【6月14日(水)】


 関口苑生『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』出版記念パーティ@ホテル・エドモント。大沢在昌氏の挨拶につづき、権田萬治氏の音頭で乾杯。
 大沢親分は登壇いきなり「今日は推理作家協会理事としてではなく、一個の私人として……」というギャグを放つ。関口苑生はミステリ界の靖国神社なのか(笑)。参拝してもあまりいいことはありません。

 しかし、パーティ出席者は200人を越え、意外と人望があることが判明。「行かないとなにを言われるかわからないから」という動機もあったかもしれないが、友だち多いじゃん。予想された襲撃もなく(笑)、なごやかな雰囲気。もっとも、作家陣のスピーチにところどころトゲがあるのは関口御大の人徳でしょうか。

 二次会は例によって池林房貸し切り。
「関口苑生は哀しい人です」という内藤陳さんのスピーチに場内爆笑。さらに、「彼には私怨があります」でまた爆笑。のちに、某氏から本にサインを頼まれた関口氏は、「悲しい人 関口苑生」と署名してましたが、そこはやはり「哀しい人」でしょう。

 いったいどういう関係なのかよくわからない川村恭子嬢ともひさしぶりに対面、音楽業界の話を聞く。なんかいつのまにかフレッド・ショットとお友達になってるらしい。謎すぎる。そこに豊崎由美・茶木則雄も加わり、なぜか2ちゃんねる方面の話題。
 豊崎スレッドに登場した「トヨザキ社長(本人)」は、なんと豊崎由美本人ではなかったという驚愕の事実が判明。わたしはいまのいままで本人だと信じてました。あれだけ再現性の高いニセモノは珍しい。タイミング的にぜったい本人だと思ったんだけどなあ。今後、2ちゃんねるでニセモノを見つけたときはうちの掲示板に報告してください。いや、菅直人みたいに秘書を通じて削除要請を出す手もあるけど(笑)。

 豊崎・香山・茶木のミステリチャンネルベスト・ブックスのトリオがそろっているので、ベスト・ブックス特別ライヴとして、関口苑生『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』を書評する――という突発企画も実現したんですが、さすがに著者が目の前にいるとやりにくいらしく、やや企画倒れの印象。
 北上次郎からは、「日記の更新頻度が少な過ぎる。週に二回ぐらいは更新したらどうか」と言われる。笹塚日記なんか月に一回更新じゃないですか。そんな人に言われたくないね。と反論すると、「いや、オレはちゃんと毎日書いてるんだよ」だって。大森の場合、毎日ちょっとずつ更新するのって性格的に無理だと思うな。

 今夜は池林房でずっとうだうだしてればいいやと思ったら、茶木則雄に拉致されて近くの雀荘へ。きみは司会担当のくせに、二次会を途中で放り出していいのかっ。麻雀に行くために勝手に「中締め」をする司会者って……。
 というわけでまたしても北上次郎・太田トクヤ・茶木則雄という博奕おたく系のメンツに囲まれる。2時間の約束で、あとは池上冬樹と交替するはずだったのに、池上冬樹は敵前逃亡。結局朝まで付き合わされて、イタリア×ベルギー戦を見損なう。点棒ではプラマイゼロ、チップでプラス、順位点でマイナス、トータルではとんとん赤字の結果。最終的には茶木則雄の大勝で、やりたいやりたいって言うはずだよな。その情熱を、締め切りを守ることに向けてはどうか。
 しかしそんな人間に24000点と16000点を続けて振り込んでしまうオレもつくづく情けないが、リーチかけたあとだから不可抗力。

 2時間でやめてれば勝った分でタクシー帰宅だったのに、赤字を出したうえに朝になってしまったのでおとなしく電車で帰る。




【6月15日(木)】


 午前6時帰宅。昼前に寝て夕方起きるとグループB、イタリア×ベルギーの再放送。ベルギーも悪いチームじゃないけど、イタリアの最終ラインはかたすぎ。ガチガチの「勝つサッカー」だから、先制しちゃうとあんまり面白くないなあ。

