ピー・タ・コーン 祭りの日...2


全身を真っ黒に塗り、頭にバナナの葉を巻いた半裸の男たち、そしてだるまのように竹を編んだものに布を張り、なかに人が入るピー・タ・コーン・ヤイ(大きなピー・タ・コーン)と呼ばれる男女一対のおばけがいる。

 

 

ピー・タ・コーン・ヤイには、女性器と男性器が派手につけられていて、ときおり互いの性器をつけ合って、セックスの振りをする。ピー・タ・コーンたちは、手に木製の剣や男性器をかたどったものを持っている。剣型のものも柄の部分は、やはりその形だ。特に男根形のものは、赤く色づけされた先端の亀頭の部分が、手元の操作でピコピコと動くようになっている。これは子孫繁栄を願う象徴であろう。ピー・タ・コーンは、女性にそれを押しつける格好をしておどけてみせる。


仏を先頭に3人の僧、男の土地神様が、竹の神輿に乗って寺へと向かった。ここで土地神様は金紙銀紙に包んだお金を神輿の上からまく。中身は1バーツ(3円ほど)なのだが、必死に奪い合っている。幸運の印なのだ。

 


まっすぐ上がった、たった一本のロケット花火

 

寺の奥、墓地の一角。一番高いこずえに設置された竹の足場に男衆が駆け上がる。先ほど土地神様の乗っていたみこしは、村人によって作られた5メートルほどのロケット花火の束だ。1本ずつ祈りを込め、天に向かって打ち上げられる。豊作を願う雨ごいのロケット花火なのだ。村人は遠巻きに見守っている。10分、20分、なかなか上がらない。いやな予感がした。あの雨だ。あの一瞬の雨だ。花火が、、、。点火できない。一本、また一本と、黒い煙を出すだけでその場から動きすらしない。十数本あった花火も残りが少なくなってゆく。結局、横に飛んでいった1本も含めて2本だけしか上がらなかった。


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