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瀬名秀明 『BRAIN VALLEY』と『航路』の根本思想 2002年10月08日(火)00時47分33秒

野尻抱介様

> 非SF方面の読者の反応は意外でないと思います。似たテーマの作品で比較するなら、結局スーパーナチュラルな現象がいろいろ起きる『ブレイン・ヴァレー』のほうがその方面の期待に応えているでしょう。

誤読されておられるならともかく、人の小説の根幹部分に関して、このような誤った情報を(あたかも事実であるかのように)流さないでいただきたいのですが……。仕方がないのでネタばれしますが、『BRAIN VALLEY』では「目の前で起こっていることが事実なのか、それとも自分の脳内でそのように認識しているにすぎないのかが判然としない」ことがキモとなり、その揺らぎは最後まで保たれるわけで、それをあえて「結局スーパーナチュラルな現象がいろいろ起きる」とだけ記し、しかもそれを「非SF方面」への評価と繋げるのはあまりにも粗雑かつ悪質な情報操作だと感じました。
#著者の意図通りには読み取れなかった、というのであれば別に構わないのですけど、その場合は野尻さんご自身の解釈であることを仰っていただければ幸甚です。ちょっとした言葉の使い方でニュアンスは変わると思います。

もう一点。SFファン全員が野尻さんと常に同じ感想を持つわけではないと思います。「私(野尻)と嗜好を異にする人の反応は〜」といった意味合いに過ぎないご意見を、「非SF方面の読者は〜」と一般化するのはどうでしょうか。大森さんの「ミステリ方面」という言葉を単に受けただけかもしれませんが、それにしても、拙作に与えられた一部の評価をあたかも全体に敷衍するかのように読み取れてしまいます。強引に一般論へと敷衍され、強引な解釈で自作を見当違いに判断されるのは、話の肴にされた作品の著者として大変に不愉快に感じます。

誤った情報をあたかも事実であるかのように見せかけ、その架空の対象を批判する手法は、野尻さんご自身の掲示板でも見受けられますが、これは野尻さんのクセなのでしょうか。見当外れの批判をされる方にとっては迷惑なので、ぜひ慎重になっていただければと思います(相手の神経を逆なですることを目的としているわけではなく、純粋に批判を展開したいのなら)。またご自身のご意見と一般論を混同されることのないよう願います。野尻さんご自身がどう読み、どう考えたか、という自己に立脚したご批判でしたら、こちらも納得するのですけど。

その点、『航路』の講評部分に関しては、「私のハードSF基準では〜」といった書き方をきっちり守られているので、趣旨が明快で読みやすかったと思います。


それはさておき、
もし「ハードSF」的に『航路』にツッコミを入れるとしたら、主人公の至る科学的結論の理屈付けが弱い、ということじゃないでしょうか。それを何とかするため、ウィリスはほにゃららしている、と。それが巧いので小説としての完成度が高くなっている。非常によくできた小説だと思います。読書の楽しさを味わえる! 

私は『BRAIN VALLEY』と『航路』の根本思想にそれほど違いがあるとは思っていません。ただ決定的に違うのは、日本で書かれた小説か、アメリカで書かれた小説か、ということだと思います。野尻さんが仰っているのは、「アメリカ的なハードSF」基準に照らしてどうか、ということだと思いますがいかが? 

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湯川光之 突っ込みだけですみません 2002年10月07日(月)21時14分41秒

10月4日(金)付日記に登場する 『たそがれ清兵衛』は(市川監督ではなく)山田洋次監督作のようです。

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野尻抱介 RE:航路クリア 2002年10月07日(月)20時45分05秒

 あ、そこまで内容書いていいんですか。じゃあもう少し。

 臨死体験の研究なんて大変だなあと思っていたらジテタミンが登場する――最初に身を乗り出したのはここでした。RIPTスキャンよりなにより、本書の決定的ガジェットはジテタミンですね。私としては『楽園の泉』で軌道エレベータのコンセプトを知ってほくほくした、あの「よっしゃあ!」な気分に近いです。トンデモ批判もたっぷりあるので、「ああ、これは科学のわかった作者だ。いいぞいいぞ」と楽しく読み進めました。

 内田昌之さんが『航路』を批判されていて、いつもなら大賛成な意見なんですが、今回に限っては許せます。もうちょっとで解決するところが、つまらない理由で駄目になるところなど、「じゃあ別の解決があるんだな?」とむしろ期待してしまう。主要なネタはラストよりかなり手前で出てしまうけど、それを知らない人物がどうやって同じ結論に至るかで興味がつながります。それは「スーパーナチュラルな解決はない」という信頼があるからでしょう。

