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4-(13).読者の皆さんの事例(その13)

事故による評価損を得るまでの具体例 (読者の皆さんの事例) の紹介ページ・その13です。

●2006-10-15〜:新製、 ●2006-10-30〜:投稿者様チェック、 ●2006-11-01:校正、 ●2006-11-02:公開、 ●2007-05-14:追記(Δ1)

相手保険会社の 意図的な情報操作 とも思える態度に屈することなく、本人訴訟として
少額訴訟を提起。被告代理人の弁護士により 通常訴訟 に移行させられたが、地裁
の判断は 「修理費の20%相当額を認める」 旨の判決であった・・・という事例です。

2007-05-14 追記(Δ1) ↓

その後 投稿者様(=原告)は 上記結果 に留まることなく 控訴 されました。
舞台が 地裁から高裁 に移ったわけですが、結果は勝訴。高裁レベルにて
「評価損の認定が 20%から30% へと引き上げられる」 判例となりました。

事例13.赤信号で停車中に追突された例
 
(当初は 「地裁にて修理費の約20%、8万円の評価損」 を認められたが、
その後 「高裁にて修理費の約30%が評価損として再認定」 された例
(Δ1)

投稿者 : 「mits」 さん   


「mits」 さんから ご報告 (投稿) いただきました メールの内容 を元に、
当方 (調布市のKAZ) で最小限の編集を加えて掲載させていただきました。

以下、投稿内容をご覧下さい。
(改行位置などのレイアウトは若干変更、他はほぼ原文のままです。)

 
 
【1.事案概要】
 
 
 ◎被害車両 : 平成16年式日産ティーダ
 ◎経過年月 : 新車登録後 約10ヶ月
 ◎走行距離 : 約4600Km

 ◎事故態様 : 赤信号で停車時に追突被害
 ◎過失割合 : 0対100

 ◎加害者の保険会社 : あいおい損保

 ◎修理箇所 : 後方部の広範囲にわたる交換・板金・塗装(以下の画像を参照)。
           中古車販売業者に 「修復歴」 の表示義務が生じる修復にあたる。
 ◎修理費用 : 約40万円

<↓事故に遭った直後の車輌状態(右後方より)>

全景(後方やや右側より) 右後方より、角度を変えて撮影

<↓事故に遭った直後の車輌状態(左後方より)>

やや左側より、全景 左後方よりのアップ画像

<↓参考画像 : 本来の姿(ボディカラー:ルミナスレッド)>

日産ティーダ

  

 
 
 
【2.事故の経緯】
 
 
 05年 9月 事故発生
         → 事故後のあいおい損保の物損担当者との電話による会話で、
           評価損は支払わないとの回答を得る

 05年10月 日本自動車査定協会東京支所にて 13.2万円の減価額証明書を得る

 05年11月 あいおい損保に通常郵便で評価損に査定手数料 1.1万円を加えた 14.3万円を請求
         → あいおい損保から 「裁判では評価損は認められていない」 という理由で
           支払を拒否する回答書面(※)を受領

 05年11月 あいおい損保及び加害者に内容証明郵便であらためて 14.3万円を請求
         → 双方から返答なし

 06年 3月 東京簡裁に本人訴訟として少額訴訟を提起

 06年 4月 あいおい損保の弁護士である被告代理人の申出により、
         交通事故事案を専門に扱う東京地裁民事第27部に通常訴訟として移送

 06月 5月 和解を望む裁判所の意向もあり、原告から修理額の 30%にあたる 12万円の和解案を提示
 06月 6月  → 被告は全面拒否

 06月 7月 裁判所から 8万円の和解案を提示
 06月 8月  → 被告は受諾する意向を示したが、原告が拒否

 06年 9月 修理費用の 20%にあたる 約8万円の評価損を認容する判決言渡

 06年10月 あいおい損保の業務監査部長に対し
         「裁判では評価損は認められていない」 など明らかに事実と異なる内容
         を含む回答書面の作成経緯や責任主体についての質問状(※)を送付

