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『特盛! SF翻訳講座――翻訳のウラ技、業界のウラ話』(研究社/1800円+税)amazon | bk1 | 7&Y
シオドア・スタージョン『輝く断片』amazon | bk1 | 7&Yicon このミス4位,週刊文春3位,闘うベストテン2位,ベストSF9位
●ベストSF6位:『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』 amazon | bk1 | 7&Y 『乱闘編 1975〜1995』 amazon | bk1 | 7&Yicon



【4月10日〜14日 検査入院】


 ステント手術後6ヵ月の心臓カテーテル造影検査のため、ふたたび入院。今回は手首からカテーテルを入れたので超らくちん。動けなかったのはアンギオ室にいた間だけだった。ステントを入れた箇所は冠状動脈が非常にきれいに広がってて、ベストの仕上がりだったらしい。前の検査で見つかってた細い箇所は細いままなんですが、放っておいてもとくに問題はないらしい。
 今回は、楽天で買ったリージョン・フリー(初期設定)、マクロヴィジョン・フリー対応の携帯DVDプレーヤー、SCITECのDVP-400Cを病室に持ち込み、我孫子さんから買った『24』DVDトリロジーボックスを視聴。見はじめたらつい止まらなくなり、本は10冊ぐらいしか読めなかった。



【4月9日 ABCメッタ斬り!トーク】


 昼間は保育園ママたちが新左近川バーベキュー広場で宴会だというので、現地まで付き添い。すばらしい好天。
 通り道の新長島川親水公園は、オオシマザクラが満開。土手には水仙はじめ花が咲き乱れている。咲いてるねえと言うと、トキオいわく、
「今日は春だからね!」
 思わず爆笑すると、しまったという顔になり、
「……あれ? 今日……秋だった?」
「いや、春だよ」
「ほら、トキオの言うとおりじゃん!」
 キリカさんは水路に花を投げ込んで流す仕事に夢中。春のうららの左近川でした。

 妻子と別れて臨海病院の前からバスに乗って西葛西駅。青山ブックセンター本店カルチャーサロンの「文学賞メッタ斬り!リターンズ〜文学賞に異変!?」公開トークショー。島田雅彦のモテモテぶりに呆れる。正統派イケメンの時代は終わったかと思ったけど、まだまだ貴公子の神通力は衰えず。そのパワーはリリー・フランキー以上かも。二次会でも三次会でも、参加者の女性は(そして参加者の97パーセントは女性だった)島田雅彦がいかに素敵かという話しかしてませんでした。ちぇ。もてる男はいくつになっても何をしてももてるってことか。



【4月6日 中公120周年パーティ】


 大手町パレスホテルで参加者1600人の大宴会。総予算3000万円ぐらいでしょうか。もっとか。すごいなあ。
 ナベツネの挨拶から見たんだけど、もう爆笑。角川春樹、故・徳間康快をしのぐ面白さだった。
「中公が出す本は良書ばかりです。倉庫には良書の在庫が山をなしております」
「(中公の入社試験を受けて最終面接で落ち)落としてもらって本当によかった。あのとき入社していたら食いはぐれておったわけですが、試験に落ちたおかげで食うに困らん生活をしておるわけです」
「(中公を買うことになって)100億は安い。当時、読売の出版事業部は年間10億の赤字を出しておりまして、それを考えたらその程度の出費はnegligibleだと」
 などなど。ナベツネのちょっとしたコメントを記者がいちいち記事にしたがるわけがよくわかった。 スピーチのあとは読売交響楽団の生演奏。 お土産には同楽団のCDとジャイアンツ柄の図書カード3000円分などが入った袋。景気がいいなあと思ったら、このところ中公は連続して黒字を計上しているんだそうで、ナベツネいわく、
「良書しか出してないのにどうしてこんなに儲かるのか、わたしにはさっぱりわかりませんが、儲かっております」
 パーティ参加者の知り合い率は2パーセントぐらい。宮尾登美子先生にご挨拶してノルマは終了。あとは枡野浩一さん、西上心太さん、今野敏さん、新井素子さん夫妻など。筒井さんや永井豪さんも来てましたが、男性の97パーセントは背広にネクタイだったな。あまりに場違いなので早々に退散。

 北島明弘『世界SF映画全史』を頂く。本文1000ページ、索引100ページのものすごい本。なにしろとりあげた作品の数が無慮5800本。未公開作品から、日本のTV特撮やアニメまで拾ってます。通読するっていうより、事典がわりに使う本かも。データ量は『超SF映画』以上。よくまあこんな本が出たなあ。



【4月5日 第三回本屋大賞】


 会場が明治記念館に移り、TVカメラの取材クルーも詰めかけて、本屋大賞も出世したなあと感慨深い。5年後には武道館でしょうか。
 会場が広くなっても人口密度は変わらず、たいへんな賑わい。リリー・フランキーのスピーチは(ちょっと黒いネタで笑いを採るところも含めて)さすがにソツがなく、ま、『東京タワー』が受賞作でよかったんじゃないの。という気分に。
 わたしは、浜本さんや白川さんや高頭さんや小海さんがステージでしゃべってるあいだじゅう、「心の声」をアテレコしてました。うるさくてすみません。ちなみに受賞作を聞いてのコメントはこちら
 しかし会場での最大の話題はビブロス破産申請。最大手がつぶれて大激震らしい。碧天舎のすぐあとだしねえ。

