作成者 | BON |
更新日 | 2005/05/22 |
標記研究発表会に参加しました。今年は発表などもやりましたので少々紹介します。なお,19日の夕方にPCの電池が切れたのと,帰京してしまったので,この日の途中までしか掲載していません。
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第55回全国水道研究発表会 水道協会主催の由緒正しい研究会。 |
【参考】
あくまでも私見と印象ですので,ご異議もあろうかと思いますが...請反論,ご意見!
すみませんが,特に印象深かったものを中心にメモしておりますので,発表内容や発表者などの情報については手間の関係上割愛しております。各自要項集などを使って確認してくださいませ。
5−1■加圧ポンプによる給水方式の研究
ポンプによる小規模直圧給水の実施例。おおむね問題ないが空気弁,ノッキング弁対策の必要性を指摘。非常用電源を設置しているとのこと。
5−4■配水管の水理水質調査
管内の水理,水質の変化を把握する装置とその活用例。応急給水槽の設置位置の選定や,管更新などで影響を予測に使用したとのこと。
調査費用は?>他の洗管などの作業を一緒にやっているので個別には公開できないが,結構かかっている。
5−5■フィルタによる管内水質調査と計画洗浄
管内洗浄の効果を確認する方法の一提案。ろ過して目視で確認する。この結果と残留塩素,管形状(管路末端や給水量が少ない場所など),経年度から洗浄対象を選定する。赤水発生との合致も確認。また,洗浄の効果も同等の方法により確認。
>消火栓からの採水では消化栓のさびを拾うのでは>目視で飲用OKになるまで流水してからろ過を開始する。
>洗浄方法は?>流速を1.5m/Secに上げる方法で行っている。
5−6■送水pH上昇対策としての炭酸ガス注入
限定的,仮設としてのpH調整設備に利用。省スペースにも特徴。注入制御式の構築には課題もあるが運用結果は良好とのこと。
5−7■非排水循環濁質除去システムの開発
管内の水を取り出してストレーナ,膜処理をかけて夾雑物を除去するシステム。Epochネタ。
5−8■管内濁質除去装置の開発
ストレーナ装置に関する解説。減圧弁などの前につけるやつを拡大改良したような装置。装置自体も合理的でなかなか説得力があった。
5−9■管網内での濁質配分量推定に関する研究
効率的な洗管のために,どのような部位で濁質が滞留するのかを調査。どのような管路形状でどのような濁質の分配があるのかをFS。比重が軽い濁質は水料比で配分されるが,砂のような比重の大きい濁質では枝管方向に濁質が吸い込まれる現象が確認された。現象を定式化して管網に組み込むことで,管網のうちどのような位置に砂などが堆積するのか,相当の精度で予測シミュレーションが可能であるとのこと。
2−11■管路更新のための評価手法
管体,腐食度(埋設期間+土壌の性質(泥炭,粘土,腐植土/ロームや砂)),管路の重要度,地震対策,事故時の被害度(人口集中度,研究中)を指標に点数化。
>評価はだれがやるのか。重み係数の決め方は?ダイナミックな計画を立てるとき財政上の問題をどうやってカバーするのか?>とりあえず普通鋳鉄を更新するという方針で。
2−12■配水管事故未然防止の観点から見た小口径管路の改良優先度の決定にかかわる一手法
防災,鉛,舗装先行,配水管事故未然防止(事故発生実績,外面腐植深さ/被害想定)で選定。データベース化して毎年更新。
>事故被害想定の方法は>道路交通については迂回路×人数。被害額については,大阪府民のひとりあたり総生産額に拘束・ロス時間を掛け合わせる方法で算出。(後ほど発表者の方が教えてくださいました)
2−13■遺伝的アルゴリズムを用いた最適管路更新順序に関する研究
管路更新順序を,破損被害額期待値の削減量で表現し,遺伝的アルゴリズムで算定。...難しいので理解ができないが,結論的には70〜80%程度は直感的に判断しても相違ないようなので...別にそんな難しいことをやらんでもいいような気も...