 06年10月 質問状に対する回答書(※)の差出人は、あいおい損保の業務監査部長名ではなく
         あいおい損保の顧問弁護士名であった。
         その内容は 「最終責任はあくまで現場にある」 とするもので、また 「技術上の
         評価損」 と 「取引上の評価損」 を意図的に混同したかのような返答であった。

 06年10月 査定協会に 「査定基準」 の送付を依頼。
         原審では ”査定方法が明らかでない” という理由で証明書の金額が却下
         されたので、その立証についての協力をお願いした。
         → 単なる一般的な査定基準規則の文言だけではなく、本事例において、
           規則をどのように適用したかという個別具体的な説明付きで送付された。

        (※ 06年11月現在 控訴継続中 ; 結果は mits さん ご自身のブログ (後述)にて
           公開予定です。なお、上記文中の 「支払いを拒否する回答書面」、「質問状」、
           「回答書」 の具体的内容についても ご自身のブログ (後述)で公開されています。)


  
●2007-05-14:以下、「調布市のKAZ」 による追記
(Δ1)

 06年11月 参考のため、ソニー損保(mits さんの契約先)に 「評価損(格落ち)についての対応方針」
         をメールで問い合わせる。「このような場合は支払い、このような場合は支払わない」、と
         いう具体的な指針を示してもらうため。
         24時間以内に返信あるが、(1)学者の見解、(2)裁判例の傾向、(3)自動車販売業界の傾向、
         (4)損保業界の傾向等、をまとめながら 「一件ごとの判断とならざるを得ない」 という回答。

 06年11月 控訴理由書 を作成し、東京高裁に郵送で提出。
         提出書証も10通に及ぶため、証拠説明書 も作成。

 06年12月 東京高裁での第1回・口頭弁論。
         即日終結とはならず、審理続行 として、次回期日が設定される結果となる。
         (相手側は 第1回期日までに 附帯控訴状 を提出せず ← 通常はありえない。)

 07年 1月 東京高裁での第2回・口頭弁論。
         ところが何と、先方の代理人が欠席。終結せずに次回に弁論続行となる。
         (mits さんに対しては、親切な裁判長より、次回弁論に向けての追加資料提出を求められる。)

 07年 2月 東京高裁での第3回・口頭弁論。
         これでようやく弁論終結となったが、判決は2ヶ月後(2007年4月)となる。
         裁判長曰く 「本件は大変難しい事案につき、裁判所として慎重な判断が必要なため、
         通常よりもお時間をください。」 とのことであった。
         (ただし裁判所としての職権により和解勧告を受け、3月2日に和解期日が定められた。)

 07年 3月 東京高裁での和解交渉
         お金の問題ではないため和解を拒否、打ち切りに。→ 予定通り 4月12日に判決言渡。

 07年 4月 東京高裁より特別送達郵便を受け取る。
         その判決内容は 「修理費の30%にあたる評価損を認容する」 という、ほぼ完全な勝訴判決
         (結果として、原審(地裁)での20%を容認する、という判決から引き上げられる判断となった。)

 07年 4月 情報共有のため、第一審判決と控訴審判決(高裁判決)を 査定協会、判例時報社、
         判例タイムズ社、保険毎日新聞社などの関連機関に送付
         (マイルストーンとなる判決が出た際は、弁護士が自ら出版社に判決を送付するという慣行が
          あるらしいことに習ったもの。黙っていれば勝手に判例集に載るものではないようだ。)

  

 
 
 
【3.投稿者よりひとこと】
 
 
 
 出廷回数5回、半年間にも及ぶ審理の末に、国産大衆車において評価損を認容する判決を
 勝ち取ったことについては、ほぼ満足できる結果だと思っています。

  その一方で、

 ■判例や学説に関して明らかに虚偽の内容を含む回答をもって支払を拒否したこと

 ■訴訟提起後しばらくのあいだ、私は和解の可能性を探ろうとしていたのにもかかわらず、
   保険会社側は和解に応じる一切姿勢を示さず、一方的な事故の被害者であり一般市民
   である私の負担を加重したこと

