作成者 | BON |
更新日 | 2002/04/22 |
水源保護に関する法令として,俗に水源2法と呼ばれる法体系があり,環境省所管の「特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法」と,厚生労働省所管の「水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律」の2法があります。
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水源関連法規 水道水の水質に責任を持つため,水源対策に水道が取り組むための法的根拠。 |
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水源保全 水源の保全の必要性,水源保全方策など(をまとめるための場所)。 |
【参考】
(1)水源二法
水源2法とは,水道事業者が水源水質の保全に対して積極的にかかわるための法的裏付けとして法制化されたものです。
水道水質の抜本的な向上は水道事業者の悲願であり,その法的根拠が望まれたわけですが,この制度化については厚生省(当時)と環境庁(これも当時)の立場の違いから調整が難しく,結局関係各位の多大な努力の末,双方の立場を尊重した2つの法律として成立しました。これが水源2法と呼ばれるゆえんです。
水源2法はそれぞれが水道の水源域の水質の改善を目的とした法律で,よく似ていますがそれぞれに違いがあります。参考文献の記述をもとに表にまとめてみました。
所管 | 環境省 | 厚生労働省 |
正式名称 | 特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法 | 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律 |
略称 | 特別措置法/水道水源法 | 事業促進法/水道原水法 |
性格 | 公共用水域における水質目標の達成と,そのための施策を規定。 | 事業の実施を促進するための費用負担を含む具体的事項を規定。 |
範囲 | 水道水源域に影響があると認められる水系全体。内閣総理大臣の指定を受け,都道府県知事が水質保全計画を策定,執行。水道事業者はこれを働きかけることができる。 | 水道水質の汚濁に相当程度関係がある区域(取水地点上流15km−20km程度の範囲)。都道府県や河川管理者は主務大臣の基本方針と水道事業者の要請に基づき実施計画を作成。 |
対策の範囲 | 総合計画の策定,対策事業の実施(各事業ごとの事業法により実施。),排水規制の実施,普及啓発の推進,調査研究等の推進。 | 対策事業の実施(水道事業者の費用負担や合併浄化槽の法律補助などにより,水道事業者の主体下で推進)。 |
対象物質 | 消毒副生成物原因物質。 | 消毒副生成物原因物質,異臭味,合成洗剤等。 |
消毒副生成物が法律で扱う対象にされているのは,水道が負担することへの法理的根拠として,「もともとは特に問題を生じないものが,水道が消毒を行うことで消毒副生成物として問題化するのであるから,水道事業者にも責任の一端がある」との考えがあるそうです...
1)特定水道利水障害防止のための水道水源水域水質保全に関する特別措置法[環境庁(当時)]
公共用水域の消毒副生成物をターゲットに水源水質の保全の総合的施策を規定するもの。平成6年3月に水源保全法が制定され,流域全体での水質管理について,水道事業としても水源水質の保全に積極的に係わっていくこととされました。水源対策としての包括的な対策が求められるわけですが,その最も基本的な対策は,以下の4点です。
なお,水道水源法で規制の対象とする物質については,一般の有害物質については現行法で,農薬については農薬取締法で,かび臭については水濁法の窒素,リン規制で,事故時の措置は水濁法で対応することに,と考えられていて,対象物質を消毒副生成物に限定しています。
このほか,取水位置の上流化,水質保全を主体とした上下流域の交流,(生活排水対策の実践,森林管理への参加,水源地訪問や合併浄化槽の設置など)を通じて啓発活動を行うことが重要である,とされています。
2)水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(事業促進法)[厚生省(当時)]
事業促進法は,飲料水の安全性は水道によって確保されるべきであり,このため水質保全に水道事業者が関与すべきであるとの考え方が基本となっています。
3)関連法規等
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水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律関連法規等@【厚生労働省水道課】 当該放棄の関連情報はこちら。 |
【備考】
参考文献 「逐条解説 水道水源法 編集-水質法令研究会 監修-環境庁水質保全局
出版-中央法規」...環境省分はこれが詳しかったです。厚生労働省分は水道産業新聞の特集記事などから。
(2)水質汚濁に関わる環境基準
公害対策基本法9条〜目標値。工場,事業場から公共水域へ排出される排水規制及び,下水道や合併浄化槽の整備などの水質汚濁防止対策などが実施されます。
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環境基準 法規については別ページに掲載。全文は検索サイトからどうぞ。 |
【備考】