 会場には恩田陸が来てたので、『チョコレートコスモス』がいかにものすごい傑作であり、なおかつ、いかにすばらしい『ガラスの仮面』論であるかを力説する。著者に向かってこんなに思いきり著書を絶賛したのはひさしぶりです。『ガラスの仮面』を知らずに『チョコレートコスモス』を読んだ北上次郎がうらやましい。まあ、ここ数年の『ガラスの仮面』と比べたら『チョコレートコスモス』のほうがよっぽど『ガラスの仮面』。要するに、桜小路くんは要らなくて、紫のバラの人も省略可、ひたすら舞台をやってればいいんだってことですよ。キモはオーディション。

 終了後はスタッフ打ち上げに潜入して信濃町のジョン万次郎。やっと本屋大賞らしい雰囲気に。話を聞いてると、女子スタッフはみんな、リリー・フランキーの実物にメロメロになっていた事実が発覚。もはや椎名誠の時代じゃないってことか。リリーばかりがなぜもてる? ていうかこのうえ本屋大賞まであげなくても……。



【4月4日 兄弟ランチ】


 さる事情からしばらく四谷三丁目に常駐していたところ、すぐそばの会社に勤めている実弟から電話がかかってきたので近くの「のらや」で昼メシ。ひさしぶりに会った兄弟の主な話題は『オタク女子研究』。どんな兄弟ですかそれは。 と思うが、弟はJUNEの国の人なのでしかたがない。なにしろお土産にくれたのが「恋JUNE」だもんな。小説JUNEが復刊したのかと思ったら(版型とロゴは同じ)、とりあえずは単発のムックらしい。DVD付録付きはBL誌初だとか。それはいいんだけど、表2に入ってたカラーの1頁イラストが「アナルニア国物語」ですよ。締まるアナルで白の魔王と闘うらしい。アスマランとかスザーメンとかエドマランドとか出てきます。ホモの世界は深い。
 ちなみにJUNEの創刊編集長だった佐川俊彦氏はサン出版(というかマガジン・マガジン)を辞めてフリーになったそうです。ずいぶん長く会ってないなあ、そう言えば。



【4月2日 立川オリオン書房トーク】


 昨日は宇喜田さくら公園で保育園パパママ系花見のあと、隅田川屋形船でミステリ系花見宴会。今日は住吉の猿江恩賜公園で元早川書房組とご近所花見と短期集中。天気はぎりぎりセーフ。初めて行った猿江恩賜公園はだだっ広くて人が少なくてなかなか穴場だと思った。都営新宿線沿線は人口密度が低いのか?

 2時前に公園を出て住吉→九段下→中野→立川ルートでオリオン書房ノルテ店。今日は「『翻訳家のおわらない物語』リターンズ!」。お題のひとつが翻訳対決で、ネタは「若草物語」。原文はこことかにあります。大森訳は1時間ででっちあげた関西弁バージョン。ちなみにこんなの。
「プレゼントのないクリスマスやなんて、そんなんクリスマスちゃうやん」床の敷物の上に寝そべったお嬢が仏頂面で言いました。
「みんなびんぼが悪いんや」恵は自分の古ぼけた服を見下ろしてためいきをつきました。
「不公平やと思うわ、きれいなもんぎょうさんもってる子がおるのに、ほかの子は一個ももってへんやなんて」詠美がくすんと鼻をすすりました。
「うちにはお父さまがおって、お母さまがおって、きょうだい四人がおるやないの」しあわせそうにこう言うたのが絵里です。
 暖炉の火に照らされた四人の顔は、絵里の元気な言葉でぱっと明るうなりましたが、すぐにまた暗なってしもたのは、お嬢がさびしそうにこう言うたからです。
「父ちゃんはいてへんし、まだ当分は帰ってこんやろ」
 お嬢は『もしかしたら永遠に帰ってこんかも』とまでは言いませんでしたが、四人とも、ずっと遠くの戦場にいるお父さんのことを考えながら、心の中でその言葉をつけ加えました。
 姉妹はしばらく黙っておりましたが、やがて恵が口を開き、さっきとはうってかわった口調でこう言いました。
「みんなかてわかってるやろ。今年のクリスマスはプレゼントなしにしよてお母はんが言わはったんは、だれにとってもこの冬はつらい冬になるやろし、兵隊さんが戦争でしんどい思いをしてるこんなときに、楽しいことにお金つこたりしたらあかんて、そう思わはったからやんか。そらうちらにたいしたことはできひんけど、好きなことをちょっと我慢するぐらいやったらできるし、喜んで我慢せなあかん。せやけどなあ、うちには無理みたいや」
 恵は首を振りながら、クリスマスプレゼントに欲しかったいろんなきれいなもんのことを思うて悲しい気持ちになりました。