 に代表されるような損保の身勝手な対応について、強い憤りを感じています。

  示談交渉の段階において保険会社が支払を渋るのは、評価損の認否や算定基準について
 上級審で確立した判例が存在しない以上 わからないでもありませんが、大企業に比べて
 情報量や交渉力に劣る一般市民である被害者の権利を侵害する行為として、企業としての
 社会的責任を果たしていないと言われても仕方がないと思います。

  評価損をめぐる判例・学説や法律実務について、この事故を機にかなり詳細に調べました。
 他の皆さんの参考になるよう、訴訟資料も含めた経緯を詳しくブログで公開していますので、
 ご興味のある方は、ぜひ参照ください。

  「mits」 さんの 評価損 WEB サイト

  ◎ブログはこちら → 「ビジネスマンの評価損請求奮闘記」
                http://mitskan.cocolog-nifty.com/hyoukazon/

  ◎掲示板はこちら → 「評価損(格落ち)請求掲示板」
                http://8415.teacup.com/hyoukazon/bbs

  ◎交渉資料・訴訟資料一覧はこちら → 「00. 訴訟資料ライブラリ」
                http://mitskan.cocolog-nifty.com/hyoukazon/cat6505691/index.html
 

  

 

〜 サイト管理人より ひとこと 〜

 「mits」 さん :

 貴重な体験を ご投稿いただき、まことにありがとうございます。
まずはお礼申し上げます。

 「事故の経緯」 などを拝見しますと、表面上は事実のみを淡々と控えめに記されておられますが、その事実ひとつひとつの背後には、深い考察に基づく確実な決断があるように感じられます。これは私の想像になりますが、恐らく 「mits」 さんは大変な勉強家で、ご自身が成すべき判断はもとより、相手側の行為や判断に対しても、その根拠や是非をひとつひとつ検証しながら交渉を進められていらっしゃるように思います。特に、「mits」 さんご自身のブログ (→ 「ビジネスマンの評価損請求奮闘記」 ) を拝見すると、その思いを強くします。

 訴訟では、少額訴訟から通常訴訟へと移送されましたが、前述のようなひとつひとつの考察ステップの積み重ねにより、ついには修理費の 20%にあたる評価損が認められるという判決言渡を得るに至ったのではないでしょうか。

 ビジネスマンである以上、時間的制約は付きものですが、そうした制約の中で納得のいかないことに立ち向かうだけでなく、ご自身の体験を紹介するブログサイトを立ち上げ、広く一般の人々の参考になることまで願う姿勢には頭が下がります。特に 交渉資料や訴訟資料 は一見の価値がある(バイブルにもなる)と思いますので、このページをご覧になった方々は、ぜひとも 「mits」 さんのブログサイトも訪問されるようお願いいたします。

 今後も何かとご苦労があるかもしれませんが、こうして貴重な体験を投稿していただいたことに 改めてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

 乱文ですが、それでは失礼いたします。

記:調布市のKAZ 

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↓2007-05-14:追記(Δ1)

 ついに高裁での判決を得るに至りました。その内容も、「原審(地裁)では修理費の20%とされた評価損の金額を、控訴審(高裁)では30%に上方修正して認容する」 というものでした(→ 当WEBサイトの 第二章・「評価損(格落ち)に関する判例」 でも、事例紹介させていただきました)。

 あらかじめ相手側が採る可能性のある複数の行動パターン(あるいは、予想される複数の結果パターン)を十分に検討されたうえで、自己にとってベストと考えられる対応策を先回りして採っておられます。思考が常に前向きとも言え、その点を見習いたいものです。

 「mits」 さんのブログは、読み返すたびに新しい発見があるような気がします。資料としても大変価値が高いと思いますので、皆様にも ぜひ読んでいただきたいと思います。

 簡単ですが、この場を借りて改めてお礼申し上げます。
 ありがとうございます>「mits」 さん。

記:調布市のKAZ 
 

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