言葉の世界・伝言板 2001年8月



Re: 慣用読み

UEJ (2001/08/31 23:11)

CD-ROM版広辞苑を「慣用読み」で全文検索してみると114件見つかりました。
中には「A'」の項は「Aの慣用読み」、「A」の項は「A'は慣用読み」と
相互リンクになっているものも有りますので、実質100件弱ぐらいでしょうか。
田邉さんの『新辞林』からの引用と比較すると、
広辞苑にしか載っていないものもあるし、新辞林にしか載っていないものもあります。
もし「日本語とその周辺」に掲載されるのであれば情報提供しますのでお知らせください。
今ここに100件コピー&ペーストする気力は無かったので (^_^;)



慣用読み1

田邉露影 (2001/08/31 16:39)

この話題はかなり繰り返されているので、
「日本語とその周辺」に掲載されると良いかと>佐藤さん

以下は『新辞林』からの引用です。
> あくせく【齷齪・□促】(副)
>   〔「あくさく」の慣用読み〕
>   ゆとりがなく,気ぜわしく事をするさま。「―と働く」
>
> かくさ【較差】
>   〔「こうさ」の慣用読み〕
>   (1)最高と最低,または最大と最小との差。
>   (2)〔気〕定期間内における観測値の最高と最低との差。日較差・年較差など。
>
> かくはん【攪拌】
>   〔「こうはん」の慣用読み〕
>   かきまぜること。
>
> かんこう【箝口】
>   〔「けんこう」の慣用読み〕
>   口をつぐんでものを言わないこと。
>
> かんこつ【顴骨】
>   〔「けんこつ」の慣用読み〕
>   目の斜め下に左右 1 個ずつある骨。頬骨(きようこつ)。ほおぼね。
>
> かんしょ【甘蔗】
>   〔「かんしゃ」の慣用読み〕
>   サトウキビの別名。
>
> きい【忌諱】
>   〔「きき」の慣用読み〕
>   忌み嫌うこと。「―に触れる」
>
> げんもう【減耗】
>   「げんこう」の慣用読み。
>
> こうくう【口腔】
>   「こうこう(口腔)」の医学での慣用読み。
>
> こうさい【鉱滓】
>   〔「こうし」の慣用読み〕⇒スラグ
>
> こうしゅ【拱手】
>   「きょうしゅ(拱手)」の慣用読み。「―傍観」
>
> こしつ【固執】
>   〔「こしゅう」の慣用読み〕
>   (1)意見・態度を強固にして,簡単に変えないこと。固持。「自説に―する」
>   (2)〔心〕ある類似の行動に固着する心的傾向。
>
> さいだん【截断】
>   「せつだん(截断)」の慣用読み。
>
> さくげん【遡源・溯源】
>   〔「そげん」の慣用読み〕
>   源にさかのぼること。物事の根本をつきとめること。
>
> さくよう【□葉】
>   〔「せきよう」の慣用読み〕
>   押し葉。
>
> さっきゅう【遡及】
>   「そきゅう」の慣用読み。
>
> ざんさい【残滓】
>   「ざんし」の慣用読み。
>
> さんすい【散水・撒水】
>   〔「撒水(さつすい)」の慣用読みから〕
>   水をまくこと。



慣用読み2

田邉露影 (2001/08/31 16:38)

> さんぷ【散布・撒布】
>   〔「撒布(さつぷ)」の慣用読み〕
>   まきちらすこと。
>
> しいか【詩歌】
>   〔「しか(詩歌)」の慣用読み〕
>   (1)和歌・俳句・詩など韻文の総称。
>   (2)和歌と漢詩。「―管弦の遊び」
>
> しいぎゃく【弑逆】
>   「しぎゃく(弑逆)」の慣用読み。
>
> しい・する【弑する】(動サ変)
>   〔「しする(弑)」の慣用読み〕
>   目上の者を殺す。主君・父などを殺す。
>
> じょうちょ【情緒】
>   「じょうしょ(情緒)」の慣用読み。「異国―」
>
> しょうもう【消耗】
>   〔「しょうこう」の慣用読み〕
>   (1)使ってすりへること。「兵力の―を避ける」
>   (2)体力・気力などを使い果たすこと。「神経を―する仕事」
>
> すいとう【出納】
>   〔「とう」は慣用読み〕
>   金品を出し入れすること。
>
> ずさん【杜撰】
>   〔「ずざん」の慣用読み〕
>   (1)著作物で,典拠が正確でないこと。
>   (2)いいかげんなさま。「―な工事」
>
> たいしょ【対蹠】
>   〔「たいせき」の慣用読み〕
>   全く反対であること。正反対。「―的」
>
> ちょうふ【貼付】
>   はりつけること。〔「てんぷ」は慣用読み〕
>
> ちょくせつ【直截】
>   (1)まわりくどくないこと。ずばりということ。「―簡明」
>   (2)ためらわずただちに決裁すること。〔「ちょくさい」は慣用読み〕
>
> ちょげん【緒言】
>   「緒言(しよげん)」の慣用読み。
>
> ちょせん【緒戦】
>   「緒戦(しよせん)」の慣用読み。
>
> てんてつ【点綴】
>   「てんてい(点綴)」の慣用読み。
>
> どうけい【憧憬】
>   〔「しょうけい(憧憬)」 の慣用読み〕
>   あこがれること。
>
> とうび【掉尾】
>   〔「ちょうび」 の慣用読み〕
>   事の終わり。「―を飾る」
>
> ねつぞう【捏造】
>   〔「でつぞう」の慣用読み〕
>   作り事を事実のようにみせかけること。でっちあげ。
>
> びくう【鼻腔】
>   「びこう(鼻腔)」の医学での慣用読み。
>
> ひょうどう【秤動】
>   〔「しょうどう」の慣用読み〕
>   (1)天体がある平均的状態の前後に揺れ動くこと。
>   (2)月面が地上から見て上下左右に揺れて見えること。
>
> びんらん【紊乱】
>   〔「ぶんらん」の慣用読み〕
>   乱れること。乱すこと。「社会秩序を―する」
>
> りんぎ【稟議】
>   〔「ひんぎ」の慣用読み〕
>   官庁・会社などで,会議を開くほどに重要でない事項について,案を関係者に回してその承認を求めること。
>
> りんせい【稟請】
>   〔「ひんせい」の慣用読み〕
>   上役に申し出て要請すること。申請。



昔の漢字の読み方

GAUCHA (2001/08/30 22:07)

私は、漠然と、音読みがより簡略された方向に向かっている、つまり音読みの中でもマイナーなものは淘汰され、メジャーなものに統合されつつあると思っていましたが、未菜実さんが挙げられた例を見るとそうでもないようですね。「出納」を「すいとう」、「蛇足」を「だそく」と読むのはその逆ですね。
ところで、今は名前や住所などにに読み仮名をつける習慣がありますが、昔はそんなことしていないですよね。だから特に人名などは、実際の読み方が正確にはわからないわけですよね。
読み方が変わった熟語、変わりつつある熟語のリストを見て、昔から振り仮名をつける習慣があったら、今こんなに混乱することもなかったろうに、と思った次第です。



RE:発足の読み方

未菜実 (2001/08/30 13:18)

読み方は時代によって変化していますね。
下に、私が気づいた例を挙げておきます。★誤用の方が定着したか優勢なもの。
・攪拌:"こうはん"→"かくはん"   ・堪能:"かんのう"→"たんのう"
・端緒:"たんしょ"→"たんちょ"   ・蛇足:"じゃそく"→"だそく"
・設立:"せつりゅう"→"せつりつ"  ・睡眠:"すいめん"→"すいみん"
・出納:"しゅつのう"→"すいとう"  ・情緒:"じょうしょ"→"じょうちょ"
・宿命:"しゅくみょう"→"しゅくめい"・消耗:"しょうこう"→"しょうもう"
・漏洩:"ろうせつ"→"ろうえい"   ・稟議:"ひんぎ"→"りんぎ"
・捏造:"でつぞう"→"ねつぞう"   ・捧腹絶倒→抱腹絶倒
・貪欲:"たんよく"→"どんよく"   ・呂律:"りょりつ"→"ろれつ"