 岸本訳は平成東京バージョン。無断で引用すると――

「つーかさあ、クリスマスにプレゼントなしってどうよ?」カーペットに寝っ転がってジョーが言った。
「お金がないって、ほんと最低よね」何シーズンも前に買った自分の服を見おろして、メグもため息をついた。
「かわいいモノをいっぱい買ってもらえる子とそうじゃない子がいるのって、ぜったい不公平だと思う」末っ子のエイミーも鼻息を荒くした。
「でも、あたしたちにはパパもママもちゃんといるし、お互いだっているじゃない」すこし離れたところにいたベスが、おっとりと言った。
このポジティブな意見に、煖炉の火に照らされた四つの若い顔が一瞬明るくなったが、ジョーの悲しげな一言で、またしゅんと沈みこんだ。
「でも現にパパいないし、いつ帰ってくるかもわかんないじゃん」。ジョーは“もう帰ってこないかもしれない”とは言わなかったけれども、めいめいが遠い戦地にいる父親のことを想って、胸の中でそっとその言葉をつけ足した。
 それからしばらくは誰もしゃべらなかったが、やがてメグが気分を変えて言った。
「まあほらさ、いまは国じゅうが大変な時だし、兵隊さんが苦労しているときにあたしたちがチャラチャラしたことにお金使うのはよくないし、それでママも今年はプレゼントなしって決めたわけよね? だからあたしたちも、たいして何ができるってわけじゃないけど、それなりにできる我慢はするべきだし、そのことで文句言っちゃいけないのよね。あー、でもやっぱり無理」メグはぶんぶん頭を振って、欲しかったあれやこれやの素敵なものたちを未練たっぷりに思い浮かべた。

 どっちも原文にはわりと忠実。単語を落としたり言葉を増やしたりはほとんどしてません。翻訳でこのぐらいは変わってくるということで。



【3月31日 特盛!課外授業@池袋の夜は更けて】


 青山南氏をゲストに迎えてのトークショーはおおむね予定どおりに進行。予備知識がない人にはネタがやや詰め込みすぎだったかも。青山さんがいきなり大学教授モードになって『特盛!』をテキストに授業をはじめたのと、野口幸夫氏の人生に激しく反応したのが予想外。『ホテル・カリフォルニア以後』が学生時代のバイブルだった大森としては、「青山南の凄さ」についてもっと熱く語りたかったのに、青山さんがその隙を与えてくれませんでした。
 しかし青山さんの真価が発揮されたのは三次会の鳥良。二次会の終わり頃に合流した若島正氏を交え、おそろしくてとてもここには書けないような人物評とゴシップが午前4時まで飛び交う事態に。青山さん若島さんと一緒に飲む機会なんてめったにないのでたいそう刺激的かつスリリングでした。自分がいかに温厚な性格であるかを実感した夜。しかし、英文業界のいろんな人をいちばん罵倒しまくってたのは研究社のK氏だったり。酒乱の噂はほんとだったのか(笑)。



【3月27日 増刷決定!】


 版元在庫が切れて書店の注文に対応できないとかで『特盛! SF翻訳講座』の増刷が急遽決定。買ってくださったみなさん、売ってくださったみなさん、ウェブで言及してくださったみなさん、ありがとうございました。bk1オマケがほしい人はメールしていただければ対応します。
 増刷記念に感想リンク集を作成。『特盛!』ページに追加しました。



【3月26日 くら寿司@一之江】


 田中啓文ほか子連れ外食派が熱烈推奨するくら寿司を体験するためタクシーで一之江まで。結婚記念日なので奮発だ!
 しかしタクシー代以上に食べるのは至難のわざでした。
 前述のとおり、5皿に1回ミニゲーム(というか抽選)があって、あたるとガチャガチャのカプセルみたいなのが出てくる仕組みなんだけど、予想通りトキオは大興奮。皿の枚数を消化するためだけにあれを食えこれを食べろと薦めまくり。30枚で6回抽選して1回あたり。この景品を「めっちゃええもんがあたる」と言える田中さんのことを心底うらやましいと思いました。

 その後の柴田よしきさん情報によると、当たりのカプセルの中に、景品じゃなくて、紙が入っていることがあって、それをレジに持っていくと、竹炭のお風呂タオルとか、マグカップとか、健康茶とかがもらえたりするらしい。ふうん。一之江には紙入りカプセルなんかなかったと思ったけどなあ。
 
 さらに、自宅マンションのとなりにくら寿司がオープンした三村美衣の話でも、紙入りはないらしい。あたり確率には日によって大きな差があるので(開店直後はほとんどつねに当たった)台ごとに設定が違うんじゃないか……という話をしていたら、スズキトモユ夫妻は6回まわしてかすりもしなかったそうで、「とにかく南千住店は出ません」と泣いていた。
 トキオはもっとたくさん当たりたかったよとぶつぶつ言ってたので、
「1回も当たらない人だっているんだから、1コしか当たらなかったといって怒っちゃいけないよ」
 とさとしたんだけど、それがウソじゃなかったことがわかってほんとによかった。世の中にはほんとに運の悪い人がいるんですね。



