言葉の世界・伝言板 2003年8月



Re:アイヌ語の「桜」

佐藤和美 (2003/08/31 21:19)

Q1: 「」の中の所々で平仮名が使われているのは、どういう違いを表しているのです
 か?

A1: これは知里真志保特有の表記の方法で、アクセント位置を表わします。


Q2: 「茎」というのは、「幹」と解釈して宜しいのでしょうか? それとも、「枝」
 とか「葉柄」とかと解釈した方が?

A2: ここで知里真志保は「ni」を「茎」と訳してますが、「ni」は普通「木」と訳します。「茎」というのは「ni」の強調した訳語のつもりなのでしょう。


Q3: 「アパッポ」という語で網に掛かるのは「チライ・アパッポ(福寿草)」ばかり
 なのですが、「ノンノ」とどういう違いが有るのでしょうか?

A3: 「チライアパッポ」は「チライ」(いとう)が獲れるころ咲く花の意味ですね。
「アパッポ」と「ノンノ」は方言差のようです。『分類アイヌ語辞典・植物編』での語彙採集地点はこうなってます。

アパッポ 《北見・釧路》
ノンノ  《胆振、日高沙流》

チンチ  《千島》
なんてのもありました。


Q4: 桜の樹皮はマキリの鞘・矢筒・手桶の柄を巻くのに使われるとして(漢方のように
 鎮咳剤としても使った?)、茎や花はどういう用途に使われるのでしょう? 「枝を
 水に漬けておくと毒素を吸い取って浄化してくれる」という一節も見かけましたが、
 花の用途は見つかりませんでした。和人と同じように、塩漬けにして食べたりする
 のでしょうか?

A4: 更科源蔵・更科光『コタン生物記』(法政大学出版局)の「エゾヤマザクラ」の項によれば、花の部分は使ってなさそうですね。
この項の冒頭に
「日本では花は桜木などというけれども、昔のコタンの生活にはこの花は何のかかわりあいもなかった。ただこの花の咲く頃にはシカが毛変りして、肉がおいしくなるということに関心があった程度である。」
などと書いています。


>■検索してゆくうちに、「桜皮(かにわ)」と「樺」と karimpa との関連についての
興味深い記事を発見しました。

山田秀三『アイヌ語地名の輪郭』(草風館)に「カリンパの話」という短い文章(6ページ)が載ってます。もし本屋で見かけたら読んでみてください。
その一節から。
「知里さんは言葉を分析する達人だった。カリンパをアイヌ語で実に巧く分解して、それが純アイヌ語である事を説き、だからこれと同音関係の、日本語の「桜皮(カニハ)」、「樺(カバ)」もそれから来たものと思うと書かれた。金田一先生は、このアイヌ語と日本語は同じ、と説かれたが、知里さんは一歩進めて、アイヌ語から日本語に入ったと思うと書かれたのであった。」

「知里さんは一歩進めて、アイヌ語から日本語に入ったと思うと書かれたのであった。」の部分ですが、『分類アイヌ語辞典・植物編』にはこうあります。
「その原義は、kari「まわる」、kari-no「よくまわる」、複数の-paがついて karino-pa、karin-pa、karim-pa「ぐるぐると充分にまわる」となったものである。日本語の「かには」(桜皮)「カバ」(樺)などもそれから来たものと思われる。」


>■元々は「さくら」の語源がアイヌ語に無いかな、と思ってお聞きしました。時に、
アイヌ語では雪の無い季節を sak と呼ぶらしいですが、例えば、「雪の無い季節の
到来を告げるもの」というような線で、「ら」もアイヌ語で解釈できませんかねえ?

アイヌ語の季節ですが、こうなります。
春 パイカ paykar
夏 サ   sak
秋 チュ  cuk
冬 マタ   mata

「sak」には「〜がない」の意味もありますが、「夏sak」が「雪の無い季節」っていうのはやめといたほうがよさそうですね。「paykar」と「cuk」の説明が難しくなりますものね。それに「〜がない」が語頭だと文法的にまずいですね。

アイヌ語「ラ」には「魚の腸にある油」、「葉、出始めの短い蔓」、「下の方、低い所」等の意味があります。
「桜」のこじつけの対象になりそうなのは「葉」だけかな。



re 漢字変換

らにい (2003/08/31 21:13)

>Maniac C.さん
感謝いたします。なかなか面白いですね。
「威爾弟」なら「威爾弟川崎」?

さっきまで『平成教育委員会』観ていましたが、「とんでもございません」とか「確信犯」の意味とか私は知らずに使っていましたね・・・



res: 漢字変換

Maniac C. (2003/08/31 17:28)

>らにいさん
>色々と外来の言葉や名前を漢字に直しているものがでてきましたが、以前出た「チャイコフスキー」「ムソルグスキー」「ストラヴィンスキー」「カバレフスキー」「ドヴォルザーク」はどのようになりますか?
→ざっと「音樂+(作曲家名の英綴り)」の検索で集めてみました。
「チャイコフスキー」…柴高夫斯基・柴可夫斯基・察科夫斯基
「ムソルグスキー」…穆索斯基・穆索尓斯基・穆梭斯基
「ストラヴィンスキー」…史塔温斯基・斯特拉文斯基・史特拉{シ文}斯基
「カバレフスキー」…卡巴烈夫斯基・卡巴列夫斯基
「ドヴォルザーク」…徳佛亞克・徳沃夏克・徳伏夏克・コ弗札克・都伏扎克・コ弗乍克

「VIVA 漢字!中国語で覚えよう大作曲家の名前」
   ↓
http://www.ume.sakura.ne.jp/~juninho/comments/kanji/composers.html



漢字変換

らにい (2003/08/31 15:55)

色々と外来の言葉や名前を漢字に直しているものがでてきましたが、以前出た「チャイコフスキー」「ムソルグスキー」「ストラヴィンスキー」「カバレフスキー」「ドヴォルザーク」はどのようになりますか?

>Koma 高駒麗人さん
ん〜と、ツッコミ大変失礼ですが、「江戸川乱歩」と「コナンドイル」の本が並んでいたのは阿笠(アガサ・クリスティー[Agatha Christie]のもじり)博士の書斎です(^^;)
第1巻参照。



「江戸川コナン」Edogawa Conan>「江戸川柯南」 Jianghuchuan Kenan

Koma 高駒麗人 (2003/08/31 14:32)

訂正:「江戸川柯南」は Jianghuchuan Lenan、→ Jianghuchuan Kenan、

江戸川コナンが使う事務所の書斎には「江戸川乱歩」と「コナンドイル」の本が並んでいたと思います。



素朴な疑問;「連」と「聯」、「集」と「輯」、「座」と「坐」、「作」と「做」

Koma 高駒麗人 (2003/08/31 14:27)

Eva弐号機のアスカ(明日香)はAsukaですが、チャゲ&アスカ(飛鳥)はChage&Askaです。
Asukaだと「アスーカ」と読まれるからでしょうか?

中国大陸では「後」houを「后」に、「雲」yunを「云」にするなど漢字を思い切って少なくしようとしていますが、「連」と「聯」lian、「集」と「輯」ji、「座」と「坐」zuoなどの区別は残しています。「作」zuoと「做」等、一つにしてもよさそうなものです。



音のうつしかた

Koma 高駒麗人 (2003/08/31 14:20)

にれのやさま

胡薩摩耶娃Husamoyewaでなく胡薩耶娃Husayewaでした。Khusaevaで検索した所
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=khusaeva+&lr=
... Education Programme Specialist. Ms. A. Kulumbaeva г-жа А. 17, 14. Film Producer Продюсер
по созданию фильма. Ms. E. Khusaeva г-жа Е. Хусаева. 18, 15. Film
Director Режиссер. Ms. L. Yashchenko г-жа Л. Ященко. 19, 16. ...
www.unesco.kz/education/projects/family_education/ second_meeting/participants.XLS -


>【л, р ともに l で転写する!】よ〜く考えてみると、中国語というのは、L と R が揃っている言語ではないんですね。ある意味で日本語とどっこいということで。

尤里耶夫娜YouliyefunaはJulievnaなのかJur'evnaなのか悩む所です。
http://www.google.com/search?q=julievna&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=zh-CN&lr=
http://www.google.com/search?q=jur'evna&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=zh-CN&lr=

「英語語音入門」(青島出版社Qingdao Chubanshe)
江浙一帯的学生常常混淆[r]和[l]。…例如:把“read[ri:d](讀)”讀成“lead[li:d](領導)”。

>【ко に わざわざ ke を当てたりするのは?】
コースター COASTER>柯斯達 Kesida
コートディヴォワール COTE D'IVOIRE>科特迪瓦 Ketediwa(象牙海岸XiangYa Hai'An)
コカコーラ COCA COLA>可口可楽 Kekou Kele
コニカ Konica > 柯尼[上の下にト] Kenika(康佳 KONKAはこれの真似か?)
コダック Kodak > 柯達 Keda
名探偵コナンCONAN >名偵探 柯南Kenan
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E5%90%8D%E5%81%B5%E6%8E%A2+%E6%9F%AF%E5%8D%97&lr=
(江戸川コナンの名は江戸川乱歩とコナンドイル。Conan Doyleはシナ語で柯南道爾Kenan Dao'Er.
未来少年コナンは高立Gaoliです。

「江戸川乱歩」Edogawa Rampoは本来「エドガー・アラン・ポー」Edgar Allan Poeの捩りですが、
シナ語では「江戸川乱歩」はJianghuchuan Luanbu、
「江戸川柯南」はJianghuchuan Lenan、
Edgar Allan Poeは「埃徳加愛倫坡」Aidejia Ailun Poになります。
「江戸川」とEdgarの関連性がわからなくなります。

> 文献簡介(九)
... 克孜勒蘇柯爾克孜自治州(クズルス・キルギス自治州)等に分布している(中華人民共和國では、国内のキルギス人を「柯爾克孜」と表記し、キルギス共和国の「吉利吉斯」人と区別する)。 かれらについては、かつて ...
http://www.littera.waseda.ac.jp/faculty/akasaka/zousho/bkkki09.html - 16k  [www.littera.waseda.ac.jp から検索 ]

シカゴ Chicago> 芝加哥 Zhijiage
ディスコ DISCO > 的士高 dishigao、迪士科 dishike

ゴーリキ Gor'ky >高爾基 Gao'Erji
ゴルフ golf > 高爾夫 Gao'Erfu

コ、ゴは、ke,geになったり、gaoになったりします。

http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/minzu/16/16.htm



英語語音入門

高駒麗人 (2003/08/31 13:43)

趙政清Zhao Zhengqing主編『英語語音入門An Elementary Course in English Phonetics』(青島出版社2003 6)
[∫]の項目:我国南方学生發[∫]音時、常用漢語[才并]音字母“x”(希的声母)代替[∫],把English讀成“英格里希”(yinggelixi);北方学生發得太重,常用漢語[才并]音字母“sh”(詩的声母)代替[∫],把English讀成“英格里詩”(yinggelishi)。這些都是不対的。糾正方法如下:@發音時,可以从sh的發音部位出發,舌尖略向前伸,双唇向前突出,然后送气,便可發出[∫]音。A[∫]介於漢語普通話的“詩”与“希”両音中間稍偏“詩”這辺。
しかし、多くの中国人教師は∫を漢語のshと同じだと言い、日本人の中文教師は漢語xiを日本語のシと同じだと言い、中国で出ている言語学の本等ではロシア語のШを英語のEnglishのshと同様∫で表記しています。

[t∫][dろ]
發這両個音時、往往容易産生両個極端:一是我国南方学生發得太軽、使之別成為“气(qi)”和“几(ji)”音;二是我国北方学生發得太重、使之別成為“吃(chi)”和“知(zhi)”音。
[口の下に力ling]外、西安市霸橋区及寧波市区有些学生,
發[t∫]音時給其后加了[r]音,从而導致
把teacher一詞讀成[ti:t∫r{e逆さ}]
更有甚者,干脆讀成了[ti:tr{e逆さ}]

ほかに北京、河南、陝西関中、普南ではvとwを区別できず、“娃娃”wawaをvava、“very well[veri wel]”を[veri vel]と発音するといった「誤り」が指摘されています。



res: アイヌ語の「桜」

Maniac C. (2003/08/31 13:35)

>管理人様
早速のご回答、有難う存じます。

>アイヌに於ては、木や草の部分部分の名は存在するけれども、その木全体を表わす名称は、もともと存在しなかったのである。
→へえぇーっ! 何て実用的な言語なんだろう、と感動しました。

■記述を見ていて、いくつか質問が沸いてきたのですが。
Q1: 「」の中の所々で平仮名が使われているのは、どういう違いを表しているのです
 か?
Q2: 「茎」というのは、「幹」と解釈して宜しいのでしょうか? それとも、「枝」
 とか「葉柄」とかと解釈した方が?
Q3: 「アパッポ」という語で網に掛かるのは「チライ・アパッポ(福寿草)」ばかり
 なのですが、「ノンノ」とどういう違いが有るのでしょうか?
Q4: 桜の樹皮はマキリの鞘・矢筒・手桶の柄を巻くのに使われるとして(漢方のように
 鎮咳剤としても使った?)、茎や花はどういう用途に使われるのでしょう? 「枝を
 水に漬けておくと毒素を吸い取って浄化してくれる」という一節も見かけましたが、
 花の用途は見つかりませんでした。和人と同じように、塩漬けにして食べたりする
 のでしょうか?

■検索してゆくうちに、「桜皮(かにわ)」と「樺」と karimpa との関連についての
興味深い記事を発見しました。
 www.hana.or.jp/hana/8/html/body_tabi4.html
 www.town.kakunodate.akita.jp/densyo/tengi-kakudenko/kaba-gogen.htm

■元々は「さくら」の語源がアイヌ語に無いかな、と思ってお聞きしました。時に、
アイヌ語では雪の無い季節を sak と呼ぶらしいですが、例えば、「雪の無い季節の
到来を告げるもの」というような線で、「ら」もアイヌ語で解釈できませんかねえ?



返信 日本人の俳優の外語台詞

高駒麗人 (2003/08/31 13:27)

辻本裕幸 慈吉莫図 ジキッバット様
>高駒麗人先生給我回信我非常高興!謝謝[イ尓]ni教我這麼多知識。我元来不知道日本明星也説漢語。
お役に立てて光栄です。沢田研二は「とても訛った中国語でしょうが」と謙遜していましたがなかなか上手かった。富田靖子が中国語の台詞でクチパクというのも別に批判することではないと思います。緒方拳が『おろしや國醉夢譚』でロシア語を上手に話していたのは見事でした。『大地の子』で陸一心を演じた青年が短期間で漢語をあれほど流暢にマスターしたのは驚きです。
外語をマスターするには歌手や俳優になったつもりでやるほうがいいのかも。

廣東語の「十」sap等のsは中国の言語学者の記述では∫ですが、私にはsに聞こえます。
中国人が英語やロシア語を話すと、shelfish(貝)をselfish(利己的)と発音したり、ロシア語の
Ш(sh[∫])をС(s)にしたりするようです。



RE:健康

らにい (2003/08/31 12:41)

>Maniac C.さん
なるほどそうですか。忝うございます(笑)



アイヌ語の「桜」

佐藤和美 (2003/08/31 11:41)

Maniac C.さん
>アイヌ語では桜(蝦夷山桜?)は何と言うのでしょうか?

以下、知里真志保『分類アイヌ語辞典・植物編』によります。
(引用者が仮名遣い・漢字字体を変更しています。)

まずは予備知識から。
「実を云えば、アイヌ語に於ては、厳密な意味では、木の名も草の名も存在しないのである。こう云えば、恐らく、何を馬鹿な、と思う人が多いであろう。もしアイヌ語に木の名も草の名も存在しないならば、従来の学者は総べて虚構を書いていたということになる。−−事実、そうだったのである。アイヌに於ては、木や草の部分部分の名は存在するけれども、その木全体を表わす名称は、もともと存在しなかったのである。」


シロザクラ ミヤマザクラ
 retar-kurumpani「レた・カルンパニ」茎《阿寒》

エゾヤマザクラ オオヤマザクラ
(1) karimpa「カりンパ」桜皮《胆振、日高沙流》
(2) karimpa-ni「カりンパニ」[桜皮の・木]茎《長万部、虻田、室蘭、幌別、白老、穂別、平取、千歳、名寄》
(3) karimpani-epuyke「カりンパニ・エプイケ」[桜皮のとれる木の果実]果実《幌別》
(4) karumpa「カるンパ」[<karimpa]桜皮《名寄》
(5) karumpa-ni「カるンパニ」[桜皮の・木]茎《美幌、屈斜路、足寄、阿寒》
(6) karumpa-o-ni「カるンパオニ」[karumpa(桜皮)o(ついている)ni(木)] 茎《足寄》
(7) karumpa-un-ni「カるンパ・ウン・ニ」[karumpa(桜皮)un(ついている)ni(木)]茎《足寄》
(8) karumpani-apappo「カるンパニ・アパッポ」[桜木の・花]花《美幌》

エゾノウワミズザクラ
(1) kikinni「キきンニ」[kiki(身代わりに出て危険を追っぱらうもの)ne(になる)ni(木)]茎《北海道、樺太》
(2) kikin「キきン」果実《名寄》



re 恋

きしろふ (2003/08/31 09:20)

>佐藤和美様
>「いとし、いとしと、いう心」
「それをいっちゃあ、おしめぇ〜よ〜」(ただ、言いたかっただけ ^^;;)



朝鮮語と中国語

辻本裕幸 (2003/08/31 08:40)

中国語のeの音と、朝鮮語のeoの音は同じ音だと言えるのでしょうか?



土耳古桔梗 と 文庫クセジュ

にれのや (2003/08/31 02:18)

■ガスパヂーン Maniac C. バリショーエ・ヴァム・スパシーバ。
ああ、代わりに調べてくれる人がいるとラクデス。
□花を一見しての印象ですが 1 のターバン説は納得できます。確かに蕾を見たときに、トルコ人の頭、を連想しました。かなり似てます。
■それと、きょう、教会スラヴ語の辞典を見てきました。
【моусоургъ】художник, артист.
とありました。【musurgu】[ムスルグゥ] ですね。ムソルグゥではない。アクセントの表示がない。アクセント位置不明の語、という意味です。語義は、「画家、俳優」 と訳してしまっては、誤訳です。フドージニックもアルチーストも、「芸術家」 です。「作品をつくって提示する芸術家」 が художник フドージニックで、「人前で作品をパフォームしてみせる芸術家」 が артист アルチーストです。要するに、「芸術家全般」 ということですね。とくに、「音楽家」 музыкант ではないようです。
 教会スラヴ語の辞典を買いたいなあ、と思いつつも、その値段に断念。2巻組みで7万5千円。
■佐藤さん。文庫クセジュについては、原書と比べたことがないのでなんとも言えませんが、
     【意味の取れない文章が多い】
のは確かです。「意味が取れない」、「取りにくい」 というのは、それだけで 「誤訳」 と言っても差し支えないと思います。全体的に、翻訳者の質は低そうです。



レー トルコキキョウ、鬱金香、桜、健康

Maniac C. (2003/08/31 01:42)

>にれのや師匠
>トルコキキョウ=米国南部原産。リンドウ科
→和名の由来を検索してみました。4説在るようです。
1.ターバン説(『農作物百貨』など大多数)
 「つぼみの形がトルコ人のターバンのようで、咲き方がキキョウに似ているため」
 http://www.ja-shizuoka.or.jp/enchu/h021203-1.html
2.モスク説(少数)
 「つぼみの形が イスラム教の教会(モスク)に似ているから」
 https://www.i879.com/hana_j/8.html
 http://www.bekkoame.ne.jp/~burgundy/doc/flowers.html
 http://www.bekkoame.ne.jp/~burgundy/doc/flowers.html
3.トルコ石説(少数)
 「トルコ石や地中海の色を思わせるエキゾチックな花色とキキョウのような花形を
 持つことから」
 http://www.janis.or.jp/users/atantan/eustoma.html
 http://macha924.fc2web.com/torukokikyo.htm
4.トルコ=外国説(少数)
 「外国から来たのでトルコの冠詞がついた」
 「外国から入ってきたという意味からトルコ」
 http://www.rakuten.co.jp/sakaue/412134/
 http://www.gentei.org/~kazumi/hana-shiki/torukokikyou.htm
 http://www.yamagata.nmai.org/umaimono/hana/toruko.html

■トルコ、ターバン、と来れば、鬱金香ですが、原産地の土耳古語や亜剌比亜語では
la^le と言うので、欧州に紹介したビュズベックが誤解したという説が有名ですが、
蘭語の“turklip(トルコ人の唇)”に由来する、という説とその変形を見かけました。
 http://www.geocities.co.jp/Milano-Aoyama/ 5019/turkey-flower.htm
 http://www.ne.jp/asahi/himeno/yoji/tulip.html

■桜、トルコキキョウ、鬱金香と、花づいていますが、アイヌ語では桜(蝦夷山桜?)は
何と言うのでしょうか?

>らにいさん
>英語の「health」は古英語「hal」からともギリシャ語「holos」からとも
→「2つ目」のHPが誤っています。
■「1つ目」のHPに有るとおり、英語の health は、印欧祖語の *kailo- に遡るの
ですが、これに対応する希臘語は khai^re「御機嫌よう」です。
■希臘語では「健康」は hygei´a¯ と言います(蛇使い座になったアスクレーピオス
の娘の名でもあります)が、これは「良く生きる」の意味です。
■一方、希臘語の ho´los は印欧祖語の *sol@- に遡り、これに由来する英単語は
safe などです。
■上記のように、英語 health と希臘語 ho´los との間には直接の関係は有りません。



Re:『印欧語』

佐藤和美 (2003/08/30 23:04)

自己レスです。
自分で書き込んで忘れてました。

「印欧語」佐藤和美 (2002/07/28 12:31)



re 犬

らにい (2003/08/30 21:25)

>管理人様
分かりました。ありがとうございます。

いつぞやの番組で「健康」の語源を喋っていたのを思い出しました。
 ○「健康」は、中国の古典「易経」にある「健体康心」から。すなわち、体が健やかで心が安らかな状態を意味する。日本では明治時代、「health」の訳として使われたのが初めて。
  英語の「health」は古英語「hal」からともギリシャ語「holos」からとも(とちらも「完全な」という意味がある)いわれている。
検索でも色々とヒットしまして、(自分なりに)まとめるとこうなりますかね?
以下3つのページを参考にしました。(上から)1つ目のは「健康」の語源などについてかなり詳しく書いてあります。2つ目のは他に「ホスピタル」「セラピー」「ナース」などの語源も書いてあります。3つ目のは「健体康心」のことが載っていたページです。

http://www.nagano-nurs.ac.jp/kiyou/image4/4-10.PDF
http://www.health-industry-news.co.jp/media/Medical/bn/medical0007/0707.htm

http://www.fuanclinic.com/byouki/vol_22c.htm



『印欧語』

佐藤和美 (2003/08/30 19:48)

文庫クセジュの『印欧語』
以前、2chで誤訳が多いっていう投稿を見かけたけど、どうなんだろう?



ありがとうございました☆

apple* (2003/08/30 19:28)

佐藤さん、ありがとうございました。
目下・目上の人で使う言葉も違ってくるのですね。
勉強になりました!!
本当にありがとうございました。



Re:ありがとう

佐藤和美 (2003/08/30 19:20)

数日前にも書き込みましたが、
↓ここで簡単に検索できますよ。

琉球大学「琉球語音声データベース」
http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/

「ありがとう」で検索するとこうなりました。

カフーシ /kahuusi/

意味:
ありがとう。目下への感謝の語。目上へはニフェー デービル nihwee deebiruという。
(F)カフーシ シービチクトー アラニ。kahuusi siibicii kutoo arani.感謝すべきことではないか。
カフーシ ヤタサ。kahuusi 'jatasa.ありがとうございました。
(F)タルダシ ムッチ ゥンジ トゥラチ カフーシドー。tarudasi muQci Nzi turaci kahuusidoo.頼んだものを持っていってくれてありがとう。



はじめまして(^-^*)

apple* (2003/08/30 19:04)

はじめまして☆appleといいます。
突然、こんな質問で恥ずかしいのですが、
「ありがとう」は沖縄の方言では何と言うのでしょうか??
どなたかわかりましたら、私に教えてください(>_>_<)
お願いします。



Re: 恋

佐藤和美 (2003/08/30 18:55)

寅さんならこう言う?
「いとし、いとしと、いう心」



Re:『地名の世界地図』ネタ追加

佐藤和美 (2003/08/30 18:54)

松茸さん
> あ、それから、「米領バージン諸島」は元デンマーク領でいいみたいです。(^^;

あー、そうなんですか、早速、修正しなくちゃ。
本来なら複数の資料で確認しないとダメなんでしょうねぇ。
参考資料にしてる『世界史事典』(旺文社)、『コンサイス外国地名事典』(三省堂)、にも間違いは含まれるので、個人的に間違い点を一覧にしようかなとか思いはじめてしまいました。
ちなみに『コンサイス外国地名事典』にはところどころに地名の語源が載ってるんですが、言葉が中心の本じゃないからこんなもんか、とか感じてます。



Re: 犬

佐藤和美 (2003/08/30 18:51)

一年前の過去ログ(2002/08)に「ポチ」に関していろいろ書き込みがあります。
読んでみてください。



トルコキキョウ他のぼやき

にれのや (2003/08/30 04:54)

■きょう、トルコキキョウを買ってきまして、「花屋さんの花がわかる本」 を開いてみて大笑い。
   トルコキキョウ=米国南部原産。リンドウ科。
二重詐称ですよ。世の中、こういう名前の詐称というのは、よくありますねえ。まあ、綺麗な花ですけど……。
■夜中は、のんびり、世界陸上でも見て……というわけにはいきません。名前がヘンなのが気になって…… Zhanna がザンナねえ。



印欧語 および スタン

にれのや (2003/08/30 03:43)

■Maniac C.どの。バリショイ・サンキュー。
わざわざ、引用していただいて、註までつけていただいて…… いやいや。でも、やっぱりよくわからない。やっぱり、書店で注文して、1ページ目から勉強します。白水社のHPで見ると、品切れではないようだ。
 しかし、不思議に思うことは、印欧語について、日本人が書いた入門書がまったく見当たらないことである。日本には、エキスパートがいないのかしらん?
■〜スタンについて。
きのうの、もと、ソ連邦のスタン系共和国の書き込みについて。[?] とした国名の発音が判明しました。ロシア語では、-ия がロシア語的な接尾辞であり、-(и)стан がチュルク・ペルシャ的な接尾辞です。
     (1) -ия (-ija) アクセントは語幹のアクセントの位置をたもつ。ロシア語的響きのある地名。
     (2) -(и)стан (-(i)stan) アクセントはつねに -стан にある。チュルク語的・ペルシャ語的な響きのある地名。
■ -ия vs -стан。Cグループの国名について、ロシアの検索エンジンで、どちらの語尾が多いか多数決をとってみました。
     (1)カザフ
Казахстан 1,699,656 (99.98%) |||||||||||
Казахия    310 (0.018%)
Казахистан 12 (0.0007%)

     (2)ウズベク
Узбекистан 818,920 (99.88%) ||||||||||
Узбекия    858 (0.1%)
Узбекстан 115 (0.014%)
     (3)トルクメン
Туркменистан 466,060 (73.2%) |||||||
Туркмения    170,116 (26.7%) |||
Туркменстан 111 (0.017%)
     (4)タジク
Таджикистан 563,356 (99.5%) ||||||||||
Таджикия     2,917 (0.52%)
Таджикстан  90 (0.016%)
     (5)キルギス
Киргизстан 56,185 (14.4%) |
Киргизия    334,051 (85.6%) |||||||||
Киргизистан 196 (0.05%)
 意外なことに、キルギスに関しては、Киргизия キルギジヤが、圧倒的に優位でした。また、トルクメンについても、Туркмения トルクメニヤが、かなり使用されています。
■ -(i)stan の語源。
また、-(и)стан の語源についてですが、あたしの知る限りでは、これはペルシャ語の接尾辞
     -esta:n, -sta:n
だと思います。ペルシャ語では、これは 「場所」 を表す接尾辞で、「国名」、「地域名」 などを派生することもできますが、単純に
     gol (バラ) → golesta:n (バラ園)
のように、普通の場所を表す名詞もつくり出すことができます。今いちど、地図を開いて、-(i)stan のつく地名を拾ってみてください。イランを中心に広がっているのがわかります。
■アゼルバイジャンのソ連邦時代のアゼルバイジャン語の呼称がわかりました。
     通称 Аз{еの逆さ}рбаjч{Uの底の部分を|でチェックした文字}ан
     正式名称 上記に ССР をつける
■以上、スタンばなしでした。



辻本裕幸 慈吉莫図 ジキッバット

広東語について (2003/08/29 13:05)

高句麗人先生給我回信我非常高興!謝謝ni教我這me多知識。我元来不知道日本明星也説漢語。最近ZO先生来得不多。為什me?
コークリジンセンセー キューガカイシン ガヒジョーコーキョー!シャシャジ キューガシャモタチシッ。ガゲンライフシドー ニッポンミョージョー ヤセッカンゴ。サイキンZOセンセー ライトッフタ。イジューモ?
 しかし私は気づいたのですが、他地方の人が広東語を話すときはz、c、sの発音をことさらツツスの音で強調して発音していませんか?現地人はそこまでツツスじゃなくて、時によってチャチャ、シャに近く発音することも多い。しかし他地方の人はそりじた音と完全に分離したいためにことさら、ツツスと強調して発音しているんではないか?私もそうだけど。
 我継続学普通話和広州話。親愛的朋友men以後也請多多幇我学習。好ma?
ガケーゾッガッフツーワ ワコーシューワ。シンアイテッホーユーモン イゴヤ セータタホー ガガッシュー。コーバ?



+r+o+s

Maniac C. (2003/08/29 03:53)

>にれのや師匠
>+r+o+s の説明は、すんまそん、わかりません。

■文庫クセジュ841の『印欧語』pp.75-6より、接尾辞 *-er- の部分を転載。
少しでもお役に立てれば。

これは *(s)up-er「の上に(フランス語 sur)」(ヴェーダ語 upari, ギリシア語
u´ter, ラテン語 super, *(s)upo「の下に」の反意語)のような不変化詞にしか文証
されない. 親族名詞 *pHte´r は不可分語である。混合活用の古い接尾辞 *-er- の
役割については, p.55 を参照のこと.(引用者註: p.57のこと。「古い処格の意味価値
を持つ後置詞であり」とする自説を指しているものと思われる。)
 *-ro- をもつ一次形容詞で可変母音, 接尾辞音調, “能動あるいは中受動”の意の
語形成は, この接尾辞形の母音幹対応語になる.例.*bheid-「噛む」〔英語 bite〕
から *bhoyd-ro´- (ゴート語 baitrs「苦い」), *bhid-ro´- (古高ドイツ語 bittar
「苦い」〔英語 bitter〕)ができ, 能動の意味では, *keyt-〔中受〕「区別, 分別する」
から *koyt-ro´- (古高ドイツ語 heitar), *kit-ro´- (ヴェーダ語 citra´)「輝く」
ができている.いくつかの代表的な例が, その語基の処格的な意味を保持している.
例 *ud-ro´- 「水の」(元は udr- o´-, p.67). (引用者註: p.70のこと。「接尾辞
*-o- はまた, 二つの二次的形態をつくる. …属性および場所の形容詞: *udor- 『水』
>* udr- o´- 『水の』.」の部分を指す。)

■*-o- は語幹形成母音ではなかったみたいですね…。m(_ _)m

>例の辞書検索システムは 「やばい」 ですね。すげえ 「やばい」。
→はまってしまいそうなぐらい「やばい」ですか? (^o^)



中央アジアの〜スタンについて2

にれのや (2003/08/29 03:15)

【Bグループ】
(10) アゼルバイジャン・ソヴィエト社会主義共和国
  Азербайджанская ССР
   азербайджанский アゼルバイジャン人の
→アゼルバイジャン Азербайджан [アジェルバイッ 'ぢゃヌ]
→(アゼルバイジャニヤ) Азербайджания [?]
●日本語国名≒ロシア語口語国名
●ロシア語口語国名=民族名、もしくは民族名+ия

【Cグループ】
(11) カザフ・ソヴィエト社会主義共和国
  Казахская ССР
   казахский カザフ人の
→カザフ φ
→カザフスタン Казахстан [カザふス 'タヌ]
→(カザヒヤ) Казахия [?]
(12) ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国
  Узбекская ССР
   узбекский ウズベク人の
→ウズベク φ
→ウズベキスタン Узбекистан [ウズビェキス 'タヌ]
→(ウズベキヤ) Узбекия [?]
(13) トルクメン・ソヴィエト社会主義共和国
  Туркменская ССР
   туркменский トルクメン人の
→トルクメン φ
→トルクメニスタン Туркменистан [トゥルクミェニス 'タヌ]
→(トルクメニヤ) Туркмения [?]
(14) タジク・ソヴィエト社会主義共和国
  Таджикская ССР
   таджикский タジク人の
→タジク φ
→タジキスタン Таджикистан [タッぢキス 'タヌ]
→(タジキヤ) [まれ] Таджикия [?]
(15) キルギス・ソヴィエト社会主義共和国
  Киргизская ССР [発音は -гисск-]
   киргизский キルギス人の
→キルギス φ
→(キルギジヤ) Киргизия [?]
→キルギスタン Киргизстан [キルギス 'タヌ]
●日本語国名≠ロシア語口語国名
●ロシア語口語国名=民族名+ия または +стан

■松茸さんが問題にしているのは、【Cグループ】ですね。ソ連邦時代にも、いちいち 「なんたらかんたらССР(エスエスエル)」 なんて面倒で言いませんから、口語では 〜стан, 〜ия で済ませていたはずです。
 アゼルバイジャンは、昔も今も、アゼルバイジャニスタンとは言いません。他の中央アジアの国は、みな、〜スタンと呼んでいましたが、キルギスだけは、キルギジヤのほうがよく使われていたように思います。もっとも、現在のキルギスの正式名称は Кыргызстан ですが。
 中央アジアの国々の名前に стан がついていなかったのは
     【日本語の問題です】
ロシア語とは関係ありません。



中央アジアの〜スタンについて1

にれのや (2003/08/29 03:14)

【стан について】
■松茸さま。以下にソ連邦時代の15共和国の 「正式名称」 と 「口語の略称」 をあげてみます。
各項目の構成は
(0) 日本語の正式名称
  ロシア語の正式名称
   その国の主要民族の民族名の形容詞
→日本語の口語略称  ロシア語の口語略称

【Aグループ】
(1) ロシア・ソヴィエト連邦社会主義共和国
  Российская СФСР
   русский (Российский は 「ロシアの」)
→ ロシア Россия [ラッ 'シーヤ]
(2) エストニア・ソヴィエト社会主義共和国
  Эстонская ССР
   эстонский エストニア人の
→エストニア Эстония [エス 'トーニヤ]
(3) ラトヴィア・ソヴィエト社会主義共和国
  Латвийская ССР
   латвийский ラトヴィア人の
→ラトヴィア Латвия [ 'らートヴィヤ]
(4) リトアニア・ソヴィエト社会主義共和国
  Литовская ССР
   литовский リトアニア人の
→リトアニア Литва [りト 'ヴァー]
(5) ベロルシア・ソヴィエト社会主義共和国
  Белорусская ССР
   белорусский ベロルシア人の
→ベロルシア (白ロシア) Белоруссия [ビェら 'ルッシヤ]
(6) ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国
  Украинская ССР
   украинский ウクライナ人の
→ウクライナ Украина [ウクラ 'イーナ]
(7) モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国
  Молдавская ССР
   молдаванский モルダヴィア人の
→モルダヴィア Молдавия [マる 'ダーヴィヤ]
(8) グルジア・ソヴィエト社会主義共和国
  Грузинская ССР
   грузинский グルジア人の
→グルジア Грузия [グ 'ルージヤ]
(9) アルメニア・ソヴィエト社会主義共和国
  Армянская ССР
   армянский アルメニア人の
→アルメニア Армения [アル 'ミェーニヤ]
●日本語国名=ロシア語口語国名
●ロシア語口語国名≒民族名+ия



re 犬

らにい (2003/08/28 23:29)

>ロスケさん
色々とありがとうございます。
「Yahoo!」でも「Fido Spot Rover」で検索したらわんさかヒットしました(^^)
ちなみに「ポチ」ネタはNHKハイビジョンでやっていた『いぬ大百科』とかなんとかからです。



『地名の世界地図』ネタ追加 (2)

松茸 (2003/08/28 23:27)

p.243上段 ブラチスラバ:
「十世紀のボヘミア王ブラチスラウスの名にちなむ。[中略]一六世紀半ば〜一八世紀、オスマン・トルコ帝国の支配下にあったとき、代理首都として繁栄。」
……「十世紀の」ヴラティスラフ一世は、「ボヘミア公」であって「ボヘミア王」ではない。
http://www-personal.umich.edu/~imladjov/BohemianRulers.htm
 また、ブラティスラヴァがオスマン帝国に支配されたことはない。「一六世紀半ばにブダペストがオスマン帝国に支配されてから、一八世紀末まで、ハンガリー王国の代理首都として繁栄」のつもりだろう。

p.248上段 マケドニア Republic of Macedonia:
……正式国名は「マケドニア旧ユーゴ(ー)スラヴィア共和国」(Former Yugoslav Republic of Macedonia) である:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/macedonia/kankei.html

p.263下段 インド:
「大叙事詩『マハー・バーラタ(偉大なるバーラタ王)』」
……切らずに『マハーバーラタ』とするのが普通。
 「バーラタ王」ではなく「バーラタ族」ではないか?

p.280上段 ヤウンデ Yaounde:
「現地の言葉エフォンド語で「落花生」。」
……アクサンテギュを使って"Yaounde´"とすべきだろう。
 「エフォンド語」は「エウォンド語(Ewondo 他異綴り多し)」の誤記か?

p.281下段 ヤムスクロ:
「初代大統領ウウェ・ボワニ大統領の伯母が住んでいたので、ヤムスクロ「伯母の村」とよばれ、それがそのまま地名になった。」
……"Houphoue:t-Boigny"(:は分音記号の代用)のカナ表記は「ウフエ=ボワニ」だろう。
 「大統領」が重複している。
http://mapage.cybercable.fr/afy/Histoire/genese.htm
によれば、"Yamoussou"は、ウフエ=ボアニの*大おば*の実名である。

* 質問です:
p.164:
「カザフスタン[中略]などは、もともとは「〜スタン」という接尾辞をもっていたのである。
 しかし[中略]アフガニスタン、パキスタンといったイスラム教徒の国があったため、ソビエトは[中略]あえて「スタン」を省略させ、カザフ共和国、ウズベク共和国とさせたのである。」
……旧ソ連では(建前上は)ロシア語が連邦の単一公用語だったわけではないので、各共和国の民族語での公式自称がどうだったかを言わないと意味がないはずですが、当時の資料はちょっと調べがつきません。
 詳しい方、ご教示願います。m(_ _)m

 あ、それから、「米領バージン諸島」は元デンマーク領でいいみたいです。(^^;
http://www.vinow.com/general_usvi/history/index.php



『地名の世界地図』ネタ追加

松茸 (2003/08/28 23:26)

 第十三刷を使用しました。最新刷では直っているかもしれませんが、ご容赦。

p.21:
「トロイア Troia は、ギリシア人が[中略]名づけたものだ。現在ではベルガマ Bergama とよばれるこの町の郊外には」
……トロイア遺跡からベルガマまでは直線距離で100km以上ある。

p.82:
「クイビシェフ(国家計画委員会委員長)→サマラクイビシェフカ→スボボドヌイ」
……旧「クイビシェフ」は現在「サマラ」。「サマラ-クイビシェフカ」と称した事実は確認できず。「スヴォボドヌィ」に至っては絶句(宇宙基地と間違えている?)。

p.96:
「現在のアメリカにあるプエルト・リコ」
……現在のプエルト・リコはアメリカ合衆国の一部(自治領)なので、間違いではないが……。

p.104:
「オランダ人[中略]はオーストラリアの西岸に上陸し、そこをニューオランダと名づけた。」
……「ニューオランダ」とは何語?
# 「ニュー」も「オランダ」も日本語の形態素とはいえるが
# 地名の訳語に使うのは慣用に反するのでは?

p.104:
「オランダ南部の町ゼーランド Zeeland (海の地)にちなんで、ニューゼーランド Nieuw Zeeland と名づけた。」
……ゼーラントは「町」ではなく「地方」である。
 やかましく言えば、オランダ語の音写は「ニーウ・ゼーラント」だろう。

p.104:
「一八世紀半ばには、大陸の名も古代の伝説の地名を復活させてオーストラリアになった」
p.292下段 オーストラリア:
「一八〇一年に地図を製作していた英国人マティウ・フリンダースがこの名[=オーストラリア。引用者註]をイギリス海軍省に提案した。」
……「一八世紀半ば」に「復活」した名を、改めて「一八〇一年」に提案したのか?
 英語の男性名"Matthew"は「マシュー」だろう。

p.118:
「金剛山[中略]最高峰の毘廬峰」
……漢字表記は「毘盧峰」ではないか?

p.127:
「内モンゴル自治区のフホホトは、[中略]明代に漢族に征服され「帰化城{クイホア}」と改名されて中国に組み込まれた。」
……そのような事実はない。
# アルタンハンの時代は、いわゆる「北虜南倭」で、明は守勢に立っていたはず。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/2887/altan.html

(続く)



「恋」

きしろふ (2003/08/28 23:24)

本日の『笑っていいとも!』でタモリ氏は「恋」の成り立ちについて話していました。
要約しますと・・・
 ○「恋」の「亦」の「亠」はフタを表し、下の4つは炎を表している。「心」は文字通り「こころ(心臓)」を表していて、「燃え盛る心にフタをする」要するに「相手に伝えたいことを自分で抑える」ということが「恋」である。
雑学に造詣の深いタモリ氏ですが、このことは本当でしょうか?
そしたら、「恋」の旧字体「戀」はどういう成り立ちになりますか?