 ……と思っていたが、グループBのもう一試合、スウェーデン×トルコを見て考えが変わりました。これにくらべたら、結果がわかっているイタリア×ベルギーのほうが百倍面白い試合でした。スウェーデン×トルコは今大会のワーストマッチに決定。後半なんか、決定機はおろか、ほとんどシュートさえなかったんじゃないの。きみたちはインテンショナル・ドローで満足してる場合じゃないでしょう。一位抜けを決めたイタリアが最終戦で負けてくれる密約でもあるというのかスウェーデン。ケネット・アンデション途中交替のアクシデントがあったとはいえひどすぎる。トルコもトルコだ。イタリア戦ではへたくそながら見所はあると思ったが、今日はもうただへたくそなだけ。漫然とパスミスをくりかえす両チーム。きみたちは今日で失格。逝ってよし。ベルギーの不戦勝だ。
 とっとと見るのをやめちゃえばよかったんだけど、もしかしたら突然ギアチェンジするかもとか一縷の期待にしがみついたオレがバカだった。ここまで突っ込んだんだから少しは元をとらないと帰れないとずるずる閉店までねばったあげく、あそこでやめとけばよかったと後悔するパチンカーの気分。オレの2時間を返せ。ていうか、ビデオにしとけばよかったよ。とほほ。

 ところでスウェーデンのAnderssonですが、WOWOWアナはアンダーソンと呼ぶ決まりらしい。Lassonがラーションなら、Anderssonはアンデションだろうと思いますが、場内アナウンスでもアンダースンと呼んでるのでわけがわからない。セリエAでは「アンデション」だよね、たしか。北欧語の読み方はけっこう謎で、アンデルセンもデンマーク語の発音では「アンスン」だとかいう話(うろ覚え)を聞いたことがあるんですが、どうなんでしょうか。いやまあ、サッカーだとそういう問題はほかにも山ほどあるんだけどさ。




【6月16日(金)】


 夕方起きて、18:30、ヒューマンメディア@表参道。柳下毅一郎山形浩生と、某建築雑誌用の座談会。SFと東京と都市計画とか。
 モンゴル帰りの山形浩生とはひさしぶりの対面。山形の専門テーマだからひとりでしゃべらせとけばいいだろうと思ったのに意外とおとなしい。ちゃんと宿題を消化してくる柳下毅一郎はまじめな性格である。大森は東京も建築も専門外なのでらくちん。

 2時間ほどしゃべってから、柳下・山形の東大SF研コンビ、オブザーバー参加の建築専門家・磯達雄(名大SF研)、それにヒューマンメディアのO氏、S氏と表参道の居酒屋で食事。席に着いたとたん、いきなり張り切る山形浩生。メニューを開いてどんどん注文する。ここんとこ彼が参加しているプロジェクトではだれもリーダーシップを発揮しないので、飲み屋では山形が仕切り担当らしい。知らないものでも平気でどんどん注文するのは、ウランバートルのレストランガイド執筆調査で鍛えられたためか。今日の晩飯はJICAから資金が出ているわけではないが、民間からの資本提供により自腹は痛まない仕組み。タダの昼飯などというものはないとハインライン翁は言っているが(略してTANSTAFL)、タダの晩飯ならノープロブレムだ。