【3月20日 書庫片付け小作戦】


 ちはら嬢@プロ書店員がストレス解消のため、休みの日にうちの書庫を片付けてくれるというので作戦開始。手伝いに来てくれたLNFの若いスタッフふたりを指揮して猛烈な速度で働かせるちはら嬢。さすがバイト扱いに慣れている人は違うね。
 床にあふれた本を棚に詰めるのが最大の目的だったんですが、ちはら嬢は床の本と棚のスペースを見るなり、「入りませんね。これは。ノベルズを段ボールに詰めましょう」と宣言。「この棚のノベルズはいったん全部出して会社別に分けます」と、たちまち講談社ノベルズが箱に詰まってゆくのだった。

 仕分け作業を担当したのは二人の若者だが、その会話を横で聞いているとめちゃくちゃおかしい。
「槍投げある?」「あったあった。もう一冊」「ヒツジは?」「ヒツジはこっちの山」「けっこう少ないな」「犬がいちばん多いだろ」
 槍投げは幻冬舎ノベルス、犬は講談社ノベルスとして、ヒツジはなんだろう……と首をひねっていたが、「コレですよ」と差し出されたのを見たらトクマノベルスだった。それ、ヒツジじゃなくてオニなんですけど……。たしかに鬼には見えないか。

 すばらしい勢いで本が格納され、実働4時間弱で、床に積み上がった本の山はきれいに消え去りました。書棚の本は全然整理されてないけど、まあそれはおいおい。



【3月18日 白飯4杯】



 表参道の松浦亭で開かれた倉阪鬼一郎・桐生未月結婚披露パーティ(二次会)に出席。参加者は、幻想文学系・ホラー系・ミステリ系・SF系・ネット系に各社編集者が入り乱れ、たいへん不思議な感じ。西崎憲氏の結婚パーティに(日にちを間違えて)行き損ねたので、同世代以上の人の結婚パーティに出るのは10数年ぶりかも。披露宴から出席していた東えりかさんは麗しい着物姿でした。だれかと思った。
 新郎の弟ブラニーが暴露したところによると、新郎新婦が昨年の日本SF大会で初めて出会った一カ月後、ブラニーのもとに兄から「結婚のやりかたを教えてほしい」とのメールが届いたらしい。即断即決の男。しかし結婚でこんなにあからさまにしあわせそうになる人も珍しい。めでたい。

 二次会終了後、関西勢+ミステリ勢10人ぐらいでぞろぞろ歩き、「大かまど飯寅福」。飯をウリにしてる居酒屋なんだけど、田中啓文がのっけから握り飯を頼んだのが引き金になり、ご飯注文の嵐。杉江松恋は4杯、笹川吉晴は3杯食ってました。白飯は260円なんで、杉江松恋はひとりで1000円分ごはんだけ食べた計算。売り物にしてるだけあって、たしかに爆発的にうまかったけどなあ。毎日ここで定食を食べたい。太りそう。

 スシローの話から「くら寿司」の話になり、田中啓文が「くら寿司」のゲーム(5皿食べるとプレイ権が与えられるらしい)の景品のすばらしさについて力説。何度も、「ほんまにええもんが当たるんですわ。そやから必死になってまた要らん寿司を食べてね」などと言うので、
「だから具体的にどんな景品が当たるの? 例えば?」とたずねたところ、
「そらもうねえ、ぴかぴか光って回るキーホルダーとか……」
 笑いすぎて死にかけたが、なぜそんなに笑ったかはうまく説明できません。あー苦しかった。ちなみに、あとで検索したらこんなのでした。

 田中啓文と言えば、3000円しか持ってないめちゃめちゃ貧乏な人として北野勇作にまで同情されているが、今日の二次会では抽選にあたる幸運。にもかかわらず、それまでの賞品がかわいらいい黒猫印の手鏡とか、そんなのばっかりだったため、いらんいらんと逃げ腰だったのだが、天網恢々疎にして洩らさず。田中啓文が当てた賞品だけは、なんと3000円の商品券。 ちなみに一等のディズニー・シー入園券を当てたのは子供だったので、「出来レースかい!」の声しきり。私生活も神は見ている。

 表参道に行くついでにブックファースト渋谷店に寄って偵察。思いきり汚い字の手書きPOPがいっぱい下がっている現場を目のあたりにして、やめときゃよかったと後悔。もっとも『特盛!』はそれなりに売れているらしく、追加サインをリクエストされました。いいのかほんとに。

『ローズダスト』読み中。前半の枠組は劇パト2? 要所で「踊る大捜査線」とか「ダイハード」とかが入ってくる感じ。ときどき出てくる演説をのぞけばどんどん読める。



【3月17日 特盛の特典】



『特盛! SF翻訳講座』bk1購入特典を作成。 今月中にbk1で買えばもらえるメールプレゼント用。「SF翻訳講座」連載バージョンから単行本にするときカットした原稿のうち、約半分を収録しました。