Re: 犬

ロスケ (2003/08/28 22:30)

>らにいさん

> 「ポチ」は「まだら」を意味する「spotty」が訛って、そして「spotty」が名前
>だと勘違いされて「ポチ」が広まったといいます。

ええとですね、半世紀前までのアメリカでは犬の名前といえば「Fido」「Spot」「Rover」が代表的だったようです。
下のサイト以外に「Fido Spot Rover」で検索するとたくさんヒットします。

http://www.google.co.jp/search?q=cache:waJ9UShgtxoJ:myanmartimes.ofmyanmar.com/myanmartimes3-60/Timeouts/Dog.htm+fido+spot+rover+dog+name&hl=ja&ie=UTF-8



re:櫻

鴛鴦 (2003/08/28 13:08)

>高駒麗人KOMAさん
「櫻桃小丸子」ですか。
「櫻桃子」とかけあわせて「さくらももこの少女時代」ということですか?
>「すぱしーば」
某漫画のキャラがよく使っています(笑)





らにい (2003/08/28 13:07)

以前、テレビ番組で犬の名前としてよく知られている(想像できる)「ポチ」の語源を説明していたのがありました。
「ポチ」は「まだら」を意味する「spotty」が訛って、そして「spotty」が名前だと勘違いされて「ポチ」が広まったといいます。
明治後期あたりから使われるようになってきたようで、実際、明治11年発行の絵本『花咲ぢゞ』には「いぬ」としか書いていません。明治43年に童謡『花咲ぢぢい』に初めて「ぽち」という名がでてきます。



カルロヴィ・ヴァリ、カルル4世発見説について、他もろもろ

にれのや (2003/08/28 02:24)

■Koma さま。ロシア語固有名詞の中国語表記について、初めてじっくりと考えてみるに、奇妙に思える点、「ははあ」 と納得した点、いろいろありました。
     【л, р ともに l で転写する!】
よ〜く考えてみると、中国語というのは、L と R が揃っている言語ではないんですね。ある意味で日本語とどっこいということで。
     【г をわざわざ ji- で転写する!】
     【そういえば、中国語には v がなかった】
笑えた点もあります。
     【音によっては、女性用の文字、男性用の文字が用意されている】
なぞもあります。
     【ко に わざわざ ke を当てたりするのは?】
じっくり取り組んでみると、それぞれの言語の音声のクセ、および、その理由がわかってくるような気がします。
■Maniac C. さま。
【var】についてはいったん判断停止といたしましょう。ロシア語の例のバカでかい語源辞典には、вар が掲載されていません。現代ロシア語では、廃語のような状態なので仕方がないか。
【カルロヴィ・ヴァリ】については続報あります。ロシアのサイトにカルロヴィ・ヴァリの歴史を詳述したものがありました。↓
http://www.karlsbad.ru/history-karlsbad/history-karlsbad-37.html
かいつまみますと、
     【カルル(カレル)4世が、鹿狩りに出かけて、偶然、温泉を見つけた】
というのは、伝説に過ぎないとのこと。考古学的な発掘により、それより、はるか以前に、カルロヴィ・ヴァリの地に拠点をおいた人々がいたことがわかっているとのことです。この 「間歇熱泉 гейзер の町」 が、最初に文書に現れるのは、1370年8月14日のもので、カルル4世が、現在自分が逗留しているカルロヴィ・ヴァリの町に、本来の王宮の町、ロケット Loket と同等の自由と権利を与える、という勅令だとのこと。
■+r+o+s の説明は、すんまそん、わかりません。文庫クセジュ841の『印欧語』あったら買はむとぞ、思っておるのですが、「置いてませんねえ」。注文すりゃあいいんですが。
 mir の件は Oчень спасибо です。(←つっこまんで笑ってくらさい)。例の辞書検索システムは 「やばい」 ですね。すげえ 「やばい」。



櫻桃子(sakura momoko)

高駒麗人KOMA (2003/08/27 23:57)

http://sunshines.myrice.com/carton/wz-intro.htm
◇偶像(まる子チャンの好きなアイドル)
淡谷法子(淡谷のり子)、Kings、山本琳達(山本リンダ)、西木之明(にしきのあきら)、五指合唱団(フィンガーファイブ)、天地真理、山口百恵、叮当(ドラえもん)



「櫻桃小丸子」Yingtao Xiaowanzi

高駒麗人KOMA (2003/08/27 23:50)

にれのやさま
ロシア人名&資料についてご教授すぱしーば。
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=julievna+&lr=
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=jur'evna&lr=
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=kalina&lr=
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=galina&lr=
http://www.google.com/search?hl=zh-CN&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=valintinovich&lr=
つづりを類推して検索していました。

鴛鴦さんへ
「ちびまるこちゃん」は中国では「櫻桃小丸子」Yingtao Xiaowanziです。
www.geocities.com/hkling.geo/ - 10k -
http://fashion.cycnet.com/fashion/zhuan/yingtao/
http://www.only.net.cn/xwz/

http://sunshines.myrice.com/carton/wz-intro.htm





佐藤和美 (2003/08/27 15:40)

車寅次郎の言葉
「二階の女が気にかかる」



脱ぐ

ヒロキ (2003/08/27 15:02)

 沖縄言葉の「脱ぐ」について。

 佐藤和美さん、Maniac Cさん、どうもありがとうございました。



何件あるか

佐藤和美 (2003/08/27 10:13)

googleで検索してみました
(『地名の世界地図』で間違えてたのがメインです)

アルファベッド 約5,570件

ゴルゴダ 約3,520件

アイオア 約761件

ひおしがり 約69件

Indoneshia 約383件

Cantabury 約770件

Repabulic 約26件

Anatoria 約208件



地名の世界地図

佐藤和美 (2003/08/27 10:08)

『地名の世界地図』関連の統廃合を行ないました。
『地名の世界地図』批判 Ver.2.00
↑これに一本化します。
今までの内容に若干のプラスアルファを行なっています。



RE:さくら

鴛鴦 (2003/08/27 09:36)

>Maniac C.さん
提供ありがとうございます。他にも諸説あるようですね。
中国では「桜桃」と表記するんですか。(発音は『yingt[a+´]o』でO.K.?)
日本なら「おうとう」とか「さくらんぼ」ですね。
『遠山の金さん』という手もありますよ(笑。ただし、武士の彫り物は固く禁じられていて、背中に桜吹雪があったという事実はない)



「ティーダ」と「ユウナ」

佐藤和美 (2003/08/27 08:31)

湖乃ほとりさん (2001/03/18 00:00)
>沖縄の言語で「ティーダ」と「ユウナ」ってどういう意味を持つんですか?

佐藤和美 (2001/03/20 08:44)
>国立国語研究所「沖縄語辞典」(大蔵省印刷局)からです。
>tiida 太陽。お日さま。日輪。
>'juuna 植物名。はまぼう。おおはまぼう。しまはまぼう。黄槿。あおい科の灌木。花は黄色、葉は円形で厚く、農村で食物をのせたり、ちりがみの代用にしたりする。

「ティーダ」と「ユウナ」って、FF-X(ファイナルファンタジー10)の主人公だったんですね。

『ファイナルファンタジーX シナリオアルティマニア』419ページ
「「ティーダ」と「ユウナ」は、琉球のほうの言葉でそれぞれ「太陽」「月」という意味ですよね。」

「ユウナ」が「月」っていう意味って本当?
「琉球語音声データベース」では見当たらないけど?



レー さくら Var Kazimerz

Maniac C. (2003/08/27 04:31)

>鴛鴦さん
>桟敷の「さくら」と木の「桜」との関係は分かりかねます・・・(--;)
→下記HPを御覧ください。
http://www.ara.or.jp/asc/s_ara/saku.html
「客を装い、パッとはでなことをいってパッときえるのを
さくらになぞらえたもの。」と有ります。

■「さくら」と言えば、梶井基次郎の『桜の樹の下には』を思い出しますな。
今時のTV世代は『大戦』? 『カードキャプター』?  それとも昨日結婚・妊娠を
発表した方? …師匠はチェーホフですか? いやいや、『男はつらいよ』??

>にれのや師匠
【var】
>var は、むずかしいですね。もともとのスラヴ祖語では、
>   【泡立つもの】
>というイメージだったんでしょう。ロシア語には、温泉がらみの語義はありません。
→ちょっと違うかも知れません。ロシヤ語の他の同根の語を挙げます: варево,
варенец, варенье, варить(ся), сварить。確かに、
温泉がらみは有りませんが、【泡立つもの】というイメヂとは違うと思います。
>…また、現代語では、「醸造」 の意味が残るのは、若干の派生語のみで、チェコ語でもこれは同じようです。(va{+´}rka)
→チェコ語の派生語を符号無しで挙げますと、varak, varan, varene, vareni, vareny,
varic, varici, varit, varivo, varle, varne, varnice, varny, varovani, varovat,
varovny, が見つかります(単なる屈折語尾の違いでしたら御免なさい)。
「温める」「煮る」「たぎる」「迸る」というのがこれらに共通するイメヂでしょうか。

>■Карлов という物主形容詞の複数主格は Карловы なんですね。ややこしいんですが、物主形容詞は、形容詞とは異なった変化をします。
→んー。本途にややこしい。師匠、そのうち特集を組んで、「物主形容詞」について
詳しく講義していただけませんか。

【Kazimerz】
>印欧祖語の *me:i- 「やわらかい」 +r+o+s にさかのぼる
→英単語では mild や melt につながる語根ですね。*-(e)r- は接尾辞で、語幹形成
母音 *-o- と共に *-ro´- となって一次形容詞(分詞)を派生させ、能動あるいは中
受動の意味を持ちます。*-s は有生名詞の主格語尾(又は属奪格語尾)です。「和らかに
する者」という意味でしょう(「〜ことの・による」という方かも知れませんが)。

>現代ポーランド語で… mir という語は残ってはいるらしいです。
→確認しました。波英翻訳で esteem; peace と出ます。
逆をやると、mir; poko´j; pojednanie; spoko´j; milczenie が出ます。

>チェコ語は、なかなか、いい辞書がなくて困ります。
>日本で手に入る小さいポーランド語辞典には…
→辞書でお困りの師匠に、私の秘密兵器(下記URL)をお教えしましょう。重宝です。
http://www.foreignword.com/Tools/dictsrch.htm



カジミェシ、ウラジーミルの語源4

にれのや (2003/08/27 02:06)

■Владимир ウラジーミルを 「世界を征服せよ!」 と解釈するような俗説は広く流布していますが、
     【мир を 「世界」 の意味で使うのは東スラヴ語だけ】
です。「平和」 の мир と 「世界」 の мир は別の単語ではありません。東スラヴ語で、「平和」 という意味の単語に 「世界」 という意味が加わるようになったのです。ウクライナ語でも мир には、「世界」 の意味がありますから、мир に 「世界」 の意味が加わったのは、東スラヴ語が、ロシア語・ウクライナ語・ベラルーシ語に分裂する14世紀以前のことだと思われます。西スラヴ語(ポーランド語・チェコ語)、南スラヴ語(ブルガリア語・セルビア=クロアチア語)には、mir に 「世界」 の意味はありません。
 よって、Владимир ウラジーミルの мир が 「世界」 の意味でないことは容易に証明できます。
     (1)東スラヴ語以外のスラヴ語圏にも -mir に終わる名前はある
     (2)東スラヴ語以外では、mir に 「世界」 の意味はない
つまり、名前の構成要素の mir は 「平和」 の意味だということです。
 「世界を征服せよ!」 式の俗説は、ロシアでも根強かったのだと思います。というのは、ロシア革命前までの旧正書法では、Владимир ウラジーミルは、
     Владимiръ
と書いていました。
 かつて、古ロシア語には、[i] 音を表すのに и, i という2つの文字がありました。これは、それぞれ、ギリシャ文字の Η (η), Ι(ι) に由来します。古典ギリシャ語では、それぞれ、[ε:], [i] を表していましたが、中世には、どちらも [i] になってしまっていました。これをスラヴ語が取り入れたために、[i] を表す文字が2重になってしまったのです。(現代ギリシャ語についても言えることです)。これは、ロシア語の正書法に混乱をもたらしました。18世紀にロシアの科学アカデミーが正書法の改革を行なった際、
     (1)i は、母音字と й の前でのみ使う
     (2)иは、それ以外で使う
     (3)「平和」 を意味する場合は мир と書き、「世界」 を意味する場合は мiрと書く
と決めました。つまり、ロシアでも一般的には
     Владимiр = влади+мiр 「世界」
と解釈されていたわけです。征服する владеть [ヴら 'ヂェッチ] の命令形は владей [ヴら 'ヂェイ] ですが、似ていることは似ているので、世俗的な解釈が生まれたのだと思います。正しくは、
     Влад- = владеть 「うまくきりまわす」 の語根
     -и- = 動詞の接合母音
     -мир = мир 「平和」
と解釈するのが正当です。
 動詞 владеть [ヴら 'ヂェッチ] は、「支配する」 という意味のほかに、「たくみに使いこなす」、「…に堪能である」 という語義を持っています。つまり、「支配して搾取する」 というより、「版図内をうまく取り仕切る」 というようなニュアンスです。英語で言えば to operate, to manage のような感じです。つまり、
     【ウラジーミル】平穏をたくみに保つ者。peace-operator。
という感じになります。
 「東スラヴの諸部族が、たがいに争っていたときに、彼ら自身が平和を望んで、ヴァリャークというヴァイキングを招聘し、スラヴ人に代わって統治してもらった」 というのは、ロシアの歴史書を見ると、たいてい、初めのほうに書いてあることです。ウラジーミルという名前は、このヴァイキングにふさわしい名前だと思います。
■以上、ウラジーミルとカジミェシの語源でした。



カジミェシ、ウラジーミルの語源3

にれのや (2003/08/27 02:05)

■で、Kazimierz カジミェシの語源です。
 kazi- というのは、動詞 kazac{+´} ['カザッチ] の語根 kaz- + 接合母音 -i- です。スラヴ語は、複合語の要素に動詞の語根を使うときに、接合母音に -i- を使います。ロシア語の
     Влад-и-мир Vlad-i-mir
も同じです。kazac{+´} は、スラヴ祖語の *kazati にさかのぼります。すべてのスラヴ語の意味から推定するに、「言う」 という意味のようです。現代ロシア語では казать の代わりに говорить [ガヴァ 'リッチ]、сказать [スカ 'ザッチ] という動詞が 「言う」 の意味で使われていて、казать は廃語のような状態ですが、他の多くのスラヴ語には、このロシア語の 「言う」 という意味の動詞に当たるものがなく、「言う」 は *kazati 由来の動詞で表されます。(ウクライナ語 казати 「言う」)。
 現代ポーランド語では、「言う」 の意味は別の動詞 mowic{+´} がになうようになり、kazac{+´} は、「命令する、説く」 の意味になっています。つまり、
     Kazimierz = kaz- + -i- + -mierz = 「命ずる・説く」+「平和」
     【カジミェシ】平和を説く者。平穏にするべく命ずる者。
となります。
 この名前はスラヴ系の名前ではありますが、ロシア正教の聖人ではないので、ロシアの教会暦(きょうかいごよみ)、すなわち、洗礼名のリストには載りませんでした。よって、ロシア革命までのロシア人で Казимир [カジ 'ミール] という名前の人はいません。革命後は、ロシア人の名前をスラヴ化しようという傾向があり、この名前をつけた人もいるようです。ただし、ポーランド人の Kazimierz をロシア語に転写する場合は、Казимеж [カ 'ジーミェし] となります。(ああ、ついでですが、Dvor{+v}a{+´}k ドヴォジャークは、ロシア語では、Дворжак [ド 'ヴォルじゃック] です)。



カジミェシ、ウラジーミルの語源2

にれのや (2003/08/27 02:04)

■Kazimierz [カ 'ジミェし] の -mierz なわけです。ただし、最後が rz になっているのが問題です。発音じたいは、ロシア語の ж の音です。語末ですので無声化して ш になりますが。(以下の部分では、硬口蓋化を表すスーパースクリプトの j を [rj] のように、ただの [j] で表記します)
 語末の -rz の何が問題かというと、
     【ポーランド語では、もともと 「軟音の r」 であった子音が、摩擦音化して [ж] になった】
のです。ついでにチェコ語について触れるなら、もともと 「軟音の r」 であった子音は、チェコ語では [r] 音に摩擦音 [ж] が混ざり、r{+v} となりました。さきほど、話題になっていた Dvor{+v}a{+´}k の r{+v} です。
 スラヴ語の知識のない方には、「軟音のr 」 と言ってもピンとこないでしょうが、これは、早く言えば、
     【軟音の r】=「べらんめえ調の巻き舌のリャ、リ、リュ、リェ、リョの子音」
です。実は、この音は、案外、むずかしいのです。舌と硬口蓋との間隔をせばめながら、なおかつ、舌先を振動させなければならない。そのために、[ж] 化しやすい。チェコ語では、[rj] という音を保つことができずに、「摩擦的噪音(そうおん)」 を伴い始めます。これが r{+v} です。ポーランド語では、さらに、舌先の振動が消えてしまって 「摩擦的噪音」 のみが残りました。これが rz [ж] です。ロシア語では、現代でも軟音の r は保たれています。
     【川】
     ロシア語 rjeka (река) [リェ'カー]
     チェコ語 r{+v}eka ['じぇカ]
     ポーランド語 rzeka ['じぇ-カ]
     【列、規則】
     ロシア語 rjad (ряд) ['リャート]
     チェコ語 r{+v}ad ['じゃト]
     ポーランド語 rza{+し}d ['じゃんト] (鼻母音が保存されている)
つまり、
     ロシア語 rj (рь) [rj] : チェコ語 r{+v} : ポーランド語 rz [ж]
よって、現代ポーランド語で rz と綴られる子音は、過去には [rj] であったわけです。ポーランド語をかじったことのある人なら、同じ [ж] を表すのに rz と z{+・} と2つの表記があることをいぶかったことがあると思います。z{+・} のほうは、ロシア語のжと由来は同じで、[zj]、[gj] (зь, гь) が口蓋化したものです。
 ですから、-rz は、過去に 「軟音の r」 であった音でなければなりません。しかし、古ポーランド語の mier の語末の r は硬音です。かつて、硬音であった r 音は現代でも硬音であり、かつて軟音であった r 音だけが、現代で rz となるはずなのです。
     【晩】
     ロシア語 vjecher (вечер) ['ヴィェちぇル]
     ポーランド語 wieczo{+´}r ['ヴィェちゅル]
     【医者】
     ロシア語 ljekarj (лекарь) ['りェーカリ]
     ポーランド語 lekarz ['れカし]
つまり、規則通りなら、Kazimierz [カ 'ジミェし] は、Kazimier [カ 'ジミェル] でなければならないのですが…… ここは、とりあえず、理由不明ということで。



カジミェシ、ウラジーミルの語源1

にれのや (2003/08/27 02:00)

【カジミェシの語源】
■佐藤さん。ウラジーミルとウラジミールは、日本三大紙・NHKでも間違えるくらいですから、しかたないです。
     ウラジミール=Vladimi{+´}r チェコ人の名前
です。
     ウラジーミル の ジー は -ди- にアクセントがあるので母音がこころもち長い
ことを示していて、別に 「ウラジミル」 でも間違いではありません。
     ウラジミール の ミー は -mi{+´}r に長音記号がついている
ためで、「ミール」 と伸ばさなければ、まあ、間違いと言えると思います。
■ウラジーミルの語源をさらに調べていて、少し展開がありました。過去に書き込んだ説明を前提にしますのであしからず。なお、ie という二重母音と推定されているスラヴ語・古ロシア語の文字を 「ヤッチ」 を IE で表します。(標準的な表記ではありません。ヤッチの字形を示そうと、検索してみましたがネット上には存在しません。紙の上に説明する通りに書いてみてください。「ラテン文字の b を書きます。縦棒の上の部分を - でチェックしてください。つまり、+のようにします。それがヤッチです)。
 まず、
     -мир
という語末の部分ですが、これは、スラヴ祖語では、
     *mirъ ['ミルゥ]
という語形で 「平和、平穏」 を意味していました。これは、印欧祖語の
     *me:i- 「やわらかい」 +r+o+s
にさかのぼるとのことですが、r+o+s の部分は、書いているあたくしも意味がわかりません。Maniac C. 氏、わかりますか?
 ところが、この *me:i- には、*mo:i- というヴァリアントがありました。このヴァリアントから
     *mo:i- + r + o + s → *mIErъ ['ミェルゥ]
という語形ができます。つまり、スラヴ祖語では、「平和、平穏」 を表す語に、この2つのヴァリアントがあったようなのです。それが、古ロシア語で2つのヴァリアントになります。あるいは、*mIErъ が古ロシア語形で、*mirъ が教会スラヴ語形であったかもしれません。(このあたりは定かならず)。
     *mirъ → миръ ['ミールゥ]
     *mIErъ → мIEръ ['ミエルゥ]
これが、古ロシア語における、
     ВолодимIEръ [ヴォロヂ 'ミエルゥ]
     Володимиръ [ヴォロヂ 'ミールゥ]
という2つの語形になります。
 この миръ―мIEръ というヴァリアントは、スラヴ語全域に広がっていたようで、現在ではスロヴァキア語だけが mier という語形を残しています。現代ポーランド語では、「平和」 は poko{+´}j ['ポ-クイ] という別の単語にとって代わられてしまいましたが、mir という語は残ってはいるらしいです。(らしい、というのは、日本で手に入る小さいポーランド語辞典には mir が採録されていないからです)。ところが、古ポーランド語では、「平和」 を表すのに mier という単語を用いていました。これがとりもなおさず……



Re: var と Карловы

にれのや (2003/08/27 01:19)

■Maniac C. どの。
var は、むずかしいですね。もともとのスラヴ祖語では、
   【泡立つもの】
というイメージだったんでしょう。ロシア語には、温泉がらみの語義はありません。もちろん、温泉がなかったからでしょうが。また、現代語では、「醸造」 の意味が残るのは、若干の派生語のみで、チェコ語でもこれは同じようです。(va{+´}rka)
 チェコ語は、なかなか、いい辞書がなくて困ります。ただ、日本で刊行されたチェコ語辞典に、複数形を持つのは 「噴出」 の語義という、細々とした手がかりがありまして、「噴出孔が、ここかしこにあるようすを複数形で表したのではないか」 と推測したわけであります。
■Карлов という物主形容詞の複数主格は Карловы なんですね。ややこしいんですが、物主形容詞は、形容詞とは異なった変化をします。
 ロシア語では、Вары Карла 「カルルの vary」 と言うことも可能なのですが、チェコ語は、物主形容詞を使うことのできる 「一語の固有名詞」 では、2格(生格)を使うことを許しません。
 逆に、ロシア語では、男性名詞では、あまり物主形容詞を使いません。おもに -ин に終わる、女性の物主形容詞が使われます。
 スラヴ語の比較というのは、ロマンス語同様、けっこうイケます。



ブリャート・オペラ・バレエ劇場

にれのや (2003/08/27 01:06)

【ブリャート・オペラ・バレエ劇場】
Koma どの。以下のように解読しました。
     阿列克賽 瓦林季諾維奇 布拉科夫
     a4-lie4-ke4-sai4 wa3-lin2-ji4-nuo4-wei2-qi2 bu4-la1-ke1-fu1
     Алексей Валентинович Бураков
     [アりク 'シェイ ヴァりン 'チーナヴィち ブラ 'コーフ]
     アレクセイ・ヴァレンチーノヴィチ・ブラコーフ

     安娜 尤里耶夫娜 蘇爾米娜
     an1-na4 you2-li3-ye1-fu1-na4 su1-er3-mi3-na4
     Анна Юрьевна Сурмина
     ['アンナ 'ユーリイェヴナ 'スールミナ]
     アンナ・ユーリエヴナ・スールミナ

     加麗娜 阿納託里耶夫娜 胡薩摩耶娃
     jia1-li4-na4 a4-na4-tuo1-li3-ye1-fu1-na4 hu2-sa4-mo2-ye1-wa2
     Галина Анатольевна *Хусамоева
     [ガ 'りーナ アナ 'トーりイェヴナ *ふサ 'モーイェヴァ]
     ガリーナ・アナトーリエヴナ・フサモーエヴァ
最後の Хусамоева は、推定形です。規則通りに転写されていれば、ロシア語の綴字はこうであろう、という語形です。少なくとも、わたしの所持しているソヴィエト人の姓のリストには、いずれも掲載されていないし、ロシアの検索エンジンで検索しても0件という結果でした。
 ひょっとすると、ブリャート人の姓かもしれません。-о で終わる語幹に -ев が付く、というのは、非スラヴ系民族の姓で、-ев を除いた部分が、その民族の男子名である場合がほとんどです。その場合、たいていは、-ев の直前の母音にアクセントがあります。ブリャート人の名前のリストで調べましたが、Хусамоなる名前はみつかりませんでした。
■Koma どの。ロシア人の中国語表記を割り出す便利な本があります。安いので入手してみてください。ロシア人の姓のリストとしても使えます。
     『俄語姓名訳名手冊』 商務印書館 辛華 編 1997北京  定価13.00元
もし、手に入れようという方がいらしたら、神田神保町の東方書店に常備されています。



神話由来

らにい (2003/08/26 16:29)

こちらは「語源に神話・伝説」ではなく「語源が神話・伝説」の話です。

効果音として残響(鐘を打ち終えたりした後などに暫く聞こえる音。反響)を響かせることを「エコー(echo)」と言いますが、語源はギリシャ神話のニンフ(山林の精)が長話を好むクセが祟り、神の怒りに触れ、相手の喋った言葉の最後を繰り返すことしか口に出来なくされてしまいました。そして、悲しみのあまり死んでしまい、その声だけが残ったといいます。その声は「エコー」と呼ばれていたのです。

まだこの他に説はありますか?(^^;)



re:おくら&桜

鴛鴦 (2003/08/26 12:45)

>管理人様
>「おくら」
分かりました。肝に銘じます(^^;)
>「桜」
>「『サ』がなんで『稲の霊魂を表す言葉』なのか」
ん〜、これは私でも分かりかねることです(^^;;)
>「こういう語源に神話・伝説を持ちだすのはやめてくれぇ」
前にも「ピラミッド」は日本が始まりというトンデモ説が載っていましたね。
これも「やめてくれぇ」ですね(^^)



Re:桜

佐藤和美 (2003/08/26 11:44)

>サクラの《サ》は早苗・早乙女(早苗を扱う乙女)・五月(早苗を扱う月)などの意味で、稲の霊魂を表す言葉。
山口佳紀さんが「サは神霊を表し(中略)そのような意をもつサは古く認められず、信じがたい。」と書いてるわけですから、「サ」にそういう意味があると証明できないと、この説はなりたたないでしょうね。
「早苗・早乙女(早苗を扱う乙女)・五月(早苗を扱う月)など」の「サ」がなんで「稲の霊魂を表す言葉」なのか、私には理解不能です。

>〜の伝説が語源になっていると言う説もある。
こういう語源に神話・伝説を持ちだすのはやめてくれぇ、と言いたいですね。



おくら

佐藤和美 (2003/08/26 11:21)

「日本雑学能力協会」と「柴田武」じゃ、文句なく「柴田武」に軍配ですね。
個人名を出してなくてわけのわからない団体名の本はあまり信じないほうがいいかと。


おまけ
「おくらいり」を調べていて、思わぬものを発見。
「オクラ」(野菜の)って、英語の「okra」から入ったんですね。
なんか、得した気分でした。



RE spring&桜

鴛鴦 (2003/08/26 10:11)

>Maniac C.さん
「spring」のこと、ご丁寧にありがとうございます。
そういう起源・繋がりがあったんですね。

>管理人様&Maniac C.さん
色々と説が(いまのところ2つですが)あるようですが、ガンバッテ喋っていたことを思い返しました(笑)ところ、「万葉集」に出てくる桜の霊である「このはなさくやひめ」の「さくや」が訛って「さくら」となったということも言っていました。
んで、下記のページを見たところ、3つ書いてありました。
 「日本を代表する花の桜だが、語源は諸説あってハッキリしていない。
  1)サクラの《サ》は早苗・早乙女(早苗を扱う乙女)・五月(早苗を扱う月)などの意味で、稲の霊魂を表す言葉。《クラ》は神座(かみくら)・岩座(いわくら)などに使われるクラと言う言葉で、寄り集まった物を指している言葉。つまり、日本にとって大切な稲の霊魂が集まっている花と言う意味で《サクラ》と名前が付いていると言う説がある。
  2)山の神さま《大山御子祇命:おおやまずみのみこと》と、野の神さま《草野姫命:くさのひめのみこと》の間に生まれた《木花開耶姫命:このはなさくやひめのみこと》の伝説が語源になっていると言う説もある。父親に用事を頼まれた《さくや姫》は、霞に乗って富士山の上空へ飛び、そこから花の種を蒔いたと言われている。その時に蒔かれた花は《さくや姫》の名前から《サクラ》と呼ばれるようになったと言う説もある。
  3)それ以外の語源は《咲く》《盛ん》《幸:さきく》《酒》に通じる物。他の花より《先に咲くらむ》と言う事からと言う物もある。」
Maniac C.さんの仰られていることは1)の説、私が思い出したのは2)の説、管理人様の仰られていることは3)の説ということになります。
ただ、これにも書いてあるとおり、「語源は諸説あってハッキリしていない」とのこと。
「桜」は奥深いものです(^^;)

ちなみにあまりよろしくない(汗)ほうの「さくら」は江戸時代、場内の雰囲気を盛り上げるために、アルバイトを雇って役者に声をかけさせたり、大きな拍手をさせたりしましたが、その時のために用意した桟敷を「さくら」と呼んでいたので、そこから、露天などで客を装って、他の客の購買心をそそる仲間のことを「さくら」と呼び、今では「やらせ」に相当するようになってきたとのこと。
(参考文献:幻冬舎 東京大学名誉教授 柴田 武 著『常識として知っておきたい日本語』)
ただ、桟敷の「さくら」と木の「桜」との関係は分かりかねます・・・(--;)

かなり蛇足:本日の新聞に載っていたのですが、見かけはそれらしくて、実はそうではないもののことを「似非(えせ)」といいますが、その語源の1つに、古語「えしもの(荒賊=荒々しい賊徒)」から転じたとの説があるそうです。
(参考文献:小学館『日本国語大辞典』)

http://www.elrosa.com/tisen/70/70424.html





佐藤和美 (2003/08/26 08:57)

山口佳紀編「暮らしのことば語源辞典」(講談社)にはこうあります。

「語源は動詞サク(咲く)に名詞をつくる接尾語ラがついたもの。枕にする意の動詞マク(枕く)にラがついて、マクラ(枕)という名詞ができたのと同様である。なお、一説にサは神霊を表し、クラは「座」の意で、サクラは「田の神が来臨する花」であったとするが、そのような意をもつサは古く認められず、信じがたい。」



Re:沖縄言葉の、「脱ぐ」

佐藤和美 (2003/08/26 08:41)

「ハジユン」ですが、琉球語音声データベースに用例もあったので引用しておきます。

チン ハジユン。ciN hazijuN.着物を脱ぐ。
チン ハジラスン。ciN hazirasjuN.着物を脱がせる。
ウードゥ ハジユン。uudu hazijuN.ふとんをはぐ。



レー Var Čapek spring さくら ヌヂュン・ハヂュン

Maniac C. (2003/08/26 01:05)

■カルロヴィ-ヴァリについて
>にれのや師匠
さぁ〜すが、師匠。待ってました!

>Var は、「沸騰した液体」、「沸騰」、「熱湯」、「噴出」 などの意味です。「温泉の源泉」 の意味だと思われます。
→私なりに調べました。チェコ語の var のこの場合の意味は「発泡」が正解のよう
です。カルロヴィ-ヴァリの湯温は、最高でも70℃台らしく、沸騰するほど熱くあり
ません。カルロヴィ-ヴァリの泉質は炭酸泉のようですから、温泉の遊離炭酸の小気泡
が入浴者の皮膚に無数の泡となって付着することからの命名と思われます。炭酸泉は
日本でも、よく「泡の湯」と呼ばれるそうですから、「カレル四世縁の泡の湯」という
訳ですね。

>ロシア語では、直訳して Карловы Вары
→あれ? 複数・男性・主格なら、Карловые Варыではないのですか?

ロシヤ語で同根の語はпивоварение(麦酒醸造) ,пивоварня
(麦酒醸造所)ですが、やはり醸造過程で「泡立つ」から?

■チャペック
ご先祖は脚が長かったのでしょうかね。チェコ語の čap はコウノトリの意味ですね。
-ek は、例によって指小辞です。

■spring
>鴛鴦さん
>「spring」の意味としては「温泉」と「春」とどちらのほうが古い(早かった)のでしょうか?
→「温泉」(hot spring)は、Merriam-Webster Dictionary に依ると、1669年と有り
ます。「春」の意味は『英語語源辞典』では1547年以前と有りますから、鴛鴦さんの
質問を文字通りに(意地悪く)とらえますと、「後者」ということになります。しかし、
「泉」の意味でなら、1125年に既に使われているようなので、「前者」となります。
 意味の変化は、「水源」-「泉」-「起源・始まり」-「季節の始まり(spring of year)」
-「春」-「青春」という流れです。勿論、動詞で「急に跳ねる」から「(水が)湧き
出る」-「泉」という意味の外に、「発条(ばね)」という意味も生まれるのですが。

■「さくら」の語源
稲の神(サ)の座(クラ=載る高い所)の意味では…?

■ヌヂュン・ハヂュン
>ヒロキさん&管理人様
→私も使い分けは存じませんが、語形から見て、「ヌヂュン」は「脱ぎをる」、
「ハヂュン」は「剥ぎをる」の変化したものだと思います。
 『岩波古語辞典』に依れば、「脱ぐ」は「身に着けたものをはづし、また解きすて
る。」と有り、「剥ぐ」は「身につけたものをぬがせ取る。はだかにする。」と有り
ますので、後者は前者に対して「脱がす」に相当するような、使役的な意味なのかも
知れません。



Re:沖縄言葉の、「履く」「脱ぐ」

佐藤和美 (2003/08/25 18:18)

ヒロキさん
>標準日本語の「脱ぐ」は沖縄でも「脱ぐ」というのでしょうか?

琉球大学「琉球語音声データベース」
http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/
ここでいろいろ検索できます。
「脱ぐ」で検索すると
二つありました。
ヌジュン
ハジユン
使いわけはよくわかりません。



Re:ウラジミール

佐藤和美 (2003/08/25 18:16)

にれのやさん
>ウラジーミルについては、あたくし、過去に書き込んでおります。

失礼しました。(^^);
過去ログ、一応検索したんですが、「ウラジミール」じゃなくて「ウラジーミル」で検索しないとダメだったんですね。。



re:温泉地(springfield)

鴛鴦 (2003/08/25 16:26)

>にれのやさん
>「カルロヴィ・ヴァリの文法的説明でしたが、難しかったでしょうか?」
難しい顔しながら見ました(笑)「温泉の源泉」 。言い得て妙です。
なんか「国会議員になったらドイツ語で話せ」みたいな漢字で面倒くさそう・・・

題名にも書いてありますが、「温泉」は「spring」ですが、「spring」は他にはよく知られている「春」という意味もあります。
ところで「spring」の意味としては「温泉」と「春」とどちらのほうが古い(早かった)のでしょうか?ご存知のかたいらっしゃいましたらお願い致します。

P.S. 昨日、某アニメにて「さくら(桜)」の語源を説明しているシーンがありました。流して見聞きしていたので殆ど覚えていません(--;)



スパム

鴛鴦 (2003/08/25 12:50)

下のページに「スパム(spam)」の語源について載っています。
>「そこでこのスパムについてググって(Googleで検索して)みた。さまざまな噂があるようだが、どうやらネット上におけるスパムの語源については『モンティパイソン』説が有力なようである。モンティパイソンとはイギリスのコメディアングループである。彼らが BBCのコメディ番組で『スパムスケッチ』というコントをやったのがきっかけとなったようだ。このコントでは『スパム』という言葉を何度もクドイほど繰り返すのだが、実はそのspamの『a』の部分をのばすと『sperm(意味のほうは一応自粛します・・・ ^^;)』に聞こえるという下品なネタ。そしてその『不快でクドイ』というのが、ネット上のスパム行為に結びついたということである。」
ふーん、「スパム」ってこういうことだったんだなぁと感じました。
「Python」の語源もちょろっと載っています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030825-00000005-inet-sci



re カシミール

あお (2003/08/25 12:13)

らにいさん
偶然ではありません。
以前わたしもそう思い、"Time"誌の付録の英語辞書でcashmereを引きますと語源を示す枠にafter Kashmir, region in Indiaとありました。



カルロヴィ・ヴァリについて

にれのや (2003/08/25 03:22)

【カルロヴィ・ヴァリについて】
■Koma さん。ちょとお待ちを。胡薩摩耶{女圭} さんが、どうやら、珍しい姓のようで。「ブリャート・オペラ・バレエ劇場」 に関するページは多少あります。
     Бурятский театр оперы и балета
その気があったら、これで検索してみてください。
■カルロヴィ・ヴァリについて。
1349年、当時のチェコ王、カルル4世 (Karl IV) が発見したとのこと。当時、チェコは、ドイツ語文化圏に組み込まれており、
     外交・学術  ラテン語
     国内の支配層の言語  ドイツ語
     平民の言語  チェコ語
というような、言語的ヒエラルキーのもとにありました。東中欧の地名の多くが、ドイツ語名と地元の言語名を持っているのには、かような事情があります。つまり、当時の、いわば、公用語でつけられた地名が
     Karlsbad ['カルるスバート]
なわけです。Karls は、Karl の2格 (所有格) ですね。それに対して、
     Karlovy Vary ['カルろヴィ 'ヴァリ]
は、チェコ語形です。ドイツ語圏という傘がなくなり、平民の呼び名が現れてきた、ということです。ドイツ語の男子名 Carl, Karl に相当する洗礼名は、チェコ語にもあります。それが、Karel ['カレル] です。カレル・チャペックのカレルです。なぜ、Karl ではないのかというと、
 【スラヴ語では、変化語尾がφのときに、語末に子音が2つ並ぶと、後ろの子音が母音を要求する】
のです。そのため、最後の2つの子音のあいだに、「出没母音」 と呼ばれる e もしくは o という母音を挿入します。これは、ロシア語でも同じです。洗礼名 「パウロ」 は
     Παυ{+~}λοs ['pavlos] → Павлъ ['パーヴるゥ]
として、ロシア語の洗礼名になりましたが、ъ [ウ] は中世に消失します。したがって、
     Павлъ → Павл
となってしまいます。最後に вл (vl) という子音が並んでしまうので、еを挿入して
     Павел ['パーヴィる]
となります。
 Karel も、チェコ語としては、Karl という語形が不安定なので、e を挿入して Karel となったわけです。そのために、変化語尾がφでなくなると、この挿入された e は消失します。Karel は斜格で Karla, ... というように、e なしの語形になります。ロシア語のПавел も、生格以下は Павла, ... と е が消失します。
■次は、Karlovy です。これは、ロシア語でよく説明する 「物主形容詞」 の複数(不活動体)主格の語形です。つまり、「カレルの」 という形容詞が
     Karel → Karlu{+○}v ['カルるーフ]
なのです。ロシア語でよく挙げる、-овに相当する語尾です。ロシア語なら Карл→Карлов です。チェコ語では、ロシア語の-овにあたるところに、-u{+○}v [ウーフ] が現れます。ところが、こいつが斜格では、-ov.. となるのです。
 ちょっと難しいですか……
 いっぽう、Vary というのは、Var の複数主格です。Var は、「沸騰した液体」、「沸騰」、「熱湯」、「噴出」 などの意味です。「温泉の源泉」 の意味だと思われます。それが、何箇所もあるので、複数になっているのでしょう。そして、それを修飾する物主形容詞 Karlu{+○}v も、名詞にあわせて複数主格形の Karlovy になっているわけです。
 ロシア語では、直訳して Карловы Вары ['カールろヴィ 'ヴァールィ] とも言いますが、放送用のアクセント辞典では Карлови-Вари ['カールろヴィ 'ヴァーリ] (不変化) となっていて、これが標準のようです。ハイフンが入るのは、これが一語であり、変化させる場合は語尾のみを変化させればよい、という意味です。(もっとも、この単語の場合は不変化ですが)。ロシア語のыに対して、チェコ語の転写がиになっているのは、チェコ語で v のあとの y―i の硬軟の対立が消失して、どちらも [i] になってしまっていることを反映しています。興味深い例です。
 米国のニューメキシコ州にも、Carlsbad カールズバッドという国立公園がありますね。
■カルロヴィ・ヴァリの文法的説明でしたが、難しかったでしょうか?



大地の子 追得過一切

高駒麗人koma (2003/08/24 21:54)

辻本裕幸さんへ
台湾の女性歌手・蘇慧倫(Su Huilun、Tarcy Su)は『追得過一切』Zhuide Guo Yiqieを國語、廣東語両方で歌っていました。特に違和感はないと思います。廣東語圏の人がどう思うかはわかりませんが。
関西の人はテレビで関西の人が東京辯(弁)の台詞を喋るのを見るとと「関西人なんだから関西辯(弁)喋れ」と思いつつ、関西以外の地方の役者が関西辯を話すのを「関西人でないのに下手な関西辯喋るな」と思うようです。東京人は日本全国の人が東京語を話してもそれが当然と思うでしょう。こういうのは研究すると果てがなくて面白いです。白人や黒人が北京語を話すと意外なのに、黄色人種が英語を話しても普通とか。あと日本人が香港で廣東語を使うと香港人は吃驚して「他の日本人は普通話ばかりなのに、どうして」と言うとか。

沢田研二は中国を舞台にした映画で中国語の台詞を喋っていました。NHKTVの中国語講座で本人がコメントしていました。「最初は僕が日本語で喋って後で中国人に吹き替えして貰えばいいのにと思っていた」「中国語の台詞の内、区切って良い所を教えてもらって、歌を覚えるように暗記していった」「稽古では、スタッフは中国人が多く發音が変だと皆が先生になって直してくる」「中国語の日常会話位は出来るようになって良かったと思う」。
北京の人が廣東語を習うのはいいことです。中国北部でも廣東語を教える学校や会話帳、入門書があります。台湾人が台湾ミン(門の中に虫)南語で話した時に、「わからんぞ、國語で話せ」と要求した人たちがいたそうですがそれよりましです。
森新一とパティ・キムがTVで共演したとき、キムさんは英日朝の三言語(三箇国語ではない)で歌えたのに、森さんは日本語の歌だけでした。少し残念。

NHKTV「大地の子」でも仲代達矢(松本耕次役)と上川隆也(陸一心役)は中国語の台詞を自分で喋っていました。



発音について

高駒麗人koma (2003/08/24 21:50)

にれのやさんへ
>資料ありますので、たぶん、解読できます。仕事が終わるのが夜中なのでなかなか…… いずれの名前も 「姓―名―父称」 で並んでいますね。
ご親切にありがとうございます。
>「仝」
以前、ハルビン(哈爾濱Harbin)で「仝」Tongという名の中国人と会った事があります。
私はこの字をこれで初めて知った。

Dvorakについて
英語のrはフランス語やドイツ語やロシア語のrよりは摩擦音のジの音(フランス語jour、joieのj、ロシア語の Ж)に近いようで、欧州大陸人が英語を学ぶときはrをこの摩擦音から練習するといいという意見もあるようです。(酒向誠[sako: akira]「米語音声学入門」)
しかし欧州語同士ではrはrで移されます。フランス語のParisなど pahi か pafiに聞こえますが。英語音ではフランス語のRは英語のrになります。
Dvorakのrが英語でジ(摩擦音)の音で移されるのは珍しい事です。これは注目すべきでしょう。
廣母音のオとは圓唇のαの事でIPAではαの逆さ(pの横棒を短くした文字)になり、辞書によってっはboxのoもこれで書いています。
北京語音を正確に学ぶとロシア語のЖを北京語rで代用したり、
ШАをsha、СЯをxiaで代用するなどうまい技がつかえます。

http://homepage2.nifty.com/joshidaisei/2002/onseigaku.htm
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=alveolo-palatal+&hc=0&hs=0

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=palato-alveolar&hc=0&hs=0



re カシミール

らにい (2003/08/24 11:32)

>Maniac C.さん
そうですか。ただ似ているだけなんですね。
「山の溝」とか「聖人カシャパの地」とかいう意味があるんですか。ほぇ〜(笑)
「喀什米爾」が読める人が「喀什米爾馬鹿」を見たら「カシミールバカ」なんて読んでしまうと思いますね(^^;)
「カシミールにやけに詳しい人か?」なんて感じで。



沖縄言葉の、「履く」「脱ぐ」

ヒロキ (2003/08/24 10:42)

 初めまして、ヒロキという者です。とてもおもしろいホームページを見つけられて嬉しいです。  さて、質問ですが、「沖縄では、洋服でも帽子でも何でも履くを使う」と知って、英語のput onと同じような表現の仕方だと思ったのですが、標準日本語の「脱ぐ」は沖縄でも「脱ぐ」というのでしょうか?



res: カシミール?

Maniac C. (2003/08/24 08:46)

>らにいさん
Q1>「カシミール(Kashmir)」となんとなく似ていまのすが関連はありますか?それともただ似ているだけ?
Q2>「カシミール(漢字だと『喀什米爾』になるそうです)」意味はなんでしょうか?
→以下、研究社『リーダーズ英和辞典』を引用します。
■Casimir [k{ae}´z@mi`@r] 男子名. [Pol.= proclamation of peace]
(M.C.註: ポーランド語で「平和の布告」の意味、ということ。)
■Kashmir [k{ae}´Smi@r, k{ae}´Z-, --´; 英k{ae}S mi´@r]
1 カシミール((インド・パキスタン北部の地方; 1947年以降両国間の係争地)).
2 [k〜]カシミヤ(織り) (=CASHMERE).
■Kashmir goat カシミヤヤギ((毛から cashmere を織る)).
■Cashmere [k{ae}´Smi@r, -mi´@r, 米k{ae}´Z-, 米-mi´@r]
 1 Kashmir.
 2 [c~][-´-] カシミヤ((インド Kashmir 地方産のヤギの毛[毛糸, 毛織物]));
 カシミヤ製ショール.
A1: 関連は無く、ただ似ているだけのようです。
A2: 「喀什米爾」は地名です。所謂「カシミヤ」の原産地でもあります。
  地名の語源は、或る説によりますと、古いプラークリットで「山の溝」(人間が
 住み着く以前は the Kashyap Sar と呼ばれる湖だったので)を意味するそうです。
 又、別な説では、梵語の kasyapamara に由来し、ここに住んだ聖人カシャパの地を
 意味する、とも有ります。

■序でに面白いページを見つけたので紹介を。
「現代中国語動物名リスト<鹿>
シカ科とマメジカ科の生き物。」というペーヂなのですが、
「中名 喀什米爾馬鹿
 和名 カシミアアカシカ
 學名 Cervus elaphus hanglu
 英名 Kashmir Stag
    喀什米爾=カシミール。アカシカのカシミール地方固有亜種。」とあり、
その上に
「中名 馬鹿
 和名 ウマシカ(バーロー、マールー)
 學名 Cervus elaphus maral
 英名Maral Deer」
というのが在って、「へぇ〜、中国語では"馬鹿"が実在するんだ!」と思いました。
このペーヂでも註として
「アカシカの中国固有亜種。見た感じちっとも馬っぽくないので、なんで馬鹿といわれるのかよくわからない。バーローとあマールーとかいうのは馬鹿の中国語読み。これからは『バカを馬鹿なんていったらウマシカに失礼だぞっ!』とかいって人々をまどわせるといい感じ。
 このサイト(M.C.註: 参考サイトのこと)では、 馬鹿に Cervus canadensisu (ワピチ)の学名をあてているけれど、ページの内容は台湾産のシカの話みたいなので、なんかの間違いじゃないかな。」
とも有りました。『山海経動物記』を始めとして面白い記事が色々有りますので、
行って見てください。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/2648/sengai/vortaro/cervo_t.htm



ウラジーミル補足

にれのや (2003/08/24 05:12)

■過去の書き込みは
     2003/2/20
でした。



ウラジーミル

にれのや (2003/08/24 04:45)

■ウラジーミルについては、あたくし、過去に書き込んでおります。
そもそもはヴァイキングの Valdemar という名前のスラヴ語訳です。
ロシアの支配層は、実質的に、イヴァン雷帝までは、スラヴ人ではなく、ヴァイキングとその末裔です。
まさに、ウラジーミルが、「スラヴ語で名前を名乗った最初の非スラヴ系支配者」 です。彼は、Valdemar という、北欧系の言語の名前を隠し、スラヴ風の名前に訳して名乗ったのです。
翻訳名は、
     東スラヴ語なら Володим{ь+-}ръ
     教会スラヴ語なら Владим{ь+-}ръ
     ※ただし、{ь+-} は 「ヤッチ」。推定では ie のような二重母音とされる。
語源については、過去の書き込みを参照してください。



カシミール?

らにい (2003/08/23 20:42)

「ウラジミール」の書き込みの中に「Casimir」がありますが「カシミール(Kashmir)」となんとなく似ていまのすが関連はありますか?それともただ似ているだけ?
そして、「カシミール(漢字だと『喀什米爾』になるそうです)」意味はなんでしょうか?「『カシ』の世界」??
(話の腰折ってゴメンナサイ・・・ --;)



ウラジミール

佐藤和美 (2003/08/23 18:14)

zhenjaさん (2000/01/26 01:49)
>ちなみに、ロシア人の名前に「Vladimir(ヴラジーミル)」というのがありますが、
>これは「Vladi+mir(世界)」ということで、「世界を制する」と
>言う意味だそうです。

さらにすごいのには、こんなのもありました。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/9086/story/toto_tokyo.htm
「ウラジオストックというのは、日本とは結構縁があるところです。
ウラジオストックは、『東方征伐』という意味があります。」
それは、前にガイドブックを読んで知っている。
「パルスキーで『世界』を『ミール』と言います。」
確か、ロシアの宇宙船は、そんな名前だったなぁ。
「ロシアの人の名前で『ウラジミール』という名前が多いんですが、
 『世界征伐』という意味があるんです。」
あ、そうか、なるほど。

梅田修『ヨーロッパ人名語源事典』(大修館書店)にはこうありました。
「Vladimirは古スラブ語volod(支配)と-meri(偉大な、名高い)からなる名前である。volodはGeraldの-aldと同族の言葉である。-mirは、平和王と呼ばれたポーランドのカジミエシュ1世(Kazimieřz、[英]Casimir I、在位1034-58)の-mirと同じもので、スラブ系の名前にはよく見られる構成要素である。カジミエシュ1世の影響もあって、-mirは中世以来「平和」とか「世界」という意味に解釈されてきた。」

その他、情報あったらお願いします。



re バーデン

鴛鴦 (2003/08/23 12:28)

>Maniac C.さん
なるほど、そういう意味ですか。
「温泉に入ろう!温泉に入ろう!」なんて馬鹿みたいではずっ・・・(--;;)



RE:クラシック&ギニー

きしろふ (2003/08/23 09:34)

>Maniac C.さん
>「classical」
存じておりましたが、あえて元となる「classic」で調べて見たいという所存でした。
>「クラシクス(classicus)」
「classis」で考えた方がいいんですね。
>「市民の6つの階級」
上位3階級が本当の市民ですか。なるほど。
>「ギニー(guinea)」
「ギニア産」だから「ギニー」と。ふむふむ。

やはり、百科事典中心に調べただけでは足りないか・・・(^^;)



レー バーデンバーデン クラシック&ギニー

Maniac C. (2003/08/23 01:23)

>管理人様
>Bad は「温泉」って訳でいいのかな?
→はい。温泉地(湯治場)に付けられる名前です。原義は「湯」です。
カレル4世は、元々ボヘミア王でした。序でにチェコ語では Karlovy Vary です。

>「温泉に入ろう!温泉に入ろう!」って意味?
→いいえ。前のバーデンは都市名、後のバーデンは地方名(もとは大公国)です。
つまり、「バーデン地方のバーデン(町)」の意味になります。
因みに Baden は、名詞 Bad の複数・与格形で、(the town that is) at the baths
の意味です。

>きしろふさん
>クラシックの音楽家の名前が出てきたので、改めて「クラシック」そのものを調べて見ました。
→お疲れ様です。まづ、軽いヂャブから入りますと、音楽の場合、classic ではなく
classical ですよね。御存じの上でお書きなのだと思いますが、一往。

>ラテン語で市民の6つの階級の最上級を意味する「クラシクス(classicus)」
→「市民、歩兵を6つに分けた中の1つの階級(classis)」と、「(最高の)等級に
関する(classicus<classi-+-icus)」とは分けて考えるべきでしょう。

>市民の6つの階級
→日本語で言えば、貴族(元老院議員)・騎士・平民・属州人・自由民・奴隷で、厳密
には後3者は「市民」ではありません。

>「ギニー(guinea)」
→Guinea 産の金で鋳造したことに因むそうです。guinea は元、金貨でした。



クラシック&ギニー

きしろふ (2003/08/22 20:59)

何か色々とクラシックの音楽家の名前が出てきたので、改めて「クラシック」そのものを調べて見ました。
すると、「クラシック(classic)」は「古典的」という他に「優れているもの、完全なもの」という意味を見ました。んで、「classic」の語源を調べて見ますと、ラテン語で市民の6つの階級の最上級を意味する「クラシクス(classicus)」ということで、それが芸術の世界に入ってきて、「最も価値の高いもの」「模範的なもの」「永久的なもの」を意味するようになっていったとのことです。っと、ここで気づいたのですが、もしかして「階級」等を意味する「クラス(class)」の語源ってこれ?(えっ、今更遅い!? ^^;;)
ちなみに「classic」はフランス語だと「classique」、ドイツ語だと「Klassik」となります。
ですから、「新しいクラシック」と言っても「新しい古典的」とは限らないので必ずしも矛盾はしていないのです。(「新しい高級なもの」といったほうがいいのでしょうか?)
競馬の「クラシックレース」も「伝統ある大レース」の他に「最上級のレース」という意味もありそうです。
そうすると、市民の6つの階級の他の5つの階級はなんと呼ばれていたのでしょうか?
これ、「トリビアの種」になると思います(笑)

イギリス競馬の「クラシックレース」の中には「1000ギニー(One thousand guineas)」「2000ギニー(Two thousand guineas)」があるんですが、由来は第1回(「1000ギニー」・・・1814年 「2000ギニー」・・・1809年)の時の出走登録料がその値段だったからです。(優勝賞金は分かりませんが・・・)
さてだらだらと書いてしまって申し訳ありませんが、「ギニー(guinea)」と国家の「ギニア(Guinea)」とはスペルの綴りが(最初が大文字か小文字かの違いだけで)まったく同じなんです。なぜこのようになってしまったのでしょうか?
分かる方がいらっしゃいましたら、お願いします。

P.S. 「ギニー」はイギリスで1971年2月14日まで使われていた通貨で、1ギニー=(今の)1.05ポンドに値します。1971年2月14日までは1ポンド(pound)=20シリング(shilling[s])=240ペンス(pence)となっていて、1ギニー=21シリング=252ペンスでした。(よって、1シリング=12ペンス。現在、1ポンド=100ペンス)

長い文、スイマセン・・・(--;)



他の地域の人は

辻本裕幸 (2003/08/22 17:08)

例えば、北京人のフェイ ウォング(王)が広東語で歌をうたっているのって、広東人が聞いたらどう感じるのでしょうか?私たち近畿人がアニメなどで、関西人の役に非関西人の声優が当てられているのをきいたときに感じるような違和感を、フェイ ウォングの広東語の歌などから広東人も感じるのでしょうか?
 この前ビビアンスーが広東語の映画に出ているのを見ましたが、台湾人も広東語をしゃべることはあるのですか?多分あの声は本人だと思いましたが。
 とみたやすこは南京の基督という映画で、クチパクだった。なさけなや。中華民族大和よ
 日本人明星表演的時候也不説漢語、也不努力学漢語。真可惜!
ニッポンジンミョージョーヒョーエンテッジコウヤフセッカンゴ、ヤフドリョッガッカンゴ。シンカシャッ!



「言葉の世界」伝言板7月分

佐藤和美 (2003/08/22 14:33)

「言葉の世界」伝言板7月分」を追加しました。



re:カルルス

鴛鴦 (2003/08/22 12:43)

>管理人様
「Bad」は「浴場、浴室」とかいう意味があるようですね。「温泉」でもあっていると思いますが・・・
ちなみに「baden」は「風呂に入る」という意味があり、「Baden」になると「風呂に入ること」となります。(ドイツの地方名でもあります)
「Baden-Baden」でシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald。「黒い森」という意味)の近くにある温泉街になります。「温泉に入ろう!温泉に入ろう!」って意味?(笑)



Re:カルルス

佐藤和美 (2003/08/21 23:01)

カルルスバートはドイツ領(神聖ローマ帝国からでしょうが)だったときの地名のようですね。
カール4世が発見したという伝説があるようで、
ドイツ語でKarlsbad、カールの Bad。
Bad は「温泉」って訳でいいのかな?



re:カルルス

鴛鴦 (2003/08/21 18:51)

>管理人様
地名からきていたんですね。提供ありがとうございます。

私も欲が出るほうで(^^;)、そうなると、なぜ「カルルスバード」という地名なのか(要するに「カルルスバード」そのものの語源)というのを知りたいです。

これもよろしければお願い致します。



Re:カルルス

佐藤和美 (2003/08/21 18:06)

鴛鴦さん
>「登別」と聞いて思うのは「登別カルルス」なんですが、「カルルス」とはいったい何ですか?そして、語源はなんですか?

「郷土資料事典 北海道・観光と旅」(人文社)っていう本にこう書いてあります。
「北海道のカナ書きの地名はほとんどアイヌ語に由来するが、このカルルスは、チェッコスロバキヤの温泉地カルルスバードに泉質が似ているため、昭和9年にカルルス温泉となづけられたものである。それまでは上登別温泉とよばれていた。」

http://karls.hp.infoseek.co.jp/kounou.html



おくらになる&カルルス

鴛鴦 (2003/08/21 13:44)

計画が途中で中止になることを「おくらになる」といいますが、語源を調べたことがありまして・・・
 ○「くらを『蔵』とするのは誤用だ。(中略)江戸時代、客が入らない芝居は予定された最終日を待たずに千秋楽を迎えた。千秋楽は略して『楽(らく)』とも言い、『ラクになってしまう』を隠語で引っ繰り返し、『クラ』となった。丁寧語の『お』をつけて、途中で駄目になってしまうことを、『おクラになる』と言うようになった。もともとが隠語なので、耳から耳へと伝わっていくうちに、『くら』が『蔵』のことと勘違いされ、お蔵入り≠ニ誤用されて広まったという次第。」
 (日本雑学能力協会編著『日本語おもしろ雑学練習帳 語源篇』)
 ○「これを漢字で書けば『御蔵になる』。この『御蔵』、尊称がついていることからもわかるように、ただの蔵ではなく、蔵米(くらまい)を保存した城郭の倉庫のことをいう。むろん、そんな、倉庫にいったん入れてお蔵入りになってしまうと、簡単に出すことはできない。」
 (東京大学名誉教授 柴田 武 著『続・常識として知っておきたい日本語』)
と、「くら」=「蔵」という語源に関して前者は「『くら』は『蔵』ではなく『楽(らく)』から」と否定し、後者は「『おくら』は『御蔵』から」と肯定し、全く正反対になっています。どちら側の方が信憑性があるのでしょうか?

「登別」と聞いて思うのは「登別カルルス」なんですが、「カルルス」とはいったい何ですか?そして、語源はなんですか?

上記のこと、宜しくお願い致します。



「登別」の意味

佐藤和美 (2003/08/21 09:53)

知里真志保『地名アイヌ語小辞典』(北海道出版企画センター)
nupur ヌぷ 《完》
1.(色や味が)濃くアル(ナル)。(対→pan)。
2.巫力ある;霊験ある。

山田秀三『北海道の地名』(北海道新聞社)
登別
登別温泉で名高くなったこの名の原形はヌプ・ペッ(nupur-pet 水の色の濃い・川)であった。従来このヌプをただ濁っている訳され、バチラー博士はmuddyと書いてきたのだが、少し違っているようだ。ヌプは元来「巫力のある」意。それでどぎつい感じが出、水の場合は色のついたのをいった。幕末の蝦夷地名解では「ヌプとは強いと申す事」と書かれた。少し遅れたころの野作東部日記では「水色の濃しと云ふ夷語なり」と述べられ、最近では知里博士も同じ説を書かれた。今では登別川の下流で見ると、殆ど目立たないが、幕末の諸紀行では、ここを通って「川水白く流れ」、「川水黄色にして甚だ濁る」と書かれている。当時は温泉水がひどく流れていて目立ったのであろう。



ベラルーシの島村

にれのや (2003/08/21 02:02)

■Maniac C., Good Job des!
そうかそうか、ベラルーシにありましたか、Островно が。ベラルーシ語では Астроу{+U}но となるらしい。ひょっとすると、ソ連の地図には Астроуно で載っているかも。ちょと調べよ。
■そうすると、['ムーソルクスキイ] ですね。古典ギリシャ語辞典で調べたところ
     μουσουργо{+´}s [ムースール'ゴス]
という名詞を見つけました。
     Μоυσα ['ムーサ] (つまり、Muse ミューズ、またまた、つまり、「詩作、音楽、舞踏などの芸術の神々」) のつとめを行なう者という意味で、特に 「歌を歌う娘」 を指したとのこと。語尾は -οs だが、女性名詞。
 教会スラヴ語は、ギリシャと隣接していて、ギリシャ正教を取り入れたスラヴ人の言葉であり、その教会スラヴ語に、この語彙があっても何の不思議もない。(すんまそん。わが手元に教会スラヴ語の辞書がない)。また、教会スラヴ語は、その後、語彙を増やすだけで、ほとんど変化せずに、近世までロシアにおいて影響を与え続けたので、教会スラヴ語の語彙を姓に使うことは何の不思議もないです。
 ただ、語形変化の点や、アクセントの問題などで、ちょと調べてみたいので、結果はあとあとということで。



Re: ロシアバレエ名

にれのや (2003/08/21 01:38)

■Koma さん、資料ありますので、たぶん、解読できます。仕事が終わるのが夜中なのでなかなか…… いずれの名前も 「姓―名―父称」 で並んでいますね。
■「仝」 の件ですが、わたし自身は、「同」 の略字として実際使っています。ただし、「仝」 などという面倒な書き方はしません。「人」 の下に 「ユ」 です。そのほうが普通だと思うのだが…
■U+3002 さん。確かに読むとしたら、г=[к] です。



訂正

Maniac C. (2003/08/21 01:36)

■研究社『新英和大辞典』には、英語の発音の他、原語の発音も載っておりまして、
下記のようになっております。г は発音するようですね。
 ○チャイコフスキー・・・tSijko´fskjij
 ○ムソルグスキー・・・mu´s@rkskjij
 ○ストラヴィンスキー・・・stravji´nskjij
 ○カバレフスキー・・・k@balje´fskjij



レー 濃音・気息記号・ロシヤ人の名前

Maniac C. (2003/08/21 01:30)

>massangeanaさん
放出音の情報を有難う存じました。成程。吸着音のようにも聞こえますね(とか書くと
又ツッコミが入りそうですが…)。兎にも角にも「濃音」とは「ぜんぜん別のもの」と
いう事実が実感できました。米国にいらっしゃると、ケチュア語との接触がお有りに
なったりするのでしょうか??
>声門を覗いたわけではないので...
まさに「声門を覗いた」記述が『呼気流量を用いた生理音声学的研究』(下記URL)に
在りました:「Kagaya (1974) は三系列の子音における喉頭の動きの様子を、ファイバ
ースコープで観察、解析した。濃音は調音の破裂(articulatory explosion)をする前
に声帯の緊張状態を完全に内転させているのが見られ、声帯の緊張や音の開始の直前
での急激な声帯の緩め、声門下圧の上昇や破裂の直前における声門の緩和が観察さ
れる。激音の場合は声帯の積極的(positive) 外転と声門下圧の上昇が観察されるが、
一方、平音ではそういった明白な喉頭の動きの様子は何も見られないとされている。」
http://www.lingua.tsukuba.ac.jp/ippan/JGL/2000/2000-Ko3.pdf

>U+3002さん
>>(Re: テレシコワ ほか)
>トンチンカンなレスをしてしまいました。
>失礼しました。
Ça ne fait rien.

>ギリシャ語の気息記号にはダシア(Dasia, routh smoothing mark, 有気記号)とプシリ(Psili, smooth breathing mark, 無気記号)があります。
存じておりました。これまた舌足らずで失礼。下記の如く訂正させていたゞきます。
×希臘語の気息記号もこっちです。→ ◎希臘語の有気記号もこっちです。

>にれのや師匠
>Островно という地名は、わが地図には見つかりませんでした。
■ベラルーシに Ostrovno(Astrouna) という地名を見つけました!
何か、ナポレオンと関係の有る、有名な地名らしいです。
地図は下記URLを御覧ください。やはり、川中島なのでしょうか。
http://www.mapquest.com/maps/map.adp?latlongtype=decimal&latitude=55.1333&longitude=29.8833&size=big
http://www.calle.com/info.cgi?kind=topo&lat=55.1333&long=29.8833&name=Ostrovno&cty=Belarus&alt=475&zoom=-4
湖の名前でも Ozero Ostronovo というのが見つかります。

>ムソルグスキイは厄介です。そもそも、г を読むかどうかさえ定かではありません。
■研究社『新英和大辞典』には、英語の発音の他、言語の発音も載っておりまして、
下記のようになっております。г は発音するようですね。
 ○チャイコフスキー・・・tSijko’fskjij
 ○ムソルグスキー・・・mu’s@rkskjij
 ○ストラヴィンスキー・・・stravji’nskjij
 ○カバレフスキー・・・k@balje’fskjij
■又、ムソルグスキーの語源については先日示した資料に、以下のように書いてあります:「First, about the name. Mussorgsky (Russians pronounce it with the accent
on the first syllable) does not derive from the Russian word musor, meaning
"rubbish," as many have long wished to believe, in part because it makes such
a good story especially considering the brilliant alcoholic Russian composer's
messy life and death. Instead, as David Brown meticulously explicates in a lengthy
footnote on the very first page of his exhaustively researched new book on Modest
Mussorgsky (1839-1881), the name comes from the Church Slavonic word "musorga,"
meaning musician. Bestowed upon a 15th-century ancestor in apparent recognition
of his musical gifts, this nickname was eventually adapted as the surname
Mussorgsky. The rather vain composer (perceived as a "strutting cock" by one
artist acquaintance) insisted upon the "g" in the spelling, to avoid any
unpleasant associations with rubbish.」



初心者のための台湾語の本

台湾語大好き!! (2003/08/20 21:44)

本屋に行ったら、「はじめての台湾語 CDーBOOK」(明日香出版社)を見つけました。
早速買ってみました。台湾語と北京語両方入っているので、とても勉強しやすいです。(個人にとっては)
目次はこちらを参考してください。
http://www.asuka-g.co.jp/shinkan/4-7569-0665-6.html
みなさん、台湾語を一緒に勉強しましょう。



ロシアバレエ名 音素は虹の色

Koma高駒麗人 (2003/08/20 21:03)

俄羅斯布里亞特国家模範歌劇芭蕾舞大劇院
(ロシア・ブリヤート・ナショナルモデル・オペラ・バレエ・グランドシアター?)
主演:布拉科夫・阿列克賽・瓦林季諾維奇
蘇爾米娜・安娜・尤里耶夫娜
胡薩摩耶娃・加麗娜・阿納託里耶夫娜
<天鵞湖>(白鳥の湖?)
<一千零一夜>(千一夜物語?アラビアンナイト?)
<芭蕾精品晩会>(?これも「白鳥の湖」のような歌劇作品?)

上海大劇院はShanghai Grand Theatreですがロシアの「大劇院」は Bolshoy Teatreでしょーか?

音素は点でなく座標の範囲、虹のような物です。
日本語のシと英語等の∫は歯茎後部音でもあり硬口蓋音でもあります。調音位置は一定の幅を持っています。歯茎後部音〜硬口蓋音とは上の調音位置であり、下の調音位置が舌面ならcの下を丸めた日本語のシ、北京語のxであり、舌先〜舌の裏であれば北京語のsh、露語Шです。
英語等の∫は日本語のシと同じ音になる場合もありますし、北京語のshと同じになる事もあります。英語の∫と日本語のシが、音声学的名前や記号が違うから別音だというのは一時的な音声現象を捉えたもので音韻を考えていない発想です。
>シの子音は無声歯茎硬口蓋摩擦音で、英語のsheの子音(無声後部歯茎摩擦音)とは違います。

それでは「イシ」のシ(舌先は下の歯の裏について舌面音)と「ウシ」「リシ」のシ(舌先は上歯茎と硬口蓋の間当たりに近い位置に置いて舌面音)も別音になります。
現代日本語で「ジシン」のような語頭のジが破擦音dZiで発音され、「ダイジシン」のように母音の後では摩擦音Ziで発音されるのは、少々日本語の音声をやった人にとっては常識で、「ジシン」のジがヂになるのは一時的な音声現象というより、規則的な異音です。



RE:「仝」

きしろふ (2003/08/20 18:21)

>Maniac C.さん
言う通り「同上」という感じで使っているようですね。
「右下がり」は日本語、「左下がり」は英語ですか。
私は「左下がり」のほうをよく使っています。



re 郵便

鴛鴦 (2003/08/20 16:13)

>U+3002さん
確かに、「〒」である理由がなされていません。
やはり「『〒』と発表するはずが、『丁』と誤植した」と発表されたとおり、「テ」が「〒」になったと推測するのは当然に考えますね。
本当にそれなりの根拠があるのか知りたいところですが、あのページに載っているリンクは切れているし・・・
2001年1月5日まで逓信省のものだったとは・・・!(^^;)



ムソルグスキイのг

U+3002 (2003/08/20 15:03)

にれのやさん
>ロシア語では -ргск- と子音が続くと、г の音を落とします。
>でも、Мусоргский で г を落とすと Мусорский ['ムーサルスキイ]

仮に発音するとしても、гは無声化して、「ムーサルクスキイ」になるような気がしますね。



Re: 郵便

U+3002 (2003/08/20 15:02)

鴛鴦さん
>その「下記ページ」にはこう書いてあるんです。
>「最初は頭文字の『T』で決定していたが、発表する直前になって、『T』は郵便料金不足を表す世界標準のマークであることが判明。さすがにそれはまずいということで、急遽棒を上に1本加えて『〒』としたのが真相なのである。」
>そして図案化のことは「それは大ウソ」と言い切っていますが・・・

「Tを〒に訂正した」というのは周知の事実(「真相」などと言うほどのことではない)ですが、それが「テの図案化ではない」というのは論者の推測(それも通説と異なる)ですよね?
それに「根拠がない」んです。
「テの図案化ではない」と主張するなら、「工」「干」「下」「丌」「十」などでなく「〒」である理由を示すべきでしょう。

「〒」の起源について解っているのは「当初丁/Tとして発表され、後に〒と訂正された」ということだけです。
それ以上の、意匠の意味などについては、資料を知りません。
ならば「テの図案化」というのも推測ですが、「テ」と「〒」の類似から、当然の推測でしょう。
「当然の推測」を否定するなら、それなりの根拠が必要かと思います。



Re: 音声記号について

U+3002 (2003/08/20 15:00)

>>>Dvořák[(d)vэzjα:k](эは口の大きいオ、zjはジの子音)というように記号の意味を説明すれば十分だと思います。
>>この説明はマズいですね。
>>ジの子音は有声歯茎硬口蓋破擦音で、ここで表したい有声後部歯茎摩擦音とは調音位置も調音法も違います。
>>また、「口の大きいオ」という説明は、広母音とも広中母音とも解釈できます。

>英語の場合、廣母音、廣中母音の区別は重要ではなく、oと[cの逆さ]がわかればすむことです。

dotの母音は広母音、daughterの第1母音は広中母音です。
もちろん、両方とも広中母音とし、別の弁別要素(たとえば長さ)で区別するモデルもあります。
しかし問題は、「口の大きいオ」と言える英語の発音が2種類あるということで、高駒麗人komaさんの例では、それをどのように区別しているのか判然としません。

また、英語の発音を説明しようとしているのに、英語の音韻体系についての知識を要求するのはどうかと思います。
まして、もともとの書き込みは「(チェコ語での発音はこうなのに対し)英語での発音はこうだ」という論旨だった気がします。
「さまざまな英単語の発音を列記する」ようなばあいと異なり、言語に拠らず比較できる形式が要求されると思います。

>「ジの子音」は有声歯茎硬口蓋摩擦音で、有声歯茎硬口蓋破擦音は「ヂの子音」です。
>実際、日本語ではジシンのジがヂと發音され、ミヂカのヂがジと發音されますが、

単に「ジ」と言ったばあい、「現代日本標準語の一般的・規範的発音でのジ」と考えるのが自然だと思うのですが。

(ジの音価とはちょくせつ関係ない話題なので、余談として)
歴史的な用途に4つ仮名の発音を区別することはありますが、そのばあい、ヂは[di]が一般的だと思います。
[di]>[dZi]の変化と[Zi]>[dZi]の変化は、連続して起こり、ジとヂが、「摩擦音と破擦音」という対立で共存したのは、室町時代後期の短期間だけです。
(略記[Z]は有声歯茎硬口蓋摩擦音z with curl[ʑ](zの最後をループ)で、[dZ]も同様です)
「ミヂカのヂがジと発音される」はまだしも、「ジシンのジがヂ」というのは、一時的に現われた過渡的な音韻体系に依存した、不自然な表現に感じられます。

>「ジの子音」とかいたのは「シの子音」∫の有声化という事です。

(だったら「ジの子音」ではなく「シの子音の有声」と書くべきでしょうが、それはさておき)

シの子音は無声歯茎硬口蓋摩擦音で、英語のsheの子音(無声後部歯茎摩擦音)とは違います。
無声歯茎硬口蓋摩擦音のIPAはc with curl[ɕ](cの最後をループにして左下に払った文字)、
無声後部歯茎摩擦音のIPAはエシュ[ʃ](sを縦に引き伸ばした文字)です。
日本語の[ɕ]は、英語の[ʃ]より、調音位置が奥で、前舌面が盛り上がっていて、より明るい響きを持ちます。



長い名前

にれのや (2003/08/20 03:21)

■本日はロシア人の名前についてはお休みさせていたゞきます。
ドヴォルザーク、カバレフスキイについては、いずれ。ムソルグスキイについては、少し時間をいたゞきます。ムソルグスキイは厄介です。そもそも、г を読むかどうかさえ定かではありません。ロシア語では -ргск- と子音が続くと、г の音を落とします。
     петербургский [ピチェル 'ブルスキイ] ペテルブルクの
     хамбургский ['はンブルスキイ] ハンブルクの
でも、Мусоргский で г を落とすと
     Мусорский ['ムーサルスキイ]
で、「ゴミの」 という意味に聞こえます。はて?
■きのうの朝日新聞夕刊に
     麻呂女鬼久寿老八重千代子
     まろめきくすろやえちよこ
という名前だった女性の話が載っておりました。明治44年、奈良県大和郡山市生まれ。神主と郡会議員をしていた父親が、漢学を学ぶ仲間から薦められた文字をすべて名前につけてしまったために、寿限無もどきの名前になってしまったそうで。東京女子体操音楽学校を卒業後、千代子に改名したそうである。



俄羅斯布里亞特国家模範歌劇芭蕾舞大劇院

高駒麗人koma (2003/08/20 01:01)

’の使い分けは勉強になりました。

ロシアのブリヤートのナショナル模範(?)バレエ大劇場(?)のシナ語名を見かけました。
俄羅斯布里亞特国家模範歌劇芭蕾舞大劇院
主演:布拉科夫、阿列克賽、瓦林季諾維奇、蘇爾米娜、安娜、尤里耶夫娜、胡薩摩耶娃、加麗娜、阿納託里耶夫娜
<天鵞湖>(白鳥の湖?)
<一千零一夜>(アラビアンナイト?)
<芭蕾精品晩会>(?)

