<旧車シリーズ 820>


MIZUSHIMA TM6


 
1949年に三菱重工業から企業分割されて生まれた中日本重工業鰍ヘ、1952年に新三菱重工業鰍ニ改称し、岡山の水島製作所で三輪トラック「みずしま」の生産を本格化させる。空冷4サイクル単気筒744ccエンジンを搭載する500kg積みのTM3A型がそのルーツである。みずしまの最大の特徴は、乗り心地の改善を狙い、航空機の降着装置技術を生かした油圧緩衝装置「オリオフォーク」を早くから採用していたことである。
 1952年には新シリーズとして、1トン積みのTM4型が発売された。フロントカウルが大型化され、クオーターウィンドウを新設、制動にはオイルブレーキを採用した。エンジンは866ccのME10型となり、最高出力は15psから21psに向上した。さらに1954年には、ツートーンカラーや2灯式ヘッドライトを採用した上級シリーズ・TM5型が登場する。しかし、セルモーターや4速ミッションなど装備を充実させたTM5型は価格が大幅に上がったため、廉価版として750kg積みのTM6型が同時に用意された。TM3A型に端を発する744ccエンジンと3速ミッション、キック式スタートに単灯式ヘッドライトという実績あるメカニズムで固め、TM5型よりも10万円ほど安い30万円の低価格を実現した。


 
1955年のTM7型から「みずしま号」という名称は「三菱号」に替わりますが、結局1962年には三菱は全てのオート3輪の生産を打ち切ってしまいます。これではあまり馴染みがないのも当然ですね。
 写真の個体には補助席がありませんが、荷台の前端を見ると補助席乗員用と思われる支持バーが残されています。手持ちの参考資料ではTM3型以降の車両には全て補助席が備わっているので、ひょっとしたら車両復元時に省略されたのかもしれませんね・・・。


推定年式:1955
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて