たすきがけ
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虹色のたすきを掛けて
(虹色のたすきを掛けて)

 天気予報では、夜半までは雨にならないはずだったのだが・・・。

 その日、僕は自転車で新宿まで出かけていた。午後3時頃には東急ハンズで買い物を済ませ、靖国通りに入って、市ヶ谷方面に走り出した頃、ポツポツと雨粒が落ちてきた。ヘルメット越しに感じる雨に、ぶつぶつと天気予報に文句を言いながら、午前中の強い風でへたった足を惰性で回していた。
 お茶の水で本屋に寄り、少し休憩してから家まで帰ることに。
 国道4号線を北上し、環状7号線を右折。途中で左折して水元公園へ。
 すると、夕方の日差しが復活し、走っている背中から少しまぶしい光が差してくるようになった。
 「これは・・・」
 前方にはまだ雨雲。背後には光。虹が出る条件ではないか!

 ナイスタイミングとはこのことを言うのだろう。
 葛飾橋に平行にかかっている送電線を支える鉄塔に、虹が。
 僕は、虹の本体が鉄塔をたすきがけする角度を探しながら自転車を走らす。鉄塔のほぼ足下近く、民家の塀に自転車を立てかけて、バッグからカメラを取り出した。

 紅白の鉄塔は自分の色を出したくても、徐々に弱くなっていく夕日とともに色が褪せていく。そのかわり、遙か遠くの空にある虹の色の主張が強くなる。
 でも、あっという間にどちらの色も無くなってしまうのだ。
 
東京都葛飾区にて
20030420

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