「布拉科夫」はプリコフ?ブリコフでしょうか?
「阿列克賽」はアレクセイでしょうが、瓦林季諾維奇はわかりません。「ワレンキノビッチ」「ワレンチノビッチ」、「ワリン…」のどれで検索しても出ません。
「蘇爾米娜・安娜・尤里耶夫娜」はスルミナ・アンナ・ユリエフでしょうか?
「胡薩摩耶娃」は「フサモイェワ」?「加麗娜・阿納託里耶夫娜」は「カリエナ・アナトリエフ」でしょうか?
出来ればロシア文字表記を知りたい物です。



音声記号について

高駒麗人koma (2003/08/20 00:45)

>本来御世紀ご烏兎は文字と発音の対応を決めたものですから
文字化け?
本来音声記号とは文字と発音の対応を決めたものですから
の誤りでした。

>Dvořák[(d)vэzjα:k](эは口の大きいオ、zjはジの子音)というように記号の意味を説明すれば十分だと思います。この説明はマズいですね。ジの子音は有声歯茎硬口蓋破擦音で、ここで表したい有声後部歯茎摩擦音とは調音位置も調音法も違います。また、「口の大きいオ」という説明は、広母音とも広中母音とも解釈できます。
英語の場合、廣母音、廣中母音の区別は重要ではなく、oと[cの逆さ]がわかればすむことです。

「ジの子音」は有声歯茎硬口蓋摩擦音で、有声歯茎硬口蓋破擦音は「ヂの子音」です。
実際、日本語ではジシンのジがヂと發音され、ミヂカのヂがジと發音されますが、「ジの子音」とかいたのは「シの子音」∫の有声化という事です。



re 「仝」の使い方

Maniac C. (2003/08/20 00:27)

>きしろふさん
>とのような場面で「仝」を使うのでしょうか?
英語の”(ditto)と同じで、或る文字列を繰り返すときに使います。
>身の回りでは(何度も言いますが)まず見かけませんが。
相撲の番付や、神社仏閣の寄進者の掲示などを見ると在りますな。
↓関連HPを少々拾ってみました。
http://www2.ttcn.ne.jp/~kazuoka/Kanji/pdf/goreturn.pdf
http://www.shinchosha.co.jp/shoushin/ kanji_ichiran/kanji0002.html
http://www.melma.com/mag/22/m00012422/a00000386.html



色々と

らにい (2003/08/19 23:36)

>Maniac C.さん
あいたたた・・・(>_<)

 ○チャイコフスキー・・・「『かもめ村』の出身者」
 ○ムソルグスキー・・・「音楽家の」
 ○ストラヴィンスキー・・・「『島の村』 の出身者」
 ○カバレフスキー・・・「騎士の息子の」
ですわ(笑)
高校は普通科でした。私は理系へと進んでいったので、社会の方は(学校でも)あまりやらなかったのです。
ところてんには醤油だれ(すっぱいほう。あまいのはちょっと・・・)、からし、青海苔とシンプルに(^^)
黄な粉や糖蜜は私としては似ている「葛きり」のほうですかな。



特殊文字?

きしろふ (2003/08/19 23:07)

あたしもちょいと質問です・・・

「佐々木」の「々」や「〆切」の「〆」は見かけますが、「仝」はまず見かけません。
「仝」は「同」の異体字と聞いたことがあります。そうだとしたら、とのような場面で「仝」を使うのでしょうか?身の回りでは(何度も言いますが)まず見かけませんが。



re:たて

鴛鴦 (2003/08/19 22:57)

>Maniac C.さん
ということで、「たて」の質問も私です(^^;)ゞ

そうすると「殺陣」は「殺人の演技の陣立」?



re:郵便

鴛鴦 (2003/08/19 22:30)

>Maniac C.さん
「Re:ところてん」は実は私なんです・・・(--;)

>U+3002さん
その「下記ページ」にはこう書いてあるんです。
「最初は頭文字の『T』で決定していたが、発表する直前になって、『T』は郵便料金不足を表す世界標準のマークであることが判明。さすがにそれはまずいということで、急遽棒を上に1本加えて『〒』としたのが真相なのである。」
そして図案化のことは「それは大ウソ」と言い切っていますが・・・
他に「言葉の世界」の類としては、「簿記」「サンリオ」「カルピス」「ロッテ」「コクヨ」「(ズボンのファスナーの)社会の窓」「ホチキス」「Yahoo」「ガードマン」がありますか。他雑学あわせて29項目が載っています。
某漫画の登場人物は「東海林」と書いて「とうかいりん」と読みます(笑)



re たて 他

Maniac C. (2003/08/19 21:50)

>らにいさん
■「殺陣」に関しては最下記URLを御覧ください。
■えっ、鴛鴦さんは何かしたのですか??
■「ロシアの作曲家」の投稿、ストラヴィンスキーの名前の意味(島村)がムソルグスキー
 のところに書いてありますよ。
■「世界史A・B」の解説、有難う存じました。「世界史A」を学習したということは、
 らにいさんは専門系の高校だったんですか?(←プライヴェトに関わることなので、
 強いてお答えいただかなくても結構です。)近現代に重点が置かれているだけではなく、
 横のつながりや後世にどんな影響を与えたか、という観点もBとは違うようですね。
■「ところてん」を調べていて判ったのですが、江戸時代は黄な粉をかけて食べていた
 とか、関西では糖蜜をかけて食べるとか、甘い味付けも有るのですね。言葉とは関係なく
 文化になってしまうのですが、ここにお出での皆様はどうやって食べていらっしゃるの
 でしょう?

http://kenyukai.ram.ne.jp/tatedo.htm



いやいや・・・

らにい (2003/08/19 21:03)

鴛鴦さん、今後気を付けてくれれば。(私も以前同じ過ち犯したような・・・ ^^;)

「たて」はちっと分かりません。学力不足で・・・(--;)



Re: 〒

U+3002 (2003/08/19 20:45)

>P.S. 「〒」は逓信省(総務省の前身)の「テ」を図案化したものだとずっと思っていた・・・(下記ページ参照)
>http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/34.html

そのとおりですよ。
「下記ページ」が何を根拠に「テではない」と言っているのか疑問です。

余談1: 『逓信省の徽章』を定めた逓信省告示第11号の内容自体に、3説あります。
1. 丁
2. 〒
3. T
公式には、2「〒」とされています。
つまり、『「〒」と発表するはずが、「丁」と誤植した』と官報で発表されました。

余談2: 逓信省告示第11号は、2001年1月5日まで有効でした。
2001年1月6日より、〒は『郵政事業庁のき章』となりました。
『郵政事業庁のき章』を定めたのは、郵政事業庁告示「第1号」です。

>「東海林」を「しょうじ」

人数的には、「東海林」と書いて「とうかいりん」と読む人のほうが多いらしい…。



ごめんなさいっ!

鴛鴦 (2003/08/19 19:36)

なに勘違いしたのか私は!?
らにいさん大変申し訳ありませんっ!(>_<)



Re:ところてん

らにい (2003/08/19 19:34)

>Maniac C.さん
元々は「こころぶと」だったんですか。わかりました。

他にも(「ところてん」とは別に)調べたものがあります。
 ・なぜ「東海林」を「しょうじ」と読むかというと、秋田や山形あたりに東海林(とうかいりん)という地名の荘園があり、そこに住んでいた「庄司(しょうじ)」さんを呼ぶうちに、「東海林」とだけ書いて「しょうじ」と呼ぶようになったから。
「しょうじ」ネタは最下記URLのサイトに載っているようですが、サーバーエラーなのか現在見られない・・・(TT)
あと、「たて」の語源となぜ「殺陣」で「たて」と読むのか、「さつじん」とは読まないのかというのをまた改めて皆様教えてください。

P.S. 「〒」は逓信省(総務省の前身)の「テ」を図案化したものだとずっと思っていた・・・(下記ページ参照)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/7891/coffee/34.html
http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/ahodori.html



re ところてん

Maniac C. (2003/08/19 18:01)

>鴛鴦さん
■「ところてん」を求めてあちこちのHPを当たってみました。一番詳しかったのは、
『ことばの溜め池』(最下記URL)の2001年11月24日「西山ノ心太(にしやまのこころ
ぶと)」の条です。
■古写本『庭訓徃來』の文明四(1472)年本には「心太(フト/トコロテン)」と有るよう
です。これが「ところてん」の一番古い例ではないでしょうか。1472年は、まだ室町
時代の中期に当たりますから、『ざっくりとところてん≠ニ言っちまえ』と言った
のは、江戸っ子ではないようですね(^^)。
■「こころ」→「ところ」の転訛は、別なHP(↓)で「コゴル(凝固する)の関西方言
トゴルにテングサのテンを添えた」という説が有りました。
http://homepage2.nifty.com/osiete/seito95.htm
■「ところてん」の原料である「テングサ」自体が「ところてん+草」の上略です
から、後半は歿ですが、前半の「こごる」→「とごる」説は魅力的です。
■「心太」の古語として、「こるもは(凝る+藻+葉)」の外に「こごろも(凝る+藻)」
というのも在るそうですから。
■「沈殿する・溶けずに残る」の意味で「とごる」を使うのは、愛知・三重・和歌山・
奈良だそうです。>あおさん・zo-さん(暫くお見えではありませんが)、どうです?
http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/bnum/0846.html#4
■鴛鴦さん御紹介の本に出ている「こころてい」は、どのHPを見ても、明応9(1500)
年頃の『七十一番職人尽歌合』の「うらぼんのなかばの秋のよもすがら 月にすますや
我心てい」を引いています。
■用例がこれ一つしか無いのと、上述した文明四(1472)年には既に在る「トコロテン」
の語形と、逆転するところに怪しさを感じます。そういう言い方が広く認められて
いたにしても、「テイ」→「テン」ではなく、その逆の「テン」→「テイ」の方が有り
得そうです。「千円」を「せいえん」と言っても通じるのですから。
■「太」の字の音読み「タイ」を「テイ」と訛るとしても、エ段の長音が初めて確認
されるのが、江戸時代前期・明和6(1769)年の洒落本『郭中奇譚』ですから、2世紀
半も早いことになり、却下。
■大言海は「太」の呉音を「テイ」とし、「心太」の湯桶読みで「こころてい」として
いるようですが、和語「こころ」と漢語「てい」を複合させる動機が解らないので、
これも却下です(上記歌合せでは使用されてはいますが、これは「心太」を短歌に詠み
込むための臨時的なものと考えます)。
■やはり「『太』を『天』と間違った」とする説を私は採りたい。実際に今でも「心天」
と書かれることも有るようだし(現代では漢字が先か音が先かは判りませんが)。
http:// www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/ahodori.html
■後は、中国語で言う「石花菜」が何故「心太」なのか、についてです。『ことばの
溜め池』には「意強菜」という文字遣いが有り、古語の「こころぶとし」に繋がって
面白く感じます。しかし、もう一つ、「楊氏『漢語抄』に心太ハ大根なりといふ」との
記述も見逃せません。この場合の「心」は、「芯」と書いた方が解りやすいと思います
が、トウシングサ(灯心草)の髄のことではなく、本来「表面から全容は見えないが、
軸となってそのものの成立を支えているもの」で、「軸」のことです。大根も天草も、
「軸(=根・茎)が太い」のです。
■というわけで、まとめますと、以下のようになります。
「こころぶと」        …「軸が太い海藻」の意から
「こころぶと」→「こころてん」…漢字表記「心太」を「心天」と間違った
「こころてん」→「こごろてん」…「こごろも」からの類推? 「こごったテングサ」?
「こごろてん」→「とごろてん」…「こごる」の方言形「とごる」の干渉
「とごろてん」→「ところてん」…濁点の無表記形

http://user.komazawa.com/hagi/ko_tame50.html



有気音/硬口蓋化/放出音/気息記号 ほか

U+3002 (2003/08/19 15:13)

Maniac C.さん
>★有気音を表す記号は「‘」で、向きが違います。希臘語の気息記号もこっちです。
>★口蓋化音を表す記号は「′」で、上に黒い丸めは付いていません。
>★濃音の音(放出音)だけが「’」ではないでしょうか。
U+3002
>硬口蓋化は′(プライム)、弱い有気音は‘(反転カンマ)、声門化は’(アポストロフィ)です。

私も似たことを書いてますが、少し違うようです。
IPA 1993(最新版)
http://www.wikipedia.org/upload/9/90/Ipachart.png
によると、放出音が[’]はいいですが、有気音は[ʰ](上つきh)、硬口蓋化は[ʲ](上つきj)しか載っていませんでした。(声門化という項目はありませんでした)。

Unicode Standardには、『弱い有気音(weak aspiration)』として(IPAだとは言わずに)[ʽ](反転カンマ)が載っていました。
Maniac C.さんと私が書いた[‘](回転カンマ)は、『[ʽ](反転カンマ)か[ʿ](左半円)の植字上の代用品』とありました。
(「反転(reversed)」は左右反転、「回転(turned)」は180°回転を意味します。黒丸が上か下かの違いです)
[ʿ](左半円)は、アラビア語のアイン(有声咽頭摩擦音)で、IPAは[ʕ](?に似た声門閉鎖音の反転)です。

[′](プライム)は『ьの転記(キリール文字の軟音符:硬口蓋化)』とありました。上に書いたとおり、IPAは[ʲ](上つきj)です。

[’](アポストロフィ)の解説には、IPAどおりの放出音のほか、声門化も書いていました。

しかしこれらは、(少なくとも現行の)IPAではないようです。

(簡便のため、文字名からMODIFIER LETTERを略しました)

Maniac C.さん
>希臘語の気息記号もこっち[U+3002註: ‘]です。

ギリシャ語の気息記号にはダシア(Dasia, routh smoothing mark, 有気記号)とプシリ(Psili, smooth breathing mark, 無気記号)があります。
ダシアはʽ(反転カンマ)型、プシリは’(アポストロフィ)型です。
‘(回転カンマ)型の記号は使いません。

また、これへのレスで、
>ギリシャ語の気息記号は文字の上に書きます。
と書きましたが、正しくは、「小文字には上、大文字には左上」に書きます。

>(Re: テレシコワ ほか)

トンチンカンなレスをしてしまいました。
失礼しました。



放出音つづき

massangeana (2003/08/19 13:22)

もっといいのがありました。ここの「Listening Quizzes」から Quechua を選ぶと
ケチュア語の無気音・帯気音・放出音の音声ファイルがきけます。
http://www.ling.yale.edu:16080/ling120/index.html



綴り 追加

らにい (2003/08/19 12:41)

度々すいませんm(_ _;)m

どちらかというと「Moussorgsky」のほうですか?



綴り

らにい (2003/08/19 12:36)

そうなると、
 「ムソルグスキー」・・・「Musorgsky」「Moussorgsky」「Moussorgski」(「Мусоргский」)
とありますが、「Musorgsky」がオーソドックス?



Re: 濃音・放出音

massangeana (2003/08/19 12:35)

中国語になれた耳だと, 朝鮮語の平音は語頭では Maniac C. さんのおっしゃるように
軽い帯気音にきこえます。濃音の出し方についてもたぶん Maniac C. さんのいうとおりで
喉頭の緊張によって声門が閉じている(平音ではたぶん開いている)のだろうと思います(が, 声門を
覗いたわけではないので...)

放出音も喉頭が関係しますが, こちらは声門を閉じたまま, 喉頭全体を上に持ち上げることによって,
肺からの呼気によらずに破裂させます。破裂してから声が出るまでに時間がかかる点では帯気音に
似ていますが, 音色がぜんぜん違うのですぐ区別できます。有名どころではハウサ語やケチュア語
にこの音があるそうです。
SIL の IPA Help でじっさいの音が聞けます。下のページから Preview を選んで子音の一覧表から
「p'」「t'」「k'」をえらんでみてください。(じっさいには [ap'a] [at'a] [ak'a] といっています)
 http://www.sil.org/computing/speechtools/ipahelp.htm



ロシアの作曲家

らにい (2003/08/19 12:30)

にれのやさんのレスも参考にしまして・・・
 ○チャイコフスキー・・・「『かもめ村』の出身者」
 ○ムソルグスキー・・・「『島の村』 の出身者」
 ○ストラヴィンスキー・・・「大きな急流近くに領地を持つ家柄の」
 ○カバレフスキー・・・「騎士の息子の」
こういう風になりますね。ふむふむ。
「Tchaikovsky」がオーソドックスですか。ありがとうございます。



心太い食べ物?

鴛鴦 (2003/08/19 09:53)

「心強い」「心細い」に関してのことで「心太い」という言葉を見て、「心太」を思い出しました。
読みは「ところてん」です。(今は冷夏なので、そう食べようという気にはなりませんが・・・)
語源について調べて見ますと、日本雑学能力協会編著『日本語おもしろ雑学練習帳 難読漢字篇』に「訓読みで試してみよう。こころぶと→こころふとい→こころふてえ→こころてい→こころてん→ところてんと、ちょっと苦しいが正解にたどり着く。」と書いてあり、「冗談のように書いたがあながちそうでもない。『こころぶと』『こころてい』は、ところてんの原料であるテングサの異称。『暑いなあ、さっぱりとこころてい≠ナも食いてえな』『江戸っ子がそんなロレツが回らねえようなもん食えるか、ざっくりとところてん≠ニ言っちまえ』というようなやりとりがあって、『ところてん』になったのではないだろうか。」とあります。
自分としては(上記のような会話のやり取りはともかく別として)一応信じていることは信じていますが・・・



ストラヴィンスキイの語源

にれのや (2003/08/19 03:36)

■Maniac C. 氏にお骨折りいたゞいたストラヴィンスキイの語源ですが、ロシアの学者はかように説明しております。
【Стравинский】 [ストラ 'ヴィヌスキイ] アクセントは法則どおり。ですね。
 ベラルーシ、ポーランド系の姓。地名 Островно あるいは Остров から。最初は Островинский という語形であった。語頭の о が落ち、アクセントのない о が а となった。
■Островно という地名は、わが地図には見つかりませんでした。よほど、小さい村か、過去にあった地名、ということか。ロシア語で解釈するなら островной [アストラヴ 'ノーイ] という形容詞から作られた地名といえます。これは、остров ['オーストラフ] 「島」 という名詞からつくられた形容詞で 「島の」 という意味です。この形容詞の 「中性短語尾」 という形が островно [アストラヴ 'ノー] です。中性というのは、例によって 「村=село (中性名詞)」 だからだと考えられます。つまり、
     Островно オストロヴノー =「島の村」
です。ただし、現代ロシア語では、通常、形容詞の短語尾という語形を地名にすることはありません。先に書いた Чайковское というのが 「中性長語尾」 という形で、ふつうは、こちらの語形を使います。
     -о 短語尾
     -ое 長語尾
ところが、ロシア語以外のスラヴ語では、形容詞の主格の語尾がすり切れてしまっていて、現在では短語尾しか残っていないのです。つまり、Островно というのは、ロシア語圏以外の地名ということです。その証拠に、
     Островное [アストラヴ 'ノーイェ] 「オストロヴノーエ」
という地名は、わが小さい地図にも3箇所のっています。
 Остров ['オーストラフ] 「オーストロフ」 という地名は、逆にロシア語圏にはなく、ポーランドに2箇所見つかります。ポーランド語の綴りは Ostro{+´}w です。ロシア語に転写すると Острув。
 островной [アストラヴ 'ノーイ] という形容詞の 「男性短語尾」 は、островен [アストラ 'ヴェヌ] となります。語尾がゼロで、-вн と子音が続いてしまうので、出没母音 е を挿入します。これに形容詞をつくる語尾 -ский をつけますと
     Островенский [アストラ 'ヴィェヌスキイ]
ができます。「「島の村」 の出身者」 というような意味になります。
 不思議なのが、これら 「島の村」 を名乗る村が、いずれも 「内陸」 にあることです。これがなぜなのかは、現地に行ってみないとわからないでしょうね。「川中島」 みたいなことかもしれませんね。



心太いチャイコーフスキイ

にれのや (2003/08/19 03:35)

■セニョール Maniac C. には失礼しました。「かもめ」 で正解です。イズヴィニーチェ。村の名前の補足。
   Чайка ['チャイカ] かもめ (単数主格)
   Чайки ['チャイキ] かもめたち (複数主格)
   Чайковское [チエ'コーフスカヤ] かもめの(村)
   ※形容詞の中性形。毎度書くように 「村 село」 は中性名詞だから。逆に言うと、中性形の語尾を持つ地名は、「村」 か 「もとは村→大都市になっている場合もないとは限らない」 ということです。
 Чайковское で、アクセントが移動している点に注目してください。ベラルーシ、ウクライナ系の -ский, -цкий の語尾を持つ固有名詞は、派生元の名詞のアクセントの位置のいかんにかかわらず、-ский, -цкий の直前の音節にアクセントが移動します。この法則を覚えておくと便利です。9割5分の打率で正解です。あとの5分は、それぞれ個々にいろいろな事情をかかえているものです。Мусоргский のアクセントが語頭にあるのは、ロシアの固有名詞学者たちを悩ませているようです。
 これは、わたしの推測ですが、後ろから2番目の音節に必ずアクセントがくる、というのは、ポーランド語の影響ではないか、と思います。歴史にかんがみても、ウクライナ、ベラルーシでポーランド文化の影響が濃く残っていたとしても不思議ではありません。
■「心太い」 という言葉は、落語・講談には残っていませんね。少なくとも幕末には消えていたんでしょうね。現在残っているいちばん古い 「語り芸」 の録音は、明治末期からですが、その当時、吹き込みを行なった芸人は、おそらく、江戸時代に生まれた人の口演を直接聴いていると思うので。
■らにいさんの心配。チャイコーフスキイの正しいラテン文字つづりは?ということですが、クラシック音楽の世界では、Tchaikovsky が、やはり、オーソドックスなようです。これには、わけがありまして、チャイコーフスキイの時代、つまり、帝政ロシアの時代、(何度も書くようですが) ロシア人にとって 「外国語=フランス語」 でした。それは、とりもなおさず、「ラテン文字に転写すること=フランス語式に綴ること」 だったわけです。ごぞんじのように、フランス語には ч (ch) 音がなく、tch という連綴で表します。語末の -y は、-ий の略転写です。19世紀以来、チャイコーフスキイは Tchaikovsky と綴られてきたので、これが定着したようです。
 あたくしごとですが、以前、レコード店の Cのタナで延々とチャイコフスキイを探した覚えがあります。「この店は……チャイコフスキイを置いてないなんて……」



「心強い」と「心細い」

Maniac C. (2003/08/19 02:00)

>ベルさん
>「強いの反対は弱いなのに心強いの反対はなぜ心細いなのか?」
■まづ、『goo辞書』(下記URL)で以下1ダースの単語の意味を調べてください。
「心強い」「心弱い」「心太し」「心細い」;「気強い」「気弱い」「気弱」「気太い」「気細い」;
「心丈夫」「気丈夫」「気丈」
■するといくつか、お気づきになる点が有ると思います。
■上の単語リストで、1つだけ文語のものが有るのにはお気づきになりましたか?
「心太し」がそうです。つまり、この単語だけ現代語として残っていないのです。
何故でしょうか? 証拠は有りませんが、多分、意味が悪くなったためでしょう。
現代語にも「太え(=図々しい)奴だ」という罵詈が在り、「不逞の(=けしからぬ)
輩」との連想も在ったと思います。意味が悪くなりすぎると、似た意味の、もう少し
柔らかな言葉が選ばれるものです。意味の強い「あし(=悪い)」が廃れて、それより
意味の穏やかな「わろし(=良くない)」だけが現代語に残っているのが、その好例と
言えましょう。
■「心細い(=気が小さい)」の対義語は「心太い(=気が大きい)」だったのですが、
後者が「過剰に気が大きい」の意味で頻繁に使われるようになり、廃れたのだろう、
というのが私の考えです。
■余談ですが、英語でも stouthearted(肝が太い)という単語が在ります。stout は
「肥満の」という意味も婉曲的に表せる、big や thick や strong とは又、別な単語
です。これの対義語は fainthearted(肝が小さい)で、faint は「薄い、弱々しい」
の意味で、これまた small や thin や weak とは別な単語です。
■次に、「意志が強い」が原義の「心強い」が、何故「心細い」の対義語になったか、
について考えましょう。
■「心強い」が「安心だ」という意味を持つようになったのは、「心丈夫」「気丈夫」と
の連想からだと思います。江戸中期に書かれた『志不可起(しぶがき)』に「今の世に、
人に限らず、宅舎・器物・衣服なども、しかとして弱からぬを丈夫と云ふ」と有る
ようですので、「心丈夫」=「心弱からぬ」=「心強し」という連想が働き、「心
強い」に、本来は「心丈夫」の持っている「気持ちがしっかりしている、安心だ」の
意味が加わったのだと思います。
■これが、「心太し」の廃れる頃とほぼ同じ近世(江戸時代)のことと考えられます
ので、現代語に残る「心強い」⇔「心細い」の対が出来上がったのも、この頃だろう
と推定できます。
http://www.google.com/intl/ja/



チャイコフスキー Ж 濃音 カモメ

Maniac C. (2003/08/19 01:58)

>にれのや師匠(スラヴ系の姓/チャイコーフスキイ)
>ところが、そうはなっていないところが言語のやっかいなところで。(中略)
>ベラルーシ、ウクライナ系の姓では、文法を無視した造語がけっこう見受けられる。
>【チャイコーフスキイ=「かもめ村」 の出身者】
うあっ! やーらーれーたーー (←↓→↑←↓→↑)!!
師匠、それはないっしょ(TдT)。
だから最初にそう書いたのにい。……現実って、厳しいのう……。

>にれのや師匠(ロシア語の Ж の発音)
>ロシア語の ш, ж は、断じて反り舌です。
>ただし、普通話より舌の反りぐあいは少しゆるいです。
えっ(@o@)、そうだったんですか!?
>ロシア語の ш, ж を英語やフランス語の sh, zh と同じ IPA の記号で表している
ものがありますが感心しません。
騙されてた……。(|||_ _ ;)
でも、積年の謎がこれで氷解しました。私がロシヤ語をラヂオ講座で学習したのは、
未だ中国語の反り舌音を知らない頃でした。「舌先を茶匙のようにする」だとか、
「舌先を翻して上あごとの間にせばめを作る」だとか「舌をもっと奥に引く」だとか、
今、新しい目で見返せば、確かにそれらしいことが書いてありますね……。
>ロシア語の音を聞いたことがないか、耳が悪いのか……。
昔のことを思い出しました。私は耳は遠いですが(^^)、良いのです。昔、ラヂオの
向こうから聞こえてくる「Щ」の音と、自分が発音する音とが似たものにならず、
どうしてもうまく模倣できなかったものです。……反り舌に原因が在ったのですね。
高駒麗人Komaさん、御免なさい。

>massangeanaさん(Re: ')
>朝鮮語の濃音の音声的特徴を正確には知りませんが, 少なくとも放出音とはぜんぜん別の
>ものだと思います。
私は逆に、いわゆる「放出音」というものの音声的特徴が判っていないみたいです。
朝鮮語の濃音は、声門の緊張とピッチの高さ、そして呼気の流量が音声的特徴だと
思います。英語では strained sound と言うらしいです。
>いわゆる濃音はわたしには単なる無声無気音に聞こえます。
確かに、「濃音」は「無声無気音」、「平音」は「無声弱有気音」、「激音」は「無声強
有気音」に分類されるようです。(U+3002さんへの横レスにもなっています。)
>硬子音に [ja] がついているのか軟子音に [a] がついているのかわからない
これまたロシヤ語に関する知識に乏しいのでお恥づかしいのですが、ロシヤ語には、
пъя[pja](プヤ)とпьа[p′a](ピア)と、さらにはпья[p′ja](ピヤ)の最小対
が在る、ということでしょうか? それでは、やはり、プライムは欠かせませんね。

>U+3002さん(Re: IPA)
>>御世紀ご烏兎は
>文字化け?
私もツッコミを入れようかと考えたのですが、「音声記号とは」と理解できたので、
やめました。

(Re: テレシコワ ほか)
>>彼女(引用者註:テレシコワ)の地上基地との
>>コールサインが「ヤー・チャイカ」、文字通りには「私はカモメ」でした。
>> 当然、人間の母親がカモメなわけはありませんから、彼の御先祖の愛称かトーテム
>>だったのでしょう。
>
>いや、そんな大げさな意味ではないです(笑)
>チャイカはテレシコワのコード・ネーム(暗号名)です。
上記で「彼女」と「彼」を使い分けている点にご注目ください。typo(打ち間違い)で
はございません。又、「当然」の前に1字空きが在る点にも。「彼女」は仰るとおり、
テレシコワを指しておりますが、「彼」はチャイコフスキーを指しています。
チャイコフスキーが「カモメ村の出身」と申し上げているつもりでした。舌足らずで
申し訳有りません。「コールサイン」(交信合図)というところで、暗号名であることを
示唆しておりますし、「文字通り」というところで、本途は「こちらはチャイカ(=
テレシコワ)です」という意味ですよ、というのを臭わせたつもりだったのですが。
ついでに、彼女が乗っていた宇宙船は全て地上基地で操作しており、彼女はただ、
宇宙酔いのパニックから「ヤー・チャイカ」を連発していただけだったそうですが。



re チャイコフスキーetc

らにい (2003/08/18 19:14)

>Maniac C.さん
>「『感謝感激雨あられ』って、実は戦中の『艦射艦撃雨あられ』をパロってるって、御存じでしたか?」
いや〜、知りませんでした(^^;)なんとなく使ったもので。
>「最近は歴史の授業で宇宙開発のこともやるんですか!?」
歴史といっても「世界史A」のほうですから・・・
(「世界史」「日本史」ともに「A」「B」とあるが、「B」はいわゆる古代から本格的な、「A」は19世紀あたりから簡略的な内容になっている。よって、「B」のほうが教科書が厚い)
アメリカと旧ソ連との「冷戦」のところの一項目で、「宇宙開発競争」に関して載っていたので。「テレシコワ」は教師の口から。

>にれのやさん 「チャイコフスキー」は「『かもめ村』の出身者(「の」はつく?)」ですか。へぇ〜(笑)

そういえば、チャイコフスキーは(英語では)「Tchaikovsky」と綴りますが「Chaikovsky」とも「Tshaikovsky」とも「Ciaikovski」とも綴っているのも見かけます。どれも正解?(ちなみにロシア語ではにれのやさんが記した通り「Чайковский」)



Re: 濃音

U+3002 (2003/08/18 17:45)

massangeanaさん
>いわゆる濃音はわたしには単なる無声無気音に聞こえます。

それは、語頭の平音とはどう違うのでしょうか。(同じですか!?)



Re: テレシコワ ほか

U+3002 (2003/08/18 17:44)

Maniac C.さん
>彼女(引用者註:テレシコワ)の地上基地との
>コールサインが「ヤー・チャイカ」、文字通りには「私はカモメ」でした。
> 当然、人間の母親がカモメなわけはありませんから、彼の御先祖の愛称かトーテム
>だったのでしょう。

いや、そんな大げさな意味ではないです(笑)
チャイカはテレシコワのコード・ネーム(暗号名)です。

>★有気音を表す記号は「‘」で、向きが違います。希臘語の気息記号もこっちです。

蛇足かもしれませんが、ギリシャ語の気息記号は文字の上に書きます。



Re: IPA

U+3002 (2003/08/18 17:42)

高駒麗人Komaさん
>例えばロシア文字のз[z]はIPAでは曖昧母音を現すので

誤解を招きやすい表現ですね。
IPAの低中中舌非円唇母音は、εの反転で、зとの類似は偶然です。「1とIとl」ていどの関係でしかありません。

>本来御世紀ご烏兎は文字と発音の対応を決めたものですから

文字化け?

>>Dvořák[(d)vэzjα:k](эは口の大きいオ、zjはジの子音)というように記号の意味を説明すれば十分だと思います。

この説明はマズいですね。
ジの子音は有声歯茎硬口蓋破擦音で、ここで表したい有声後部歯茎摩擦音とは調音位置も調音法も違います。
また、「口の大きいオ」という説明は、広母音とも広中母音とも解釈できます。

このように、別の言語(ここでは日本語)の発音を援用してほかの言語(英語)の発音を説明しようとすると、間違いやあいまいさが起こります。
それを防ぐために、IPAがあるのです。

>困るのは、’の記号がロシア語のIPA表記では口蓋化を現し、シナ語のIPA(国際音標)表記では有気音を現し、朝鮮語のそれでは濃音(声門閉鎖と同時)というように言語によって確認しないといけない事です。

Maniac C.さんのご指摘どおり、硬口蓋化は′(プライム)、弱い有気音は‘(反転カンマ)、声門化は’(アポストロフィ)です。

プライムや反転カンマを使うべきところにアポストロフィを使うことはありますが、それはIPAではありません。
あくまでラテン表記です。
その発音が「言語による」のは、cやjの発音が言語によるのと同じ、当然のことです。



久しぶりに来ました

ベル (2003/08/18 16:38)

なんだか外国語の話題が多くて、圧倒されてしまいました。私が以前お聞きした、反対語についてお返事を頂いたかと今皆さんの書き込みを見せていただいてますが、難しいのと皆さんの熱心さゆえの書き込みの量のため見つけられておりません。私の疑問があまりに子供っぽいのでお返事はないかもと少し悲しかったり…もし答えてあげようといってくださる方、「強いの反対は弱いなのに心強いの反対はなぜ心細いなのか?」について教えて下さい☆



Re: '

massangeana (2003/08/18 08:07)

Maniac C. さん:
朝鮮語の濃音の音声的特徴を正確には知りませんが, 少なくとも放出音とはぜんぜん別の
ものだと思います。いわゆる濃音はわたしには単なる無声無気音に聞こえます。
北京語の帯気音を [pha] のように書くのはいいと思いますが, ロシヤ語で [pjatj] は
硬子音に [ja] がついているのか軟子音に [a] がついているのかわからないのでまずいの
ではないでしょうか。



ロシア語の Ж の発音

にれのや (2003/08/18 03:26)

■ロシア語の ж の発音は、中国語の普通話の sh の有声音です。つまり、反り舌音です。ただし、普通話より舌の反りぐあいは少しゆるいです。
 歯茎から硬口蓋に移るあたりに ridge (稜線と言えばいいか) がありますね。普通話では、これより奥まで舌先を反らせるようですが、ロシア語では、ちょうどこの ridge のあたりまでです。ш の舌の位置も同じです。
 世の言語関係の書籍で、ロシア語の ш, ж を英語やフランス語の sh, zh と同じ IPA の記号で表しているものがありますが感心しません。ロシア語の音を聞いたことがないか、耳が悪いのか……。ロシア語の ш, ж は、断じて反り舌です。



Iraqi という形容詞

にれのや (2003/08/18 03:17)

■以前、Komaさん、Iraqi という形容詞はヘンだ、というようなことを書いておられましたね。今になって、気がついたんで……
■英語における、アラブ系の地名の形容詞には、-i を接尾したものが多いですね。これ、たぶん、アラビア語をそのまま借用したのだと思います。アラビア語では地名の語尾に -i: をつけると、「〜の、〜人」 という形容詞と名詞をつくることができます。つまり、
     Iraq → Iraqi
     Kuwait → Kuwaiti
     Yemen → Yemeni
これ、アラビア語そのものです。



スラヴ系の姓/チャイコーフスキイ

にれのや (2003/08/18 02:44)

【スラヴ系の姓について】
■きょうは時間がないので、取り急ぎ。
スラヴ語は、東スラヴ語、西スラヴ語、南スラヴ語に3大分化して、それぞれに変化しました。
     【東スラヴ語】ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語
     【西スラヴ語】ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語
ところが、こと 「姓」 に関する限り、その類似性から以下のように分類できます。
     A [ロシア語]
     B [ウクライナ語、ベラルーシ語/ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語]
■Aのロシア系の主な姓の作り方は、「物主形容詞」 によるもので
     男性名詞/硬子音に終わるもの  -овをつける
       Иван → Иванов
     男性名詞/軟子音に終わるもの  -евをつける
       Андрей → Андреев
       Медведь (熊) → Медведев
     女性名詞     а, яを取り、-инをつける
       Пушка (大砲) → Пушкин
という規則によって作ります。これ自体は文法的には、本来、形容詞です。
■Bの系統は、さまざまな接尾辞を使って姓をつくります。ウクライナ語、ベラルーシ語に特有の語尾は、
     -ский, -цкий
     -овский, -евский
     -инский
です。これらに相当するものは、チェコ語、ポーランド語などにもあるのはごぞんじのとおり。このうち、-овский, -евский, -инский は、前項で述べたロシア語の造語法をそのまま踏襲します。つまり、
     Иван → Ивановский
     Андрей → Андреевский
     Екатерина → Екатерининский
■ここで、Чайковский チャイコーフスキイの語源ですが、これは、ウクライナのコサック系の姓で、Чайка, Чайки, Чайковское などなどの 「かもめ (чайка) にまつわるコサックの村落の名前がもとになったとのこと。
 これが悩みのタネで、本来なら、Чайкинский とならなければならない。ウクライナ語なら、Чайчинский とならなければならない。ところが、そうはなっていないところが言語のやっかいなところで。ロシア人の姓では、このへんはちゃんとしていて、Чайкин というのがロシア系の姓です。ところが、ベラルーシ、ウクライナ系の姓では、文法を無視した造語がけっこう見受けられる。Чайковский はその一例です。つまり、
     【チャイコーフスキイ=「かもめ村」 の出身者】
ということになります。コサックは 「かもめ」 に思い入れがあるようで、コサックの丸木舟は чайка と呼ばれていました。ウクライナのコサック村で 「かもめ」 にまつわる名前をつけたものは、18ヶ所あったとのこと。
■他の姓もいずれ調べられますが、きょうは、これまで。



一両日中のの根多いろいろ

ひManiac C. (2003/08/18 02:37)

>にれのや師匠(8/17)
■Dvorjakと綴るわけ
「r」が軟音化して「ř」になっていることを表しているのでは?
■「わたしはかもめ」
 無論、原典も存じてました。ニーナの最後の台詞ですよね。以前から疑問に思って
いたのですが、「チャーイカ」(かもめ)と「アクトリーサ」(女優)は韻を踏んでいる
のでしょうか?
 今回「チェーコフスキー」の意味を調べていてわかったのですが、「チェーホフ」も
同じ語源なのですね。

>高駒麗人Komaさん(8/17)
■音声記号(Z)
>ロシア文字のз[z]はIPAでは曖昧母音を現すので、ジ音をзで現すのも無理があります。
→IPAではキリル文字を使っていない気がしますし、ロシア文字に一定のこだわりが
お有りなのでしたら「ж」で/zh/を表しては如何でしょうか。理由は以下3点です。
 1. 日本語の「ジュ」(特に語頭)は殆んどの人は「ヂュ」です。
 2. Зюを[zju]と書かれると、私には「ズュ」のように思われます。
  本途は[z′u]で、「ズィユ」に近いですよね。
 3.私は今までжурналの語頭は仏語の journal と同じ[Zu]と考えていたの
  ですが、北京語のru は捲舌摩擦音ですよね? 全く別な音です。これに近い音
  とお考えならば、ロシア語独自の「ж」をお使いになるべきです。
■’の記号
高駒麗人Komaさんは混同なさっているように思えます。
★有気音を表す記号は「‘」で、向きが違います。希臘語の気息記号もこっちです。
★口蓋化音を表す記号は「′」で、上に黒い丸めは付いていません。
★濃音の音(放出音)だけが「’」ではないでしょうか。
もし、書き分けられたいのなら、以下のようにしては如何でしょう。
★ロシヤ語の「5」: 本来[p′jat′]→電脳向け[{p^j}ja{t^j}]又は略式[pjatj]
★北京語の「爬」: 本来[p‘a]→電脳向け[{p^h}a] 又は略式[pha]
★朝鮮語の「お兄ちゃん」: 本来[op’a]→電脳向け[o{?p}a] 又は略式[oppa]

>らにいさん
>まっぺん来ました(笑)
→おありがとうございます。いつもより多く来ております。(w)
「感謝感激雨あられ」って、実は戦中の「艦射艦撃雨あられ」をパロってるって、
御存じでしたか?
>歴史の授業でなんとなく
→最近は歴史の授業で宇宙開発のこともやるんですか!? 20へぇ〜ぐらい驚きました。



音声記号 形声文字

高駒麗人Koma (2003/08/17 22:30)

例えば[p'a]とあると、ピャ[pja](ロシア語[pjat']5)なのか、有気[pha]なのか(北京語「爬」)、濃音 ppa(朝鮮語 oppaお兄ちゃん)の3つの可能性があります。

「佛」を「仏」と書くのは、「弗」を「ム」と書くような事になります。「賣」を「売」と書くのは、「買」を「冗」と書くような物。故に「佛」「賣」が正しいとおもえます。
では「國」を「国」と書くなら「或」は「玉」になるか?それで、私は「国」は普通使っています。
現実には中國大陸で、「佛」が使われ、「売」は「殻」の略字(とそっくり)であり、「国」は大陸で採用されているので自分も使っているわけで、ようするに漢字を中国式に使っているわけです。



Re:カバレフスキー

らにい (2003/08/17 22:13)

>Maniac C.さん
まっぺん来ました(笑)
おおっ!?大団円を迎えますか!!??
ということは・・・
 ○チャイコフスキー・・・「チェコ出身の息子(というか「子孫」ですか?)の」
 ○ムソルグスキー・・・「音楽家の」
 ○ストラヴィンスキー・・・「大きな急流近くに領地を持つ家柄の」
 ○カバレフスキー・・・「騎士の息子の」
になりますね。
改めて、ここまで調べてくださって感謝感激雨台風(爆)です!