 非SF方面の読者の反応は意外でないと思います。似たテーマの作品で比較するなら、結局スーパーナチュラルな現象がいろいろ起きる『ブレイン・ヴァレー』のほうがその方面の期待に応えているでしょう。
 テレポートなど物質的な瞬間移動はできなくても、情報(メッセージ類)だけは時空を越えられるのが一般レベルの許容範囲だと思います。情念を高めると心が通う、イヤボーンと同類の「奇跡」は、一般にはむしろ感動の方程式として歓迎されるようです。
 いっぽう私のハードSF基準では情報も物質も等価なので、どちらもSF的仮構ぬきでは許容できません。『航路』は後者の基準をきっちり守っている。

 そんな『航路』の訳者たるものが「科学的思考に毒された」なんて悲しいことを言わないでくださいな。物事全般を洞察するにどんな方法論がすぐれているかは、この本を読めば明らかでしょう。たとえそれが、文芸業界的には貧乏神だとしても。

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大森 望 re:航路クリア 2002年10月07日(月)15時33分05秒

 RIPTスキャンについては、製品版のあとがきのほうで、
「に出てくるRIPTスキャン(実在のPETスキャンを超進化させた夢のシステム)および疑似臨死体験を誘発する薬剤ジテタミンは著者の創作。それ以外は(側頭葉刺激による幻覚などを含めて)おおむね既存の医学的知見や技術が使われているが、神経伝達物質のθアスパルシンは架空の存在」
 と一応ことわってあります。ネタ的にはハードSFかも。というか、一般読者向けにハードSFを書くための方法論としてもけっこうユニークじゃないかと思いました。科学者は勝手に研究してるんだけど読者に向かってはほとんどなにも説明しない。術語とか具体的な研究内容とかは全然わかんなくても、人間ドラマ部分で感動させるのでOK。わたしはこれを「ER方式」と呼んでますが、この手は宇宙物にも応用できるかも。

 しかしミステリ方面の読者に関しては「二歩下がる部分を含めてどこにも無駄がない」と思う人は少数派らしく、『航路』は結局やっぱりSFファン向けの小説だったのかという気がしてきたところ。科学的思考に対する信頼が根底にない読者の場合、むしろ意外性が低く見える模様(死んだ人が生き返ったりとかしないので)。そういう人は、臨死体験部分を一種のファンタジーみたいに読んでて、「ファンタジーのわりに地味」とかそういう結論になったり。科学ノンフィクションなんかまったく読まない小説読者の場合はずいぶん受けとめ方が違うようで、これはまったく盲点でしたね。
 見方を変えれば、オレがハードSF的(科学的)思考に毒されているのか。小説観の見直しを迫られてるような気も。
 最終章についてハードSFな人から批判があるんじゃないかと思ってたのになあ。ううむ。

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野尻抱介 航路クリア 2002年10月07日(月)15時07分06秒

 驚いたことに『航路』サンプル版、終わりまで読めました。長いやつが駄目な私にとっては10年に一度の快挙かも。サンプル版は822ページありますが、試しに『太陽の簒奪者』をこのフォーマットに流してみると、たった151ページです。

 三歩進んで二歩戻るような展開が延々と続きますが、それでも飽きないのは小説のうまさと品のいいユーモアのおかげでしょうか。『ER』でステディ・カムを使って延々長回ししたような、テンションの落ちない描写は見事。
 そして読み終えてみれば、二歩下がる部分を含めてどこにも無駄がない。100ページくらい読んだ時点では「まあ空母ヨークタウンの話だけでも読んだ甲斐があったな」ぐらいに思っていたのですが。

 SFとしてどうかと言えば、あの結論がどれくらいポピュラーかによるでしょうね。著者のアイデアだとしたら、“架空論文性”の得点だけでも一流のハードSFになるでしょう。物理的におかしなところもありませんし。
 毎秒100回の断層撮影はすごいなと思って"RIPT scan"を検索してみましたが、この本の感想文しか出てきませんでした。これほどの時間分解能があれば、もっと役に立ちそうな気もしますが――決め手になったのは日本の刑事さんみたいな地道な調査でした。そこがまた面白いところでもありますが。

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宮前 RE: 『航路』販売状況 2002年10月06日(日)13時47分30秒

amazon.co.jpから今朝届きました。
読み終えたら感想でも。

# ちなみに『ドゥームズデイ・ブック』は在庫切れになっていました。

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高橋ま RE: 『航路』販売状況 2002年10月06日(日)09時32分43秒

先週の金曜(10/4)に神田神保町の書泉グランデに『航路』が新刊平台に並ん
でいたので購入しました。書泉グランデはまあ早売りな書店ですからそうゆう
こともあるでしょう。

たしかに新潮社の本のようにシックな装丁ですね。

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細井 amazon.co.jpでも 2002年10月05日(土)23時14分21秒

amazon.co.jpでも『航路』上・下巻とも24時間発送になっています。実際、ぼくが予約した分は今日発送したとのメールも来ました。

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大森 望 『航路』販売状況 2002年10月05日(土)22時35分56秒