2−14■動的計画法を用いたす移動ネットワークの更新計画に関する研究
樹枝状配管を対象にしたモデルの例。長期間で考える場合,需要変化によりベース便益が変化する場合があるので,そのあたりの考え方も取り入れていくべきかと。
>管路の耐用年数をどのように考慮したか。>今のところ取り入れていません。
>樹枝状の管路モデル以外特に管網の場合にどうなるか。>現時点で対象としているものについては管網は対象にしていない。
2−15■(仮称)江戸川浄水場廃水処理施設におけるPFI方式の導入
事業者選定の事例報告。価格点のウェイトが高かった印象があるが。>価格点での差が大きく出た。
>20点満点で最大で14.3点と評価されたということは,要求水準が民間の視点から見て高すぎたことにならないか?>不明<
>直接協定>銀行との直接協定に特徴あり。
>可能性調査段階で見込んでいたVFMは?>当初概算で7%,詳細2%だったところ,最終的には37%が得られた。
2−16■埼玉県営水道におけるPFI事業の取り組み
事例報告。工夫した点を説明しており興味深い。免責や一時払い,チェックリストなどで相当の工夫をしている模様。結果的に内容点については差がつきにくかった。自ら事業をモニタリングする組織をもっているとのこと。発表内容がポイントになる情報に特化しており,実務経験者にとっては大変価値の高い発表であった。
>価格点の割合が高いが>60/40なども悩んだが,長期的な運転を旨としたプラントなので,70でやった。評価はしやすかった。
2−17■小規模水道事業における維持管理の状況
アンケート調査による実態調査。
平均有収率82.8%,1事業体あたり6〜2の事業を担当しており,人口が少なくなると建設課が担当するようになる。人口が減るに従い事務技術兼任の割合が増え,給水人口あたりでは5000人につき大体2人でやっている=大都市より少ない。水源水量に対する不安は50%以上がありと回答。水質問題では,地下水で鉄マン,硝酸性窒素など。伏流水や湧水では濁度,クリプトという回答もかあり多い。送配水では半数が管の老朽化による漏水の多発に問題,25%が赤水など。一事業体あたりの取水施設は5以下が一番多いものの,20箇所を超えるようなところもかなり多い。自動計測装置の導入割合は80%以上。水位と残塩が多く,流量,濁度程度までチェック。ほとんどに導入しているところとほとんどなにもやってないところで両極端。異常検知は自動計測から職員の常駐している施設にデータをとばすが,ここは常駐ではない。住民,自動的に携帯に飛ばす例も相当ある。施設老朽化,財源不足などが自由意見では多かった。
2−18■分散した水道施設の平常時,災害時の監視効率化法
循環監視のルート決定手法。災害時の道路閉塞を視野に入れている点が特徴。
2−19■給水所等施設点検マニュアルの策定と点検システムの開発
点検内容,侵入検知,異常判定の平準化のためのマニュアル開発作業,土木,建築,管路や弁類,外構などを対象とする。(図は要綱集)
2−20■50年後の日本水資源と水供給システムの持続可能性
50年後の日本の水資源のシナリオを,降水量と需要(農水,工水,生活用水)でマッチング。利用効率が27.3%から32.3%に上昇させる。
>要項集における長期的な視点における脆弱性の意味は>見落としているところがないかどうかという指摘をしている。
>農業用水の推定,食料自給率の影響が大きいことについて指摘したもの。
2−21■上下水道による水循環が流域での窒素。りん等の物質収支に果たす役割
水量,窒素負荷,リン負荷の視点で見た場合の上下水道システムの影響を計測した例。管理の目的によってモニタリングの項目が不十分であり,河川を介した上下水道での連携の不十分さが確認された。
2−22■水源計画代替案総合評価に関する一考察
小笠原の母島にて,渇水時の応援対応方法に関する研究。ダムは作れない。緊急避難的措置として下水処理水の再利用,農業利用を実施。他に沢水や雨水,ダムなどのミックスを比較検討。下水+雨水のミックス。
>海淡が比較対象に入っていないのはなぜか。>農水であること,エネルギープアな土地であることが背景になる。
2−23■札幌市白井川浄水場における環境マネジメントと環境配慮への取り組み