余計ですが、「カバル」が「騎士」と聞いて「カバレリア・ルスティカーナ」も同じだなと思いました。(訳すと「田舎の騎士道」)
「カバラ」のほうはアブラムやらアブラハムやらメルキセデクやらでそういう言葉を聞いたことがあります。



re 名前(カバリェフスキー)

ひManiac C. (2003/08/17 21:57)

>らにいさん
■まっぺん来てくれませんか? いよいよ最終回です。
■師匠の「-ов は、男性名詞の語幹でないとつけられません。」という助言を基に、
「カバラ」説を取り下げて、「カバル(Kabal, Cabal)」で探しました。
■すると、http://boards.ancestry.com/mbexec/message/an/surnames.cabal/1.4 に
「cabal have his origin in spain, in naranco, oviedo, so near to france」と
有りました。どうやら西語由来のようです。
■んで、さらに、http://www.houseofnames.com/xq/asp/s.Cabal/Cabal_family_Crest/ Cabal_coat_of_arms/qx/coatofarms_details.htm をメ鰍ツけて、そこに
「Spelling variations include: Caballero, Caballeros, Caballer, Caballe´r,
Caballe, Caballeri´a, Caballeria, Caballo, Caballos, de Caballos, Cavallo,
Cavallos, de Cavallos, Cavallo´n, Cavallon, de Cavallo´n, de Cavallon,
Cavallero, Cavalleri´a and many more.
First found in Castile, an important Christian kingdom of medieval Spain.」
と有りました。つまり、仏語の cheval(馬), chevalier(騎士), chevalin(馬の)など
に当たる単語のようです。
■西語の異形を見ると、全て -ll- と湿音のLが使われていますので、それが露語で
は軟音としてとらえられ、-ov ではなく、-jev となっていることも判ります。
■したがって、「カバリェフスキー」は、「騎士の息子の」という意味になります。

■何とか師匠の手を借りずに調べてみましたが、合っていますか?>師匠



re ストラヴィンスキー

らにい (2003/08/17 20:45)

>Maniac C.さん
 ○ストラヴィンスキー・・・「大きな急流近くに領地を持つ家柄の」
ですか。何度もありがとうございます。
私も今日何回ここに来たんだ・・・?(^^;)



zj Maitreya

高駒麗人Koma (2003/08/17 19:38)

U+3002さんへ
http://www.kirshenbaum.net/IPA/ascii-ipa.pdf
IPAについて説明ありがとうございます。
Dvořákは英語ではdは省かれrがzj(ジ)で発音されて[(d)vэzjα:k]のようになります。
「эはcの逆さ記号で口の大きいオ、zjは、ひらがなの「ろ」に似た記号でジの音を現す」
という解説を今後つけることにします。

シュワ[ə (@)]は[□(@)]に見えます。
эは[e]ですが、例えばロシア文字のз[z]はIPAでは曖昧母音を現すので、ジ音をзで現すのも無理があります。
(girl[gз^:l])
しかし、Зюганов/zjuganov/(ジュガノフという人名)のЗю/zju/と、журнал/zhurnal/(新聞紙)のжу/zhu/はロシア語では区別されます(жу/zhu/は北京語のru「入」「如」に近い)ので、ここで/zh/で書いた「ジ」音をzjで現すと、zの軟音と区別できなくなります。その辺は歯がゆいところです。
英語音声学では casual、usual、のようにs[z]が口蓋化したzjが、ロシア語zhurnalのzhと同じ音「ひらがなのい『ろ』に似た記号で表すジ」になりますが、これは西欧語の音声学では両者を区別しないからでしょうか。

エージ[ʒ (Z)]はzの右下を「つ」のように曲げた記号ですが、期限的にはzの口蓋化を現し、zjを一文字にしたものでしょう。もちろんエージ[ʒ (Z)]が打てて文字化けしなければベストです。
ひらがなで代用して「Dvořákは英語では[(d)vつろα:k]」等と書いたら(d)vtsuroα:kだと誤解されるでしょう。
国際音声記号が打てない(打てても文字化けする)コンピュータも問題ですが、本来御世紀ご烏兎は文字と発音の対応を決めたものですから
Dvořák[(d)vэzjα:k](эは口の大きいオ、zjはジの子音)というように記号の意味を説明すれば十分だと思います。
いいわけをしますと、朝鮮語のO-1(어)は、口の大きいオですが、異音として曖昧母音もあるので、ロシア語ではэ[e]で代用されます。口の大きいオをэで現すのは必ずしも理不尽ではないと思いますが、英語表記でははっきりさせるべきですね。

困るのは、’の記号がロシア語のIPA表記では口蓋化を現し、シナ語のIPA(国際音標)表記では有気音を現し、朝鮮語のそれでは濃音(声門閉鎖と同時)というように言語によって確認しないといけない事です。

Massangeanaさんへ
西安で弥勒菩薩像を見たとき、漢字表記「弥勒菩薩」の下に英語名で Maitreya Bodhisattvaとあったのを覚えています。オウムの某元幹部の信者としての名がマイトレーヤだそうで弥勒菩薩も迷惑しているかも。



re 名前(ストラヴィンスキー)

Maniac C. (2003/08/17 18:03)

>らにいさん&massangeanaさん
>「ストラヴァ」のような地名に「インスキー」がついたものではないでしょうか
>「イン」はどういう意味なのでしょうか?
という点をヒントにして調査を進めました。ビンゴです。
■ストラ…http://www.stavacademy.co.uk/mimir/thracian.htm などに
「stra (from an earlier *strava) 'current, torrent'

[Lith. srava 'current', Latv. strava 'current, torrent'].」
と有ります。つまり、「瀬、急流」のことですね。
■イン…www.tulane.edu/~howard/LangIdeo/Nesset/Nesset.html に
接尾辞の -in は augmentative(指大辞)である、と有ります。
(但し、下のHPに有るようにドイツ系アシュケナージだとすると、独語で
女性を表し、姓につけると「〜の妻」を表す母称由来になりますが)
■スキー…http://www.zweb-network.com/family/zalewski/info/origin.html#explan に
詳しいですが、元は英語の -ish に当たる言葉で、領地の名前から貴族の名前になり、
ドイツ系アシュケナージでは姓に付ける一般的な記号に変わったようです。
■とりあえず、純粋なスラブ系の姓だとすれば、「大きな急流近くに領地を持つ家柄の」
という意味になりそうです。



RE 〜スキー

らにい (2003/08/17 15:50)

>Maniac C.さん
>「チェコーフスキーの異形」
うぉっ!?いっぱいだぁ・・・(--;)
>massangeanaさん
ご指摘忝いです(^^;)
「ストラヴァ」+「インスキー」なのでしたら、「イン」はどういう意味なのでしょうか?



Re: ストラビンスキーとか

massangeana (2003/08/17 15:36)

Maniac C. さん:
>ストラヴィンスキー
「ストラ」+「ヴィンスキー」じゃなくてたとえば「ストラヴァ」のような地名に「インスキー」
がついたものではないでしょうか。なおストラヴィンスキーの家系はポーランド系だそうです。

らにいさん:
「展覧会の絵」についてはピアノ曲しか残っていませんが, 「はげ山の一夜」(という
題で有名になった曲)の方はムソルグスキー本人による管弦楽曲版や合唱版が最近は
演奏もされ, CD にもなっています。



re 名前(チェコーフスキー)

Maniac C. (2003/08/17 14:35)

>らにいさん&師匠
■師匠の指摘を受けて、チェコーフスキーを調べ直しました。
男性名詞(jか硬子音終わり)にしか -ov は付かない、とのことですので、女性名詞である
「チャイカ」説は放棄します。
■チェコーフスキーの異形(どこまでが本途?)は下記の如くいっぱい在りました。
Chaikofsky, Chakofsky, Chakovsky, Chekhovsky, Chikievskiy, Chugupsky, Chukovsky, Czachowski, Gaikovskiy, Gaikovsky, Gukovsky, Jakowczyk, Jakowski, Jokowski, Keikovsky, Kokovski, Kokovsky, Kuchevsky, Kukovski, Kukovsky, Sachevski, Saikovsky, Sakofsky, Shachovski, Shaikovsky, Shaikowski, Shakovski, Shukowski, Skubski, Skupski, Skupsky, Skvirsky, Tchechovski, Zhukoborsky, Zhukovski, Zhukovsky, Zuchowiska, Zukovitzki, Zukowski
■んで、その中の1つにこんなのが在りました。(下記URL)
Czechowski - one who came from Bohemia (Germany), a Czech.
つまり、「チェコ出身の」という意味らしいです。
http://www.geocities.com/Heartland/Estates/9538/OdrowazCont.html.



re ドヴォルザーク

きしろふ (2003/08/17 12:51)

にれのやさんもありがとうございます。
要するに小作農に対する地主ですか。ほうほう(^^)



RE:名前

らにい (2003/08/17 10:29)

>Maniac C.さん、にれのやさん
ご足労ありがとうございます(笑)
>「どうも。ヒマ人です。」
私もヒマ人です(^^;)
>「テレシコワという女性初の宇宙飛行士が有名にした言葉をご存じですか?」 歴史の授業でなんとなくです(^^;;)
関係ありませんが、ガガーリンは「地球は青かった」ですね。
>「【chieko:fskij】チエコーフスキイ」
確かに不思議な発音・・・

お二方のレスを照らし合わせて見ると・・・
 ○チャイコフスキー・・・(今のところは)「『チャイカ』の息子の」
 ○ムソルグスキー・・・「音楽家の」
 ○ストラヴィンスキー・・・「『ストラ』ワインの」
 ○カバレフスキー・・・「『カバラ』の息子の」
こんな感じになりましょうか?

これも関係ありませんが、ムソルグスキーというと「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」などが有名ですが、皆さんがよく知っている今の管弦楽のものは実はムソルグスキーの死後、ラヴェルやリムスキー=コルサコフなどによって編曲されたもので、当の本人は管弦楽は学んでいなかったのです。ですから、「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」は元々はピアノ曲なのです。



Dvorjak と 「わたしはかもめ」 と チャイコーフスキイ

にれのや (2003/08/17 02:58)

■ここんとこ、忙しうて、一昨日の夜は徹夜で работал です。ちょっとのぞかないとたいへんなことになりますわいな。とりいそぎ、気がついたところだけ。
■Dvorjak (こう綴るのにはわけがありますが、それは後日) は、「御領主さま」 ですが、
   【小作】に対する地主
です。
■「わたしはかもめ」 というのは、チェーホフの戯曲『かもめ』の中に出てくるニーナの台詞です。ロシア人と飲んだあと、路上を両手をヒラヒラさせて、フラフラ歩きながら、「Я чайка」 と言うとたいへんにウケます。
■チャイコーフスキイの語源は чайка とは関係ないかもしれません。чайка から姓をつくると、Чайкин ['チャイキヌ] となります。-ов は、男性名詞の語幹でないとつけられません。
■余計なことですが、ロシア人に 「チャイコーフスキイ」 と言っても通じません。この単語は不思議な発音になります。
     【chieko:fskij】チエコーフスキイ
こんな感じ。



忘れました

Maniac C. (2003/08/16 19:53)

ムソルグスキーの名前について書いてあるHPです。

 ↓

http://groups.yahoo.com/group/Opera_World/message/1187?source=1



res: 名前

Maniac C. (2003/08/16 19:51)

>らにいさん
■どうも。ヒマ人です。とりあえず半分の2名だけ判りましたので、お伝えします。
■チャイコフスキー…「スキー」は形容詞を作る接尾辞ですが、「オフ」や「イェフ」
も接尾辞で、「〜の息子」を表します。「チャイコフスキー」から、これらの接尾辞を
取り除きますと、「チャイカ」が残ります。
らにいさん、唐突ですがテレシコワという女性初の宇宙飛行士が有名にした言葉を
ご存じですか? 多分、年齢的には御存じ無いと思いますが、彼女の地上基地との
コールサインが「ヤー・チャイカ」、文字通りには「私はカモメ」でした。
 当然、人間の母親がカモメなわけはありませんから、彼の御先祖の愛称かトーテム
だったのでしょう。
■ムソルグスキー…下記HPに依れば、教会スラヴ語に遡るのだそうですが、「音楽家」
を意味する「ムソルガ」に由来し、その才能ゆえに15世紀の祖先に授けられ、その
愛称が結局、姓になったそうです。
■ストラヴィンスキーとカバレフスキーは調査中です。「ヴィンスキー」は「ワインの」
という意味らしいのですが、「ストラ」が現在のところ意味不明です。カバレフスキー
も、チャイコフスキー同様、「イェフスキー」を取り除くと「カバラ」が残るのですが、
まさかユダヤ教と関係有るのか知らん、というところが不明です。先に師匠がお答え
になるかも知れませんが、続報をもう暫くお待ちください。



「言葉の世界」伝言板6月分

佐藤和美 (2003/08/16 19:15)

「言葉の世界」伝言板6月分」を追加しました。

>newsは、本当は東西南北の意味だと聞いたことがあります。
小学生の頃読んだ『鉄人28号』にこの話が出てました。
私はかなり長い間、この話を信じてました。(^^);
「東西南北」っていう時事放談番組(?)もあったような。
番組担当者もこの説を信じてたんですかね。



名前 追記

らにい (2003/08/16 16:59)

今回はロシア限定です。国を問わないとなると、150名にのぼりますから(^^;;;)



名前

らにい (2003/08/16 16:57)

きしろふさんの「Dvořák」についての書き込みで私も同じ音楽家の「チャイコフスキー(Tchaikovsky)」「ムソルグスキー(Musorgsky)」「ストラヴィンスキー(Stravinsky)」「カバレフスキー(Kabalevsky)」とロシアの有名どころの名前の意味を知りたく検索しましたが、これもヒットせずです。
「−sky」が「〜の」ならば「チャイコフ(Tchaikov)」「ムソルグ(Musorg)」「ストラヴィン(Stravin)」「カバレフ(Kabalev)」はそれぞれどういう意味になるのでしょうか?
(他にも「−sky」がつくロシアのクラシック作曲家はいますが、60名以上になるのでこの4名でいきました。さすがに全員はきついです・・・ ^^;;)



地名の世界地図

佐藤和美 (2003/08/16 13:26)

松茸さん
>久しぶりに『地名の世界地図』ネタの作業をしているのですが、

こちらも、7月末に「空想科学研究室」(http://freebbs.around.ne.jp/article/w/wnova/)で青蛙さんの書き込みをみかけて、久しぶりに作業を再開しました。
とりあえずはページの統廃合といままでの変更点を追加しようかなと考えてます。

129ページ
1刷「その匈奴も、後一世紀には漢の武帝に敗れて南北に分裂し、北匈奴は後漢に滅ぼされ、」
8刷「その匈奴も、前一世紀には漢の武帝に敗れて南北に分裂し、北匈奴は後漢に滅ぼされ、」
14刷「その匈奴も、前一世紀に後漢との攻防で南北に分裂し、南匈奴は後漢に降伏、」

「後一世紀には漢の武帝」とか、「前一世紀に後漢」とか、なかなか楽しいですね。

33ページ、「アーヘン」のスペルがいつのまにか、「Archen」から「Aachen」に修正されてるとかも、まとめておくことにしましょう。



re 元々(続)

きしろふ (2003/08/16 13:25)

>Maniac C.さん
「世襲で農地(dvor)を保有する農場主」ですか。
わざわざお疲れ様ですm(_ _)m



Re:国境地名

佐藤和美 (2003/08/16 13:24)

未菜実さん (2001/11/12 19:18)
>大阪府の堺市の由来は、摂津、河内、和泉の3国の境界に発達した都市だそうです。

溝手理太郎編『市町村名語源辞典』(東京堂出版)には
「摂河泉三国の境に位置することによるというが疑問。」
と書いてありました。
地図で見ると摂河泉の境は「仁徳天皇」陵あたりよりももう少し北東の方向のようですね。



res:元々(続-2)

Maniac C. (2003/08/16 07:26)

■更に話を広げますと、ヒンディー語起源の durbar「インド諸侯の宮廷、謁見(の間)」
という単語が在るのですが、前半部分はペルシャ語 dar< 古ペルシャ語 duvara「戸」
に由来し、後半部分の ba¯r 「宮廷、入場許可」は東インド語の *dwa¯ra- に由来し、
どちらも *dhwer- に遡る、と有ります。ここで私が想い起こしたのは、昔、世界史で
習った「ドヴァーラヴァティー」という、モン族が建てたタイの王国名。英語のHPで
確認してみますと、予想通り、「梵語で“consisting of doors”を意味する」と有り
ました。「ドアから成る」? どういう意味でしょ。
■他にもハンサーヴァティー(Hamsavati)とかスダンマヴァティー(Sudhammavati)
とか「ヴァティー」の付く王国名が在りまして、さらに調べを進めてゆくと、これ、
弁才天の原語「サラスヴァティー(Sarasvati)」に付いている「ヴァティー」と同じなんですね。「サラ」が「流体・液体」の意味で、「ヴァティー」は「持つ、所有する、
関係が有る」という意味を持つ接尾語「ヴァタ」の女性形らしいです。つまり、ラテン系形容詞語尾に有る –ive, -id と同根なのですね(梵語の -a- は羅語の –i- に
相当する連結母音)。
■これで解りました。「ドヴァーラヴァティー」は「戸が多く有る町」の意味なのです。

■いやあ、い〜い暇つぶしになりました。お休みなさい。



res:元々(続-1)

Maniac C. (2003/08/16 07:25)

>きしろふさん
■前の投稿から今までずっと、あれやこれや、探していました。
■やっと判りました! 下記HPに依りますと、「世襲で農地(dvor)を保有する農場主」
の意味です: http://http://www.geocities.com/spacek_fam/czechsurnames2b.html
さらに詳しくはコチラ→www.vyborny.com/transfer/archives/karel/kk_chyp.htm

■dvor を印欧祖語にまで遡ってみました。どうやら *dhwer- になるようです。
■これは英語の door, doorway 「家の(敷地の)入口(の扉)」につながる言葉です。
どうして door「戸」が yard「庭」や courtyard「法廷・宮廷」になるのでしょうか?
甚く探究心がそそられました。

■羅語では *dh>*th>fとなるので、fore¯s(複数形・主格)になりますが、これの
派生語が色々英語に入っています。以下の記述は『英語語源辞典』より。
◆foreign は「外国の」の外に、「屋外の」という意味も嘗ては有りました。今の綴り
は soverign などからの類推のようですが、古仏語形は forein で、後期羅語の for-
a¯num「外側に住む者たち」に由来します。
◆faubourg は「郊外、(巴里などの昔城郭外だった)街」の意味ですが、前半の fau-
は、英語の false を意味する仏語 faux の影響による変形で、元々は fors(外側)
でした。古仏語 fors は当然、羅語 fori¯s(複数形・対格)に遡ります。後半の bourg
は言わずと知れた、フランク語の「町」に遡る単語です。
◆forest「森」は、古仏語経由で後期羅語 forestis (silva)「外側の、囲われてい
ない(森)」まで遡り、park(囲い地、邸宅・館・城を取り囲む大庭園・猟園)と関連づけ、
原義は「王侯・貴族などの御猟場」とする説と、羅語 forum(法廷) からの派生語で、
「法令で一般の出入りが禁じられた地域」即ち「禁猟地」とする説が在ります。
◆forum「公開討議」は、ご承知の通り、「古代ローマ市の中心にあった集会用の広場」
に由来する言葉で、英語では「法廷」の意味も有ります。原義は「家の外側の囲い地」
ですが、「開けた場所」→「広場」→「公の場」となり、ここで商取引の外、政治や
裁判など、公事の集会が行われたため、現在の意味になりました。
◆forensic は「法廷の」という意味で、羅語 forensis (公的な、法廷の)の語幹に、
希語由来の接尾辞 –ic を付けて出来上がった単語です。
◆forfeit「没収物、罰金」は、廃用となった「犯罪」という意味が有り、古仏語 forfet,
forfait「違反した」という過去分詞に由来しますが、これの原形 forfaire は、中期
羅語のforisfacere、つまりfori¯s「(法の限度の)外側」+facere「する、行う」に
由来します。

■とまあ、「戸」→「屋外」→「邸宅・館・城を取り囲む大庭園の外」→「王侯・貴族
などの御猟場」→「領地」となったり、「戸」→「屋外」→「集会場」→「法廷・宮廷」
となったりしたようです。

■翻って考えてみると、日本語でも「戸(と)」=「外(と)」です。
「やど」には、「屋戸」=「家の戸(口)」の外に、「屋外」=「前庭、庭先」の意味も
有りました。
■ついでに、「やどる」は「やど」+「る」ではなく、「や」+「とる」で、「旅の道中
で仮眠する場所を選んで決めること」(岩波古語辞典)で、「取る」の「と」は乙類なの
で、甲類の「やど」とは奈良時代までは発音が異なっていたそうです。又、室町時代
以降「と(外)」に替わる「そと」は、「そとも」=「そ(背)」+「つ」+「おも(面)」
で、光の差す南(かげとも)に対して、その背面の「北」が原義だそうです。



民族の世界地図

佐藤和美 (2003/08/15 17:05)

「言葉の世界」以外で初めて「○○の世界地図」を批判してるページをみつけました。
『民族の世界地図』の韓国・朝鮮関連の批判が掲載されています。

間違いの多い本
http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuunanadai



re 元々

きしろふ (2003/08/15 15:44)

>Maniac C.さん
ということは、「Dvořák」はだいたい「領地・地主の息子」というような意味になりましょうか?
ご返答ありがとうございます。



res:元々

Maniac C. (2003/08/15 12:10)

>きしろふさん
dvor はスラヴ系の言葉で、露英辞典を見ると、yard, courtyard と有ります。
HPによっては manor(領地) としたり、村の中の小地域としているものも在ります。
-(i)ak は指小辞で、姓に付けられると、「〜の息子」の意味になります。
(「〜の娘」は-[i]akova)



元々

きしろふ (2003/08/15 10:01)

ここまでくると、「Dvořák」の意味も知りたくなりました。
検索してもヒットせずですので、もし知っている方がいらしたら、お願い致します。



re 武士とさむらい

Maniac C. (2003/08/15 03:29)

■にれのや師匠のカキコを拝読していますと、なまら啓発されますね。
先日(8/12)のカキコから3題。(10へぇ〜評価)

【武張る】武士・武人のように振る舞う。勇ましい、また、堅苦しいところがある。
→先日の文脈では「堅苦しい」という程度の意味合いですよね。(6へぇ〜)

【女中】女性に対する敬称。婦人。(8へぇ〜)
→私の中では「下女」と同義語だったのですが、当時は敬語だったのですね。でも、
なぜ「中」が付くと敬語になるのでしょうね? 何方かご存じで?

【参覲交代】「覲」の字には“挨拶”という意味があり、参覲交代とは、大名などが隔年で出府し、将軍に挨拶をするというのが本来の意味なので、「参覲交代」と書くべきであるが、「覲」という字は常用漢字にもなく、また参勤交代でも何とか意味がとれるため、現代では参勤交代という表記が定着している。(10へぇ〜)
→参りました!



いろいろ

松茸 (2003/08/14 23:27)

 久しぶりに『地名の世界地図』ネタの作業をしているのですが、なかなか進まなくて……。ご心配おかけしました。

* ベニョフスキ:
 「〜ゴロ(ウ)」は、生格形の語尾 〜кого, 〜kiego 等に由来するのかも知れませんが、ちと苦しいですね。

* ホラ航海記:
 これは「オデュッセイア」以来の普遍的な文芸ジャンルの一つだと思います。
 日本関係では、(マルコ・ポーロは〈自分が行った〉とは書いてないので)メンデス・ピント(ベニョフスキ同様、平凡社東洋文庫で読めます)が筆頭ですか。
 そういえば、落語の「うそつき弥次郎」も、〈蝦夷地探検〉を背景に、そのパロディとして享受されたものでしょう。

* かの大野晋氏が編纂した『岩波古語辞典』の語源説には、怪しいものが多いので、ご注意願います。(^^;



RE:ř

きしろふ (2003/08/14 20:49)

>Maniac C.さん
簡単なようで意外と難しい「ř」。
>「チェコ語独特の音です。巻き舌ができるようになったら、まいているとき、舌がぶつかる部分(たぶん上あごだと思うんですが)を上の前歯の裏にしてみてください。空気がもれる音がしたらそれが正解。」
きちんと発音できるまでに時間かかりますなぁ・・・(^^;)
舌を鍛えないと・・・。なんとなく「ッ(あいまいな)ザー」と聞こえているような。



Re: ベニョフスキ

massangeana (2003/08/14 17:45)

とりあえず「海国兵談」はオンラインでみられるものがあるようです。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/sumita/00020542/
序文には「莫斯歌未亜ノ豪傑バロン マヲリツツ アラアタルハンヘンゴロウ」とありますね。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/sumita/orgdata/00020549/P0006.jpg

>エンチウ
「人」はふつう aynu, 「...な人」という時には kur というのがふつうのようです。
enciw というのは樺太アイヌ語にある語で, 金田一京助氏がこれが「エゾ」の言葉の
由来だろうという仮説を立てたのだったと思います。



re あき 追記

らにい (2003/08/14 13:47)

『日本人なら知っておきたい日本語』は幻冬舎から出版されています。



re あき

らにい (2003/08/14 13:44)

>Maniac C.さん
「あきな・ひ(商ひ)」と「いとな・み(営み)」はまた別ですか。うーん、まだ私も無知なところが・・・
「飽食→秋」のネタは、
 ・文学博士 元慶応義塾大学教授 井口樹生著『日本人なら知っておきたい日本語』
を参考にしました。



ドブロ・ギターについて

にれのや (2003/08/14 03:54)

■【ドブロ・ギター Dobro guitar について】
スラヴ語の 「こんにちは」 で "ドブリー、ドブリー……" と書いていて、ふと、ひらめいたことがありまして、それは、
     【ドブロ・ギター】
なのであります。ごぞんじでしょうか? 「ドブロ・ギター」。ボディの真ん中に、車のホイールキャップみたいな丸い金属板がはまっているギターです。アメリカ発祥のギターで、カントリー、カントリーブルーズのギタリストが使います。有名なところでは、ライ・クーダー Ry Cooder が使っていますね。アメリカのロックなどでも、それほど珍しい楽器じゃない。けっこう使ってます。
     【Dobro guitar】
は商標で、一般名称は resonator guitar と言うようです。NHKでギター講座があったとき、「レゾネーター・ギター」 と呼んでいました。(セロハンテープ、マジックなんかも言い換えますよね)。この dobro というのは、もしかしたら、スラヴ語の "Dobro!" 「よい!」 (ロシア語では Хорошо! ハラショーのほうを使いますが) ではないか、と思って調べたら、ビンゴでした。
■ドブロ・ギターは、現在のスロヴァキアからのカリフォルニアに移民した楽器職人の 「ドピェラ兄弟」 (ジョン・ドペラとルディ・ドペラ John 〜, Rudy 〜) によって、1925年に生み出されたのでした。日本語では、ふつう、「ドペラ兄弟」 と書かれます。英語では次のように書きます。
     Dopera Brothers
しかし、検索してみると、
     Dopyera Brothers
という表記も少なからず見つかります。これは、どういうことかというと、彼らのもともとのスロヴァキア語での名前の表記が Dopjera だったからです。彼ら自身が、どう名乗ったかは不明ですが、Dopjera [ドピェラ] を英語になおすときに、Dopyera と綴りなおすのは、ごく自然のなりゆきです。のちに、Dopyera というのが、英語の話者に発音しづらいことを悟り、Dopera と改名した、というのは充分ありえることだと思いますが、このあたりは、あくまであたくしの想像で……
 ドペラ兄弟は、当時としては画期的なこのギター (ギターという楽器の最大の欠点は音量が小さいことでした) に "Dobro" という名前をつけました。彼らスロヴァキア出身者にしてみれば、これはニンマリ笑ってしまうようなシャレだったでしょう。
     DOpera BROthers → Dobro
     Dobro! = [スロヴァキア語で] Good!
というのが、「ドブロ・ギター」 の名前の由来なのでした。
■ドペラ兄弟の出身地である、現スロヴァキアのトルナヴァ近郊の 「ドルナー・クルパー」 (Dolna{+´} Krupa{+´} pri Trnave) では、毎年、ドブロ・ギター・プレーヤーを集めた音楽祭 Dobrofest が開催されているそうです。
■ドブロ・ギターについては↓
http://www.vividcar.com/cgi-bin/WebObjects/f1b8d82887.woa/wa/read/f1bb2a4e98/



Re:あき

Maniac C. (2003/08/14 03:53)

>MANAなかじまさん&らにいさん
■MANAなかじまさんには、初めまして&「言葉の世界」伝言板へようこそ。

■『岩波古語辞典』には下記のように記述されています。

「あき(商)」→秋と同根。…稲を交換の具としたので言う。
※「あき(秋)」の註に、「『秋』を『厭き』に掛けて、男女の心の別離をほのめかすの
 も古今集以後。」と有りますので、もしかしたら「飽食→秋」説は違うかも知れませ
 ん。

「あきな・ひ(商ひ)」→アキは秋と同根。収穫物の交換期の意。ナヒは行う意の接尾
語。ウラナヒ・トモナヒのナヒの類。売買をする。

「いとな・み(営み)」→形容詞イトナシ(暇無)の語幹に動詞を作る接尾語ミのついた
もの。暇がないほど忙しくするのが原義。
「いとな・し(暇無し)」→休む間がない。たえまがない。
「いとま(暇)」→イトはイトナミ(営)・イトナシ(暇無)のイトと同根。休みの時の意。
マは間。時間についていうのが原義。類義語ヒマは割れ目・すきまの意から転じて、
する仕事がないこと。



re:「ř」

Maniac C. (2003/08/14 03:15)

>きしろふさん
「ř」の音が聞けるHPを発見しました。
ぜし「世界で一番難しい」発音をお聞きください。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/9276/7/abeceda.html



re ベニョフスキ

Maniac C. (2003/08/14 03:07)

>松茸さん(8/2)
■御無沙汰ですが、お元気ですか?
再三レスが遅れていますが、「ベニョフスキ」(Beniowski)の件、有難う存じました。
今度は「ベニョフスキ」で5件、「ベニョフスキー」で38件の記事を検索することが
出来ました。(機械は本っ途に融通が利かないですね、「ベ」が「ペ」に替わっただけ
で検索に掛からなくなるのですからね。)
■彼の自己認識としてはハンガリー人のようですが、出生地(ヴェルボー)の当時の
国境から言うと、「ロシヤ人」であろうし、現在の国境から言えば「スロヴァキア
人」のようですね。
■彼の手紙が工藤平助の『赤蝦夷風説考』や林子平の『海国兵談』につながるとは
存じませんでした。
■『赤蝦夷風説考』には「アウリッ・ハラダル・ハンペンゴロ」と出て来るそうです
が、「アウリッ」=Maurycy, 「ハラダル」=Aladar は理解できるのですが、どこを
どうすれば「ハンペンゴロ」になるのでしょうね。
■彼の話が“ほら吹き男爵”ミュンヒハウゼンの話になるのも、「ハーリ・ヤーノシュ」
の昔話を彼が血肉として持っていたからでしょうかね。
■最近の漫画では『パンゲアの娘KUNIE』に登場する「船乗り伯爵航海記」のクリスト
ファー・ランゲルハウス伯爵とか『ONE PIECE』に登場する「うそつきノーランド」の
モンブラン・ノーランドの原型ということになりますね。
■いやあ、またまた勉強になりました。

■ところで、「えぞ」を『大辞林』で調べますと、「アイヌ語のエンジュ・エンチウ
(人、の意)からという」と有ります。アイヌ語で「人」は「アイヌ」ではなかった
でしょうか? もしこれも「人」だとすれば、「アイヌ」とはどう使い分けるので
しょう?



re スラヴ

らにい (2003/08/13 23:28)

>U+3002さん
「奴隷(Slave)」の語源が「スラヴ(Slav)」なんですね。
当時のスラヴ人はホントかわいそうでかわいそうで・・・(--)
「−sky(i)」は「〜の」くらいですか。意外となんとも無いですね(^^;)
民族名の違い・・・。うーん、謎は深い。

関係ないんですが、さっきの「トリビアの泉」で「塩が足らないこと」をハンガリー語で「シオタラン{sot(a)lan}」というとのこと。日本語と似ていて(私としては)面白いです。他には「降る」が「フル(full)」、「綿」が「ワッタ(Vatta)」なんてのもあるようです。



Re: 弥勒

massangeana (2003/08/13 16:00)

顕正居士さん:
mitra, mithra と弥勒が結びついている(または混同が起きている)というのは大いにありうること
だろうと思いました。ただ「弥勒」という語が必ずしも直接 mirro に結びつくとは限らないという
ことで。

>佛説大乘方等要慧經
こないだの「天竺」なども安世高の訳経に見えるようですね。ただ安世高は小乗の人
なので, 大乗経典は安世高の名を借りた別人の訳ではないでしょうか。



ReRe 弥勒

顕正居士 (2003/08/13 15:14)

massangeanaさん。季羨林教授は漢学、梵学、胡語の大家らしい。

http://www10.ocn.ne.jp/~sunmoon/person/2ka/ki-jixianlin.htm

弥勒菩薩は安世高の翻訳にすでに登場します。佛説大乘方等要慧經など。
弥勒菩薩の起源を在世の実在の仏弟子にまで遡源する説もあるらしい。
(松本文三郎・『弥勒浄土論』)

弥勒神話の起源は古く、「弥勒」以外の音訳も無い。このことはmithra、
mitra、あるいはその方言が転じて「弥勒」になった可能性を否定しない。
しかしmaitreya菩薩が仏教独自に形成された可能性も否定しない。
ミトラ教が大乗仏教やキリスト教と習合したことは疑えないが、相似た神格
が先に信仰されていたから習合したと考えるほうが自然といえる。だから
maitreya-metrak-弥勒などの可能性があるというのは尤もにおもいました。

「ミイロ説」は次の論文を発見したが、内容はわからない。

定方晟・『ミイロと弥勒』(東海大学紀要 35, 45-55p, 1981)

季羨林佛教學術論文集
http://www.chibs.edu.tw/publication/LunCong/004/004.htm



Re: スラヴ

U+3002 (2003/08/13 14:08)

らにいさん
>「スラヴ」と「奴隷」とは関係があるというのは本当か?

slaveの語源はSlavです。
新星ローマ帝国が多くのスラヴ人を奴隷にしたのが起源です。

>名前でよく見かける「−sky(i)」とはどういう意味か?

「〜の」ていどの意味らしいです。

>「スロヴァキア(Slovakia)」と「スロヴェニア(Slovenia)」の違いは?