 メインディッシュの「SF翻訳の歴史とビジョン」は、途中まで編集作業をすすめたあと、「やっぱりもう状況が全然違うしなあ。年寄りのSFファンにしかわからない話だしなあ」と思い直し、ブロックごと削ってしまったパート。#46〜#49を中心に、連載タイトルでいうと、千流の雫/タイムマシンにおねがい/ステラヴィスタの千の夢/秘密の鰐について/夏を待ちきれなくて/未来予想図/千流の雫あたりが入ってます。
 内容は、『現代SF1500冊 乱闘編 1975-1995』(太田出版)の一部とかぶってて、それも削った理由のひとつ。もらってうれしいかどうかわかりませんが、歴史の証言として多少の意味はあるかも。柳下毅一郎との「SFのコア」論争とかね。野阿梓、伊藤典夫、川又千秋、高橋良平も登場しつかいみあいの大喧嘩が勃発します。ウソです。オマケは全部で50枚ぐらい。SFマガジンずっと読んでる人には珍しくもないけど、html化はされてないのでレアと言えばレア。

「オマケのオマケ」は、単行本版から削除した身辺雑記前フリ段落2本(氷山の一角です)と、まるごと落としたネット話の回。いちばん最後にくっつけた「近況欄・抄」は、SFマガジン連載時、原稿の末尾に毎回ついていたプロフィール&近況欄の一部を適当に抜き出して並べたもの。
 3/31までにbk1で買った人に、bk1からメールで送られるはず。配信は一斉だと思うので、4/3とかでしょうか。

 もうamazonとかジュンク堂とかで買っちゃったけどどうしてもほしい!という人は、もう一冊bk1で買ってください。じゃなくて相談に応じます。条件は感想をウェブ上に書くこと。サイトやブログがない人は掲示板とかカスタマーレビューとか。そのうえでメールしてください。アドレスはこのページのいちばん下のほうに載ってます。


 WBC二次リーグ米墨戦をネット視聴。なんか中国語の中継でした。昨日の光文社パーティでも、「メキシコは韓国に1点差負けしたチーム。アメリカがメキシコに勝てない可能性は相当高い」と力説してたんだけど、やっぱり言ったとおりじゃん! それにしてもポール直撃弾がエンタイトル2ベースになったのは笑った。おかげでWBCはたいへん盛り上がったし、これが日本にとってもベストの結果だったのでは。今日のが消化試合になってたらしらけたもんなあ。ここまでやればアメリカ人も納得するでしょう。しないか。

 準決勝でも韓国に負けたら、イチローはどうコメントするのか。めちゃくちゃ楽しみ。


【3月16日 光文社三賞】


 手に汗握るWBC二次リーグ日本×韓国をついつい最後まで見てから外出。大手町→オアゾ丸善から徒歩で東京會舘。鮑のステーキ、たいそうおいしゅうございました。柴田よしきさんが、「今日はあれを食べなきゃ!」と言ってたので列に並んだんですが、肝心の柴田さんは食べ損ねたらしく、悔しがることしきり。まあまあ、たかが貝ですから。うまかったけど。
 新潮社組は4/1付けの大規模異動を目前に控え、引き継ぎと挨拶回りに熱が入ってる模様。新雑誌の噂もちらほらと。

 怒濤の新刊ラッシュでぞくぞくと本が到着。郵便受けから本があふれ、玄関前に積み上がってます。このふたりの本が同時に出るのは今世紀最後と言われる(U山さんが言ってた)綾辻行人『びっくり館の殺人』(→amazon | bk1)と法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』(→amazon | bk1)にはじまり、宮部みゆき『ドリームバスター3』(→amazon | bk1)、恩田陸『チョコレートコスモス』 (→amazon | bk1)、福井晴敏『Op.ローズダスト 上』(→amazon | bk1『同 下』(→amazon | bk1)とか。

 しかし最大の注目は創元SF文庫の中村融編『地球の静止する日 SF映画原作傑作選』(→bk1)。
 まずカバーに仰天。とうとう創元SF文庫にも松尾たいこの魔手が! この桜の花柄みたいなのはなんですか? たいそうキュートですが、「SF映画原作の逸品をみよ!」という命令形のオビとはたいそうミスマッチ。
 レア度のめちゃめちゃ高いアンソロジーで、ウォード・ムーア「ロト」と、ハリイ・ベイツ「主人への告別」(来訪者)以外はぜんぶ本邦初訳。おお、「来訪者」は中野善夫が新訳したのか。
 データ原稿が80枚に達した添野解説は18ページにおさまっている。なかなかタメになります。というか添野くんはこのテーマで本を一冊書くといいと思った。版元は洋泉社だな。まあ10年ぐらいかかりそうだけど。
 シオドア・スタージョン「殺人ブルドーザー」は実は最後まで読んでないので(自分で訳す気は全然しなかった)これからちゃんと読みます。


【3月14日 鈴木いづみ生原稿20万円】


 某所の情報に基づき検索したら、玉英堂のオンライン・カタログで見つかった鈴木いづみの原稿。21枚で20万だから、1枚1万円。これが小説なら買っちゃうかも。「拵帙入」とか、この世界は用語が謎です。「こしらえちついり」?