★変化の途中にあるもの。
・御用達:"ごようたし"→"ごようたつ"・固執:"こしゅう"→"こしつ"
・早急:"さっきゅう"→"そうきゅう" ・重複:"ちょうふく"→"じゅうふく"
・荒らげる:"あららげる"→"あらげる"・相殺:"そうさい"→"そうさつ"
・追従:"ついしょう"→"ついじゅう" ・茶道:"ちゃどう"→"さどう"
・一所懸命→一生懸命         ・悪名:"あくみょう"→"あくめい"
・残滓:"ざんし"→"ざんさい"    ・貼付:"ちょうふ"→"てんぷ"
・口腔:"こうこう"→"こうくう"   ・直截:"ちょくさい"→"ちょくせつ"
・逐電:"ちくてん"→"ちくでん"   ・白夜:"はくや"→"びゃくや"
・世論:"よろん"→"せろん"
・出生率:"しゅっしょうりつ"→"しゅっせいりつ"
・女人禁制:"にょにんきんぜい"→"にょにんきんせい"
・手を拱く:"てをこまぬく"→"てをこまねく"
・丁字路(ていじろ)→T字路(てぃーじろ)
・味気ない:"あじきない"→"あじけない"
・難しい:"むつかしい"→"むずかしい"



Re:いちゅび

松茸 (2001/08/30 13:07)

 下記のページ:
http://www.rik.ne.jp/nago-library/pr/200105/80-1.html
では、「リュウキュウバライチゴ」(一名オオバライチゴ)と同定していますが、似た実をつけるものも多いので「キイチゴ一般」としたほうが安全でしょうか?



「発足」の読み方

GAUCHA (2001/08/30 12:30)

組織などが設立されて活動を始めるという意味の「発足」を、私は「ほっそく」と読んできましたが、辞書は「はっそく」も見出し語として載せています。三省堂の新明解国語辞典には「ほっそく」の新しい語形だと書いてあります。20年前は、「組織をはっそくさせる」なんて読んだら、「間違い」とされたと記憶していますが、今はどちらも正しいということなのでしょうね。
「早急」は、「さっきゅう」より「そうきゅう」と読む人の方が圧倒的に多いそうですが、「発足」はどちらの読み方をする人が多いですか。



いちゅび...

massangeana (2001/08/30 01:55)

いまのイチゴは西洋からもたらされたもので, 昔「いちご」と呼んでいたものとは
異なるようですが, その沖縄の「いちゅび」は何をさすのでしょう?

http://www.jnit.co.jp/y-melon/i-rutu01.htm



Re:苺

松茸 (2001/08/29 23:40)

 沖縄語では今でも「いちゅび」といいますね。
# 語源の議論に方言資料を持ち込む危険は承知しています。(^^;





のぶ (2001/08/29 18:07)

UEJさんありがとうございました!
おかげでスッキリしました(^o^#



Re: 苺

massangeana (2001/08/29 15:13)

とりあえず, 日本国語大辞典の語源説に引いている大言海より:
いちご: 語原、考ヘラレズ、但シ此語ハ、いちびこノ中略ナルベシ、其条ヲ見ヨ、云々
いちびこ: いちびノ語原、詳ナラズ、但シ、苺(イチゴ)ハ、此語ヲ中略シタルナルベシ、
 こハ、子ナラム、物ト云フ意ニ添フル例アリ、大葉子、稲穂子(イナボコ)、蒲穂子(カ
 マボコ)ノ如シ、苺(イチゴ)ノ条ヲ見ヨ
例文を見ると, 日本書紀には「いちびこ(伊致寐姑)」とあり, 平安時代に入って「い
ちご」が現れるようです。「語原、詳ナラズ」というのだからわからないのでしょう。



Re: &

UEJ (2001/08/29 13:02)

以下のページ(最後の方)をご参考ください。

http://home.att.ne.jp/green/uej/kotoba/letters2.html





未菜実 (2001/08/29 12:25)

みなさん、ありがとうございました。m(__)m



-ium

佐藤和美 (2001/08/29 12:20)

UEJさん、massangeanaさん、朝倉さん、ありがとうございます。

「シンビジウム」類も多いですけど、「ゼラニウム」類もそんなにいろいろあるんですか。
思いもしなかったです。(^^);



教えて下さい

のぶ (2001/08/29 12:17)

&というの何かの(ラテン語?)組み合わせらしいのですがどなたかご存じ無いでしょうか?