民族名の違いです。
スロヴァキアは「スロヴァク人(スロヴァキア人)の地」、スロヴェニアは「スロヴェン人(スロヴェニア人)の地」、という意味です。
なぜこういう民族名が付いたのかは知りませんが。



Re: チェコ語の記号

U+3002 (2003/08/13 13:55)

massangeanaさん
>>ほかの言語でも使うようですね。
>ソルブ語(ドイツ東部で使われるスラブ系の言語)にもこの字はあるようです。

ありがとうございます。
調べてみると、ソルブ語には高地ソルブ語と低地ソルブ語(Upper/Lower Sorbian)があり、高地ソルブ語で使うようですね。

>>031Dは「狭い母音」を意味する記号で
>031D は「より狭い」という意味で, 母音に限らないようです。
>ラディフォギッドの教科書には「狭いので, より摩擦音的になる」と説明されていました。

なるほど、そういう論理だったんですか。

でも、řの特徴は「摩擦音的」以外に「硬口蓋化」がありますからね。
事実、チェコ語では硬音rに対する硬音řとして扱われているらしいです。
あまり単純な異音じゃないので、やっぱり専用の文字があったほうがいいと思いますね。



IPAのASCII転記

U+3002 (2003/08/13 13:50)

高駒麗人Komaさん
>Dvořákは英語ではdは省かれrがzj(ジ)で発音されて
>[(d)vэzjα:k]のようになります。

[э]でオープンo[ɔ: (O:)]を表すのはいささか無理があると思うのですが…。
あらかじめ知らないと、シュワ[ə (@)]のつもりかとおもうかもしれません。
そもそも、(ご存知でしょうが)この文字の発音は[e]で、それとまったく違う音を表すのは困ります。

[zj]も、エージ[ʒ (Z)]のことでしょうか。
[zj]が[zj]を表さずほかの音を表すというのは、まったく理不尽です。

IPAのASCII表記については、一般的な標準ができています。
http://www.kirshenbaum.net/IPA/ascii-ipa.pdf
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=ascii+ipa+represent&lr=
独自の表記を使うことを止めはしませんが、注意して使うべきです。



Re:あき

らにい (2003/08/13 13:43)

>MANAなかじまさん
初めまして。私、らにいと申します。

「秋(あき)」は「収穫の秋」というくらい色々な作物の収穫の時期で、収穫した作物が「飽きるほどある」というのと「飽きるほど食う(飽食・あきくい)」というのから「あき(秋)」という言葉ができました。そして、作物の交易が営まれたため、「秋に営む」→「秋営む」→「秋なむ」→「秋なう」→「あきなう(商う)」となっていきました。ちなみに「春夏冬」は「秋が無い」ので「秋無い」→「あきない(商い)」と読みます。(その後「二升五合」と書いて「ますます(「升(ます)」が二つで)繁盛(「一升(いっしょう)」の半分で「半升」)」と読みます)



スラヴ

らにい (2003/08/13 13:24)

「スラヴ(Slav)」についてなんですが・・・
 ・「スラヴ」と「奴隷」とは関係があるというのは本当か?
 ・名前でよく見かける「−sky(i)」とはどういう意味か?(例えば「M(a)c−」や「−son」は「〜の息子」という風に)
 ・「スロヴァキア(Slovakia)」と「スロヴェニア(Slovenia)」の違いは?
  どちらも「スラヴ」に関係している事は分かるが、この言葉(綴り)の違い。
上3つの質問ですが、ご教示お願い致します。
(ちなみに「ユーゴスラヴィア(Yugoslavia)」は「南スラヴ」という意味だと聞いたことがあります)



アキについて

MANAなかじま (2003/08/13 13:22)

すばらしきページに遭遇しました。「ウト」の意味を整理してきて、この伝言板と、「言葉の世界」のサイトを訪れたというわけです。私は、フリーライターで、小さな出版社をやっています。最後にぼくのサイトを記入しておきました。
いま、食物の世界の商人の起こりを、整理しているところですが、七十一番職人歌合や古代供御人の世界から、食べ物を商う人々がどのような商い方をしていたかを勉強しているところです。ぼくは漁業や魚や漁村の世界が専門ですが、食についての文章も書いているもので、このなかから、「商う人々の呼び声」をテーマにしぼり取材やら資料集めをしています。
という前段で、「あきなう」意味について整理をしておこうと調べ始めました。「あきびと」「あきんど」「あきうど」(これで「うと」の解説に巡り会ったわけです)の「あき」は、収穫の季節、秋から冬にかけての「秋」に通じるというように、柳田国男もイチとマチの文章やほかの辞典類にもありますが、「あき」についての、語源について、あらためて「秋」のアキ、アキビトのアキについて、御教授いただければうれしくおもいます。

MANA・なかじま(中島満)
中野区沼袋在住

http://www.manabook.jp/



Re: 弥勒

massangeana (2003/08/13 05:42)

もひとつ。直接「弥勒」と関係しませんが日本語のページではこんなのがありました。
支婁迦讖のもたらした原典はサンスクリットではなくガーンダーリーで書かれていた
だろうという話です。
http://www.let.ryukoku.ac.jp/~hasuike/newpage2.htm#ch4e



Re: 弥勒

massangeana (2003/08/13 05:22)

ここにくわしい説明がありました。
http://www.chibs.edu.tw/publication/LunCong/004/295_322.htm



欧州各言語の「こんにちは」

Maniac C. (2003/08/13 04:58)

>(K)nitさん
■うーん、何か燃える話題になってまいりましたね。どの言語が初発でしょうか。
今まであまり気にしていませんでしたが、確かに、語派・語族を超えて「善い」+「日」
になっていますよね。少し考えてみるだけで、
希臘語でもκαλημερα=καρο´s(=good)+με´ρα(=day)ですし、
マヂャール語でも jó(=good) napot(=day)ですし、
トルコ語でも iyi(=good) günler(=day)ですし、
フィンランド語でも hyvää(=good) päivää(=day)です。
どこかに文化的な源が在って、そこから伝播した、と考える方が合理的です。

■英語の挨拶はどこまで遡れるか。
>OEDを見てもGood day/morning/nightなどは14世紀以前に遡ることもなく
→『英語語源辞典』を見ると、以下のような感じです。
 good day: 1200年以前?(Layamon)
 good even: 1481年(Caxton)
 good morrow: 1390年ごろ(Chaucer)
 good night: 1200年以前?(Layamon)
一番新しいのは“good even”で、次いで“good morrow”。ここまでは仰るとおり、
14/15世紀ですが、“good day”“good night”は12世紀以前に遡るようですね。
ご存じだと思いますが補っておきますと、Layamon は 伝説を集めた長詩 Brut(1205)
の作者です。



サッダーム・フセインという名前 補遺

にれのや (2003/08/13 04:36)

■詳報のあるページを載せ忘れました。ここです。↓
http://www.freerepublic.com/focus/f-news/961207/posts



サッダーム・フセインという名前 続報

にれのや (2003/08/13 04:35)

■バグダード郊外で救急隊員といて働く 「サッダーム・フセインさん」 について詳報を見つけました。彼は、友達に 「僕をサッダームではなくイスマイルと呼んでくれ」 と頼んだ罪で、何と4ヶ月投獄されたことがある!とのことです。彼の父親が、彼に s.adda:m という名前をつけたのは、
    「by chance」 たまたま、偶然
だそうです。やっぱり、s.adda:m という名前は、ひな型としてあることはある、と考えてよさそうですね。ただ、この記事中、彼の父親の名前が Ali Hussein アリー・フサインとなっているのに、息子が Saddam Hussein というのは、アラブの名前の常識としてつじつまが合いません。少しは、さっぴいて考えねばならぬやも。



サッダーム・フセインという名前

にれのや (2003/08/13 04:04)

■きょうの朝日の朝刊に、以下のような記事がありました。

□「米兵は僕の名札を見ると、一緒に記念写真を撮ろうとするんだ。僕は喜んで応じるけどね」/バグダッド郊外の病院で救急隊員として働くサダム・フセインさん(31)が9日、語った。旧フセイン政権に弾圧されたシーア派のフセインさんは、「サダム」 の名を気に入らないという。(時事AFP)

「サッダーム s.adda:m(un)」 という名前については、以前に、何となくまとめてみましたが、どうも、少し考え直さねばならぬやもしれません。
   (1) s.adda:m(un) という名前が、サッダーム・フセインの出生時のエピソードによって、独自に名付けられた名前だとしたら、同じ名前の人がいるというのはおかしい。s.adda:m(un) という名前が、アラブ世界、少なくともイラクでは、珍しいにせよ、一般に通用する名前であると考えざるを得ない。
   (2) サッダーム・フセインの大統領就任は1979年なので、31歳の救急隊員のサッダーム・フセインさんの両親が、大統領の名前を子供につけた、という説は成り立たない。
   (3) ただし、1968、69年ごろ、サッダーム・フセインは、バース党穏健派によるクーデターの立役者として名前を売ったので、両親が、それを引用した可能性はある。彼の両親は、イスラム教シーア派としても、サッダーム・フセイン大統領がシーア派の弾圧を始めるのは1980年代に入ってからなので、1970年初頭の彼の両親が、サッダーム・フセインがシーア派の敵であることを知るよしもなかった。
 この記事の記者には、もう一言訊いて欲しかった。「あなたの名前は、サッダーム・フセイン大統領にちなんでつけられたものですか?」 と。



ルーマニア語のおやすみ

にれのや (2003/08/13 03:11)

■Maniac C. わかりませんね。ルーマニア語の 「おやすみ」 が倒置されるわけは。
『ロマンス語入門』レベッカ・ポズナー著/大修館書店
にヒントになりそうな一文がありました。p.195

□英語の話し手にとって見逃し得ないロマンス語の特徴は、いつもそうだとは限らないにせよ、形容詞が修飾される名詞の後に置かれるという傾向である。ある程度までロマンス語はラテン語の習慣を継承しており、品質 (qualitative) 形容詞 (価値に関する主観的判断を示す) は名詞の前に、識別 (discriminative) 形容詞 (名詞の差別的特徴に言及する) は名詞の後に置く傾向を示す。ラテン語は形容詞の前置を断然好んだ――その傾向は古期フランス語に、また今日では東部フランス方言やレト・ロマンス語のスルセルヴァ方言に名残をとどめている。だが形容詞後置の方が全体としてロマンス語の傾向に合致している――殊にそれはルーマニア語に顕著で、ルーマニア語で形容詞の前置は文体的効果を狙う場合に殆ど限られると言ってよい:

   zi frumoasa{+U} / frumoasa{+U} casa{+U}
   「素晴らしい日」    「本当に素晴らしい家」



スラヴ語の 「善い日」

にれのや (2003/08/13 02:57)

■(K)nit さんへ。おっしゃるとおりです。スラヴ語の 「善い日」 が、どこまでさかのぼるか、わたくしの手元には資料がありません。いずれ調べてみましょう。
 とりあえず、「善い」 と 「日」 の原スラヴ語の推定形をば、
     * dobrъjь, -raja, -roje
     * dьnь
ラテン文字表記の場合は、ъ=u{+v}, ь=i{+v} です。ロシアの学者は、この2母音にъ, ьを当てます。



Re: 続・漢詩について

massangeana (2003/08/13 01:28)

>中国語で「同用」「通用」となるのは
中国語で, というか詩の韻で, ですが, これは必ずしも似ているものをまとめ
たということではないのです。切韻の系統の韻書で「隣同士に置かれている」
韻をまとめたものですので, たとえば江韻と陽韻のように, 宋では同音になっ
ていたと思われる韻でも, 場所が離れていると分離します。また, ひとつの韻
が後世 2つ以上に分かれた場合もありますが, そういうことを一切考慮してい
ません。よって, 音の近さで考えるのはそもそも無理があります。

同用の規定は広韻(11世紀)にははっきり見え, 後の詩韻とほとんど同じものに
なっています。このようなことは唐のはじめからすでに行われていますが, 当
時の規定がどのようなものだったかは正確にはわかりません。中古音というの
は 600年ごろの音で, これは 8世紀以降の音とはかなり違っています(前者を
Early Middle Chinese, 後者を Late Middle Chinese と分けることがよく行
われています)。この意味でも, 後世の同用を中古音の近さと結びつけて考え
るのはあまり有効な方法ではなかろうと思います。

3つめに, 中国語の音節構造の問題があります。たとえば現在の北京語の韻で
[e] は通常 [i/y] のうしろにしか現れず, [o] は唇音か [u] の後ろにしか現
れないので, [e] と [o] を音韻的には 1つの音素(たとえば /@/)と解釈でき
ます。しかし [e] と [o] で韻を踏むのはすこしためらわれます。このように
介母の影響が音韻的には同じ主母音に大きく影響して韻をふまなくなることが
ありえます。

>廃と皆
これを介母の有無の違いと考えているのは藤堂氏だと思いますが, ほかの人は
そう考えていません。また, これは藤堂氏の「音韻的解釈」の結果であって,
解釈が正しいとしても, じっさいの音声とはかなり違っていたと思います。
さらに皆(の去声の怪)韻と廃韻は韻書上でとなりあっていません。

>微
後にはたぶん単なる i に近くなってしまっていたと思います。

>痕・魂と欣・文
韻書の上で間に元韻がはさまっています。また実際にも母音がかなり違ってい
たと思います。Pulleyblank は痕[@n]魂[w@n]欣[+n]文[un]([+] は中舌の i)
としています。



Re: 弥勒

massangeana (2003/08/13 00:30)

「弥勒」は非常に古い語で, 支婁迦讖(2世紀)訳の「道行般若經」にでてきます。
 http://ccbs.ntu.edu.tw/cbeta/result/app/T08/0224_001.htm
いっぱんに支婁迦讖の音訳語はサンスクリットよりパーリ語やガンダーリーのような
俗語に近い音を写していると考えた方が理解しやすいものがあります。上の「道行般
若經」では「般若・耆闍崛(山)・曇摩」など。トカラ語資料で maitra:k (トカラ語B),
metrak (トカラ語A) のような形があり, これに近いものを写したのだろうといわれます。
なお弥勒の「弥」はたぶん mie か mia のような音だったので, me の音を写すのに使えた
のでしょう(cf. 須弥(山))。もっとも「阿弥陀」のように mi の場合もありますが。



スラヴ語の 「こんにちは」

(K)nit (2003/08/12 23:48)

ウクライナ語とポーランド語(Dobranoc)との並行現象を面白く拝見いたしました。
ただし、「善い+日」と言う表現を原スラブ語にまで遡らせてお考えになるのはいかがなものでしょうか。「善い+日、夜など」の挨拶表現としての起源や、スラブ諸語での歴史がよく分からないので憶測ですが、これはかなり新しい(又ひょっとすると外来の)表現ではないかとと思います。
(語派が異なるので単なる参考ですが、OEDを見てもGood day/morning/nightなどは14世紀以前に遡ることもなく、Dictionnaire Etymologique de la Langue FrancaiseでもBonjourはav.1250、Bonsoirは15世紀を初出としています。ーーー想像をたくましくすれば、「善い+日」は、フランス語又はそれ以外のロマンス語に生まれ,そこから欧州全土に語派・語族を超えて伝播したのではないか、と思います。ちなみに、非印欧語のバスク語もegun on(日+善い)ですが、語族が違いながら同じ表現を使っていることが、かえって外来・翻訳表現の可能性の高さを示していると思います。)



弥勒

顕正居士 (2003/08/12 08:59)

はmiiroの音写であろうという。
http://www.y-uruwashi.gr.jp/bosatu.html

ミイロ神
http://www.grifterrec.com/coins/kushan/pl/i_kush_g68_pl_r.jpg

「もののふ」は『言海』には「モノナウ(物行)ノ転ニモアランカ」
とある。(あきなう、うべなう)。



スラヴ語の 「こんにちは」

にれのや (2003/08/12 02:36)

【スラヴ語の 「こんにちは」】
スラヴ語で 「こんにちは」 を、それぞれ、どう言うか、調べてみました。発音は、およそのところをカタカナで示します。
■【西スラヴ語】
チェコ   = Dobry{+´} den! ['ドブリー 'デヌ]
スロヴァキア= Dobry{+´} den{+v}! ['ドブルィー 'ヂェニ]
ポーランド = Dzien{+´} dobry! [ヂェン 'ドーブルィ]
■【南スラヴ語】
セルビア = Добар дан! ['ドバル 'ダーヌ]
クロアチア= Dobar dan! [   〃   ]
スロヴェニア= Dober dan! ['ドーベル 'ダーヌ]
ブルガリア = Добър ден! ['ドーバル 'デヌ]
■【東スラヴ語】
ロシア  = Добрый день! ['ドーブルィ 'ヂェーニ]
ウクライナ= Добрий день! ['ドーブルィ 'デーニ]
ウクライナ= Добридень! [ドブ 'ルィーデニ]

以上のことから、原スラヴ語では、[善い]+[日] という語順だったと考えるのが妥当かと思います。つまり、ポーランド語の 「ヂンドブリ」 は、かなり、特殊ということです。この一連のリストのなかで、非常に興味深い点が1つあります。それは、ウクライナ語の
     Добридень! [ドブ 'ルィーデニ]
です。これは、ポーランド語の 「おやすみ」 にあたる Dobranoc [ドブ 'ラ-ノッツ] と同じ現象です。つまり、ウクライナ語では、ポーランド語の Dzien{+´} dobry! ように倒置することができなかったので、アクセントの位置を後ろに1音節ずらして、1語にしてしまった、と、こういうことのようです。



武士とさむらい

にれのや (2003/08/12 02:35)

■うむうむ、Maniac どの、おぬし、なかなかにやるのう。
さようさよう、りゃんこには、刀をさしているという身振りをつけることが多いです。
■わたしが解釈するには、「武士」 が文語的で、「さむらい」 が口語的なのではないか、と思うのです。大雑把にわけて、江戸で使われていた話ことばには、次の3つの発話レベルがあるように感じます。
   (a) 武士階級・医者・僧侶の使う 「ぶばった」 言葉
   (b) 町人の使う 「くだけた」 言葉
   (c) 大店(おおだな)をかまえる商人・町役人などの使う中間の言葉
この3つのレベルの江戸の言葉では、それぞれ使われる語彙に違いがあるように思います。たとえば、
     【武士/太陽/魚/頭/女性/酒/食べる】をそれぞれのレベルで、通常、どう言うかというと
   (a) 武士/日(ひ)/うお/つむり/女中(じょちゅう)/ささ/食す(しょくす)
   (b) さむらい/おてんとさん・おひさん/さかな/あたま/おんな・あま/酒/食う(くう)・食べる
   (c) おさむらい/おてんとうさま・おひさま/さかな/あたま・おつむり/おんなの方・お女中/お酒/いただく・食べる
ただし、参覲交代で江戸に来たばかりの侍は、お国言葉まるだしだったようで、そういった侍を描写している落語もたくさんあります。

■「もののふ」 という言葉は、浪曲・講談にはよく使われます。ただし、
   「地の部分で、節をつけて語る部分」
に限られます。つまり、セリフ(口語)では使われない、ということです。地の部分では、「もののふ」=「(忠義をつくす、立派な)武士」、「(あっぱれ!)武士の鑑(かがみ)」 の意味です。



続・漢詩について

Maniac C. (2003/08/12 01:10)

■Koma高駒麗人さん、massangeanaさん、偽中国人さん、色々と情報を有難う存じ
ました。勉強になりました。以下は、またまた、遅くなってしまいましたが、その
レスです。(Koma高駒麗人さんについては一足先にレスを書き込みましたので、主に
massangeanaさんに向けてになります。)

>massangeanaさん(7/29)
■「漢詩講座基本編」のご紹介有難う存じました。一通り読んでみはしたのですが、
なかなか頭に染み込んで来ませんので、時間を置いて何度か読んでみたいと存じます。
ひとまづ「解」に関しては、前よりは理解が深まったと思います。
■もうひとつ御紹介の「SPANISH PROSODY」へも行ってみました。
momento - viento – movimiento の押韻についてですが。まづ、この語の羅語形は
mo¯mentum – ventum – movimentum で、元々同じeが割れて二重母音ieになったもの
ですから、スペイン語母語話者の潜在意識下では同じ母音と認識されているかも知れ
ません。又、この詩の上にある説明では「子音韻とは、行末の強勢母音、及びそれに
付随する全ての母音と子音が、押韻される全ての単語で同じものである。」と有り、
この単語の場合の強勢母音はいづれもeですので、その前に在る弱母音iは無視でき
るのです。更に、その下の「母音韻」の説明の部分でも、「二重母音の弱母音は考慮さ
れないので、patriaは、mata, canta, palma と同様、jaula とも押韻される」と
有りますので、スペイン語詩で押韻の際に問題になるのは強勢母音、ということに
なるようです。中国語詩では、強勢は関係ないでしょう。
■中国語で「同用」「通用」となるのは、介音が有る場合・韻母が類似の場合(「侯韻」
@u に対して「尤韻」i@u と「幽韻」iou など)ですが、介音は常に無視して良いのか
と言うと、そうでもありません。「廃(ïΛi, ïuΛi)韻」と「皆(Λi, uΛi)韻」は介母
ï-の違いで別韻です。「{口台}(@i)韻」と「灰(u@i)韻」は通用ですが、「微(ï@i, ïu@i)
韻」は、やはり介母 ï-の違いで別韻です。更に、「痕(@n)韻」と「魂(u@n)韻」は通用
ですが、「欣(i@n)韻」及び「文(iu@n)韻」とはそれぞれ別韻です。一体どこに基準が
在るのか、サッパリ判りません。さすが表音文字ではない漢字、と言うべきでしょうか。表音文字で見比べると、推定音が間違っているのか? と考えてしまいます。
■偽中国人さん(7/31)ご紹介の「中原音韻」は、何か、綺麗に韻がそろっていて、
感動を覚えました。有難う存じました。

■「蚯蚓」の旧仮名遣い
いくつかの辞書・字書で再確認しましたが、やはり「みみず」でした。
「みみづ」は「針孔」のことであり、北関東では「めど」と訛ります。

■ところで、全然関係の無い質問ですが、「弥勒」という漢語が在りますが、何故
Maitreya が、殆んど音の合わない mi li@k に音訳されたのか、ご存じでしたら、
お教えください。



象と象る(やっぱり象は象)

tao_maker (2003/08/11 14:59)

遅ればせながら、たまごんさん (2001/10/05 02:23)への返信です。
韓非子、解老編に以下の記述があります。
人希見生象也、而得死象之骨、案其圖以想其生也、故諸人之所以意想者皆謂之象也。今道雖不可得聞 見、聖人執其見功以處見其形、故曰:『無状之状、無物之象。』
(人は生きてる象をみることはめったにないので、死んだ象の骨を見て象とはどんなものか想像する。だから、何かを想像することをひっくるめて象というのである。...)
韓非子は、韓非の死後増補された部分が多いので戦国末とはいえないかもしれませんが、この時代ころには上記のような説が広く伝わっていたようです。印象とかは、明治後の和製漢語のようですが、どうも象は象のようです。



re:Dvořák

きしろふ (2003/08/11 13:09)

>高駒麗人Komaさん
>「ロシア語のр[rr]とж[zj(ジの音)]を同時に発音したもの、あるいは
江戸辯(弁)やアラビア語のrと北京語のr(ロシア文字轉写はР[rr]でなくЖ)を同時に発音したような物でしょうか。」
そらぁ、発音難しいですな・・・(^^;)



res: 落語と武士

Maniac C. (2003/08/11 05:00)

>にれのや師匠
■「武士」と「さむらい」
>武士による武士の自称は 「武士」/「さむらい」 とは決して言わない。
>町人は、武士を 「武士」 とは呼ばない。
なるほど。では、武士を「武士」と呼ぶ諺類は、士族階級の中から出て来たか、はた
また後世のものなのですね。認識を改めました。ま、自称で意味の高いものを使うと
尊大な感じになりますので、大抵は意味の低い語を使うものですが。「武士」なら、
下級武士だけでなく、広義として上級武士も含めて使えるわけですからね。
 「さむらい」は、京言葉か雅語なのでしょうかね。町人の使う「さむれえ」にして
も、「お」や「さま」をつけないだけで、軽蔑語としてもまだ、そこはかとなく敬意を
感じます。

■「りゃんこ」
んー。大小二本の刀を差しているから、「両個」ですね。「これ」と言う時は、指を
2本出したり、右脇に2本、刀を差しているような身振りをするのでしょうか。
 広辞苑に依れば「りゃん」とも言うそうですが、略さなくとも、こちらの語には
明らかに悪意を感じます。換喩を使って隠語にしている所為でしょうか。「赤シャツ」
とか「角帽」とかいう語には、何か侮蔑の語感が伴います。
 「りゃんこ」という語は現代では死語かなと思ったのですが、どっこい、建設・
建築業界、角界、魚河岸・鮨屋の符牒や釣りの世界では、まだまだ現用のようですね。
検索に掛けたら「りゃんこ」で80件、「リャンコ」で66件が当たりました。中には
人名や、竹島(鬱陵島)の異名(仏捕鯨船 Liancourt に由来する)も含まれていますが。



Re: nとη (ng)

massangeana (2003/08/11 04:21)

偽中国人さん, おもしろい話題をありがとうございます。
「洪森」と「雲升」のこと, n/ng よりも「雲」が H ではじまることを前提にしているらしい
のがおもしろいと思いました。現在のカンボジアはタイ同様, 潮州系が多いようですが, 潮州
の言葉では「洪森」がホンシム, 「雲升」がフンセンなので明らかに後者の方が近いです。
(潮州語に m はありますが, n/ng を区別しません。)



Re: チェコ語の記号

massangeana (2003/08/11 04:10)

U+3002 さん:
>ほかの言語でも使うようですね。
ソルブ語(ドイツ東部で使われるスラブ系の言語)にもこの字はあるようです。
音が同じかどうかは知りませんが。
スロバキア語には r の上に「´」をつけた文字がありますが, これは「長いr」を
意味する別のものです。

>031Dは「狭い母音」を意味する記号で
031D は「より狭い」という意味で, 母音に限らないようです。
ラディフォギッドの教科書には「狭いので, より摩擦音的になる」と説明されていました。



re ペルセウス 漢詩 montagneとmontage

Maniac C. (2003/08/11 03:35)

>Koma高駒麗人さん
お引越しはもう終わったのでしょうか。お久しぶりな気が致します。

■ペルセウスはPerceusかPerseusかPerseidsか?
→人名「ペルセウス」はΠερσευ´s(Perseus)です。ギリシャ文字のラテン転写
ではκ→c(例えば、Κασσιο´πεια → Cassiopeia)ですので、*Perceus
ではありません。
Perseids は「ペルセウス座流星群」を表す英語です。
英 Perseids ← ネオラテン Perseïdes(複数形) ← ギリシャ Περσηι´δηs
(複数形) ← Περσηι´s(単数形、「ペルセウスの娘」の意味。語幹の終わりは
-id- だが、主格語尾 –s が付くと、/d/が脱落する)という変化です。

>Koma高駒麗人さん(7/29)
■漢詩の文字全てについて、普通話のピンインを書き込みいただき、有難う存じまし
た。教科書では「烟」→「煙」、「唯」→「惟」と、ちょっとした違いも有ります(wai2
はwei2ですね)。

■お礼に、まだ宿題になっている「montagneとmontage」について。
◆仏語 montagneの古仏語形は montaigneで、これは民衆羅語形 *monta¯nea(m)
(regio¯nem)、つまり「山岳地域」(の対格形)に由来し、これの主格形 monta¯nia
(regio¯)は、羅語 mo¯ns(山)の語幹mo¯nt- +「〜の、〜の性質の、〜に属する」等の
意味を表す形容詞化接尾辞 -a¯n- +「〜の国、〜の地方」を意味する接尾辞 –ia
(これ自体は、連結母音の -i- に、女性単数主格語尾の –a が付いたもの: regio¯
は女性名詞)という構成です。
 民衆羅語から古仏語の音韻変化も説明しておきますと、まづ、対格語尾のmが鼻音
化して脱落し、次いで強勢の無い末尾の母音がa>eと曖昧母音化し、これも後に
脱落します。その前の母音はe>i>jとヨッド化し、前の子音nを湿音化して ign
という綴りになります。更にその前の長母音は長短の区別が失われ、強勢だけが保存
されます。
 因みに羅語「山」の主格形 mo¯ns は、語幹mo¯nt- +主格語尾 –s で、本来は
*mo¯nts となるべきものが、ts>s と、tが脱落したものです。又、「地域」を表す
regio¯ も、語幹 regio¯n- +主格語尾 –s ですが、こちらは –ns>-n>鼻母音化>
脱落という変化の結果です。
◆一方、montage(編集)は、動詞 monter(編集する<組み立てる・組み上げる<上げる
<上がる・登る)の語幹に、名詞を作る接尾辞 -age が付いたもので、monter は俗
羅語形 *monta¯re(山に登る)に由来しますので、やはり羅語 mo¯ns(山)に辿り着き
ます。



落語と武士/イェンズィク・ポルスキ

にれのや (2003/08/11 03:20)

■落語では 「武士」 を何と呼んでいるか、思い返してみました。

□まずは、武士による武士の呼称、武士による武士の自称は 「武士」
   「おのれェ、きさま、武士を愚弄するか」
   「そのような、まあまあ、武士は相身たがいと申すではござらんか」
という具合です。「さむらい」 とは決して言わない。

□町人による武士の呼称は
(a) (職人などが武士を軽蔑して使う) 「りゃんこ」、「さむれえ」
   「何だい、これかい、リャンコかい? おい、それを早く言えよ」
   「おい、さむれえだよ。相手が悪いや」
(b) (商人などが武士を敬って使う) 「おさむらい」、「おさむらいさま」、「お武家(ぶけ)さま」
   「おさむらいさま、おさむらいさま、ちょっと待ってくださいまし」
   「おいおい、気をつけな、前から来るのはおさむらいだよ」
   「ええ、これは、あちらの御武家さまからでございます」
つまり、町人は、武士を 「武士」 とは呼ばない。講談・浪曲でも同様です。

■Koma さま。
ポーランド語で 「ポーランド語」 を je{+し}zyk polski ['イェんズィク 'ポるスキ] と言うのは、polski という形容詞が 「関係形容詞」 だからです。あえて
     polski je{+し}zyk
というと、「ポーランド的な言語」 というニュアンスになります。
 その後、マケドニア語・ベラルーシ語・ソルブ語を除く全てのスラヴ語を調べましたが、
     「形容詞を名詞の前後に振り分けるのはポーランド語だけ」
でした。他のスラヴ諸語は、すべて
     「形容詞+名詞」
の語順を取ります。他のスラヴ語は、ロシア語のように be 動詞にあたる繋辞の現在形を失っていませんが、それでも、「形容詞+名詞」 です。ポーランド語が特異な進化をした、と考えられます。
 なお、ブルガリア語学では、ロシア語と同様に 「関係形容詞―性質形容詞」 という形容詞の分類を行なっています。



訂正 母なる海 ヴォボルザーク>ドヴォルザーク samurai 武士

Koma高駒麗人 (2003/08/11 02:18)

母なる海 ヴォボルザーク 投稿者:高駒麗人Koma  投稿日: 8月10日(日)23時00分41秒
訂正:ヴォボルザーク>ドヴォルザーク
失礼しました。

http://www.astroarts.co.jp/special/perseids2003/index-j.html
ペルセウスはPerceusかPerseusかPerseidsか?

http://www.eva.hi-ho.ne.jp/nishikawasan/asa/gogaku.htm
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004203295/qid%3D1053604335/sr%3D1-6/ref%3Dsr%5F1%5F2%5F6/249-7887872-0229903
(『外国語上達法』について)

侍と武士が厳密には別の意味だとは知りませんでした。
ゲームの「侍魂」は別にして、中国では日本語のサムライは「武士」wushiと譯されます。
中韓合作映画で、明と高麗の時代を舞台にした『武士』Musaもあります。
「侍ジャイアンツ」のVCDが中国で「魔投手」Motoushouとして發賣されています。番場蛮が「王大蠻」Wang Damanという名になっています。冒頭で川上監督(中文名が「李川元Li ChuanYuan教練jiaolian」)が「サムライが欲しい」というシーンで、中文譯では「武士」Wushiという単語が何度か使われていましたが、「侍」shiという詞は全く出てきませんでした。
中国人用の英漢詞典でも、samuraiの意味は“武士”だと書いてあります。日本人は「サムライ」が世界に廣まった詞だと思っていますが、中国では漢語を使う限り「武士」wushiは使っても「サムライ」は使いません。
http://www.musa-jp.com/intro.htm



喫茶 tc'ii'zo

高駒麗人Koma (2003/08/11 01:15)

日本語の「ぞ」は語頭では dzoですが、これは厳密にカナで書くと「ヅォ」でしょう。
北京語では摩擦音zで始まる[zo]は無く、「走」zouは[tsou](ツォウ)と[dzou](ヅォウ)の中間音です。北京ご出端現代日本語の語頭の「ぞ」(づぉdzo)はあるが、「どうぞ」[do:zo]等の語語尾の「ぞ」zoはないと言えます。
ただ現代北京語にないからと言って「中国語にzo音がない」というのは不正確です。
ただ、上海語では「茶」が[zo]になり、摩擦音zの[zo]は各地の方言に有り得ます。
もっとも上海語のzは語頭ではsに近くなり、「茶」は so に近くなります。
「茶を飲む」は北京語「喝茶」hecha、廣東語で「飲茶」yamcha、上海語で「喫茶(吃茶)」tcii'zoで、iiの後半のiはeに近く、’は声門閉鎖で、故に上海語「喫茶」は「チエッゾ」に聞こえます(日本人が「チエッゾ」をは筒音すると「チエッヅォ」tc'ieddzoになります)。
日本人が上海語を話すときはzはsにした方がいいでしょう。「上海」はzanghE「ザンヘ」ですが、日本人は「ザンヘ」というカナを読むと dzanghE「ヅァンヘ」にするので、サンヘだと思う方がいいのです。

>ペルシャ чай。他の国では、モンゴル цай、ブリャート сай、日本 (о)тя。
アラビア語では、shayつまりшайのようです。モンゴル語でも中国内蒙古では、чайのようになるようです。

千野栄一氏『外国語上達法』で、ある日本人がロシア人から zakon(ザコーン、法律)という単語を教わったものの、発音が dzakon(ヅァコーン)になり、何度発音してもロシア人の先生は OKをくれず、その日本人は自分の間違いがわからず途方に暮れたという記述があります。

スラヴ語の自称は、「ロシア語」が Russkij Jazyk、チェコ語が Cesky Jazykで、民族名(Russkij、Cesky)が先で「語」(Jazyk)が後ですが、ポーランド語の場合、Jezyk Polskiで、「語」Jezykが先、民族名が後です。これはロマンス語の影響もあるようです。
White Houseに対して Casa Blancaとか。
東南アジアの言葉も形容詞は後置されます。
Java Tea StraightはStraightが後ろなので東南アジア風ですが、TeaはIndonesia語で tehですから、TeaをTehにして、更に Javaを後ろにして、Teh Java Straightにするほうが、より現地の言い方に近いかも知れません。



母なる海 ヴォボルザーク

高駒麗人Koma (2003/08/10 23:00)

中国大陸では「佛」foの旁の「弗」はこのままで、「拂拭」fushiの「拂」もそうです。
日本では「獨」は「独」になり、「觸」は「蝕」になっています。
一方、「濁」「燭」の旁はこのままです。
中国大陸では、これについては日本より簡略化が徹底していて、日本で簡略化されていない旁も「虫」になっています。
「獨」duは「独」、「觸」chuは「蝕」になり、一方、「濁」zhuoは[シ虫]、「燭」zhuは[シ虫]になります。
中国大陸では「海」hai、「毎」mei、「梅」meiの「毋」部分は「母」のままです。
以前、NHK「クイズ面白ゼミナール」で小中学校の教科書の問題を大人が当てられないのを面白がること(平成教育委員会みたい)をやっていました。解答者(日本のある程度年長の人)は「海」の旁の下を「母」と覚えていて、「正解」は[シノー毋]ということで、大人が間違えるという話でした。しかし中国では「海」は[シノー母]が正解です。

Dvořákは英語ではdは省かれrがzj(ジ)で発音されて
[(d)vэzjα:k]のようになります。
日本語で[doboruza:ku]になるのはそのせいでしょう。
チェコ語にz掛かったrがあると本で呼んだ後、中国語講座を聞き、rがzのように聞こえ、「これはチェコ語のřか?」と思ったものです。
藤堂明保さん編集の「学研漢和大字典」で北京語のr[“z”の右下に小さい“し”]が ř(rの上にv)になっているのは十分納得できました。



Dvořák等

高駒麗人Koma (2003/08/10 22:37)

Dvořákの ř は結構難しい音の一つと考えられているようです。
千野栄一氏の『外国語上達法』でも取り上げられていたと思いますが。
「べらんめえ」berramme:のrrに摩擦を加えた音のようで、要するに
ロシア語のр[rr]とж[zj(ジの音)]を同時に発音したもの、あるいは
江戸辯(弁)やアラビア語のrと北京語のr(ロシア文字轉写はР[rr]でなくЖ)を同時に発音したような物でしょうか。
するとDvořákの発音をロシア文字で書くと
Дворжакであろうか?ローマ字轉写でDvorzhakになります。



re:「ř」

きしろふ (2003/08/10 18:54)

>U+3002さん
>「『r』の縦棒をいちばん下まで伸ばします。」
なるほど。ありがとうございます。
>「voiced strident apico-alveolar trill」
これはホント発音難しい・・・?(--;)



Re: チェコ語のrz

U+3002 (2003/08/10 18:23)

きしろふさん
>「ř」は「(世界で)最も難しい発音」ですかぁ〜(^^;)
>発音記号はとんなふうになるんですか?

[ɼ]です。
rの縦棒をいちばん下まで伸ばします。
(http://www.unicode.org/charts/PDF/U0250.pdfの027C)

ただし、Unicode Standardによると、IPAはこの文字を1989年に廃止したそうです。
現在の推奨される表記は[r̝]です。
(合成記号未対応のブラウザだと2文字が横に並んでいるかもしれませんが、正しくは縦に並びます)
rの下に逆さTを付けます。
(r + http://www.unicode.org/charts/PDF/U0300.pdfの031D)

ただし、Unicode Standardのこの記述には疑問が残ります。
031Dは「狭い母音」を意味する記号で、[r]にこれを付けるとřの発音を表すとは考えがたいです。
また、rとřはチェコ語では明らかに別の音素で、こういうばあい、独自の文字を割り当てるのが普通です。

Unicode Standardより
>ɼ 027C LATIN SMALL LETTER R WITH LONG LEG
> * voiced strident apico-alveolar trill
>@+ * obsoleted by IPA in 1989
> * sound spelled with 0159 in Czech
> * preferred phonetic representation for Czech is 0072 031D



re チェコ&ドイツ

きしろふ (2003/08/10 16:14)

>U+3002さん
「ř」は「(世界で)最も難しい発音」ですかぁ〜(^^;)
発音記号はとんなふうになるんですか?(例えば「th」なら「θ」とかなんとか)

ドイツ語新正書法、少し調べて見ました。
一応印象的だったのが、短母音の後は「β」から「ss」に統一するというものです。
例:「Fluβ(川)」→「Fluss」
  「Strauβ(シュトラウス)」→「Strauss」
現行の正書法もあと2年ですね。



ドイツ語新正書法

U+3002 (2003/08/10 14:30)

きしろふさん
>5年位前にドイツ語の新しい正書法が施行されて、もうすぐ現行の正書法が使えなくなるというのは本当ですか?

新正書法は、施行が1998‐08‐01、猶予期限が2005‐07‐31です。



Re: チェコ語の記号

U+3002 (2003/08/10 14:29)

きしろふさん
>「r」の上にある「∨
>スロバキア語特有のものでしょうか?
massangeanaさん
>チェコ語ですね。スロバキア語には「r+∨」の字はありません。

řで表される音は(おそらく)チェコ語固有の音です。
ギネス・ブックによると『(世界で)最も難しい発音』だそうです。

文字řは、Unicode Standardによると
>ř 0159 LATIN SMALL LETTER R WITH CARON
> * Czech, ...

とあるので、ほかの言語でも使うようですね。
おそらく、何かマイナー言語でしょうが。
(検索するとスロヴァキア語のページが多数ヒットしますが、おそらくチェコ語についてのページなどでしょう)
http://www.google.com/search?q=%C5%99&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=sk&btnG=H%C4%BEadaj%21&lr=lang_sk



「侍」と「武士」

Maniac C. (2003/08/10 12:28)

■たまには、前後の脈絡と何の関係も無く、こんなことを書いてみるのも良いかな?

■「さむらい」と「ブシ」は、和語と漢語の違いだけで、ほぼ同義語だと思っていた
のですが; 先日、人から訊かれて調べてみましたら、違いが在るのですね。そのこと
を知りませんでしたので、皆様にもお知らせします(疾うに御存じでした?)。

■以下は『大辞林』からの引用です。

■まづ、「ぶし」を引いてみますと:
「武芸を身に付け、軍事にたずさわった者。平安中期以降に擡頭(たいとう)し、江戸
時代は四民の最上の階級とされた。さむらい。もののふ。」と、いかにも同義語、と
言わぬばかりの語釈が載っています。
■そして、「――に二言(にごん)なし」「――の商法(しょうほう)」「――は相身(あい
み)互い」「――は食わねど高楊枝(たかようじ)」といった諺類が載っています。
■ここが重要です。同義語のように見えて、「――」の部分は常に「ぶし」であって、
決して「さむらい」にはならないのです。

■今度は「さむらい」を引いてみます。
■最初に註として「『さぶらい』の転。近世以降多用されるようになった」と有ります。
なるほど。「ぶし」は平安中期〜江戸時代(=近世)までに使われた言葉で、「さむらい」
はそれ以降に多用されるようになった言葉であったか。
■語釈(1)としては、「帯刀し、武芸をもって主君に仕えた者。武士。さぶらい。」と、
広義には、やはり同義語として使っても間違いではないことが判ります。が。
■語釈(2)として、「特に、江戸時代、士農工商のうち士の身分のもの。幕府では御目
見得以上、すなわち旗本を、諸藩では中小姓以上の上級武士をさした。」と有ります。
狭義では、何と、「さむらい」は、武士の中でも「上級武士」を指す言葉だったのです!