【3月13日】


 赤坂見附の東北新社で、太田出版〈コンティニュー〉用の押井守『立喰師列伝』対談というかインタビュー。撮影裏話とか雑談っぽい話をしてればそれでいいですと言われてたのでたいそう気楽な1時間。どうせ押井さんはひとりでいくらでもしゃべってくれるし(今日はインタビュー8件だって)。『YAMATO 男たちの大和』の話を振ったら、どこがダメなのかについて熱く語ってくれました。

 ベルビー赤坂の喫茶店で読売新聞S記者の取材(ライトノベル関連)を受けてから、半蔵門線で渋谷。ブックファースト渋谷店2Fで大森望フェアをやってるとの情報が入ったのであわてて偵察に。うわ、ほんとにやってるよ! しかも、すぐ隣は福井晴敏棚。ありえない雰囲気が漂ってます。

 ジュンク堂書店大阪本店の「大森望って何者!?」棚も、池袋本店の「大森望が選ぶ現代SF50冊」フェアも、写真を送ってもらっただけで、自分では現物を見られなかったので、こういう棚の実物を間近に見るのは初めて。遠くから観察してると、足を止めて不審げに棚を眺める(「何これ?」)おっさんとかアベックとかいて、なんかめちゃめちゃ恥ずかしい感じ。

 担当の人に挨拶しようと思ったら見つかって事務室に拉致されたのですみませんすみませんなんでもします許してくださいとお詫びのしるしに手書きPOPをたくさん書いてきましたがあんなに字が汚いとかえって逆効果かも。サイン本もたくさんつくりました。返本できなくなってもいいんですねと念を押したのであとは知らない。帰る頃にはもうシュリンクパックされて「サイン本」の短冊入りで並んでたけど買う人がいるのか果たして。柴田元幸さんや岸本佐知子さんの手書きPOPはたいそう字がかわいらしくて売れそうな気がしたが、オレのはなあ。手書きPOP教室に通いたい。

 ここまでしてもらって全然売れてなかったらどうしようと思ってたんですが、面陳の威力か、週末3日間はそこそこ売れた模様。堀さん八木岡さん石堀さんほんとにありがとうございました。
 しかし丸善とジュンク堂とABCの各本店とブックファーストの入荷部数を合わせると、それだけで『特盛!』初版部数の1割近くに達するのでは。(池袋リブロは本日入荷だったそうです)

 ちなみに『特盛!』が一緒に並びがちな新刊は、山本弘『トンデモ本?違う、SFだ!RETURNS』、大塚英志&西島大介『試作品神話』、柴田元幸『翻訳教室』。それぞれ置いてある場所が違うんですが、やっぱり購買層のメインはSFファンらしい。もっとガチガチSFファン向けにつくってもよかったのか。

 ところで、ブックファースト渋谷店と言えば、林香公子さんもまもなく復帰予定だそうで、ますますめでたい。



【3月11日】


 『特盛! SF翻訳講座』はオンライン書店で出荷開始。紀伊國屋、ジュンク堂、丸善本店など、一部リアル書店でも並んでます。どこに置かれているかはまちまち。新刊棚、SF棚、エッセイ棚、海外文学棚、語学書棚(翻訳入門書コーナー)とか。

 丸の内オアゾの丸善本店に行ったら、ものすごい勢いで『特盛!』が積んであってびっくり。100冊も入れたらしい。いくらなんでもそれは仕入れすぎ。初版部数の*.*パーセントですよ! 柴田元幸さんの新刊『翻訳教室』と並べてくださってるのはありがたいというか申し訳ないというか。『特盛!』は英語がほとんど出てこない縦書きの本なので、横文字が苦手な人でも大丈夫です。
 しかし丸善の上村さんにはやはり会えない。

 つづいてファン交で中村融のブラッドベリ翻訳談義。ブラッドベリの原文を先生が読み、三者の翻訳を読み比べつつ、ブラッドベリの文体の特徴を解説するというタメになる授業。いやあ、ブラッドベリはむずかしそう。ある意味、スタージョンとも似てるな。

 授業前半で抜け出して池袋。リブロでは『特盛!』を発見できず。出してないのか入れてないのか。矢部さんが吉祥寺店に行ってしまったあと知ってる人が(たぶん)いないので聞けません。

 ジュンク堂本店では、1Fと3Fの新刊コーナーに面陳。棚を見てたら田口さんに声をかけられて立ち話。主に本屋大賞の話。
 そう言えば、ポプラビーチで連載されていた田口さんの「書店日記」は堂々完結。ポプラ社で単行本化予定らしい。年代記だった『書店風雲録』に対して、こっちはいま現在がテーマ。週に一回以上書店に足を運ぶ人は必読。

 B1に降りたら、その「書店日記」#39#40にも登場する田中香織と遭遇。これから食事休憩だというので、一緒にジュンク堂を出て近くの定食屋で最近のコミック状況・ライトノベル状況を聞く。

 18:00をまわったので、書店員の人と別れて向いの鳥良。トヨザキ社長書評講座第三期の打ち上げに合流、なぜか川勝正幸氏の向かいにすわる。何度か遭遇はしてますが、ちゃんと挨拶して話をするのははじめてだったり。