 情報提供ありがとうございました>青月様。
 今日は出かけてみたら(ふだんは入荷が遅い)書泉西葛西でも売ってたんで驚いたんですが、まさか昨日から売ってる書店があったとは。ブックファースト恐るべし。

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青月にじむ 既に金曜日に… 2002年10月05日(土)20時06分22秒

ブックファースト渋谷店で、既に金曜の夜に『航路』が並んでました。
1F新刊コーナー、2F文芸コーナー共に。
…ということで、ご報告しておきます。紀伊国屋じゃないですけど。

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大森 望 『航路』フライング発売? 2002年10月05日(土)15時15分30秒

 取次への搬入は昨日だったんですが、紀伊國屋書店新宿本店では「在庫あり」に(http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9976243901)。
 現物を確かめて買いたい人は紀伊國屋書店へGO。というか、新宿本店に行った人はほんとに『航路』が並んでるかどうか確かめて報告していただけるとさいわいです。ついでに買っていただけるとなお吉。どうせ買うなら紀伊國屋(売れ行き調査があるので)。「宮部みゆき推薦」と大書したPOPもつくってるらしいんだけど、どうなんでしょうか。
 ちなみに版元からの謹呈本のほうは月曜日の発送になります。

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大森 望 第1回『このミステリーがすごい!』大賞、受賞作決定! 2002年10月02日(水)03時46分39秒

 総額1400万円の賞金の落ち着き先は無事に決まりました。しかし金賞と銀賞になろうとは。
 詳細はhttp://www.konomys.jp/参照。

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大森 望 ご無沙汰です>藤田一美様 2002年10月02日(水)03時41分50秒

 キリ番は広告なので気にしないでください。藤田雅矢氏にもしばらくお目にかかってませんが、あんな分厚い本が読めるんだから元気そうですね。

 『航路』はきのう刊本の見本が届きました。めちゃめちゃ渋い感じ。ソニー・マガジンズというより新潮社の文芸書みたい。ミステリにもSFにも見えない……。しかも上下巻合わせて1.1キロ(笑)。ダンベルがわりにもなります。取次搬入は今週末。早い書店だと7日から店頭に並ぶかも。
 パイロット版を送った人全員に送ると印税がなくなってしまうので(ウソ)、ごく一部にしか送れなくてすみません>各位。大森の「高定価本寄贈リスト」入りしてる人には届くかもしれませんが……。
 紹介の予定があるので送ってほしいという人はご連絡ください。

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藤田一美 2002年10月01日(火)09時08分32秒

ごきげんいかがでしょうか なんか、キリ番をふんだみたいなのですが よくわからない……英語に不自由なんで…… 先日は『航路』パイロット版をご送付いただき ありがとうございました。 今、雅矢が夜な夜な読んでいます。 現在の居住地ではSFを話題に出来る主婦仲間が多いので 『航路』も宣伝させていただきます。

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大森 望 re:『航路』 2002年09月30日(月)00時22分57秒

>>湯川様
 情報提供ありがとうございました。訳者も担当編集者も知らないうちにそんなページが出来ているとは……。
 ちなみにこのあと山田正紀氏のコメントが増えてます。金曜日に鮎川賞で会って、
「『航路』読んだよ」
「そうですか。じゃ、コメント書いてください。40字」
「いつまで?」
「明日」
 みたいな(笑)。とてもこんなことが頼める編集者はいないに違いない。ってオレが失礼なだけかも。

>>喜多様
 驚異的に長い小説を読んでいただいてありがとうございました。『航路』のリーダビリティはひとえに原文の――というかコニー・ウィリスのストーリーテリングの――力ですが、訳文のせいでリーダビリティがあんまり低下しないで済んだらしいことにはほっとしてたり。
 しかしミステリ読みの人とSF読みの人ではなんだか全然読み方が違うみたいですね。ミステリ読みの人の感想はけっこう新鮮。

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湯川光之 本気のソニー・マガジンズ 2002年09月29日(日)22時31分15秒


ソニー・マガジンズの『航路』宣伝頁が出来てましたのでご報告まで。
【続々と寄せられた反響の声】の顔触れも豪華。
中には「どうよ」と思うコメントも若干ありますが。

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喜多哲士 航路 2002年09月29日(日)20時41分05秒

突然失礼いたします。 「航路」パイロット版、今読み終わったところです。 興奮状態のまま書き込みますが、こう、なんというか、こうなるだろうと予測しつつ、その予測が当たったてても、腹が立つどころか拍手喝采してしまうというのは、コニー・ウィリスの「芸」のうまさですね。 「ドゥームズデイ・ブック」でもそうでしたが、きてきてきて、いいやまだまだ、はやくきてっ、まてまてもうすこし、ほらほらいくぞ、さあいけっ、ああいっちゃう的快感というのか。 それと、本人の掲示板で書くとヨイショしてるみたいですが、訳が読みやすい。私が海外ものを敬遠してしまうのは、実は訳文が読みにくくてしんどいことが多いからなんですが、これはそういうことがない。 いやどうも、ありがとうございました。