■これで色々な謎が解けます。確かに、『桃太郎侍』の右田新二郎は、讃州丸亀藩・
若木家十万石の大名の子です。戦国時代の話ですが、『七人の侍』は(一人、偽侍が
紛れていますが)野武士達と死闘を繰り広げます。何か「侍」と「武士」という言葉の
違いに、身分と言うよりは精神的な貴賎の差を感じます。『侍ジャイアンツ』は……
現代の話なのでパス! 番場蛮が侍の子孫、ということも無いと思います(漁師の息子
ではあったけれど)。単に侍魂を持っているってだけではなかったか知らん…。(^^)ゞ
一方、「武士に二言なし」は、下級武士に信用が置けなかったことから出たのでしょう。
「武士の商法」も、御一新の後、討幕派の上級武士は華族になれたのに、佐幕派や
下級武士は零落したから出たのでしょう。「武士は相身互い」と言うのも、下級武士の
助け合う姿が庶民の目に映ったのかもしれません。「武士は食わねど高楊枝」まで来る
と悲哀な感じが漂いますが、江戸時代末の下級武士は大分食い詰めていたのでしょう
ね。町人にそれを見透かされています。

■ところで、「武士」が平安中期から使われだしたということは、その前は? と気に
なりませんか。「もののふ」がその前のようですね。同じく『大辞林』に依りますと:
■語釈(1)には「武をもって主君に仕え、いくさに出て戦う人。武士。武人。」と、
「さむらい」と似たような記述が有ります。
■語釈(2)に「上代、宮廷に仕えたさまざまの職分の人。文武百官。」と有り、万葉集
の用例なぞも載っていて、奈良時代以前は「もののふ」だったことが判ります。
■でも、「ふ」って何? 「歩」? 「府」? 「斑」??
■ここからは『岩波古語辞典』になるのですが、漢字として「物部・武士」と有り、
注釈には「モノはモノノベのモノに同じ。はじめ武人の意。後に文武の官の意に
広まった」と有ります。んで、「もののべ」を見ると、同じく注釈に「モノは武具・
刑罰を直接言うのを避けた表現」と有り、語釈に「大和朝廷で、軍事・刑罰のことを
担当した部民。…」と有ります。とすると、「ふ」は「べ(部)」の転訛したものなの
でしょうか? 語頭なので清音化した?? 御存じの方がいらしたら教えてください。

■類義の古語「つわもの」というのも解らないのですが。
■以前は「強者」のことかと思っていたのですが、「つはし」みたいな古語は無いの
ですよね。雰囲気、「業物(わざもの)」に似ているのですが。
■どなたか、お教えください。(´人`)



nとη (ng)

偽中国人 (2003/08/10 06:04)

日本人にとってはnとngの発音を明確に区別するのは難しいものです。
日本語の中には両方現れますが別に意識して区別している訳ではありません。

版画はんが は多分ngを発音しているでしょう。
堪忍かんにん 最初の「ん」は多分nを発音していると思います。
範囲犯意はんい はどうでしょう。nともngとも異なる鼻音化母音「i~」を発音している人も居るのではないでしょうか。
キング・コングKing Kongに対して中国語は「金剛jin gang」の当て字を使います。
HongKong香港を「ホング・コング」と発音する人はいないと思います。

さてnとngに関して面白い新聞記事を見つけました。
http://www.zaobao.com/special/newspapers/2003/08/newssc090803.html
カンボジアのHunSenフン・セン首相が漢字名の従来の「洪森」から「雲升(昇、陞)に改名したというものです。表向きの理由は「洪森」とするのは正確ではないということだそうです。
http://www.locomo.org/cambodia/hunsen.html

  普通話  ビン南音   粤音
洪 hong陽平 hang陽平  hung陽平 (普通話のhongは昭和ヒト桁の発音字典ではhungと綴られています。)
森 sen陰平  sim陰平   sam陰平

雲 yun陽平  hun陽平   wan陽平
升 sheng陰平 sing陰平  sing陰平 (singはsengとも綴ります)

カンボジアの華人社会ではフンセンなど外国音の音訳に関してnとngをそれほど厳密に区別していないということが伺えます。

ちなみに雲升は「青雲直上九重霄」を連想させると記事では言っています。
すなわち「青雲」は「青雲の志」という言葉もあるように「高い地位」をあらわします。又「九重」は和訓でも「ここのえ」というように皇帝の居住する場所をあらわしています。「九霄」も同様です。シアヌーク国王に取って代わろうとする野心が見え隠れすると取るむきもあります。
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/isetaihu.html



re Dada

Maniac C. (2003/08/10 04:26)

>にれのや師匠
■研究社の『英語語源辞典』には以下のように。
仏 dada hobby (horse)(小児語・加重変形)?←de,dia(馬をはげます掛け声).
◇あらゆる既成概念を追い散らすという意味からか.一説に反体制の評論雑誌Dada(1916年
Zuerichで創刊)からとする.この雑誌の編集者 Tristan Tzara(1896-1963: ルーマニア
生まれの詩人・評論家)は,辞書をでたらめに広げて,たまたま出くわしたこの小児語を
選んだという.

■トリスタン・ツァラ絡みであることは間違い無いみたいですね。

■「ダダ」と言えば、私にとっては、ウルトラマンに出て来た三面怪人「ダダ」271号です
けどね。何しろアノおかっぱ・しましま! インパクト有りすぎ。壁抜け・テレポート・
高速飛行と、すばらしい能力を持っているくせに、間抜けなくらい弱い所も愛嬌ですよね。

■一往、研究社の注釈と似たようなことの書いてあるHPのURLを。

http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/artwords/a_j/dadaism.html



ルーマニア語のおやすみ

にれのや (2003/08/10 03:50)

■ムッシュ・マニアック! またまた、奇妙なお題を見つけてきましたねえ。不思議ですね。
確かに、ルーマニア語はイタリック語派ですね。でも、スラヴ人に囲まれた孤島なんですよね。燃える問題ですねえ。
■ルーマニア語では、yes を、なぜか、da というんですね。ルーマニア人が、Da, da! というと、ロシア人みたいで……
■Dada という art の分野での movement をごぞんじでしょうか? 20世紀の初めに、ヨーロッパやニューヨークなどで同時多発的に始まったもので、「既存の権威にくみしない」 というのが、Dada の作品・パフォーマンスに共通する唯一のコンセプトです。この Dada という言葉の由来、いずくにあるや、というのは、常に話題になってきたことですが、ダダの運動に参加していた Hans Richter (ハンス・リヒター) という造形・映像作家が、ダダについて回想した本に、Dada の由来は、芸術家仲間が酒場に集まって騒いでいるときに、ルーマニア出身のトリスタン・ツァラが盛んに発していた 「そうだ、そうだ!」 という肯定の意味の "Da, da!" ではないかと思う、という主旨のことが書かれていました。
■stipa 短音ですね。研究社の羅和辞典は 「わら」 ですね。ベイリーの『植物の名前のつけかた』では、属名が、はっきりと Sti:pa になっていたので。「わら」 ねえ。ちょっと奇妙ですね。



re:「pyramid」

鴛鴦 (2003/08/09 12:46)

>Maniac C.さん
私は「ピラリス」単独で調べていました。
>「ついでに『ピラミッド ピマール』『ピラミッド ピマル』『ピラミッド ピマー』
は、どれも当たりませんでしたので、日本語のペーヂでは1つも正しい語源を載せて
いるものが無い、ということも判りました。」
そうだったとは・・・!?



stipa 関係詞 形容詞 pyramid

Maniac C. (2003/08/09 12:00)

>にれのや師匠
■stipa(報告)
 短母音であることを確認しました。
 派生語のstipulum, stypticum も、羅語では短母音でした。
 余談ですが、羅和辞典では stipa の訳が「わら」となっていました。

■関係形容詞
 原語と解説、有難う存じます。もしかして「関係代名詞」の「関係」とは違う語
なのでは、と勘繰っていたのもお見通しでしたね。:-b
 仰るとおり、英語の関係形容詞は、形容詞と関係代名詞の両機能を有するものを
言うのですが; 私は「関係詞」という言葉自体、解りにくいと思っています。確かに
「関連付ける」(to relate)に由来する言葉なのですが、接続詞の機能を併有する語群
なのですから、「接続〜詞」と言ってくれた方が余っ程、解りやすいと思っています。
或は Jespersen のように、pronoun of connexion(連結の代名詞)と呼ぶとか。

■形容詞を前後に振り分ける
 御免なさい。また物議を醸すことになります。波語だけではなかったのです。多分、
何方もお答えになれないと懸念するのですが、一往、例を挙げるだけ挙げておきます。
 以下は、ルーマニア語の挨拶です。(文字化けしないかな?)
  Bună ziua!(ブナ ズィーワ)   「こんにちは!」
  Bună dimineaţa!(ブナ ディミニャーツァ)「おはよう!」
  Bună seara!(ブナ セアーラ)   「こんばんは!」
  Noapte bună!(ノワプテ ブーナ)   「おやすみ!」
 ルーマニア語でも、「形容詞は名詞の前にも後ろにも置きうる環境がある」のですが、後置されるのが普通です。強調するときなどは前置されるようですが、上記を御覧の
ように、「おやすみ」だけは bună が後置されています。また、アクセントは上記を
見るかぎり、全て終わりから2番目に有るように見えますが(noapte も「ノワープテ」
です)、波語のように全てここに有るわけではなく、英語と同様、単語によって異なり
ます。
 さてさて、これは一体どういうわけなのでしょうかねえ?? ルーマニア語は、スラヴ語派ではなく、イタリック語派ですしねえ。地理的には微妙なところですが…。

>鴛鴦さん
>ネットでいろいろ調べても「ピラリス」はでてくるのですが
→私が Google で、「ピラミッド ピラリス」で検索したら、1件しか当たりません
でしたよ。「ピラリス」単独なら87件でしたが。
 「ピラミッド ピラミス」で検索したら、47件当たりました。
 ついでに「ピラミッド ピマール」「ピラミッド ピマル」「ピラミッド ピマー」
は、どれも当たりませんでしたので、日本語のペーヂでは1つも正しい語源を載せて
いるものが無い、ということも判りました。
 「pyramid pimar」でウェブ全体から検索すると、7件が当たります。
 尚、「埃及語ではmr とか mer と言った」とするペーヂは、日本語で10件、ウェブ
全体で831件が当たりました。



Re:チェコ&ドイツ

きしろふ (2003/08/09 09:29)

>massangeanaさん
「ジャー」ないし「ルジャー」ですかぁ。ほうほう(笑)
昔「Lupin」を始めて目にした時、「ルピン」と呼んでしまいました(汗)その後すぐに「ルパン」だと分かりましたが。
色々とありがとうございます。
>顕正居士さん
そちら様も提供ありがとうございますm(_ _)m



南こうせつの 「下がり梅」

にれのや (2003/08/09 00:57)

【南こうせつの 『うちのお父さん』 に出てくる 「下がり梅」 (さがりうめ)】
1970年代に流行った、かぐや姫(南こうせつ作詞)の歌に『うちのお父さん』というのがあります。歌詞の一部 (3コーラス目、曲のおしり) に
     ♪春になれば、下がり梅の、花が咲きます、お父さん、にっこり笑う、にっこり笑う、あした天気にな〜れ♪
というところがあります。このなかの 「下がり梅」 というのがずっと気になっていて、ずいぶん、大きい辞典などを調べていたんですが、けっきょく、不明でした。きょう、アルフィーの坂崎幸之助 (さかざき・こうのすけ) のFM番組 「K's Transmission」 で、幸之助が南こうせつから聞いた話として、

【こうせつは、「下がり梅」 という言葉があると思い込んでいたのだが、曲を発表したあとで、それが、「南こうせつの実家だけで通用していた言葉」 であることがわかった】

ということだった、というのです。なんか、30年ごしで疑問が1つ解決してスッキリ。どの家にも、この手の言葉、あるもんですよね。ただ、「こうせつ家」 で何をもって 「下がり梅」 と称していたのかは不明です。



ロシア語で 「関係形容詞」 を何というか

にれのや (2003/08/09 00:56)

【ロシア語の関係形容詞】
■Maniac.C どの。ロシア語学用語では、以下のように言います。
     【関係形容詞】 относительное прилагательное
               [アトナ'シーチりナヤ プリら'ガーチりナヤ]
               →分類 (犬の・家の)、帰属 (ロシアの・国家の)、材質 (金の・木の) などをいうもの。
     【性質形容詞】 качественное прилагательное
               ['カーちストヴェンナヤ プリら'ガーチりナヤ]
               →大きい、赤い、やさしい、など性質をいうもの。
上記の2つは、ロシア語の形容詞の2大分類です。
     【関係代名詞】 относительное местоимение
               [アトナ'シーチりヤナ ミスタイ'ミェーニエ]
               →英語と同じ。
つまり、ロシア語学で言う 「関係形容詞」 は、英語で言う relative adjective とまったく同等の語構成であります。なぜ、こんなことになったのか? 次のように推定できます。
     (1) ロシア語には、関係詞の働きをする代名形容詞が存在しない。
     (2) ロシア語では、「性質」 に言及する形容詞と、「カテゴリー」 に言及する形容詞が未分化である。(西欧語に比べて、スラヴ語は未分化である傾向があるようです。ポーランド語のように、形容詞を前後にふりわけるというのは、その解決法の1つなのでしょう)
■относительное という形容詞は、動詞 относить [アトナ'シーッチ] から派生したものです。この動詞は
     (…に)帰属させる;(…の範疇・カテゴリーに)含める;(…に)分類する
という意味で、そこから派生した名詞 отношение [アトナ'しぇーニエ] に
     関係 ; 間柄
という意味があります。ですから、【関係形容詞】という訳語より、むしろ、
     【分類形容詞】【カテゴリー形容詞】
のほうがわかりやすいとは、思います。ただし、「関係形容詞」 というのは 「定訳」 のようです。
■もっとも英語の 「関係形容詞」 (which, what, whichever, whatever) のほうも、
     関係代名形容詞 relative pronominal adjective
のほうが、機能を的確に表現できますね。



Re: チェコ語の記号

massangeana (2003/08/09 00:23)

>「ルザー」
ハーチェクのついた r の発音は「歯茎摩擦的ふるえ音(alveolar fricative trill)」といわれるもので
仮名で書きようがありませんが, 書くとしたら「ジャー」ないし「ルジャー」あたりだろうと思い
ます。「ルザー」は rza という綴りにひかれた誤読で, Chopin をチョピンと読むようなものです。

タイプライターの配列の研究で有名な August Dvorak はアメリカの人で「ドヴォラック」と
読みます。

前にも書きましたがチェコ語の正書法としてはハーチェクつきの r はただの r とは「大」と
「犬」が別の字であるくらい別の字なので, はぶいてはいけません。この字をもたない言語
でチェコの固有名詞を記すときは rz のように書くことが多いです(Czech の「cz」自体がそ
う)。



ドイツ語リンク

顕正居士 (2003/08/08 23:14)

ドイツ語の新正書法は
http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/~euro/german/sprache/rechtschreib.html

昔ドイツ語の本は独特の装飾字体で印刷された。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3374/thule.jpg
和訳(森鴎外?)は
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3374/thule.html
上は"JSL Blackletter"というフォントです。
http://www.geocities.com/Tokyo/Garden/5213/warning.htm

ドイツ語の筆記体
http://www.peter-doerling.de/Lese/Sutterlin.htm
オンライン和独辞典
http://133.1.179.17:591/WadokuJT/search.htm
電子図書
http://gutenberg.spiegel.de/



Re:記号

きしろふ (2003/08/08 19:49)

>massangeanaさん
お答えありがとうございます。チェコ語ですか。
もし「Dvořák」が「Dvorak」なら「ドヴォラーク(『ラック』?)」なんてなってしまいますか?(「Dvorak」と表記されていても「ドヴォルザーク」と読むでしょうが)
私としてはこの記号はおもしろいと思います。「řá」で「ルザー」と発音するのですからね。「∨」と「´」が無かったら「rz(『th』?)a(r)」とかで綴らないと分かりませんね。



Re: チェコ語の記号

massangeana (2003/08/08 00:11)

>「r」の上にある 「∨(『∪』?)」
「∨」です。ハーチェクといいます。ただしアルファベットとしては「r+∨」でひとつの文字というあつかいになります。

>「a」の上にある「´」
チャールカといいます。ほかに「u」の上に円を書くことがあり, これをクロウジェクといいます。

>スロバキア語特有のもの
チェコ語ですね。スロバキア語には「r+∨」の字はありません。フスが発明したんでしたっけ?



記号(?)

きしろふ (2003/08/07 20:22)

有名なクラシックの作曲家ドヴォルザークのつづりは「Dvořák」ですが、「r」の上にある「∨(『∪』?)」と「a」の上にある「´」には名前がありますか?(例えば、ドイツ語なら「o」や「a」や「u」の上にある「¨」は『ウムラウト』、「β」は『エスツェット』というように)
そして、このようなものはスロバキア語特有のものでしょうか?

ドイツ語で思い出したんですが、5年位前にドイツ語の新しい正書法が施行されて、もうすぐ現行の正書法が使えなくなるというのは本当ですか?

P.S. 「金字塔」はいうまでもなくピラミッドを横から見た形が「金」の字に見えるからです。



Re:ピラミッド

鴛鴦 (2003/08/07 19:07)

>「ピ(ュ)ーラミス」
ネットでいろいろ調べても「ピラリス」はでてくるのですが、「ピ(ュ)ーラミス」はでてきませんでした。本当は「ピ(ュ)ーラミス」なんですか?
>日本語説
トンデモ説でしたか(^^;)



re ピラミッド

Maniac C. (2003/08/07 18:02)

>鴛鴦さん
■「金字塔」の語源は、下の記事と直接は関係無いので書きませんでしたが、埃及語
pimar の音位転換とされています。
■多分、ギリシア語「ピラリス」というのは、「ピ(ュ)ーラミス」のことだと思い
ますが…?
■日本語説は、神代文字と結びつくトンデモ説ですので、笑い飛ばして良いと思い
ます。「日来霊堂」「日来神宮」は「ぴらみどう」「ひらみっと」と読ませるよう
ですが、ちょっと考えれば、訓読み(「ひ」「み」)と音読み(「ら」「どう」)が交じっていて、
明らかに日本語起源ではないこと、漢字伝来以前のものではないことが判ります。
音韻的にも、長音や促音が表示されている時点で、後代の作り物だということが判り
ます。



ピラミッド

鴛鴦 (2003/08/07 16:13)

Maniac C.さんの書いた文章の「pyramid(ピラミッド)」を見て、ちょっと語源を調べたくなって、調べて見ました。
するとこんな説があるようです。
 ・ギリシア語「ピラリス」から。「ピラリス」とはギリシア人がよく食べる三角形のパンで、その形がピラミッドに似ているから。
 ・その「ピラリス」の元(語源)となるエジプト語「ペルエムウス」から。「まっすぐに伸びていくもの」という意味。
 ・日本語「日来霊(神)堂」から。素性は不明。読みは「ひらいれい(み)どう」?
とあるようですが、日本語説があるというのはおもしろいです。



res: ハネガヤ属 Stipa(下)

Maniac C. (2003/08/07 12:53)

■語学用語
 これは露語に限らず、どの言語を勉強しようとしても付いて回る問題です。例えば、
英文法と仏文法を見比べただけでも、以下の違いが有ります。
 「アクセント」:「アクサン」…英文法では強く読まれるところ (正しくはstress) を
言い、仏文法では綴りの一部として母音に付けられる記号を言う。
 「補語」「目的語」:「属詞」「(目的)補語」…ああ、ややこしい!
 「(副詞的・形容詞的)修飾語句」:「状況補語」「修飾語」…仏文法で「修飾語」と
言うと、形容詞句・形容詞節だけを指す。
 「過去進行形」「現在完了形」:「半過去」「複合過去」…これが西語になると、「線
過去」「点過去」! 古典語のように「完了」「未完了」の対の方が解りやすい。
 「過去完了」「未来完了」:「大過去」「前未来」
 用語なし:「過去未来」「過去前未来」…英語での would+原形, would+have+p.p.
のこと。もう、何が何だか。
 「不定詞」「仮定法」:「不定法」「条件法・接続法」…不定詞は「法」なのだろうか。
英文法の「仮定法」の概念に当たるのが仏文法の「条件法」で、原語が同系(subjunc-
tive : subjonctif)なのが「接続法」。独文法では「条件法」とは言わず、「接続法」
の1式と2式と言う。ああ、もう! 元々は、従属節、即ち、従属接続詞に導かれる
節で使われる動詞の活用形なんだから、独文法どおり、「接続法」一点張りで良いぢゃ
ん!
 昔は(今も?)学習者・研究者同士の交流が無く、それぞれの言語での文化的背景や
内包の異なりが在りますので、容易には統一できないのでしょうね。

■Je suis と chuis
 片仮名だと判りにくいのですが、標準的には「スュヰ」と[s]で発音されるべき音が、
「シュヰ」と口蓋化して[∫]で発音された、ということでしょうか?
 手許の辞書には記載されていませんが、どうも俗語と言うか会話語で、je suis を
意味する発音・綴りとして、普通に使われているような気がするのですが。
 検索しても、その前段階の j’chuis という表記や単独で Chuis という表記がモノ
スゴイ数で引っ掛かってきます(j’chuis→359件、chuis→約24千件)。
 語学講座としては、そういう非公式的な形(英語ならdunno/gal/gonna/gotta/ya の
ような形)は、やはり詳しくは教えないでしょう。使用レヴェルが違うわけですから、
「そういう発音をしても良いのだ」と初学者に誤解されると、まづいわけです。



res: ハネガヤ属 Stipa(上)

Maniac C. (2003/08/07 12:52)

> Stipa ハネガヤ属。ですね。メルシィ僕。
→De rien.
>こちらの辞書等で調べますと stipa, sti:pa と i の長短がはっきりしないんですが、どっちでしょう?
→どちらの辞書でしょう? 残念ながら手許に羅語辞典が無いので、確実なことは
申せませんが、以下のような理由で、短音だと推定します。(近日中に調べてきます。)
理由1 英語語源辞典には長音符号が付いていない。
理由2 原語である希臘語στυ´ππηが短母音である。
   (形容詞στυ¯πτικο´sと、その元の動詞στυ¯´φεινは長音です)
理由3 派生語 styptic(英語)の発音が「スティプティク」と短母音であり、「スタ
   イプティク」のような、長母音を反映したものになっていない。
   ※但し、英 pyramid<仏 pyramide<羅 py¯ramidem<希 πυ¯ραμι´sの
    ように、仏語を経由してしまうと長短の区別は無視されてしまうので、これ
    は確度が低くなります。何しろこの英単語は、古仏語由来なのか、羅語から
    直接借入したのか、未詳らしいですから。

■「関係形容詞」
 なるほど。ロシア語学の用語でしたか。英文法の「関係形容詞」の原語は relative
adjective ですが、ロシア語学の「関係形容詞」は、原語では何と言うのですか?

■格の名前
 英独仏と大きく違うのは「生格」「造格」「前置格」ですよね。
 「属格」という日本語は、英語や独語で基本と思われた「所属」の用法に曳かれた
訳語だと思います。本来は「所属」というより「部分」を表す格であって、名詞を
修飾する機能以外に、単独で動詞の目的語になったり、副詞的に時間を表したりする
機能も有るのですから、本来の機能を十全に反映した訳語ではありません。原語の
genitive/Genitiv は、希語 γε´νοs「生まれ、類、族」の誤訳ですから、ロシ
ア語学の「生格」の方が、(「生」という字が多義であるという恨みは有りますが)
語源を正しく反映した訳語と言うことが出来ます。
 「造格」が何故こういう訳語になったかは、普通の人には解らないでしょう。何せ
原語は梵語に在るのですから。所謂「具格」の原語 instrumental は、羅語 instruere
(to build [in]=構築する)に由来しますが; ま、これだけでも「造る」と結び付けら
れないことは有りませんね。「構築するもの→道具・手段」という意味変化で; 「具格」
という意味は、梵語文法の karan.a(道具・手段)という語の訳語として、1806年に登場
したのだそうです。この単語、karma(すること→行い→宿業)やSanskrit(sam=合わせ
て+ kr。ta- =作られた→洗練された)と関係の有る単語で、kr。- は、英語の to
make(作る、する)に当たる語なのです。で、「造格」と。これまた語源に忠実な訳語と
言えるでしょう。でも、学習者にとっては名前から用法が想像しにくい、悪訳だと
思います。
 「前置格」は逆に名前どおりで、非常に解りやすい; 前置詞に支配される格、と
いうことですよね。起源的には処格(何故「所格」ではないのかは不明…「処」と「所」
の違いは、常用漢字表に有るか無いか以外に、何か意味的に有るのか知らん?)に由来
するのですが、ゲルマン語ではこの格は与格に統合されています。露語でвとнаは
対格と前置格の使い分けが在りますが、独語にも同様に、対格(運動方向)と与格(静止
位置)の使い分けが在るのは、ご承知の通りです。



韻目と韻母は1対1ではない

偽中国人 (2003/08/07 00:05)

>たとえば「陽・唐」は押韻の上からはひとつにまとめられていますが, 当時
の人が iang と ang を音として区別しなかったとは思えません。

massangeanaさんがおっしゃるのは「陽・唐」は文語系韻書《廣韻》体系(切韻は完本が現存しない)では介音「i」の有無で韻目を異にするが、後世(平水韻106韻体系など)に至って「ひとつにまとめられています」ということだと思います。

ところが「東董送韻」に属し普通話では介音「i」を失った次の漢字も、日本漢字音で介音「i」の存在を暗示しているし、今日伝わる福建の文言音=孔子曰では介音「i」が現に存在します。王力の《漢語史稿》1982年本の中でも介音「i」があると推定しています。

中 チウ zhong tiong
衷 チウ zhong thiong
宮 キウ gong kiong
戎 ジウ rong jiong
終 シウ zhong ciong
(thはtの有気音でシンガポールの天福宮Thian Hock Keng Templeが旅行ガイドブックなどで「シ」アン・ホッケン寺院となっているのは誤り)
http://nna.asia.ne.jp.edgesuite.net/free/mujin/copi/copi43.html
http://www001.upp.so-net.ne.jp/bois_profond/etc/kikaku/sin/0821_2.html
http://www.asahi-net.or.jp/~ut5m-ok/travel/xingma96/june18-3.html

それにも拘わらず、《廣韻》では介音の無い平声「東」や去声「送」と同じ韻目に属しています。
massangeanaさん流に言えば、当時の人が iong と ong を音として区別しなかったとは思えません。

一方で「冬韻(孔子曰tong)」は介音無し、「鍾韻(孔子曰ciong)」は介音有りで別の韻目に区別されています。

因みに鍾韻「封」は《廣韻》によると府容切。府の孔子曰はhu、容はiongですからhiongとなるはずですが、辞典によるとhongです。

福建の文言音にhiongという音節が無いわけではなく、凶(許容切)、享(許庚切)、向(許亮切)がhiongとなっています。介音「i」をどう扱うかによってhongとhiongの差が出来たのでしょう。《切韻》193韻と《廣韻》206韻の差もここから生じたものです。

日本の尻取りでも拗音で終わった場合、同じ拗音で始まる言葉で続けるか、最後の母音で始まる言葉で続けるか意見の分かれるところです。

「陽・唐」については王力《漢語史稿》1982年本で推定した「陽」の韻腹(主母音)は口の前の方で響かせる「アa」で、「唐」の韻腹(主母音)は奥の方で響かせる「ア」であるとしています。ところが《全訳漢字海》に掲載の王力85年モデルで「陽・唐」共に韻腹は同じだとしています。

つまり《廣韻》の分類は首尾一貫していないことになります。当時の人が iong と ong を音として区別したかどうかとは関係ないようです。

どこの国でも不合理だが守らなければいけない法律があるものです。

廣韻(切韻)の「韻目」と「韻母」とは1対1の関係ではなく1対N(ただしNは1,2,3...)の関係なのです。



个个のたけかんむり

にれのや (2003/08/06 01:41)

■massangeana さん。Xiexie。
不思議なたけかんむりですね。象形文字の段階に近いですよね。他にも、この手の 「中日間の、手書き文字の字体の相違」 を、何かごぞんじですか?



Re: 中国の繁体字について

massangeana (2003/08/05 13:17)

>「骨」
手書きでは日本でいま普通に見るもの, それと左右が逆の中国式, 中に「人」を
かくものその他いろいろあったようです。中国で日本と逆のものを選んだのは,
おそらくその方が画数が少なくなるからだと思います。

>「底」
とくに資料を持っていませんが, 中国で「言・音・帝・戸」などがすべて点に
なっていることから見て, 字形を統一しようとしたのだと思います。
(日本で「言」の 1画めが横棒なのに「音・帝」が縦棒なのはやや不合理だと
思います)

>「たけかんむり」 を 「个个」
これは非常によく目にします。



Re: 有気無気について

massangeana (2003/08/05 13:00)

>なぜ中古音の濁音は普通話2声では有気音になり、3、4声で無気音になるのですか?

これはなかなか難しい問題です。全濁の字のうち, 官話系統で陽平になったも
のには, 平声に由来するもの以外に入声由来のものもありますが, こちらは原
則として無気音になっており, なぜこの違いが生じたのかとか, ややこしい問
題があります。現在忙しいので少々お待ちを(またはほかの方...)。



NHK語学講座

ロスケ (2003/08/05 03:01)

NHK2ラジオ月曜日午前11時半からのアラビア語講座を録音して聞いています。
ここだけの話ですが(爆)、日本人講師のアラビア語はなんかカタカナを読んでいるように聞こえますね。
NHKテレビ・ラジオの語学講座は、「英語」講師の発音さえ”??”の連続です。タダだから仕方ない?



ハネガヤ属 Stipa

にれのや (2003/08/05 01:57)

■Maniac.C 氏。
Stipa ハネガヤ属。ですね。メルシィ僕。
で、この Stipa なんですが、こちらの辞書等で調べますと stipa, sti:pa と i の長短がはっきりしないんですが、どっちでしょう?
■「関係形容詞」 というのは、ロシア語学の用語ですね。ロシア語では、「性質形容詞」 と 「関係形容詞」 が同一の単語であることが多いので、かように分類するんでしょう。ロシア語学者というのは、日本では伝統的に独特の位置にあるような気がします。なにか、英独仏をハスに見て 「ケッ」 という感じ。語学用語も独特で、アクセントは最近は使うようになりましたが、20年くらい前は、「力点(りきてん)」 一本槍みたいなところがあったし、格の名前にしても、主格―生格―与格―対格―造格―前置格と、他の語学者には理解できないような名前であったりして。
■きょうのフランス語講座で、アルジェリア出身のふつうの人のインタビューがあって、その人は、Je suis ... を [je chui ...] ジュ・シュイと発音していました。フランス人の先生は、こういう発音もあるんです、と一言言っただけで、話題を変えてしまいました。文法の勉強なんかより、「ジュ・シュイ」 の話のほうがゼッタイ面白いと思うんですが。



Re:活字と略字

鴛鴦 (2003/08/04 18:45)

>顕正居士さん
流通の度合いで決めていたということですね。
手写(書?)字体との差を縮小することとは。うむ、勉強になりました。
以前の書き込みでも「独」とか「仏」は前からあるとありましたからね。



活字と略字2

顕正居士 (2003/08/04 17:22)

『「濁」を「虫」』は『「蜀」を「虫」』の誤りです。

近代活字が上海美華書館の電胎母型に源流することは
「中、日近代活版鉛字之發展」及「⇒明朝體發展表」
http://www.arphic.com.tw/type/font_qa0205.htm
本木昌造の伝は
「日本のグーテンベルク - 本木昌造」・紀田順一郎
http://www.honco.net/japanese/01/page1-j.html
に概観があります。

今日では活字も手写字も電子字に統一される趨勢にあります。電子文档は
無数に製作されている任意の字型で読むことができる。簡体字、繁体字を
轉碼することもできる。横のものを縦にもできる。したがって漢字簡化に係わる
諸問題の多くは様相を異にしてあらわれる。たとえば、どこまでが字画の
違いで、どこからがデザインの違いかは無意義であり、電子字にはコードと
デザインしかないといえる。しかし電子漢字字典には何画の字という観念も
必要であります。



活字と略字

顕正居士 (2003/08/04 13:59)

西洋式の鉛の活字をわが国ではじめて製造したのは本木昌造(1824-75)である。
長崎製鉄所頭取の職にあった本木は明治2年に長崎活版伝習所を開き、美華書館
(American Presbyterian Mission Press)のWilliam Gamble(1830-86)を招致し、電胎法
による鉛活字の製法を伝授させた。本木が興した活版所はのちに東京へ進出し、
築地活版製造所と称した。その築地明朝と秀英舎(現・大日本印刷)の秀英明朝が
印刷業界の2大標準になった。しかし活字は漢字の一部分である。

漢字の簡化とは活字の簡化である。明朝とは読字のための装飾的な字体であり、
手写きは楷書や草書である。したがって漢字の簡化とは活字に楷書や草書の字体
を輸入し、手写字体との差を縮小することである。「独」、「仏」などの字体は手写き
では常に行なわれており、誰かが考案したものではない。だから当用漢字表で「濁」、「沸」を同様に簡化しない理由はそれらの流通の程度を勘案した結果なのであろうと
いちおう想像されます。中国の簡体字では「濁」は同様に簡化し、「沸」は簡化しない。
「卒」は「卆」とも写かれるが、「濁」を「虫」、「或」を「玉」とは写かれない。偏旁を簡化
する原理が先にあり、それから実例がない字までを造る、という考えはないとおもう。



おあとがよろしいようで

にれのや (2003/08/04 01:35)

■ふむ、さすがに maniac ですねえ。
現役の噺家でも 「おあとがよろしいようで」 の意味を知らないやからが多いので。
林家三平(はやしや・さんぺい)師は、「おあと、したくがよろしいようで」 と言っていました。
■(K)nit さん。どういたしまして。
これはあくまでも仮説です。言語というのは、どういうわけか、「現実のほうが論理的でない」 ことも多いですよね。Maniac.C さんの言うように、もともとの語順がどうであったかを考えると、案外、Dzien{+´} dobry が本来の語順であったかもしれないです。あるいは、ポーランド語のアクセントの位置が自由であったころに起こった現象であったとすれば、また、別の解釈ができるかもしれません。



漢字廃止?

鴛鴦 (2003/08/03 18:59)

ちょっとこんなページ見つけました。(下のリンクです)

昔あった漢字廃止論や常用漢字のおかしなところなどを紹介しています。
このページを見て、ベトナムにも漢字があったことを知り驚きです。

>「外交官で教育家の森有礼(ありのり)は、英語化せよと唱えていたし、志賀直哉はフランス語にしようと言っていた」
これは漢字どころか日本語廃止の動きですね。英語はまだよしとしても、フランス語は・・・(^^;)
韓国では以前、漢字の普及に乗り出した時期があったが、ハングルの保護・存続をしているグループの反発に会い、断念したということを聞いたことがあります。(今また漢字の普及の熱が上がっているとも聞いたことがあります)

>「『海』は元々は『母』だが、『母』はそのまま」
まぁこれは、「毋」にしてしまうと「なかれ」という禁止になってしまいますから、「母」は「母」のままにしたのでしょう。
戦後、今の常用漢字を決めるとき、「『佛→仏、拂→払』だが『沸』はそのまま」という分別(というか線引きや基準)はなんだったのでしょうか?

「本来は、ツキヘンは横棒が両方縦線につくが、ニクヅキは左側だけつく」というのも驚きです。

かなりの乱文および散文失礼しました。
ところところに出てきた疑問(またはこの書き込みに対する感想というかなんというか)、もしよろしければお答えをお願い致します。

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4373/vol_089_01.htm



有気無気について

辻本裕幸 (2003/08/03 13:51)

なぜ中古音の濁音は普通話2声では有気音になり、3、4声で無気音になるのですか?