 杉浦由美子さんから、見本ができたばかりの『オタク女子研究 腐女子思想体系』(原書房/13日配本)を頂く。こっち方面には疎いのでこれを読んで勉強します。しかしこれ、売れそうだなあ……。初版部数は『特盛!』の倍だったし……。まあ、こないだオアゾ丸善でばったりあった書評講座ベテラン受講生のひとり、三浦天紗子さんの『モテる女のひみつノート』も印税保証部数は『特盛!』の倍だったんですが……。

 元H書房の瀧井朝世さんともひさしぶりに対面。ライターで大活躍中とか。しかし辞めてからもうそんなにたつのか。光陰矢のごとし。あとで検索してみたら、CyberCREAで書評欄を担当、『アジアの岸辺』の紹介とかも書いててびっくり。ananとかマガジンハウス系の仕事のほか、朝日新聞BEで本のページも担当してるらしい。

 8時前に鳥良を抜けて、ABC本店の東浩紀×西島大介子育て対談を途中から見学。もうすぐJコレから出る新刊の『アトモスフィア』についてこないだインタビューしたときはずいぶん飛ばしてたのに(SFマガジン5月号掲載予定)、今日の西島大介はずいぶんおとなしいなあ……と思ってたんですが、前半はもっと寡黙だったらしい。かわりに東浩紀はいつもマシンガントーク。単位時間あたりの情報量をそこまで上げなくても。「子育て対談」といっても自分とこは子供が小さくて(9ヵ月)しゃべるネタに乏しいため、フラストレーションが溜まっていたらしい。
 しかし西島パパの入場時には、愛娘ネリちゃんの歌うマイメロOPが流れたらしい。現物は西島サイトで聞けます。 トーク中、「大ちゃんがいいの!」と泣き出して壇上のパパに抱きつくネリちゃんがかわいかった。いいなあ、娘に愛されてて。

 終了後はユリイカ山本編集長一行と打ち上げに混ざり、東浩紀演説をさらに聞く。終電で帰ろうと思ったら土曜日なので東陽町止まりに。今夜はあったかいし、一回、清砂大橋を徒歩で渡ってみるかと歩き出したらけっこうたいへんで、歩行時間40分。橋だけで20分ぐらいかかった気がする。いや、夜景はきれいなんですけど。 ほかにも黙々と夜中に橋を渡る人たちがいて不思議な雰囲気でした。夜のピクニック?



【3月6日】


特盛! SF翻訳講座』の見本が到着。なかなかいい感じの仕上がりです。関係者のみなさま、ありがとうございました。
bk1に加えて、7&Yおよびamazonでも予約開始。都心部の大規模書店の店頭に並ぶのはたぶん週末。刊行に合わせて特盛ページを特設。目次、序文のほか、本文サンプルを1章分公開しました。

 nikkeibp版本屋大賞メッタ斬り!の連載第1回が掲載されました。全4回予定。


【3月5日】


 子連れで上野に出かけて、アトレの回転飲茶の店で昼食。天天常常回転坊。味はそれほどでもないけど、小皿が回転してくると、子連れで食べるにはたいそう便利。テーブルがちょっとせまいのと、つい頼みすぎちゃうのが難点か。食べ終わって出ると長蛇の列。昼時はめちゃめちゃ混む模様。

 満腹後は、トキオとふたりで科学博物館の常設展。前はスーしか見なかったんだけど、常設展も充実。小学生男子なら朝から晩まで遊べそう。トキオは各所のタッチパネルと体験コーナーの強力磁石に夢中。海棲生物コーナーで頭上からぶらさがるマンボウが恐くてしょうがないらしく、手で頭を隠して素通り。恐がりシーズンに入ったらしく、前は兵器だった恐竜骨格標本にもびびっていた。

 動物園で母娘と合流し、ゾウ、ライオン、トラ、ゴリラをささっと眺めて帰宅。


【3月4日】


 三省堂SFフォーラムの前に、たまには丸香じゃないところで食べようと思ってネットで調べたらすぐ近くにスープカレーの店があり、ここにしようと思って行ったところ、その住所にあったのは丸香だったorz. カーマがつぶれて讃岐うどん屋になったらしい。
 その丸香は土曜日は5時で店じまいだったので、合流した小浜夫妻と放浪し、適当に見つけた神田餃子屋に入ったら牧眞司がやってきた。古本おたくの集う店なのか? 餃子をかきこんで三省堂。会場はぎっしり満員。ジーン・ウルフにこれほど集客力があったとは。
 今回は柳下毅一郎がばっちり予習しただけあって、中身の濃い授業。山形浩生は聞き役にまわされてたけど、昔取った杵柄でツッコミのタイミングは絶妙。萌えながら見ていた女性客も多かった模様。
 まあ、この二人がトークでしゃべるのは京都SFフェスティバル(だっけ?)の「おかま対談」以来17年ぶりとかなので、そういう意味でも(?)貴重かも。
 最近は中野タコシェで絶賛販売中の柳下毅一郎(受)やおい本『ノヴァ悲報』作者の人も来てました。三省堂に置いてもらえば100部はすぐ売れたんじゃないでしょうか。くわしい内容はこことか参照。ツボはやっぱり町山の乳首だと思う。
 しかしトーク終了後の二次会で、「柳下さんはほんとにいい人ですね」と感想を述べる女性が多かったのは納得がいかん! 持つべき相方は山形浩生か。