RE:苺の語源

佐藤和美 (2001/08/29 12:04)

『日本国語大辞典』からです。

1.イチビコ(蓬(草冠に累の字))の略[東雅・大言海]。イチビコはイチビ(赤檮・檪)の転。イチビはイツイヒ(厳粒)の約。[日本古語大辞典=松岡静雄]。
2.イヲ(魚)の血ある子のごとしというところから。[日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解]。
3.ヨキチコリ(好血凝)の義[名言通]。
4.イチはイチ(息集)の義[日本語源=賀茂百樹]。
5.イはイシイ(美味)の上略。チはチ(乳)の味。コは如の意[和句解]。

『日本国語大辞典』は語源説を羅列するという方式のようです。
語源説の確かさの順位は読者まかせですね。
以前、話の出た「東風」は、10の語源説がならんでましたっけ。



ギョエテ

UEJ (2001/08/29 10:54)

> ゼラニューム・ゼラニウムだけでなく, 「ゲラニューム・ゲラニウム・ゲラニアム・
> ゼラニアム・ジェラニューム・ジェラニウム・ジェラニアム」などがあるようです。

植物界の"ゲーテ"といったところでしょうか (^.^)



Re: 苺の語源

massangeana (2001/08/29 09:38)

「不明」ということでいいのでは?



Re: ニューム

massangeana (2001/08/29 09:35)

ゼラニューム・ゼラニウムだけでなく, 「ゲラニューム・ゲラニウム・ゲラニアム・
ゼラニアム・ジェラニューム・ジェラニウム・ジェラニアム」などがあるようです。

植物名としてはほかに「デルフィニューム・ぺラルゴニューム・アデニューム」も
「ニューム」率が高そうです。あと楽器名のユーフォニューム。

平成3年度内閣告示第二号「外来語の表記」で, 「語末(特に元素名等)の-(i)umに
当たるものは,原則として「-(イ)ウム」と書く」とあるため, 元素名については
ニウムの場合が多くなっていると思いますが, それ以外の場合はニュームも多いので
しょう。

http://www.law.osaka-u.ac.jp/~kikuo/mater/kana.html



苺の語源

UEJ (2001/08/29 08:37)

googleで「苺の語源」を検索すると、
「苺の語源は、1月〜5月に取れるからいちごって言うんだよ。」
「苺の語源がお母さんの乳首という話題で…」(「苺」の字源のこと)
などのページがヒット。
う〜む、ホンマカイナ。
http://www.google.com/search?q=%E4%95%82%CC%8C%EA%8C%B9&hl=ja&lr=



苺の語源

朝倉勇一 (2001/08/29 05:24)

 WWWでこんなのがありました。
http://www.yorozuya-online.gr.jp/ichigo/ichigo_top.htm
『魚(いお)の血(ち)のある子のごとし」に見えることからいちごと呼ぶようになったそうです。』(^^;



-ium

UEJ (2001/08/29 03:58)

googleで調べるといろいろありますねぇ。
以下、昼休み1時間かけて調べた結果です(←ヒマジン)。
()内はヒット数。

 リチウム→リチューム(約690)
 ラジウム→ラジューム(262)
 カドミウム→カドミューム(66)
 ヘリウム→ヘリューム(136)

-iumの前の子音には関係なく変化するようです。

元素名以外にも
 シンポジウム→シンポジューム(約4,700)
 サナトリウム→サナトリューム(約59)
 リノリウム→リノリュ−ム(29)
 デンドロビウム→デンドロビューム(約2,030)(園芸植物の名前だそうです)
 アクアリウム→アクアリューム(約417)
 ギムナジウム→ギムナジューム(約13)
 コロシアム→コロシューム(1)

極めつけはこれ。diの表記とあいまって10種類の表記を発見。
 シンビジューム(約3,200)
 シンビジウム(約2,660)
 シンビジュウム(約582)
 シンビディウム(約184)
 シンビデューム(約48)
 シンビジュム(約24)
 シンビジゥム(約20)
 シンビヂューム(3)
 シンビデュウム(1)
 シンビデゥム(1)