 酒席の話題は「モンゴルで対統一理論が完成していた!」とか2ちゃんねるとかサッカーとか裁判とか殊能将之とか。あ、「バロウズに群がった男たち」ネタはわりと盛り上がったっけか。

 free dinnerのあと、定職を持たない四人でお茶飲んで帰宅。あとはまたしても朝までEURO2000。
「死のグループ」と言われたD組ですが、チェコ×フランスデンマーク×オランダの結果、フランスとオランダが早々とグループリーグ突破を決めてしまう。ちょっと拍子抜け。
 フランスはジョルカエフ投入が結果オーライになっちゃってつまんない感じ。チェコが勝手に負けてくれたみたいな。前半の調子でネドベドにやらせてれば引き分けに持ち込めた気がするのに。
 オランダは、こういう相手だと徹底的に強い。しかし引かずに勝負したデンマークは立派でした。キリンカップに呼びたいチーム(笑)。オランダはゼンデンが効いてましたね。
 まあしかし、おかげでもうD組の残り2試合は見なくてすむかも。




【6月17日(土)】


グレッグ・ベア『スター・ウォーズ ローグ・プラネット』ソニー・マガジンズ)が到着。ううむ、『ダーウィンの使者』と同じ著者・同じ版元の本とは思えない(笑)。オビはかなりウソなので信じないように。カバー、オビ、内容紹介について、今回、大森はまったく関与していません。それにしてもせっかくベアなんだから、もうちょっと違う売り方をしてもいいと思うんだけど。SWノベル読者の中ではわりと評判がいいみたいですが、SW小説読んでないベア・ファンはどう思うのか。宇宙船おたくな人には涙なくして読めない名作だと思うんですがどうですか。『ファントム・メナス』よりかなりページが多いのに定価は据え置きなのでちょっとお得。
 内容に関しては、訳者あとがきを参照。途中ややダレるのが惜しいけど、この宇宙船製造システムは画期的。ダークサイドなアナキンくんもいい感じです。
 関係ないけど、ソニー・マガジンズのサイトをひさしぶりに見たら、安田均氏の新連載がはじまっててびっくり。どういう関係ですか。

 夕方から船橋の《和民》で、安田ママさんとこの「銀河通信」10万アクセス記念オフ。西船橋で18:30集合と勝手に思ってたら18:00に船橋集合が正解で、けっきょく大遅刻でした。申し訳ない。
 オフの詳細はこちらを参照。古本血風系勢力が異様な濃度を醸し出してたのがちょっと意外。《本の雑誌》今月号で初心者向けのネタを軽く披露していたkashiba氏@猟奇の鉄人とか。
 今回のオフは、
「せっかく本関係のオフなので、話題作りというかネタふりのために、あなたのオールタイムまたは今現在の布教本、もしくはお宝本を一冊お持ちくださいませ。」
 ってことだったんですが、血風な人たちは当然この課題を、ひとつの挑戦と受け止めるわけである。
 kashiba氏の演しもの(笑)は、島久平『知っているのは死体だけ』(久保書店)。しかも、本題はこの本ではなく、扉に記されたサイン。いわく、「謹呈 横溝正史先生 島久平」(笑)。著者のサイン自体も珍しいが(わたしは浅学非才なので島久平のサインは始めてみました)、謹呈相手で勝負するのは新しいパターン。このパターンでもう二、三冊集めれば、SFセミナー恒例《ほんとひみつ》で優勝も夢じゃない。
「そうですか、これなら日下三蔵に勝てますか」と身を乗り出すkashiba氏。やっぱり勝負が好きらしい。
 しかしいちばん驚いたのは、土田裕之さん出品の、新田次郎『この子の父は宇宙線』(講談社ロマンブックス)と、星一の『三十年後』。タイトルは有名だけど現物を見るのは初めて――って本はストレートにポイントが高い。しかも『三十年後』のほうは、目録で1500円の値段がついてたのを抽選で引き当てたそうで、ゴッドハンドですね。しかしなぜ1500円。さらに土田さんのもう一冊は漢文の『夜窓鬼談』上下巻。ここまで行くと大森には価値判断もできません(笑)。なんか38,000円とかだったらしい。
 しかし値段でいちばん驚いたのは、カスミ書房で『SFの手帖』に5万円の値がつき、しかもその値段で売れたという話。ダイジマンな7000円で見つけて速攻で買ったらしいが、おそろしいことである。うちにあるガリ刷りファンジンの山もお宝なのか? 《リトル・ウィアード》とか《宇宙気流》とかも高く売れるんだろうか。おそろしい時代である。
 安田ママさんがとりだしたのは森雅之『夜と薔薇』の新版。なつかしい。元版は、たしか『ぱふ』(清彗社だっけ?)が初めて出版した単行本。まだ『だっくす』の時代だっけ? 1979年頃ですね。森雅之のデビューが『だっくす』だか『ぱふ』だかで、はじめて大々的に売り出された新人――というイメージだったんだけど、すでによく覚えていない。いま40歳前後のマンガマニアなら、たいてい元版は持ってると思うんだけどどうですか。
 わたしの持ってるやつはいま栃木にあるはずなので今度発掘しておこう。