 あいかわらずウルフを読んでいない中原昌也もなぜか登場。「今年は一冊しか本読んでないんですよ!」「電話が止まってるし、ネットもつながらないんですよ!」「前借りしてるから本が出ても印税なんかぜんぜん入らないんですよ!」「JASRAC入ってないから音楽の印税も払ってもらえないんですよ!」
 歩く文学。
 ある意味、藤澤清造の後継者は西村賢太より中原昌也かもしれない。

 終了後は例によってフォリオで二次会→和民で三次会→パセラで四次会のコース。例によってカンヌ俳優・中原昌也のデス歌謡が炸裂したらしいが、わたしは三次会で退散。スクリーンで会う中原くんはいい人なのにねえ。

 山形浩生に、『さおだけ屋』の人に謝ったくわしい経緯を聞こうと思っていてすっかり忘れた。もうスリランカに行っちゃったよ。


【3月3日】


■『ナイト・ウォッチ』試写
 ルキヤネンコ原作のロシア映画。去年のファンタでやったやつ。
 原作と話はだいたい同じだけど雰囲気が全然違います。 だいたい主人公のイメージが……。オリガが……。 と思ったら、映画を見てから本を読むと、なんの問題もなく映画のイメージで読めるらしい。邦訳本はハリポタ路線のウリだからなあ。先入観は恐ろしい。
 絵的にはめちゃくちゃバイオレンス。「ザ・クロウ」をさらに血みどろにして今風の映像処理をがんがん加えて映像の情報量を3倍にした感じ? アニメ的なかっこよさは実現。そりゃタランティーノは気に入るかもな。

■徳間三賞贈賞パーティ
 今日はタカアキラの協力を得て、トキオとキリカがあとから合流。 トキオにぶらさがり取材を敢行する東浩紀。
「幼稚園は派閥とかないの? 女の子に興味ある? まわりの子がバカに見えたりしない?」
 トキオは「ウゼーよ」という顔で見てました。
 しかしそれでも東さんちの娘はかわいい。いいなあ髪の毛ふさふさでまつ毛が長くて目がぱっちりで。あんなパパからなぜこんな娘が。と思ったら、奥さんいわく、
「小さいときの写真を見たら、この人もめちゃくちゃかわいいんですよ」
 その東浩紀の義父であらせられる小鷹信光先生に紹介され、緊張しつつ挨拶。いや、今までも何度かパーティでは同席してるんですが、畏れおおくて話しかけたことがなかったんでした。しかし『SF翻訳講座』には、小鷹先生の著書からの引用が何カ所もあるのでしかたがない。『翻訳という仕事』はバイブルだったし。

 二次会は飛さんところ。なぜか受賞者テーブルにすわり、どうでもいいパナウェーヴ研究所とかの話をひとしきり。SF大賞はめでたいけど、オールタイムベスト短編で「象られた力」が2位って言うのはどうよ!とか著者に文句を言ってはいけません>おれ。
 SF評論賞受賞者の横道仁志氏とも初対面。SFJapanに載った飛浩隆論を著者本人の前でネタにしたたちの悪いおじさんたちは反省するように。


【3月1日】


■エリ・エリ・レマ・サバクタニ
 映画の日なので青山真治監督のSF映画をテアトル新宿で見た。 原作は平谷美樹の小松左京受賞作『エリ・エリ』。
 ――というのはウソですが、2015年の話なのでSF映画には違いない。宮崎あおい主演のJ・G・バラード風終末SF。『ラ・ジュテ』とかそんな感じ――と思ったら、あとで柳下毅一郎に聞いたところ、元ネタはヴェンダースの『ことの次第』作中で撮影が難航しているSF映画だそうで。なるほど。その映画もアラン・ドワン(Alan Dwan)が監督した昔のSF映画のリメイクなんだけど、タイトル調べようと思ってIMDBを見たら「原子怪獣と裸女」のリメイクだと書いてあって茫然。それは違うんじゃ……。正解はたぶんThe Most Dangerous Man Alive('61)。キネ旬DBでは、「50年代のアラン・ダンのSF映画の再映画化」になってて、これも微妙にまちがい。
 という話はともかく、「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」の実体は、三島賞受賞監督が三島賞受賞者(中原昌也)と三島賞選考委員(筒井康隆)をキャストに迎えて撮った三島賞映画。
 中原昌也の新刊の書評を書こうかと思って、その取材のために雨の中をはるばる新宿まで出かけたんですが、銀幕のスター中原はたいそうかわいかった。実物よりはるかにキュートでいい人に見えます。これが映画の魔術か!
 映画自体も(SFネタ説明部分と筒井康隆登場部分を除くと)なかなかいい。とくに前半の音を集める場面はかなり好き。



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