但しシンビヂュウム、シンビジゥーム、シンビデュム、シンビヂゥムはヒット無し。
他にもあるかも。



カラジウムの場合は

朝倉勇一 (2001/08/28 23:57)

 観葉植物「カラジウム(caladium)」の場合をgooで調べてみました。

カラジウム 185件

カラジューム 156件(45.7%)

#余談です。
平凡社世界大百科事典によると、アルミニウムは『イギリスの H. デービーはによって,ミョウバン KAl(SO4)2・12H2O のラテン名 alumenにちなんで aluminum と命名され,のちにaluminium となったが,現在でもアメリカではaluminum とつづる』のだそうです。



苺の語源

未菜実 (2001/08/28 16:04)

苺(いちご)の語源をご存知の方いませんか?
strawberryや覆盆子は方々に載っているんですが、"いちご"が見つかりません。
よろしくお願いします。m(__)m





佐藤和美 (2001/08/28 12:18)

>「穂」には「山」というような意味もあるのでしょうか.

これかな?

『大辞林』
ほ【穂】
(2)とがったものの先。「筆の―」

「穂高」なんてのもありましたね。



ニューム

UEJ (2001/08/27 23:03)

「ニューム」だけでアルミニウムのことを指すことがあるようです。
広辞苑にも
 ニューム:アルミニウムの俗称。
とあります。
でも見出し語としての「アルミニューム」はありませんでした。



阿蘇

佐藤和美 (2001/08/27 20:50)

阿蘇などの南島語源説ですが、以下の書き込みがありました。

「RE:そこに山があるから?」(2001/03/03 11:53)



ニウム、ニューム

佐藤和美 (2001/08/27 12:12)

きのうの朝、妻がNHKの園芸の番組を見てたら、私の目に「ゼラニューム」という文字が飛び込みました。
自分だったら「ゼラニウム」と書くけど、さて世の中はどうなってる?

ということで、gooで「ニウム」、「ニューム」を検索してみました。
(「ニューム」の方のパーセントも計算してみました。)

ゼラニウム
4790件

ゼラニューム
706件(12.8%)

アルミニウム
29018件

アルミニューム
1039件(3.5%)

ウラニウム
776件

ウラニューム
25件(3.1%)

プルトニウム
6323件

プルトニューム
69件(1.1%)


こうして見ると「ゼラニューム」は他の「ニューム」に比べて率が高いみたいですね。
NHKに採用されたところを見ると「ゼラニューム」はこれからも勢力を拡大してくのかな。



バチェラーとバチラー

nupkes (2001/08/27 08:42)

>「バチェラー」と「バチラー」どちらが正しいのですか?
>私の持っている本ではすべてほとんどバチェラーなのですが…)

 辞書の著者名は以下のようになっています。
ジョン・バチェラ『蝦和英三對辭書』明治22年発行  昭和50年復刻  国書刊行会
ジヨン・バチラー『アイヌ・英・和辞典第三版』   大正15年8月    教文館
ジヨン・バチラー『アイヌ・英・和辞典第四版』  1938年    岩波書店

 新しい方では、バチラーとなっています。辞書ですから、本人が最初はバチェラとし、後にバチラーとしたと推定できます。名前の表記ですから、本人がそのようにすれば、それが正しいことになります。
 どちらが正しいとかの問題ではないようです。



遅れてすみません

blue (2001/08/27 01:55)

質問をしていながらしばらく見ていなかったため,多くの方に失礼なことをしてしまい,すみませんでした。
「ん」についてですが,「ん」という仮名表記がいつごろから発生したのかということです。音韻史についても知っているなら知りたいと思っています。
さらに言うなら,昔は「ん」の音の表記をどうしていたのかについても知りたいです。「む」ですべて置き換えられるのでしょうか。



(無題)

永瀬研二 (2001/08/26 23:57)

>nupkes様,佐藤和美様

例に出した地名にも詳しい解説を下さり,本当にありがとうございました.

私の持っている「地名語源辞典」には,この三つの地名に関して,アイヌ語由来説と「阿蘇=asap」「明石=赤い石」説以外の説が載ってませんでした….
それだけならまだしも,阿蘇に関しては「ラテン語で焼く,あぶるを意味するasso」「火山灰を意味する英語ash,ドイツ語asche」と似ているなんて書かれていました.似ているだけで全然関係のない言語を引き合いに出すなんて,この本もかなりトンデモ本でしょうか.そういえばアイヌ語のcipと英語のshipも関連付けられてました.

