象にならない場合があるので、修理見積りをFAXすれば、判断してくれるとのことで送信します。この修理見積りというのは、修理後に工場から発行される書類で、日産プリンス東京の場合は「請求書・精算見積書」というタイトルです。

 自査協に電話にて確認すると、証明の対象であることが確認されたので、車両の持ち込みで予約を入れます。査定は、「持ち込み査定」と「出張査定」があり、「事故減価額証明」の費用は1万円+税で、後者は+3000円です。 出張査定の場合は、何日か後の予約になるようですが、持ち込みは営業時間内ならいつでも可という感じです。(東京都支所の場合) 支所は全国の52都市にあるようです。近いところに申し込むと良いようです。

当日、必要な物:
■車両(当たり前か)
■車検証       
■自賠責証     
■整備手帳
■見積書(協定済のコピーで可)←「協定済」の意味が不明
■評価料
  

【3】 東京都支所に出かける
台風シーズンのためあいにく雨でしたが、午後から会社を半休し東京都支所のある北品川に出かけました。 第一京浜国道を南下し品川駅の先を、八ツ山橋方向に左折し、踏切を渡り下り坂を下りた信号を左折します。100m位進むと右手に東京自動車整備会館という大きな建物がありますが、この1階に自査協があります。(事前に地図もFAXしてもらえます)

 受付に行くと、「駐車場が空いていないので車で待ってて下さい」と言われたので待っていると、見たことのある査定士の方が出てきて、指示された向いの駐車場の中に入れます。(実はHPに顔写真が出ている人だった)

 査定作業は、30分位でしょうか。まず、最初に状況を簡単に聞かれ、損傷(修理)箇所を見ます。「こりゃー完全な事故車だよ!」と言われ嬉しいような、悲しいような…。

ここで念を押されたことが2つ。
 ○自査協は交渉には一切立ち入りません(賠償を貰えなくても関知しない)
 ○自査協の査定額はディーラ等の査定額より低め(私には不利)に出る  

 証明は、即日発行してもらえるのかと思っていましたが、約一週間程度かかる
とのことで、評価料+税の10500円を支払い、領収書をもらって終了。(この領収証はあとで保険屋さんに評価料を請求するのに必要)
 

【4】 最後に
 KAZさんのHPによって知った「自査協」でしたが、ここの証明書は結構威力があると感じました。水戸黄門の「葵の御紋入印籠」とは言いませんが、保険屋さんに前述の 「んなもん…」から次のステップの 「う〜む、みせてみーや」に行くためには十分の代物であると思われます。

 しかし、実際の交渉はここから始まります。KAZさんが書かれている内容の通り、減価額を証明してもすべて貰えるとは限りませんし、判例でもいろんなパターンの結果が出ています。また、事故の責任割合が0:10以外の場合には、保険屋さんとの交渉はさらに難航することが考えられます。

 みなさんも、この証明で相手に「確かに価格落ちしていることは認めます」と言わせることができれば、後々の交渉を有利に持って行けるのではないでしょうか。みなさん、自査協をもっと利用しましょう!(東京都支所は結構、暇そうに見えましたけど〜)
 

【5】 (資料)減価額証明の内容
以下は、Fmanが取得した証明書の内容です。実物はB5用紙4ページ構成になっていて、ワープロ書きです。<印>とあるところには各種印鑑が捺印されています。
 
 

<印>

         中古自動車事故減価額証明

評価依頼者   東京都****** **−**−**
                         *******号
                        Fman 殿

 1 評価目的

      1 事故発生年月日     平成11年8月**日

      2 事故発生場所      北海道**郡***町***路上

      3 事故発生時の状況   追突事故による車両後部の損傷
                      および損傷個所

      上記内容に基づく下記評価物件目録記載車両の事故復元後に
      おける事故減価額算定

 2 評価額

      平成11年9月**日現在   ¥150,000−

      本件車両については平成11年9月21日当支所査定士が現車
      確認の上、中古自勤車査定基準に基づき算出したものであります。

 3 評価方法

      評価方法については通産.運輸両省が承認する当協会の「中古自動
      車査定基準及び細則」ならびに「加減点基準」を適用いたしました。

 4 評価物件目録

  車  名          二ッサン スカイライン
  年製.型式        平成10年製 BGKBRTFR34UD*****-
  自動車登録番号    練馬3*○****
  初度登録年月日    平成10年6月**日
  車台番号         ER34−006***
  原勤機の型式      RB25型
  自動車検査証.有効期間の満了する日
                 平成13年6月**日まで
  使用月数         15ヵ月
  走行粁数         17,090Km(指針)
  自賠責保険.会社名  *****保険株式会社
  同 有効期間       平成13年7月**日まで
  所有者の住所       東京都****** **−**−**
  同 氏名又は名称    Fman
  使用者の住所       東京都****** **−**−**
  同 氏名又は名称     Fman
  車体の塗色(塗装)    メタリック 灰色
  装備品           パワーステアリング、パワーウインド
                  ステレオ(CD)付

 5事故減価

   事故減価とは事故車と無事故車との商品価値の差(価格差)を算定する
   ものであり、事故部分の復元に伴う修理費とは全く異質のものであります。
   従って、事故減価の算定方法には(1)事故現状車、(2)事故復冗後の
   2通りがあり、事故現状車とは復元修理以前の事故現状における損傷箇所
   ならびにその損傷度合を査定し、部品.工賃の復元費用を勘案して算定する
   ものであります。事故復元車については、事故復元後の痕跡が無事故車と
   比続して、どの程度の商品価値に差が生ずるかを算定するものであります。

平成11年9月**日

財団法人 日本自勤車査定協会 <印>
東京都支所  
        査定長  松本 匡司 <印>

 

 

〜 HP管理人より 〜

Fmanさん、お忙しいところ、有益な情報をまとめて下さってありがとうございます。このページは、必ずや、事故に遭って困っている方々の助けとなることでしょう。こころよく転載を許可して下さり、ほんとうにありがとうございました。 m(_ _)m

調布市のKAZ
 

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