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大森 望 re:『航路』テレビドラマ風 2002年09月26日(木)03時21分54秒

 上沼恵美子のミセス・ネリスには爆笑。いただきましょう。ってなんに。しかしそうするとメイジーも当然関西弁の子役が必要な気が。
 メインキャストはオレ航路とはかなり違いますね。リチャードはむしろ金城武とか。
 いちばん違うのはミスター・ウォジャコフスキーの三國連太郎。三國連太郎が野球帽かぶりますか? ここは田中邦衛で決まりでしょう。ミセス・ダヴェンポートの三輪明宏はかなりリスキー。はずれるとたいへん。

 ところで『航路』宣伝サイト……じゃなくてコニー・ウィリス日本語サイトのほうは全然アクセスがのびないので(トップページの20分の1)、みなさまどんどん直リンク張っていただけると吉。

 ところで二転三転の発売日はまた変更になりました。10月8日です。今度こそほんとだと思います。

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冬樹蛉 『航路』テレビドラマ風 2002年09月26日(木)00時50分58秒

 『航路』を日本で連続ドラマにしたら……というネタを思いついて、
なーんとなく個人的好みも相当入れてキャスティングしたら、こんな
感じになっちゃいました。だいぶ私の趣味が入ってますが、丹波哲郎
は動かないところではないでしょうか。


ジョアンナ・ランダー     …… 仲間由紀恵
リチャード・ライト      …… 織田裕二
ヴィエル・ハワード      …… 小林聡美
メイジー・ネリス       …… 蓮沼茜
ミセス・ネリス        …… 上沼恵美子
モーリス・マンドレイク    …… 丹波哲郎
ミセス・ダヴェンポート    …… 美輪明宏
ブライアリー先生       …… 仲谷昇
キット・ガーディナー     …… 石田ゆり子
ティッシュ・ヴァンダーベック …… 宝生舞
グレッグ・メノッティ     …… 中山きんにくん
アミーリア・タナカ      …… 中山忍
ミスター・ウォジャコフスキー …… 三國連太郎
ミスター・セイジ       …… 佐野史郎
ミスター・ピアソル      …… 佐藤浩市
ミセス・トラウトハイム    …… 末成由美
グァーダループ        …… 洞口依子
ミセス・ウーラム       …… 八千草薫
カール・アスピノール     …… 赤井英和
アイリーン          …… 戸田恵子
バーバラ           …… 中嶋朋子
ニーナ            …… 矢沢心
ピーター・デイヴィス     …… 風野春樹(訳者友情出演)


 発売前に妙な先入観を与えてはいけないかもしれませんが、まあ、
これはひとまず忘れて、みなさんも読後にぜひ自分のキャスティング
をしてみてください。けっこうすらすら出てくると思います。それだ
けキャラがわかりやすく立ってるってことなんでしょう。

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大森 望 re:amazonおすすめの謎 2002年09月25日(水)18時05分46秒

『ハモンハモン』ってけっこう面白そう。amazonのおすすめにすべてしたがう読書マラソンとかDVD視聴マラソンは雑誌のネタになるかも。

 ところで『航路』のランキングをチェックするためにリロードしてると、amazonのおすすめは、わたしも『ふりだしに戻る』『ゲイルズバーグ』『ライトニング』になり、そこに『リプレイ』が加わったところまでは順当なんだけど、もう一冊がサンドラ・ブラウン『激情の沼から』(新潮文庫)。謎すぎる。一冊だけ関係ないのを混ぜて読書の幅を広げようという作戦?

 ちなみに『航路』のランキングは、大森が見た範囲では最高92位。いまは100位台をうろうろしてますが、急激に下がったりするので油断できない。いや、油断してなくてもいっしょなんだけど。

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田波正 amazonおすすめの謎 2002年09月23日(月)09時43分19秒

わたしの知人の報告によると、
amazon.co.jpで「伊賀忍法帖」のDVDを買うと、
「ハモンハモン」という映画のDVDをすすめられるそうですよ。
「ハモンハモン」を買ってる人は「柳生一族の陰謀」に「戦国自衛隊」も買ってるらしい。
わたしはこの映画見ていないので、何つながりでそうなるのか、わかりませんが。

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大森 望 【お知らせ】コニー・ウィリス・ファンサイト開設 2002年09月23日(月)06時18分54秒

 というか、現状は『航路』営業サイトですが(笑)。
 amazonの売り上げランキング重要ってことらしいので、みなさまひとつよろしく。ほんとは予約特典をつけたくて交渉したんですが、amazonはそういうのダメみたいね。そのかわり上下巻どっちかだけでも送料は無料(ってそれは値段のせいですが)。買って持って帰るのは重いので体力がない人にもおすすめです。

