問題6-6-1 解説

(1) 図の上端の距離目盛りから両側拡大速度は, \[ 50\times 10^5\div 1\times 10^6 = 5\ \mathrm{cm/yr}, \] です.片側拡大速度は下端の距離目盛りから, \[ 50\times 10^5\div 2\times 10^6 = 2.5\ \mathrm{cm/yr}, \] となります. \(_A{\bf V}_B\) はプレート A を固定したときのプレート B の移動速度ですので,最初に海嶺にあったアイソクロンが一定時間の間に右と左に分かれて移動した全距離から求めます.よって,両側拡大速度の 5 cm/yr がプレート A と B の相対速度です.

トランスフォーム断層でずれた海嶺による海上縞状地磁気異常の模式図

(2) 地磁気縞状異常によるアイソクロンのパターンは(1)と全く同じで,見掛けの拡大速度は(1)と同じ値となります.

海洋底拡大の方向が海嶺から斜め45°の場合の,海嶺,トランスフォーム断層,海上縞状地磁気異常の模式図
海洋底拡大の見掛けの拡大速度と真の拡大速度

しかし,海底拡大の方向が海嶺に垂直な方向から角度 δ 傾いている場合は,見掛けと真の拡大速度の関係は右図のようになります.よって,プレート A に対するプレート B の移動速度は(1)の両側拡大速度を用いて, \[ _AV_B = \frac{5}{\cos 45°} = 7.07\ \mathrm{cm/yr}. \] 年当たり約 7 cm の相対速度となります.

(3) 海洋底が地磁気方向に磁化を獲得する場所は海嶺ですので,縞状の地磁気異常は常に海嶺に平行になります.従って,磁気異常のパターンは下図のようになります.磁気異常の縞の幅は,海嶺に垂直な方向で測ると,図の下半分では \(\cos 45°\) を掛けた分狭くなります.

途中で折れ曲がる海嶺からの海洋底拡大からの縞状地磁気異常の模式図