<旧車シリーズ 821>


DAIHATSU MIDGET (MP5)


 
鋼製の全天候型キャビンと丸ハンドルを採用し、1959年10月に国内デビューを果たした二代目ミゼット(MP2型)は、同年12月に排気量を240ccから305ccに拡大したMP3型となった。翌1960年5月には荷台寸法を拡大し積載性を向上させたMP4型へと進化し、この年の11月には月産8,500台という驚異的な数字をマークする大ヒット作となる。
 そして1962年9月に登場したMP5型は、1971年に生産中止されるまでに8万台以上がこの世に送り出され、ミゼットの完成形ともいえる最終モデルである。MP5型の外観上の特徴は、幌が廃止され完全な鋼板製ルーフとなり、ノーズがより丸みを帯びた形状に変更されたことである。MP4型と寸法を比較すると、全長が85mm、ホイールベースが95mmそれぞれ拡大し、全高が逆に55mm低くなっている。途中、混合ガソリンを必要としない分離給油のオイルマチックを新たに採用したが、販売価格は23.0万円に据え置かれた。
 1969年8月以降の後期版では安全面が強化され、サイドウィンカー/ヘッドレスト/シートベルトが新たに装着され、フロントのウィンカーレンズも大型化された。


 
写真の個体はその昔、家族旅行中にフェリーの出航時間を待っている時、港周辺の商店街で偶然見かけたものです。当時でもナンバー付の軽三輪には滅多に会えなかったので、旅先で遭遇した現役バリバリのミゼットの姿にはかなり興奮を覚えました。こんなに愛嬌のあるクルマで営業するパン屋さん、ちょっと想像しただけで楽しくなりますね。
 MP5の前期型は大きな仕様変更もなく1962年から1969年まで生産されているので、その外観から年式を推定するのはとても困難です。


推定年式:1968
撮影時期:1983年8月
撮影場所:長崎県島原市内にて