環境会計の実施計画の策定例。実証実験などを通じて,どの程度まで薬品や動力の削減が可能かを試算し,目標設定している。NEDOによる省エネルギー診断を実施し,電気,空調機器の改善余地があること,コジェネなどの利用提言を受けた。
>数値目標の設定時の安全率はどの程度を想定したか?>洗浄回数の低減化については70%とした。薬品も70%程度。ただし消石灰については,河川の状況に応じて変化するため。
2−24■家庭内での水有効利用と環境負荷低減に関する研究
アクアハウス。水の有効利用(シリンダなど)と未利用エネルギー回収(熱回収)を中心とする。
>費用はまだ算定していない。環境負荷低減効果は,フロ水の湯沸しで計算(製造時メリットはまだ)。
2−25■水道水質に対する不安感の低減に寄与する掲示情報
市民と共有すべき情報を心理学的見地から,コミュニケーション手法を開発。
関心をもってもらうことで,ポジティブな情報とネガティブな意識をもつようになる。どちらが大きいかについては,ネガティブな効果の方が大きい。つまり,情報量をふやすだけでは,不安感のみを助長する可能性が高い。無害認定(信頼感),もしくは対処可能情報(コントロール感)の提供がその方法とモデル化した。アンケート(903/3000)で検証した結果,効果が確認された。
>浄水処理過程だけをおっしゃってますが管内水質変化については>コスト評価など
2−26■上下水道排水一体化処理における経済性の評価
事例調査とコスト計算。汚泥濃度の調整が肝か。一番コスト計算に影響する因子は,汚泥の輸送コストや処理料金と,下水放流時の料金(40円/m3),送泥管の距離などである。
>下水としてのメリットは試算にはいっているか>入っていない。大量の浄水汚泥が流入したときの影響について評価している。今後は下水側のメリットについても認識していけるようにしたい。
>料金の設定は下水道サイドの意向によるのか>今回は事例の数字に準拠した。
2−27■性能基準に基づく浄水技術選定に関する一考察
インプット,アウトプットの条件,要求条件の策定に関する作業フローとチェックポイントの説明。
1−13■水道料金体系の見直しと今後の方向性
大口需要の減少や節水努力の料金反映,小口径需要者の料金が原価をみたしていない問題などを解決するために,基本水量の見直し(5m3まで基本料金を引き下げ,大口の逓増を見直し。増加分も自動引き落としによる割引と相殺),最高単価の見直し,ピークロード料金(季節別)や計画調整制度(渇水時などの協力を前提に平時契約をみなおし)などを検討。
1−14■ABC分析の試行
料金事務を対象としてABC分析を実施した事例を説明。検針作業が水道料金徴収コストの30%を占めること,料金事務や未納整理事務の人件費比率の高いことなどが判明。
>調査の実施体制は?>5人のプロジェクトチームで実施。アクティビティの単位業務量などは既存資料や別途調査した資料を利用した。
1−15■退職給与引当金
公営企業における退職給付に関する検討。固定負債としての計上が総務省から認められているが,企業会計としての引当不足がある。単年度会計で運営されている知事部局との連経等について検討。
1−16■地下水ろ過装置の普及が及ぼす水道事業への影響
10年で償却する場合,地下水取水専用水道がコストバランスする時期としては,4481m3/2ヶ月に分界点がある。
1−17■さいたま市水道事業長期構想の策定
基本構想の内容の解説。
>長期構想の中にはPIは含まれるか,あるいは今後対応する方針か。>今後の課題。
1−18■大阪市水道局の環境報告書
環境会計の実施例。
1−19■小牧浄水場運転管理等業務委託の経緯と中間報告
平成12年度から民活検討を開始。包括ではなく従来型の委託を採用。技術力の継承,経営の効率化などが目的。委員会を設置して1年半の期間と2回のプレゼンを実施。現状では人数はほぼ減っていないが,運転と保守が一体になったため災害時の即応化の効果もあった。
>指名条件の範囲は>10社,その時点で営業に来ていた会社全部を参加させた。
>審査時の評価方針は>地元採用,訓練に配慮することが重要かと。
>当初から,他の浄水場での経験者10名を配置してもらった。
>結果をオープンにしてもらうとうれしい。
ここでPCの電池がなくなっちゃいました...よって記録はここまでです...orz
【参考】