 自慢本披露っていうのはオフ会の企画としてはなかなかいい感じでしたね。うちもしばらくオフやってないから、西葛西駅舎改装工事完成記念オフとかやるかな。馬場で徹夜麻雀オフでもいいけど。ちゃんとトーナメントにして優勝者に賞金出すとか。検討していきたい。

 9時ごろ船橋を出て、柳下毅一郎に頼まれた『バトルフィールド・アース』を届けるべく、総武線で東京を横断して高田馬場へ。届いた『ローグ・プラネット』を適当に配り、家に帰ってまたサッカー。今夜のメインイベントはもちろんイングランド×ドイツですが、その前のポルトガル×ルーマニアも見逃せない。なにしろ、オレはにわかポルトガル・サポーターなので。

 しかし、すでに勝ち点3を手にしたポルトガルは、負けないこと第一の試合ぶり。ルーマニアも、ハジだけやたら張り切ってるものの、基本的には、「勝ち点1を加えて最終戦勝負」の気配。緊張感をはらみつつも中盤のつぶしあいがメインで、なかなかフィニッシュまで行かない淡々とした試合運び。
 しかし後半ロスタイムも残り10秒から、最後ワンプレイのフリーキックでドラマが。やりましたポルトガル。グループリーグ突破! あとは準々決勝の対戦相手をにらみつつドイツと適当に戦えばいいだけで、一気に楽になりました。

 この結果で楽な立場に立ったのがドイツ。イングランドと引き分けておけば、最終戦でポルトガルに勝たせてもらって勝ち点5の2位通過という目がかなり現実的になる。しかしそうはいかないのがイングランド。最終戦のルーマニアはハジがいないとはいえ、なりふりかまわずかかってくるに決まってるので、ここで勝たないとグループリーグ突破はおぼつかない。それ以前に、今日ここで負けたりすると、シャルルロワの町はフーリガンの暴動で火の海になってしまうのである(推測)。
 こういう背水の陣的状況でも、ベッカム様がいるチームはやっぱり強い。今日のマテウスはずいぶんがんばってましたが、もはやゲルマン魂の時代ではないのか。
 まあしかし、イングランド×ルーマニア戦の結果次第では、勝ち点4でルーマニアと並ぶ可能性はまだあるからなあ。個人的にはイングランドを応援したい。




【6月18日(日)】


 花村萬月『風転』を読みつつ午前11時ごろ寝て、午後1時にはっと目を醒ます。
 半分眠りながら、キリンカップの日本×ボリビア戦。ゴール前でパス三本つないだ2点めは悪くないが、ハーフタイムで寝てしまい、はっと目が覚めたら後半も半分終わってました。高原があと一点とっててもよかった試合だけど、まあ2-0勝ちだから文句言われる筋あいはないでしょう。本山と宮本出したのは五輪世代のテスト?

 ベッドにもどってもう一回寝て、9時ごろ起き出し寝ていた部分をビデオで確認。スロベニア×スペインはビデオ録画することにして、ロイヤルホストで仕事。


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