「地名語源辞典」で阿蘇や明石をアイヌ語と関連付けていた「山本直文」という学者(?)の方は,「四国は最もアイヌ語由来の地名が濃厚である」なんて事を書いていました(正確には著者の引用ですが).以前伝言板で話題になった「四万十アイヌ語説」は載っていませんでしたが,もしかすると関係があるのかもしれませんね….現地に行かないで,バチェラーあたりの辞書を見て語呂合わせしただけなのでしょうが.(ところで,「バチェラー」と「バチラー」どちらが正しいのですか?私の持っている本ではすべてほとんどバチェラーなのですが…)

ところで,伊香保の由来を読んで新たに疑問なんですが,伊香保の由来が「巌穂」で「神聖な厳しい山」だとすると,「穂」には「山」というような意味もあるのでしょうか.「高千穂」なんて山もあったな…と思ったもので(^^; この本には高千穂は「高千火」で「多くの噴火口」の意味だと書いてありました.後は記紀関係の説がちらほら….

できればでいいので,どうかお願いします.
新参者がだらだらと長文を書き散らして,申し訳ありませんでした.



阿蘇・明石・伊香保

佐藤和美 (2001/08/26 17:25)

吉田茂樹『日本地名語源事典』(新人物往来社)からです。

アソ(阿蘇・阿曽)
「『古事記神代』に阿蘇君、『景行紀』に阿蘇国がみえ、熊本県の阿蘇山で知られる上代地名。三重県度会郡南勢町阿曽浦の海食崖でも知られるように、拙著『地名の由来』のいう「アズ(坍・崩崖)」の転化と決められよう。南島語のasap(煙)説は無理であることを示し、阿蘇山のカルデラ壁を表現した地名である。ただ、一部に丹後国阿蘇海のように「アサ(浅)」の転化と思われる地名もあろう。」

アカシ(赤石・明石)
「兵庫県明石市は海中から赤い石を産することによるというのが通説。この地名は『允恭紀』に「赤石」、「万葉集(第二五四)」に「明石の大門」とみえ、風土記には「明石郡」とあるから、赤い石が妥当ともみられる。ただし、「平城京木簡」から「明」でみえ、これは「アカシ・アカス」のいずれにも読みとれる。現地でみる限り、陸上には赤い石は見えず、別語の可能性もある。明石川の河口付近で洲が開いて小潟があった所で、あるいは「アカス(開洲)」といったかもしれない。」

イカホ(伊香保)
「「万葉集(第三四〇九)」に伊香保の峰がみえ、群馬県榛名山の古名で、山腹に伊香保温泉が立地する。「イカホ(厳穂)」の意で、神聖な厳しい山の意。」



re: ぐち

田邉露影 (2001/08/25 18:55)

掲示板の趣旨とはそれますが、ちょっとコメント。

> 掲示板やメールで質問がきて、
> それに30分とか1時間とかの時間をさいて返事を出す。
> それで音沙汰なしだと、なんかむなしくなりますね。

うちの掲示板も似たような感じなので、
共感が持てます。

だいたい、メールで来た質問ですら
返事を帰さない人が多いですから。


> 「ありがとう」の返事を出すのはあたりまえのネチケットなはずなんですが。
> こっちを自動販売機みたいに、
> 質問したら答えが自動に戻ってくる機械みたいに思ってるのか?

人それぞれ都合があるとは思いますが、
中には『インターネット』が質問に答えてくれている、と
思っている人もちらほらと……。

まあ、専門系掲示板運営者の宿命だと思って、
諦めるしかないですよ(笑)。



ストックホルム

田邉露影 (2001/08/25 18:46)

> ・「丸太で城塞を築いた」って、
> どんな城塞か見てみたいもんですね。
> そりゃ「杭の島」じゃなくて、「丸太の城」だぞ!