Re:オコゼ

らにい (2003/08/03 09:24)

>Maniac C.さん
「"勝"という字の『力』が『魚』になったような字」はスズキ目の魚ですか。なるほど。
オコゼだと{魚由}のほうなんですね。
ありがとうございます。



re にれのや師匠3題

Maniac C. (2003/08/03 08:10)

■懐かしし
>だいたいが町人の出で、学問のある者が噺家になるようになったのは、戦後のことですから。文語がきちんと使える噺家なんぞ、おそらく、いなかっただろうと思います。
→確かに「きちんと」は使えなかったでしょうが、当時の町人は、現代人に比べればかなり
の素養が有ったはずで、さもなくば、「千早振る」の噺は、聞いている方も笑えないで
しょう。
>「お後がよろしいようで」 というのは、どういう意味だか、ごぞんじですか?
→存じてますよ。「お後の用意が宜しいようで」の意味ですよね。

■ポーランド語
面白いですねぇ。
>ポーランド語では、形容詞は名詞の前にも後ろにも置きうる環境があるということ
◆ご存じでしょうが、英語もそうです。
有名どころでは、something に代表される「複合不定代名詞(-thing, -body, -one)
は形容詞が後置される」というものですが: これは単純に、英語では「限定度の高い
形容詞ほど名詞に近接して置かれる」という規則が在り; 本来なら、any/every/no/
some+形容詞+名詞という語順になるべきなのが、限定度の低い形容詞と複合した
ために、より限定度の高い形容詞に前置されるとこの規則に抵触してしまうので、
後置されるのです。
 他に、強意用法として、‘every means imaginable’‘the latest information
available’などの言い方や、叙述的な‘a baby asleep’‘all the people present’、
慣用的な‘Elizabeth the Second’‘on Monday next’‘for ten years past’などが
在り; 副詞でも、時や場所を表すものと強調的な alone, else, enough は後置されます。
◆又、仏語でも、同様です。仏語では普通、後置されますが、同一の形容詞でも、
1a) un somber dimanche(憂鬱な日曜日)
1b) le ciel somber (暗い空)
2a) un pauvre garçon(哀れな少年)
2b) un garçon pauvre (貧しい少年)
3a) un grand homme(偉人)
3b) un homme grand (大男)
と、両方可能な場合が在り、仏語では、前置→感情的・主観的、後置→論理的・客観的、
と説明されます。
◆これは羅語・希語等の古典語でも同様で、一般規則では形質形容詞と所有属格と
副詞は被修飾語に先行し、「区別・類別」の意味機能を持つ形容詞(これが師匠の仰る
「関係形容詞」――英文法で「関係形容詞」と言うと、“I gave him what little
money I had.”といった文での‘what’などを指してしまいます)は後置される、と
なっています。
◆更に、印欧祖語まで遡ると、文中の語順はアクセントの有るものは前に、無いものは
後に、という規則が在ります。
◆とすると、遥か昔から、強―弱―強の語順は避けられ、弱―強―弱の語順が好まれて
いて、それが現代ポーランド語まで、脈々と受け継がれていることになります。

■「ステップ」の語源
Большое спасибо!
>Stipa の和名は何属というのか?
→和名では、イネ科・ハネガヤ属のようです。中文名は「針茅」、英名はfeather grass,
needlegrass, porcupine grass になるようです。
◆学名 Stipa は、北隆館発行の『原色園芸植物大圖鑑』に拠りますと,「ギリシャ語
stype(麻屑,麻色の頭髪)より。基準種の羽毛状の芒がアマ色をしていたことによる。」
<ママ>と有るようです。
◆これは、英語の stop や、梵語の卒塔婆と同根の語で、原義は‘tow(麻屑、粗麻糸),
tuft of hair(毛の一総)’と有ります。英語の to stop は‘to stop up with tow(傷に
包帯をして止血する)’に由来します。これなら、希臘語の原綴りがστυ´ππηです
から、-pe が付くことも、宜(うべ)なるかな、という感じです。
◆つまり、希 styppe¯>古烏 *stjpj>露 stjepj>欧 steppe という変遷なわけですね。
得心が行きました。



ポーランド語の「おはよう」

(K)nit (2003/08/03 06:44)

にれのやさん
ご説明ありがとうございました。
これまでこの質問に真面目に答えて下さった(出来た)方はありませんでした。にれのやさんが最初で最後の方だと思います。本当にありがとうございました。



степь 「ステップ」 の語源

にれのや (2003/08/03 04:44)

【степьの語源】
■Maniac.C さま。サルマチアの件はすぱしばです。先に紹介した Черных (チェルヌィーフ) の語源辞典で степь [ス'チェ-ピ] を調べてみました。
 ロシア語 степь (stjepj) は、ウクライナ語から借用されたもので、ウクライナ語の語源は不明である、と記しています。他のスラヴ語、西欧語には、18世紀ごろにロシア語から伝播したとのこと。西欧語で多く steppe と綴られる理由については言及なし。
 現代ウクライナ語では степ [ス'テ-プ]。古ウクライナ語形は *стьпь [スティピ] と推定しています。ьは 「すぐに脱落するような弱い i 」 と推定されています。チェルヌィーフは、語源は不明としながらも、「ステップ」 を一面に覆う特徴的な植物 ковыль [カ'ヴィ-り] 「ハネガヤ」 のラテン語名 Stipa と стьпь (stipi) の類似に触れています。Stipa は、ステップの植物 「ハネガヤ」 の仲間の学名の属名 (Stipa) に採用されているようです。Stipa の和名は何属というのか?
■以上が степь の語源についてです。



ポーランド語の Dzien{+´} dobry が倒置されるわけ

にれのや (2003/08/03 04:39)

【Dzien{+´} dobry! が倒置されるわけは?】
■理由を説明しているものは見当たりませんが、以下の説明で論理は通ると思います。
■【ポイント1: ポーランド語では形容詞は名詞の前または後ろに置かれる】
ただし、どちらでもよいということではなく、
     性質形容詞 → 前置
     関係形容詞 → 後置
ということです。性質形容詞とは、「長い」、「赤い」 など、対象の性質を表すもの。関係形容詞とは、「ポーランドの」、「国内の」 など、対象の所属・種類などを表すもの。たとえば、英語で
     a silver moon 銀色の月/性質形容詞
     a silver spoon 銀のスプーン/関係形容詞
のような例があります。ただ、英語では、golden―gold, childish―child (子供の), hearty―heart (心臓の) のように語形を変えるものが多いようです。ロシア語では
     железная воля [じぇ'りぇーズナヤ 'ヴォーりゃ] 堅固な意志/性質形容詞
     железная дорога [じぇ'りぇーズナヤ ダ'ローガ] 鉄道/関係形容詞
のように、文脈に頼って解釈する例が多くなります。ポーランド語は同じスラヴ語でありながら、形容詞を前後に振り分けることでこの問題を解決するようになったようです。
     komiczny aktor こっけいな役者/性質形容詞
     aktor komiczny 喜劇役者/関係形容詞
とはいえ、ポーランド語では、形容詞は名詞の前にも後ろにも置きうる環境があるということです。
 ロシア語では、こうはいきません。
     хорошая погода [は'ローしゃヤ パ'ゴーダ] よい天気/形容詞+名詞
     погода хорошая [パ'ゴーダ は'ローしゃヤ] 天気がよい/主語+述語
つまり、形容詞を後置すると文章になってしまうのです。同じスラヴ語でありながら、これはなぜかというと、ロシア語は 「現在時制の繋辞―つまり、be 動詞―を欠いている」 からなのです。たとえば、ロシア語で 「彼 学生」 と単語を並べると、「彼は学生です」 の意味になります。ポーランド語には、be 動詞に当たる byc{+´} があり、jestem, jestes{+´}, jest... という現在人称変化も持っています。そういうわけで、ポーランド語では、ロシア語ではありえない形容詞の前置・後置が可能なのです。
■【ポイント2: ポーランド語ではアクセントは最後から2番目の音節に固定されている】
ロシア語など東スラヴ語では、アクセントは変化語尾も含めたすべての音節に落ちえます。しかし、ポーランド語では最後から2番目の音節に固定されています。
■【ポイント3: なぜ、ポーランド語の 「おやすみ」 は、Dobranoc! と 「一語に綴る」 のか?】
ここから考えてゆきます。もし、2語に分けて綴ると何がちがうでしょうか?
     (1) Dobra noc! [ 'ド-ブラ 'ノッツ] 強―弱―強
     (2) Dobranoc! [ドブ 'ラ-ノツ]   弱―強―弱
本来は(1)のはずです。しかし、これだとアクセントを2回置かなければならない。あいさつとしては、(2)のほうがラクです。つまり、発音をラクにするためにアクセントを -bra- に移動させてしまった。それでは、綴字法に抵触するので、Dobranoc と一語にしてしまった、と考えられます。
     Dobry dzien{+´} [ 'ド-ブルィ 'ヂェ-ニ] 強―弱―強
も、その伝でいってもよかった。でも、「n{+´} と d を続けて発音し、最後を開音節に」 したほうが発音が容易だった。
     Dobrydzien{+´} [ドブ 'ルィ-ヂェニ] 弱―強―弱
     Dzien{+´} dobry [ヂェン 'ド-ブルィ] 弱―強―弱
どちらが発音しやすいですか?
 ためしに、「おやすみ」 のほうを倒置にしてみると Noc dobra! となり、[ts-d] というはなはだ面白くない子音連続が生まれてしまいます。実際には、c は有声化して、
     Noc dobra! [ノヅ 'ド-ブラ] /nodz'do・bra/
という煩わしい音になります。
 「こんばんは」 Dobry wieczo{+´}r [ 'ド-ブルィ 'ヴィェちゅル] では、工夫のしようがなかった、ということでしょう。
■以上が、Dzien{+´} dobry! が倒置される理由の推定です。いかがでしょう。



Re: 切韻は人造モデル

massangeana (2003/08/03 04:06)

偽中国人さん:
>切韻は、儒者たちが古典を朗読するために作成した規範的な便覧に過ぎない
は, そのとおりでしょうが
>切韻は当時の中国語の音価を反映したものではない
とは必ずしもいえないのではないかと思います。

>声母f...「廣韻」にはそれが反映されていない
反映されています。各巻の終わりにある「新添類隔更音和切」がそうです。
「廣韻」は基本的に切韻系韻書を整理したものなので, 本文の韻分けや反切は
変えられなかったのです(忌諱などを除く)。そこで巻のはじめに韻の同用を
しるして実質的に後世の詩韻とほぼ同様に韻をわけ, 巻のおわりに当時の言葉
ではあわなくなってしまった反切をなおしたものを入れました。たとえば「卑」
は本文では「府移切」ですが, 巻末では「必移切」になっています。
また, 同じ11世紀の韻書でも, 切韻を編集したものでない集韻では軽唇音がはっ
きりわかれています。

>fを声母とする双声の言葉を用いて対句を作れ
切韻には反切が書いてあるだけで, どの字の子音が同じかは, 切韻からは明らかでは
ありません。すべての反切をくらべてみればあるていどわかりますが, そのような作業
は清朝になるまで行われませんでした。

>『切韻』の分類(206韻)はあまりにも細かかった
細かいことですが, 206韻は「廣韻」です。原本「切韻」は 193韻だったと考えられて
います。

>唐代にはすでに『切韻』の音韻体系を厳密に守ることは当時の受験者にとっては
>外国語に近い感覚であった
「唐代」といっても長いですが, そういうの細かすぎる区別もあると思います(脂と之
など)。ただし互いに押韻したということからとして音として区別がなかったとは必ずしも
いえません。たとえば「陽・唐」は押韻の上からはひとつにまとめられていますが, 当時
の人が iang と ang を音として区別しなかったとは思えません。

>王維 雑詩
古体詩ですね。「事」は詩韻で四ゥ, 「未」は五未なので, 科挙では失格でしょう :-)
当時の詩人が科挙のとりきめに必ずしも従っていなかったよい例になると思います。
(なお北京語で「事・未」の韻が異なるのはそれとは全然関係ない理由によります)



懐かしし

にれのや (2003/08/03 03:31)

■Maniac.C どの。
なるほど、文語の誤用ですか。落語の速記を精細に調べたら、おそらく、誤用だらけでしょうね。だいたいが町人の出で、学問のある者が噺家になるようになったのは、戦後のことですから。文語がきちんと使える噺家なんぞ、おそらく、いなかっただろうと思います。ただ、芝居・義太夫・長唄・端唄・小唄・謡曲・講釈などの素養は、たいてい、あったので、門前の小僧並みの文語は使えたろうと思います。
 例の『笠碁』のおしまいの都々逸は、「ヘボ碁の定敵(じょうがたき)どうしは、一目二目のことですぐに喧嘩をするが、他に打てる相手もいないので、しばらくうちには、喧嘩していたことも忘れて、またいっしょに打ちたくなる」 という意味だと思います。
 ところで、「お後がよろしいようで」 というのは、どういう意味だか、ごぞんじですか? みなさんは、ごぞんじ?
■U+3002 さん。Xiexie です。
「ああ、なるほどぉ」 と思いました。「繁体字」 は、何か典拠があったのではなく、「繁体字」 それ自体が、「典拠」 を意図したものなのだ……と。これなら腑に落ちます。あとは、「繁体字」 に、なぜ、その字体を採用したか、という問題を追及すればよい、と、こうなりますね。



Re: 中国の繁体字について

U+3002 (2003/08/02 14:35)

大昔に読んだ、(今手元にない) 文献がソースで、記憶があいまいです。
↓ 話半分に読んでください(汗)



Re: 中国の繁体字について

U+3002 (2003/08/02 14:32)

にれのやさん
> 日本の正字と『康煕字典』については、わかりましたが、中国の繁体字の『簡化字総表』に採用された 「繁体字」 の典拠はいずこにあるや、ごぞんじでしょうか? 漢字の本場のこととて、その当時、漢字の字体はさまざまであったと想像するのですが。

まず、『繁体字』=『旧字体の中国版』とみなされることが多いですが、あまり正確ではありません。
中国では、繁体字もまた新字体です。
漢字略化により、従来に替わる字体として、2つの新しい字体『簡体字』と『繁体字』が制定されました。
たしか、(簡体字を制定した)漢字簡化方案のような、『繁体字を制定した法令』があったはずです。
(それ以前は『繁体字』という言葉もありませんでした)

簡体字の大幅な改変に対し、繁体字は原則として、異字体の整理に留まっていました。
その「整理」のしかたには、(日本や台湾での、印刷業界による主的な整理と異なり) 次のような特徴があります:
・画数を減らす
・楷書体の重視
・実情を考慮しない (笑)

中国以外ではあまり見かけない『骨』『底』などは、おそらく、古い楷書の文献にそういう字体があったのではないでしょうか。



Re: 台湾語

U+3002 (2003/08/02 14:10)

U+3002
>ただし、台湾語にはjo’[zo]があるようです。

まず訂正します。jo’[dzo]の間違いでした。

zo-さん
>これって、実際にはどの音のことなんでしょう?

おっしゃるとおり、教会ローマ字のjo·です。

>音節としてはjo’みないな感じの発音はないような気がする

そうかもしれません。手元に台湾語の音節表はなく、声母jと韻母o·の存在しか確認しなかったもので。
(ないとすると、(jの音価にかかわらず)「ゾはない」ということになりますね)

>日本語の「ぞ」が舌の先の部分全体が上顎に押し付けられているのに大して、台湾語のjoahは舌の先ではない部分がやや触れるくらい(日本語の「シ」という時に似ています)で、聞いた感じでは(私の主観ですが)、日本語の「ぞ」とはかなり違った音色です。

よく調べると、台湾語jの発音は[dz/dʑ](有声歯茎破擦音/有声歯茎硬口蓋破擦音)とありました。
http://libro.do-bunkyodai.ac.jp/ronshu/Ronsyu_No2/Bunkyoudai_Ronsyu_No2/08Noma.pdf

後者[dʑ](有声歯茎硬口蓋破擦音)は、日本語ジの子音(語頭)と同じです。
北京語j[tɕ]は、これの無声音です。
(日本語ジの子音を英語jと同じ[dʒ](有声硬口蓋歯茎破擦音)で表すことがありますが、正確ではありません)

教会ローマ字で(zが未使用にもかかわらず)jを使うのは、[dʑ](有声歯茎硬口蓋破擦音)のほうの発音反映していると思われます。
上記資料で[dz]が先に書かれている(にもかかわらず一般的ではない?)ということは、旧い発音かもしれません。

>日本語の「シ」という時に似ています

とのことですが、むしろ「ジ」に似ているのではないでしょうか。
シの子音は[ɕ](無声歯茎硬口蓋摩擦音)で、[dʑ](有声歯茎硬口蓋破擦音)とは
・有声音ではなく無声音
・破擦音ではなく摩擦音 (舌が上顎に完全に接触することがない)
という違いがあります。

>台湾で日本語を勉強している人でも「ぞ」はやや難しいらしく、初級者は「どうぞ」と「どうろ」がうまく区別できない場合もあります。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/7061/taigu/taigu2.htmlによると:
>jは英語のzに似てるらしい(最近はほとんど「l」へと変化しているとのこと。)
>「j」は最近はよく「l」になるらしい。例:joah8(熱)→loah8

これと関係しているのかもしれません。



切韻は人造モデル

偽中国人 (2003/08/02 08:06)

「『切韻』の漢字音は中国語ではない」はちょっと刺激的過ぎましたか。

さらにもうひとつ極論をご紹介します。
「日本書紀は唐(中国)が作成した」より
http://www.asahi-net.or.jp/%7ECY1N-STU/kodaishi/shoki.html
「切韻は当時の中国語の音価を反映したものではない。六〇一年に成立した切韻は、儒者たちが古典を朗読するために作成した規範的な便覧に過ぎない。」

8世紀初頭にはそれまで存在しなかった声母fが発生しましたが、宋代に出版された切韻の増補改訂版「廣韻」にはそれが反映されていない、ということは、自然言語である当時の中国語ではなく、古典を読むための「読書音」、またの名を「孔子曰」とよばれる人工言語の発音字典であると言えます。

もし「廣韻」が当時の実態を反映したとしたら、現在に至るまで子音fを持たない福建語話者にとっては科挙の試験に「fを声母とする双声の言葉を用いて対句を作れ」などという課題が出ると圧倒的に不利となったでしょう。

「唐代には科挙の試験に韻文を課したので、その押韻に基準には『切韻』が用いられた。しかし『切韻』の分類(206韻)はあまりにも細かかったために若干の似た韻の間に通用(同用)が認められ実質は117韻となった。」(改定新版 漢字源 学研2002年)

このことは唐代にはすでに『切韻』の音韻体系を厳密に守ることは当時の受験者にとっては外国語に近い感覚であったことを物語っています。5母音しかない日本語の仮名文字で音韻体系の異なる英語の発音を書き表わすのと似たところがあります。

王維 雑詩
君自故郷來, 應知故郷事。福建su/香港si
來日綺窗前, 寒梅著花未。福建bi/香港mei
この詩の韻は普通話で発音すると(事shi、未wei)の様に厳密には母音が異なりますが科挙では同用の規定により合格です。



Re^2:サルミシヤ

松茸 (2003/08/02 03:24)

 すいません。「ペニョフスキ」ではなく「ベニョフスキ」(Beniowski)です。m(_ _)m
 伝記については、例えばここをご覧下さい:
http://www.amphilsoc.org/library/exhibits/benyowsky/intro.htm

……種村季弘氏が取り上げそうな怪人物[既に書いてたりして(^^;]ですが、日露関係史のキーパーソンの一人ではあります:
http://www.lib.hokudai.ac.jp/collection/makuake/koen.html



RE: メチャクチャ

ロスケ (2003/08/02 02:50)

duo1xie4!>未菜実さん Maniac C.さん

気軽に質問したのですが、それほど歴史のある言葉だとは知りませんでした。
去年テレビでエンタツアチャコが「もうムチャクチャでござります・・・」と言っているのを聞いて、東京ではメチャクチャというなあ・・・と思ったのがきっかけです。まさか、江戸時代からある言葉だとは!・・・友人で「メッサ」という奴もいます。



re オコゼ

Maniac C. (2003/08/02 02:43)

>らにいさん&高駒麗人Komaさん
■『笠碁(かさご)』で思い出したのですが、7/17, 03:25:18 の投稿で
>>ちなみに中国ではこの漢字は(オコゼという意味のみならず)使っているのでしょうか?
>オコゼ(stonefish)は「石頭魚」shitouyuですが、「"勝"という字の『力』が『魚』になったような字」はどうなのか、あとで調べます。
というのが有りましたが、この続きがまだ無いようですので、横から私が。尚、件の
漢字は一部の機械では表示されないようですので、初めから「T」で代用させたいと
思います。
■第1の質問: 中国でも「T」は使われているのか。
→使われています。ちゃんと検索に引っ掛かってきました。
 発音は、「謄」「騰」「藤」「籐」と同じ、トウteng2です。
■第2の質問: 中国でも「T」は、オコゼを指す字なのか。
→違うと考えた方が良いようです。「オコゼ」は大陸では「虎魚」で、台湾では{魚由}
の一種のようです。この字も一部の機械では表示されないようですので、以下「Y」 と表します。発音は多分、you2だと思いますが、そうすると「魷={魚尤}」(スルメ
イカ)と区別できないような…。日本では「はや・はえ」の訓が与えられているよう
です。
◆日本語で普通「オコゼ」と言えば「オニオコゼ」のことらしいですが、その「オニ
オコゼ」が属するカサゴ目の中で、「オコゼ」の付く科は、下記4科。「カサゴ目」は、
中国語では「Y目」です。
「オニオコゼ科」→「毒Y科」
「ハオコゼ科」→該当無し。「Y(フサカサゴ)科」に入れられている模様。
「イボオコゼ科」→「絨Y科」
「ダンゴオコゼ科」→「棘頬Y科」
と、全て「Y」になっています。
「オニオコゼ」は「日本Y」となっていました(「日本T」でも検索に引っ掛かって
きます)。英名は devil stinger のようです。
stonefish は、同じオニオコゼ科の(オニ)ダルマオコゼの英名、とするHPが多いです。
中国語では、まんま、「達摩毒Y」です。
◆一方、中国語で「T」と付くのは、いづれもスズキ目中の以下の分類名です。
「龍T亞目」→「ワニギス亜目」
「鱸T科」→「ホカケトラギス科」
「鬚T屬」→「タテガミカエルウオ属」
「後頷T科」(「後頷鱚科」も有り)→「アゴアマダイ科」
「T科」→「ミシマオコゼ科」
どうも、「オコゼ」は「オコゼ」でも、オニオコゼとは種どころか、属も科もその上の
目まで異なる、ミシマオコゼを指す漢字が「T」のようです。英名は stargazer です。



re 碁敵は…

Maniac C. (2003/08/02 02:42)

>にれのや師匠(7/29)
>小さん師が『笠碁(かさご)』の最後に、必ず、この川柳を言っていました。
>    「碁敵(ごがたき)は、憎さも憎し、懐かしし」
>最後は 「し」 ですが。
→ほほぉと思い、検索してみました。原典は何なのか存じませんが、引っ掛かって
くるのは「し」「き」「い」の3種類が在りました。「さ」は0件でした。
■五七五の音数に合わせるため、上のような差が出てくるわけですが、文法的には
 「い」→口語の終止形
 「き」→文語の連体形
 「し」→文語の誤用
 「さ」→形容詞語幹に付けて名詞を派生させる接尾辞
という違いが有ります。
■文語に関しては説明が必要でしょう。
■まづは「き」ですが、所謂「連体形終止法の詠嘆的用法」で、詠嘆の終助詞「よ」や
「ことよ」などの省略された表現です。現代語的に言えば、「懐かしいのだなあ」とか
になる言い方です。中の句が「憎し」と終止形なのですから、ここだけ連体形にするの
は、不調和です。「ごがたきは にくさもにくき なつかしき」とすると「き」の音が
並んでうるさくなるのを、中を「し」として避けたのかも知れませんが。
■次に「し」ですが、「なつかし」は、これが終止形で、「なつかしし」という活用形
は在りません。「河豚は食いたし命は惜しし」という川柳にも見られる現象ですが、
五七五の音数に合わせるためとも、連体形に基づく口語の「なつかしい」「おしい」と
いう語形から文語に変換する際の、過剰修正のためとも考えられます。
■口語形の「い」も、中の句が「憎し」と文語形なのですから、ここだけ口語形にするの
は、不調和です。「憎さも憎し」というのが、決まり文句として、口語の中でも固定化
されている、と考えれば文句の付けようは無いのですが。
■最後に「さ」ですが、「碁敵は、憎いことも憎い。懐かしいこと。」と考えると、
「懐かしさ」という句が意味上、浮いてしまいます。「憎さも憎き懐かしさ」とすれば、
「憎いことも憎いぐらいの懐かしさである。」という、「懐かしさ」を修飾する句と
なります。しかし、そうすると、「憎い」は軽く、「懐かしい」だけが重くなって
しまい、「碁敵」という言葉と不調和です。私が引用した『新明解国語辞典』には
ちゃんと解釈が載っていて、「憎いことも憎いが、一方において懐かしくもある」と有り
ます。このように、どちらも同じ比重で解釈するためには、この川柳は、「碁敵は、憎さも
憎し。懐かしさ(も、懐かし)。」と、対句を下略した表現であると考えるのが最適の
ようです。
■無論、この場合の「懐かし」は、Mariさんが質問なさった「昔のことが思い出されて
慕わしい」の方の意味ではなく、未菜実さんが回答なさった「側についていたい・離れ
がたい」の方の意味です(意味の記述は『岩波古語辞典』より)。
■いや、待てよ。対句の省略と考えるなら、「(懐かしさも)懐かし」と考えることだって
出来るはずです。「尻取り」という言葉遊びは在っても、「頭取り」という遊びは無いから、
マ、尻を取るのが常道と言うか、脳生理学的には自然なのですが(語頭からは単語を想起
しやすいが、語末からは想起しにくい)。川柳と申せば、諧謔の文学です。理に落ちちゃァ
詰まりません。敢えて「懐かしし」と余計な音を付け足すことによって、碁敵を憎いと
思いつつも待ち遠しく思うもどかしさを、表現しているのかも知れません。そう考える
ってぇと、「河豚は食いたし命は惜しし」にも、同工のもどかしさを感じますな。
■結局、遠い昔の川柳なので、「夜目、遠目、笠の内」と、本当はどれが美しいのか
わかりません。上の論考も雨漏りしているみたいです。どなたか私の頭から笠を取って
やってください。
■お後が宜しいようで。



インドりんご

にれのや (2003/08/02 01:33)

■日本では、ジョン・イングと印度リンゴについて書かれたページがたくさんあって、どうも、イングが、どのような形で、日本にリンゴをもたらしたかについては諸説があるようです。
 印度リンゴの 「インド」 についても、「インディアナ」 からという説と 「イング」 からという説があるようです。でも、「イング・リンゴ」 が、「印度リンゴ」 に……なりますかねえ。
 ついでに、Indiana の略称を調べましたが、Indy はあるようですが、Indo はないようですね。



インドりんご

にれのや (2003/08/02 01:22)

■きょうNHKの『ひらめき画伯』を見ていて、「インドりんご」 が、「インドのリンゴ」 ではなく、「インディアナ州のリンゴ」 である、ということを知りました。
■米国のメソジスト派の宣教師、ジョン・イング (John Ing, 1840 Liberty, Illinois―1920) が、青森県弘前市にあった東奥義塾(とうおうぎじゅく)で教鞭を取った際、授業の一環として教えていた農業の中に、リンゴの栽培があったとのこと。栽培したリンゴは、イングがインディアナ州から持ってきていたもので、(↓のサイトで種の写真が見られます) そのことから、「インドりんご」 と呼ばれるようになったらしいです。
 Yahoo! で、John Ing に関するページを1つだけ見つけました。↓です。
http://www.depauw.edu/library/archives/wt2001/alumni/ing2.htm



ポーランド語のジン・ドブリ

にれのや (2003/08/02 01:01)

■(K)nit さん、確かに不思議ですね。盲点に入ってました。
ロシア語では、
     Добрый день! Dobryj Djenj!
     ['ドーブルィ 'ヂェーニ]
で、
     День добрый!
と言うと、「今日という日は、(天気などが)すばらしいね」 というような意味になってしまいますね。調べられるだけ調べてみましょう。あまり期待しないでくらさい。ポーランド語の資料はあまりないので。
■なにやら、サルミシアやらサルマチアやら、いきなり北上してきましたね。あたしは、ずっと、何のことやらわからないでいたんですが…… どういうこと?
 かつてのドイツ東部からソ連邦西端国境 (含む、ポーランド、リトアニア、ベラルーシ、スロヴァキア東部、ハンガリー東部、ウクライナ、ルーマニア東部) のあたりは、時代とともに、右へ行ったり、左へ行ったり、国ができたり消えたりと、すさまじく国境が移動しています。現在のこのあたりの国境は、だいたい、本来の民族分布よりも、西へ移動しています。スターリンがやったことです。



中国の繁体字について 謝謝

にれのや (2003/08/02 00:41)

■massangeana さん。Xiexie。
なるほど、『真性活字中毒者読本』なる書を、さそくのことに購入して読んでみます。たぶん、この本、書店で何度も見かけています。手を伸ばさなかったのは、てっきり『本の雑誌』系の本と思い込んでいたからだと思われます。
 日本の正字と『康煕字典』については、わかりましたが、中国の繁体字の『簡化字総表』に採用された 「繁体字」 の典拠はいずこにあるや、ごぞんじでしょうか? 漢字の本場のこととて、その当時、漢字の字体はさまざまであったと想像するのですが。
 いつでも不思議に思うのは、「骨」、「底」 というような漢字の 「日本の字体とのきわめて奇妙な字体の相違」 なのであります。
 それと、以前、陳凱歌(チェン・カイコー)の映画『子供たちの王様』(現代は『孩子的王』だったか?) で、田舎の下放された先生が子供たちの前で黒板に字を書く場面で、「たけかんむり」 を 「个个」 のように書いていましたが、中国の手書き文字では、たけかんむりをこのように書くのでしょうか?



ポーランド語の「おはよう」

(K)nit (2003/08/01 20:56)

ポーランド語の「おはよう、こんにちは」(Dzien dobry)は、何故「日」+「良い」の順なのかご存知の方はお教えください。
ポーランド語の他の挨拶表現は、Dobry wieczorやDobranocのように、「良い」が先に来ており、またその他のスラブ諸語も例外なく「良い」+「日」の順だと思います。



re サルミシヤ

Maniac C. (2003/08/01 13:00)

>松茸さま
■〈近世ポーランドにおける「サルマティア」の観念〉(7/12)の情報提供、有難う
存じました。ものすごく遅くなりまして申し訳ございません。お詫び旁、御礼申し
上げます。
 夏休み前から仕事が忙しく、夏休みに入っても残ってしまい、ようやっと解放され
ましたので、暫く棚上げになっていたレスが書き込める程度に余裕も出てきました。
■『通航一覧』の作者名で、「イ」と読む{光韋}が文字化けの原因になってしまった
ので平仮名で投稿しましたが、その後、「あきら」と訓むことが判明しましたので、
作者名を「林い」→「林あきら」と訂正させていただきます。
■さて、「サルマティア」についてですが。
7/11時点で松茸さまより
>古典古代の民族名"sauromatai"に由来する"サルマティア"に相当する語ではないでしょうか?
と御教示いただき、早速、「サルミシヤ」=Sarmatia[sαrme´i∫i@]を英和大辞典で
引いてみました。
すると、下記のように有り:
 Sarmatia【← L Sarmatia < Sarmatae the Sarmatians ← Gk Σαρμα´ται
  ((原義)) tribe of the steppe】n. サルマチア((黒海の北部 Vistula 川と
  Volga川の中間地方の古名; 今のポーランドの一部とソ連邦西部の一部に当たる)).
 Sarmatian adj. 1 サルマチア(Sarmatia)の. 2 サルマチア人[語]の. 3 ((詩))ポー
  ランド人[語]の. n. 1 サルマチア人. 2 サルマチア語((イラン語と想定されている)).
  3 ((詩)) a ポーランド人. b ポーランド語.
まづは、日本語で気候区分を表す単語である「ステップ」が、これまで気にしたことも
無かったのですが、ロシヤ語степь(草原)に由来することを知りました。にれのや
師匠の方がお詳しいでしょうが、古露語では「低地」を表す言葉らしいです。英語の
-pe という一見無駄な綴りは、仏語由来かとも思ったのですが、英語語源辞典に依れば
ロシヤ語から直接入って来ているみたいなので、同音異義語となってしまう名詞 step
と混同しないようにするための綴りのようです。
■また、恥づかしながら東欧の情報には疎いものですから、「ロシヤ」の古名のはず
なのに、なぜ「ポーランド」が出て来るのか、不思議だったのです。それが、御紹介
いただいたHPの記述で氷解いたしました。
>サルマティア文化は17〜18世紀にポーランドで「シュラフタ」と呼ばれる貴族から広まった独特の文化です。
>古代の地名サルマティアをシュラフタの起源とし、貴族共和制のもとでの統治を正当化するものでした。
ということだったのですね。
 the Polish-Lithuanian Commonwealth という言葉から、英和大辞典の「今のポー
ランドの一部とソ連邦西部の一部」という記述も理解できました。
■更に、「シュラフタ(szlachta)」も、原綴りをつきとめるのに苦労しましたが、
これを鍵に、日本語における訳語・説明がいくつか在り、それは歴史的背景によって、
士族→貴族→小貴族(英語では普通、gentry と訳されているようです)と興亡してゆく
のだということも学習できました。
■いやあ、大いに勉強になりました。
■ところで、東欧の情報には疎いものですから、ペニョフスキなる人物も存じ上げない
のですが(検索にも一向に引っ掛かってきませんでした)、「そっち方面」にも非常に興味
をそそられます。もし宜しければ「そっち方面」も御教示いただけないでしょうか。



Re: 中国の繁体字

massangeana (2003/08/01 11:20)

一件書き忘れました。日本の旧字体は康煕字典に直接よっているのではなく, 明治
のはじめに中国から輸入した活字を微修正して使っていたのが標準になったもので
す。当時中国は清朝でしたので, 当時の権威であった康煕字典に近い字が多いのは
当然ですが, けっこう違う字もあります(康煕字典自身, 版によって字形が異なる)。
中国の活字は西洋の宣教師が聖書を印刷するために作ったもので, 旧字体のもとを
作ったのは結局アメリカ人ということになります。
このへんの事情は「真性活字中毒者読本」(2001 柏書房)にいろいろ書いてあります。



re メチャクチャ

Maniac C. (2003/08/01 09:58)

>ロスケさん&未菜実さん
■『大辞林』で関聯項目を検索してみました。

めちゃ-くちゃ 0 【▽滅茶苦茶】 (名・形動)
〔「めちゃ」を強めた語。「滅茶苦茶」は当て字〕
(1)まるで道理に合わないさま。筋道の通らないさま。めちゃめちゃ。「―な話」
(2)程度のはなはだしいさま。めちゃめちゃ。「町は―に破壊された」
(3)非常に混乱したさま。めちゃめちゃ。「話し合いが―になる」

めちゃ 1 【▽滅茶/目茶】 (名・形動)
〔「むちゃ」の転か。「滅茶」「目茶」は当て字〕
(1)「めちゃくちゃ(1)」に同じ。「―な考え」「とんでもない―をいう」
(2)「めちゃくちゃ(2)」に同じ。「―に寒い」
(3)「めちゃくちゃ(3)」に同じ。「髪が―になった」

めちゃ-めちゃ 0 【▽滅茶▽滅茶】 (名・形動)
(1)「めちゃくちゃ(1)」に同じ。「やることが―だ」
(2)「めちゃくちゃ(2)」に同じ。「―にこわれる」
(3)「めちゃくちゃ(3)」に同じ。「部屋の中は―だ」

はちゃめちゃ 0 (名・形動)〈M.C.註 当て字は「破茶目茶」「破茶滅茶」〉
「めちゃくちゃ」に同じ。「―な男」

めっちゃ (副)
(主に関西の若者言葉で)とても。非常に。「めちゃ」とも。

めためた 0
(形動)
損なわれ方の程度がはなはだしく、元に戻らないと思われるほどひどいさま。めちゃくちゃ。「―に殴られる」「心も体も―だ」
(副)
に同じ。「―と悪しくなり死病に極る時/浮世草子・永代蔵 6」

めった 1 【滅多】 (形動)[文]ナリ
〔「めた」「めたと」と同源。「滅多」は当て字〕
(1)思慮のないさま。いいかげんなさま。下に打ち消しの語を伴って用いる。「―なことは言えない」
(2)しきりにするさま。やたらに行うさま。「むやみ―になぐりつくる/当世書生気質(逍遥)」

めた 1 (副)
程度がはなはだしいさま。めたと。やたらに。むやみに。「父さんが―甘やかすもんだから/破戒(藤村)」

めたと (副)
(1)秩序や節度がなく、度を超しているさま。むやみに。「物の命を―殺し給はぬなれば/仮名草子・可笑記」
(2)泥酔するさま。「のみたれは、―酔たぞ/中華若木詩抄」

むちゃ-くちゃ 0 【無茶苦茶】 (名・形動)
〔「むちゃ」を強めていう語。「無茶苦茶」は当て字〕
(1)「無茶(1)」に同じ。「棒を―に振り回す」「―な生活」
(2)「無茶(2)」に同じ。「―に寒い」「―に勉強する」
(3)乱暴に扱ったりして台無しにしてしまうこと。「人の一生を―にしてしまう」
[派生] ――さ(名)

むちゃ 1 【無茶】 (名・形動)[文]ナリ
〔「無茶」は当て字〕
(1)道理に合わないこと。筋道の立たないこと。また、そのさま。乱暴。無茶苦茶。「―をするな」「―な言い分」「―な運転」
(2)(悪いことの)程度がはなはだしいこと。普通でないこと。また、そのさま。めちゃ。無茶苦茶。「―なダイエット」
(3)知識がないこと。知らないこと。「生国はいづれ片田舎の者、…江戸のことは―なり/滑稽本・浮世床(初)」
[派生] ――さ(名)

くちゃくちゃ
2 1 (副)(多く「と」を伴って)
(1)口の中で食べ物などをかむときに出る音を表す語。「―(と)ガムをかむ」
(2)紙や布などがしわだらけであるさま。くしゃくしゃ。「紙を―(と)丸める」
(3)雑然としたさま。乱れたさま。くしゃくしゃ。「―(と)書きなぐる」
0 (形動)
(1) (2)に同じ。「シャツを―にする」
(2) (3)に同じ。「―な字」

しわくちゃ 0 【▼皺くちゃ】 (名・形動)
ひどくしわがよっている・こと(さま)。しわだらけ。「―のハンカチ」

…したがって、これに依るかぎり、
「めちゃくちゃ」=「めちゃ」(>副詞「めた」と、形容動詞語幹「むちゃ」の混交)
+「くちゃ」(擬態語≒くしゃ)
と考えられそうです。



Re:滅茶苦茶

未菜実 (2003/08/01 08:43)

滅茶苦茶に言及し忘れました。
国語大辞典(小学館)では次のようになっています。
「むさと」説をとっていて
滅茶苦茶は:「むちゃ」の変化か。「くちゃ」は語調を整えるために添えたもの。
「滅茶苦茶」「目茶苦茶」は当て字



Re:無茶苦茶

未菜実 (2003/08/01 08:30)

無茶苦茶:
無茶とはお茶を出さないこと。苦茶とは苦いお茶を出すこと。つまり、大事な相手にもお茶すら出そうともしない。また出しても苦くて飲めた物で無い。こんな状態を無茶苦茶と言います。現在では意味が転じて、まともではない、常軌を逸している態度に使われますね。
別説として、「むさと」(正当な理由もなく、または、いいかげんに事を行うさまを表す語。みだりに。むやみに。やたらに。)の「むさ」が語源で無茶は当て字というのもあります。
滅茶苦茶と言うこともありますね。



メチャクチャ

ロスケ (2003/08/01 04:52)

ふと、メチャクチャの語源は何だろうと思い、検索して見ました。
最初の30件あたりまで見た限りではうまい説明はなし、それで皆さんに教えてもらうことにしました。お願いします。
メチャクチャは方言かな?



Re: 唐詩の押韻と韻母

massangeana (2003/08/01 04:34)

>『切韻』の漢字音は中国語ではない
切韻の音韻体系がどの程度人工的なものであったかは昔から議論のあるところです。
おそらく切韻の記すすべての音節を全部違う音で発音していた方言はないだろうと
思いますが, 「中国語ではない」は極端すぎるでしょう。

また, 唐の最初の百年くらいの詩の韻はむしろ南北朝に近く, かならずしも韻書に
したがっていなかったようです。8世紀にはいっても杜甫が支韻と脂・之韻を区別し
ている(同時代の岑参などは区別していない)ことが以前から知られており, 結局
厳密には詩人ごとについて見ていくしかないと思います。

切韻と科挙制度との関係は平田昌司さんの研究があります。「科挙制度と中国語史」
という文章が pdf 形式で公開されています。
http://www.classics.jp/Contents/Assets/publication/NLpdf/NL07/NL07Hira.pdf



Re: 中国の繁体字

massangeana (2003/08/01 03:24)

中国(大陸)の簡体字の規格は簡化字総表(1964)によりますが, これは単独の簡化字・
簡化偏旁・簡化偏旁を応用した文字の表からなります。したがって繁体→簡体の方向を
逆に適用すれば繁体字が得られるわけです。しんにょうの点や草かんむり, 青の下が月
か円か, などは簡化偏旁の中にははいっていませんので繁体字でもそのままということ
になります。
台湾のしんにょうが変なギザギザになっているのは, たしか一時期楷書を正字にしてい
たことがあったので明朝体をそれに近づけたのではなかったでしょうか。ちょっとよく
覚えていません。
なお文字の規格と字形については安岡孝一さんの「漢字袋」が重宝します。
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/kanjibukuro/



中国の繁体字

にれのや (2003/08/01 02:08)

■中国語に詳しい系の方々におうかがいします。
日本の漢字で 「正字」 とか 「旧字」 とか言われるものは、『康煕字典』の 「字体」 に拠るものと決められていますね。(「澁」 など例外もあるようですが)
 中国で 「繁体字」 と言われている 「字体」 は、『康煕字典』の字体と異なっているものが多いようですが、「繁体字」 の 「字体」 の典拠は何なんでしょうか?
 それと、韓国の漢字は、「字体」、「書体」(明朝体に関しては) とも、日本の旧字と同じようですが、台湾の漢字では、たとえば、「しんにょう」 など、日本の 「字体」 と違うものがあるようですが、この差異はどこから来るものなのでしょうか?
 ごぞんじなれば、ご教示たまわりたし。



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