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大森 望 ローマ、スタディオ・オリンピコでついに敗れる。 2002年09月23日(月)05時26分29秒

 しかも相手はモデナ。いやまさかこんなことが。
 10人になってからの猛攻はW杯のポルトガルみたいだったな。

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大森 望 中村俊輔セリエA初ゴール 2002年09月23日(月)00時08分36秒

 まさかいきなりPK蹴らせてもらうとは。まあしかし公平に見てもいちばんうまいのは中村だから当然か。

>>田波正さま
 おお、いつの間にそんなことに。来月だと思って安心してたのに、あわててウィリス・ファンサイトをつくらなきゃ。

 それにしてもamazonのそのお薦めは、「タイムトラベルSF」というタグが存在するってことかな。『夏への扉』はともかく、あとの3冊はなかなかいいセレクションかも。

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田波正 追伸。 2002年09月22日(日)18時21分59秒

『航路』を予約注文したら、いきなりamazon.co.jpから

『夏への扉』『ゲイルズバーグの春を愛す』『ライトニング』『ふりだしに戻る』

をおすすめされるようになりました(謎)。
あ、そうか。『ドゥームズデイ・ブック』をチェックしたからですね。

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田波正 『航路』予約開始 2002年09月22日(日)13時21分56秒

amazon.co.jpでもう『航路の』予約受付が始まってますね。
前評判が高いから、前倒ししたのかな。
さっそく注文して、楽しみにしております。

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大森 望 re:『航路』100冊 2002年09月22日(日)00時14分40秒

>>エアガイツ様

 どうもたいへんありがとうございました。注文数がちゃんとはけるといいんですが、それだけが心配。
 HPの書評も拝見しました。ウェブ書評第一号かも。パイロット版の書影が載ってるのも、ウェブ上ではたぶんエアガイツさんのところだけですね。気に入っていただけてなによりです。書店員の人の感想を聞いたのははじめてなのでたいへん心強い感じ。書店で置いてもらえないと話になりませんからねえ。
 というわけで書店営業の重要性を痛感し、近所の行きつけの書店にパイロット版を持っていって営業してきました(笑)。
 今後とも末永くよろしくお願いします。
 

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大森 望 re:恩田さんの連載 2002年09月21日(土)23時57分13秒

>>高橋ま様
 すいません、連載終了にオールのやつを数え忘れてました。『不連続の世界』は連載――と呼ぶのは厳しいのでは。
 恩田さんご本人は「連載はきついのでいやだ」と言ってましたが、大多数の作家からは「ぜいたく言うな」と罵られそうな気が。現実問題、いま書き下ろしで恩田さんの原稿はとてもとれないので、本を出したいと思ったら連載を頼むしかない、連載なら一回の枚数がそう多くないので(それにネタはまだいっぱいあるので)つい引き受けてしまう、結果的に大量の連載をすることになってしまう――という構造なのでは。
 しかし恩田さんの近況より高橋ま氏の近況が気になる人も多いようですが。

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エアガイツ 「航路」100冊 2002年09月21日(土)21時24分47秒

初めて書き込みします。
いつも拝見しております。よろしくお願いします。
「航路」100冊注文の関西書店員は多分僕のことだと思います。
いや、ホントは文庫担当なんですが、強引に文芸書担当を説得しました。
営業さんにパイロット版を頂いて面白さに大感動したもので。
「ドゥームズデイ・ブック」も抑えておかねばいけませんね。
しょうもないHPですが、よろしければ遊びに来て下さい。
ではでは。

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高橋ま 恩田さんの連載 2002年09月20日(金)21時23分06秒

恩田さんの連載終了したものは、ロミオとロミオは永遠に(SFマガジン、
早川書房)、蒲公英草紙 常野物語2(青春と読書、集英社)、ねじの回転
(小説すばる、集英社)、禁じられた楽園(問題小説、徳間書店)、まひる
の月を追いかけて(オール読物、文藝春秋)の5つ。

連載中もしくは未了は、ネクロポリス(小説TRIPPER、朝日新聞社)、訪問者
(小説NON、祥伝社)、Q&A(星星峡、幻冬舎)、黄昏の百合の骨(メ
フィスト、講談社)、クレオパトラの夢(小説推理、双葉社)、ブリキの卵
(河北新報、河北新報社)、ユージニア(カドカワミステリ、角川書店)、
不連続の世界(ポンツーン、幻冬舎)の8つあります。
ただし、不連続は2年前に第1話が載ったきりですね。ブリキも地方紙に月一
連載なんてあまり聞いたことがないですね。

こうしてみると、恩田さんは書き下ろしより連載すること自体がお好きなの
ではないでしょうか。連載したからって、本にまとめるのはあまり好きでは
ないのか(笑)。

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諸星友郎 更新しないのも芸風(うそ)(Re:ワープ日記) 2002年09月20日(金)01時05分33秒

>ご無沙汰す。こういうネタにはきっと反応があるだろうと思ったらやはり(笑)。

 ぐあ、見破られておりましたか……。Web日記の歴史、に関しては数年前に「あぁ、もぉ、自分の記憶も自分の持ってるファイルも、ぜんぜん役に立たない」ということを思い知って、あんまり語る気が失せているというか……語る気が失せているといいながら、ついつい語りたくなってしまうというか。

> しかしワープ日記の最終更新っていつよ。

 2002年2月19日、ですね。……半年以上放置してるのか。

 突っ込まれないように更新してから書き込もうかとも思ったのですが、あまりにもわざとらしいので、やめてみました。
 葛西日記にも「現役でいちばん古いのはオレ? いや、あんまり現役じゃないけど(笑)。」とあるので「あんまり現役じゃない」状態で書き込むのが礼儀かな、と思いまして(しらじらしい口調で)

>WarpBoard02が「まだ生きている日記」ってことでしょうか。

 いまのところ、ワープボード(02)が「まだ生きている日記」です。

 思いつきをメモる程度でも更新できる体勢(スタイル/システム)じゃないと、とても続けられないというのが正直なところでして。

 ただ、CGI掲示板は長い記事を書くのにあんまり向いてない気がするのと、いざというときは「男は黙ってhtml手書き」という道を閉ざしたくないので、全面的にボードに日記を移転させられないのです。はい。(自分でCGI作る技量でもあれば、移転するのも平気かもしれませんけれども)

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大森 望 re: ワープ日記 2002年09月20日(金)00時05分22秒

>>諸星様
 ご無沙汰す。こういうネタにはきっと反応があるだろうと思ったらやはり(笑)。
 しかしワープ日記の最終更新っていつよ。
WarpBoard02が「まだ生きている日記」ってことでしょうか。それともどこかべつのurlで更新されてる?

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諸星友郎 日記リンクスとは懐かしい…… 2002年09月19日(木)23時07分28秒

ご無沙汰しております、諸星友郎です。

西葛西日記
>【9月14日(土)】
>ちょこちょこチェックしてみたところ、日記リンクスの最初の13日記のうち、
>いまも日記の更新が続いているサイトはほぼない模様(urlを移転してサイト
>が存続してるところはいくつかある)。

 懐かしいですねぇ。
 私の「新・駄文でポン!」は9番目ですが、すでに存在しませんねぇ。
 というか、「駄文でポン!」の下書きの日記だった「暗黒日誌」が独立して、そっちがメインの日記になってしまったりした事情もあったようななかったような。
 暗黒日誌がその後、ワープ日記になったわけなんですが、こっちはこっちで、144番に別にエントリーがあるので、別の日記ということになるでしょうねぇ。(しかも、リンク切れてるし)。ワープ日記自体は、まだ生きているんですけども。

 てなわけで、懐かしくて、つらつら書いてみました。

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天地ライン ありがとうございます♪ 2002年09月12日(木)14時19分49秒

○大森さま

 Wカップは、サッカーのワールドカップでございます。大森さまのサッカー期間中の日記は、まじで読みごたえがありましたっ。今はたくさんの日本人が世界でプレーしてますので、同じ日本人として誇りです。
 で、ホラサスペンス大賞のコメント、ありがとうございます。来年も今年以上の作品を仕上げてリベンジする所存ですので、私の作品が大森さまのお目にかかることがあることを祈りつつ、原稿に向かうことにしますね。
 あ、でも掲示板はたまに書き込みいたしますので、みなさまお手柔らかにおねがいしま〜〜す(ぺこり)

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大森 望 『航路』発売は10月10日 2002年09月12日(木)01時50分24秒

 なんか新聞広告の関係でさらに若干延びました。余裕があるのはいいんだけど、なんか息切れしそうな気も。
『マイノリティ・リポート』、今日見てきましたが、わりといいんじゃないでしょうか。スピルバーグのSFになにも期待してないかもしれないが。しかしそのあとにワーナーで見た『スパイダー パニック!』のB級ぶりのほうが印象強かったり(笑)。

>>天地ラインさま
 そのW杯はたぶんなにかまちがったW杯だと思いますがまあいいか。
 どこかで見たお名前だと思ったんですが、そうか、ホラーサスペンス大賞ですか。応募作は拝読しました。今回は全体にかなりレベルが高かったので、一次に残っただけでも自信を持っていいのでは。って、細かいところまで覚えてなくてすみません。

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天地ライン はじめて書き込みしま〜〜す 2002年09月06日(金)17時18分57秒

 天地ラインと申します。以前から大森氏の日記とかをわくわくしながら読んでました。いつ書き込もうかとしているうちに時間ばかりたってしまって(笑)特に大森さんのWカップ日記がすごく面白かった。テレビでみたり新聞で見るよりも楽しかったです♪
 私も作家を夢見て日夜原稿と向かい合ったり戦っていたりしますけど、まだまだ日記にも勝てない文章ばかり(汗)。おかげで、ホラーサスペンス大賞も落選したし(悔)
 掲示板や日記を読みながら、文章力をつけるべくがんばりまっす♪
 これからちょくちょく書き込んだりしますので、ごひいき、アンドお相手してくださいませませ♪

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山本ニューミュージック d--p様 2002年09月06日(金)03時33分01秒

来月即参上致します!楽しみ。

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ちみも ありがとうございます。 2002年09月05日(木)23時53分51秒

d--pさん、URLありがとうございます。即ブックマークしました。
プレシオサウルスのように首を長くしてオープンをお待ちして
おります。もし万が一このとかげ頭にも何かお手伝いできることが
あれば、おっしゃってくださいね。ドライコ!

コニー・ウィルス、新刊楽しみです。ではでは。

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d--p ウォマックのサイト 2002年09月05日(木)23時05分11秒

ちみも様、はじめまして。
ウォマックのサイトは、10月1日から下のURL欄のアドレスに載せる予定です。
出来てもいないサイトの宣伝とは恥知らずにも程がありますが、はっきり締め切りを宣言しておかないといつまでも完成しなさそうなので…(どうもすいません)
ひと月も先というのも非常に何ですが、9月中旬では早すぎる、と、まあそんな感じでございます。どうぞ見てやってください。

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大森 望 ヒューゴー賞速報 2002年09月02日(月)16時05分19秒

 長編部門はニール・ゲイマンのAmerican Gods でした。
 コニー・ウィリスのPassageは届かず。やっぱりSF性(というか虚構性)の低さが響いたのか。小説の出来は『ドゥームズデイ・ブック』より上だと思うんだけど。
 詳細はhttp://www.sfwa.org/News/02hugowin.htm参照。

 ということで、ローカス賞受賞作(笑)『航路』は1カ月後に刊行です。なんとか盛り上げていきたいのでひとつよろしく。

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山本ニューミュージック 2002年08月30日(金)22時58分45秒

あ、久々に掲示板が動いた。ちょっと嬉しい。 ウォマックの話題が細々とでもあっても続いていれば、いつかは邦訳がなされる可能性もないわけじゃない。と信じて。

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山本ニューミュージック 2002年08月30日(金)22時58分10秒

あ、久々に掲示板が動いた。ちょっと嬉しい。
ウォマックの話題が細々とでもあっても続いていれば、いつかは邦訳がなされる可能性もないわけじゃない。と信じて。

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ちみも ウォマックファンです。 2002年08月30日(金)15時10分10秒

いつもROMROM大作戦させていただいているのですが、
ウォマック好きということで書き込みさせてくださいまし。

『テラプレーン』はニコラ・テスラが出てくるということもあり
大好きな作品です。泣けますですし。

山本ニューミュージックさん:
>ウォマックの邦訳を待ち望んでいる人ってどれぐらいいるのかしら?
>まず俺から一票。全六冊の分も含めてプラス三票。

一票追加させて下さい〜。

d--pさん:
>いまウォマックのサイトを作っているところなので、とても気になります。

サイト完成のあかつきには、URLをぜひぜひお教えくださいませ。

以上、いきなりお邪魔いたしまして失礼。

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木津尚子 Full Fathom Five(Re: References) 2002年08月07日(水)12時58分32秒

ご教示ありがとうございます。>d--pさま

ブラックヒューマーな近未来ディストピアですか。
WEGのParanoia(Tabletop RPG ですが、
惹句が The World of Orwell, Huskley and Marx Brothers [綴りいい加減、
英語は苦手だ]という、実に愚かしいセッティングが素敵です)や
Gilliam の Brasil のノリを期待する分類ですね。ますますそそられますね。
あとで B&N をチェックしてみます(amazon.com不買運動参加中)。

ということなら、やはり Full Fathom Five は Shakespeare, _The Tempest_
からの引用くさいですね。ディストピアものの古典、ハスクリイの『すばらしき
新世界』(_A Brave New World_)へのさりげないオマージュでもある可能性が
出てきますので(これも『テンペスト』から取られた句)。

翻訳ですが、あの Finnegans Wake でさえ完訳が出たのですから
そのうち出るだろう、てか柳瀬さんやらないかな、てのは甘いですかね。
あの方、米現代文学研究会だか学会だかにもかかわっておられたはずなので
この作品もすでにご存知でしょうし。

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d--p ヒーザーン 2002年08月07日(水)00時45分43秒

>ジャン・ルーク様
そんな素敵な企画が過去にあったんですね。
個人的には、「ヒーザーン」は「テラプレーン」以上の傑作だと思っています。
蔵書のなかから無事見つかるといいのですが。
6部作中でも最も重要な、テーマ上の核をなす作品なんじゃないかとも思うんですが、これは単に未訳の残り4作については拙い英語力のせいできちんと読み切れていないだけなのかも知れません。
(状況の悲惨さゆえに)最小限のものしか見ず、語ろうとしない主人公の視線ごしに、全てがひそかに、水面下で進行していくような感覚がたまらないのですが、これまた難解と(または単に「地味」と…)言われるのも無理はないかなあとは思います。

>木津尚子様
なんだかトンチンカンな事を書いてしまいました。「ashes to ashes」は旧約聖書からでしたね。
「Full Fathom Five」の検索結果で初めて「頭韻」という言葉を知った、無学な私です。

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ジャン・ルーク テラプレーン 2002年08月04日(日)19時12分07秒

自分が「テラプレーン」を読んだのは、確か東海地区の”地方コン”
(日本SF大会じゃないとき)で、
「テラプレーン読書会」企画があったからでした。
でも、難解さも手伝って企画開始時点で読了できずじまい。
企画自体、参加した数名のだれもが未読了もしくは感想
「難解すぎて面白くない」というものでした。
それでも企画が終わってしまっても、遅読ながら読み終えたのは、
やはり魅力的な作品だったからと思います。
今、我が家の「紙くず」を整理して、「ヒーザーン」を探しています。
確かそのとき一緒に買った気がするのに、「テラプレーン」しか
でてきません。
えてして、そういうものなんでしょうが。

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d--p re:References 2002年08月04日(日)17時31分02秒

ジャック・ウォマックは2冊の邦訳が出ています。
「ヒーザーン」と「テラプレーン」、どちらもハヤカワSF文庫です。
作者には長編が7作あり(→リスト)、そのうちの6冊は一種の未来史を構成しているんですが、翻訳されたのはこのシリーズの2作目と3作目です。翻訳者が亡くなってしまったことが大きいのかも知れませんが、以後10年あまり、残りの作品の邦訳は出ていません。上記の2冊もいまは絶版です。

代表作である6部作の通称「ドライコ・シリーズ」は、極端にディストピア的な近未来の世界を、ときに黒いユーモアを漂わせて描いた作品ですが、登場人物が「未来の英語」を喋るのがひとつの大きな特徴です。名詞や形容詞が動詞として使われたり、おかしな造語が多用されたり、ネイティブですらとまどう「ありえない英語」が地の文でも(すべて一人称で書かれているので)徹底されています。難解であると同時に詩的でもあり、アフォリズムや比喩がたくさんちりばめられた、凝りに凝った文体です。一読の価値はあると思います。

ボウイからとったと思われる箇所は、個人的にはほかにはちょっと思いあたりません。たしかにシェイクスピアから直接に持ってきたものかも知れませんね。この科白を言った人物が、ちょうど古典文学の個人授業を受けているという記述もありますので。
その手の引用がきっとあちこちにあるんだろうとは思うんですが、そのあたりの素養がまるでないので、注釈はぜひとも欲しいところです。(というか、どうか翻訳を出していただけたらと…)

それはそうと、「full fathom five」で検索してみたら、Stone Rosesの曲名が出てきて、笑ってしまいました。そういえばこんなジャケだったなあ、と。

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木津尚子 References 2002年08月03日(土)17時28分53秒

通りすがりの一読者です。
なんかJoyceを彷彿とさせる絢爛たる難解さ、ひとつひとつの単語がモナドの
ように衝突し行き違う爽快な快楽があるテキストですね。一行だけの引用で
ここまで楽しめる作家と久々に出合いました。
たしかに訳が欲しい(オリジナルが一番だろうが、この快楽を知らないってのは
人生の何分の一かをどぶに捨てるようなものかもしれず)
が、しかし注釈も欲しいなあ。いっそのこと『バラの名前』のように、注釈だけ
先行発売してみるとか。と一読者なので気楽に願望を語る。

Ashes to Ashes to Ashes は直接にはディヴィッド・ボウイかもしれませんが
この曲自体もともと成句(旧約聖書、創世記、欽定訳ほか)から取られたもので
すから、むしろ両方を意識させる仕掛けなのではないでしょうか。創生と死。
他の部分でボウイへの連想が働く語はありますか?
あとこのフレーズ自体(A to A to A)
もなんかどっかで聞き覚えが……(非文なので単純に比較は出来ませんが、
直感的に"A rose is a rose is a rose is a rose"を思い浮かべました。
が、もっと直接にこのschime自体を見たことがあるような気がするのです)。

重箱ですが、ここで取り上げられた句と、
その後の Full Fathom Five との対照がまた素敵ですね。
灰は灰に灰に。微小なものへといったん収縮した意識が、次の句で
無限に運動し流動する世界へと開かれる。その律動。再び拡散する意識。
ここは、Shakespeare を意識させつつ、Pollockの同名の作品をもやはり
意識していると見るほうがよいんでしょうかね。読みこみすぎかな。

浅学なものでこの作家自体をはじめてここで知りましたが、邦訳作品は
どれだけあるのでしょうか?

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