というか、ちょっとこの説自体、信用できないかも。

北欧関係の授業では丸太を商業利用したって習ったしσ(^-^;)。
(って、それを教えた先生も信用できない人なんですけどね)


> ガムラ-スターデン島
> 「スウェーデンの首都ストックホルム市外中央にある小島。」
>
> ・「ガラムスターデン島」と「ガムラ-スターデン島」。これは単純なミスですね。

訳すと「古い街」ですね。


> 「一二五五年、メーラレン湖の入り江にある小島に建設され、」
>
> 「一二五三年」と「一二五五年」で建設年が矛盾してますね。

……専攻した割には私も知りませんけど(コラコラ!!)、
山川出版から『北欧史』なんて書籍が出てますよ。



ストックホルム(『地名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/08/25 18:14)

「ストックホルム」ネタです。

P242
「ストックホルムStockholm 一四の島からなる港湾都市。一二五三年、スベリエ人がガラムスターデン島に丸太で城塞を築いたことから、stock「杭」とholm「島」で、「杭の島」と名づけられた。」

・「丸太で城塞を築いた」って、どんな城塞か見てみたいもんですね。そりゃ「杭の島」じゃなくて、「丸太の城」だぞ!

『コンサイス外国地名辞典』(三省堂)
ガムラ-スターデン島
「スウェーデンの首都ストックホルム市外中央にある小島。」

・「ガラムスターデン島」と「ガムラ-スターデン島」。これは単純なミスですね。

P61
「一二五五年、メーラレン湖の入り江にある小島に建設され、」

「一二五三年」と「一二五五年」で建設年が矛盾してますね。



グチ

佐藤和美 (2001/08/25 14:05)

掲示板やメールで質問がきて、それに30分とか1時間とかの時間をさいて返事を出す。それで音沙汰なしだと、なんかむなしくなりますね。
「ありがとう」の返事を出すのはあたりまえのネチケットなはずなんですが。
統計をとったわけではないですが、私の今までの感じでは4分の1か3分の1は返事なしですね。
こっちを自動販売機みたいに、質問したら答えが自動に戻ってくる機械みたいに思ってるのか?

「ん」のアヤフヤな質問した人、レスポンスがないですよ。

以上、グチでした。



RE:ん

佐藤和美 (2001/08/25 14:04)

950年頃の「蒙求古点」という資料に「ん」(「V」を左に90度回転させたような字)があるようです。
(築島裕「仮名」中央公論社)



定義は ?

nupkes (2001/08/25 06:14)

>「ん」というのはいつ頃発生したのでしょうか。

との問いに対し、佐藤和美氏は

>「ん」という文字がいつごろから存在するかということでしょうか?

と質問していますが、回答がありません。

 万葉仮名には、「n」の存在がなく、その後、「n」の符号が存在することから、「n」の音韻史の質問とも、また、「n」の符号の発生史とも、また、「ん」という文字の発生そのものの限定的な質問ともとれます。

 わたくしは、「n」の音韻史と「n」の符号の発生史についての質問と考えたのですが。



nとm

nupkes (2001/08/25 00:11)

 舌内鼻音nと唇内鼻音mの区別は、最近の研究ではどのようになっているのでしょうか。

 古い訓点資料では、混同されて使用されているようですが。どこまで解明されているのでしょうか。

 この点が、はっきりしないと「n」については、議論が不可能かと思うのですが。
最近は、この方面の調査をしていませんので、ぜひお教えください。



んン

UEJ (2001/08/24 23:05)

> 『金光明最勝王経音義』(1079年)に、「n」を表す符号があるようです。
> それは、Vを横にした形です。

Bookshelf 2より
「ん」の字形は、「无」または「毛」いずれの草体にも起源が求められる。
「ン」の字形は、撥音を象徴した記号からとも、「爾」の古体「尓」の初二画から転じたものともいうが
確かでない。

広辞苑より
平仮名「ん」は「无」の草体。片仮名「ン」は撥音記号「〓」の転形。
また、「爾」の略体「尓」の上部あるいは「二」の転形とも。

〓の部分はυを右に45度傾けたような記号が書いてあります。



RE:RE:ん

nupkes (2001/08/24 17:35)

万葉仮名には、「n」は存在しなかったようですね。

 『金光明最勝王経音義』(1079年)に、「n」を表す符号があるようです。
それは、Vを横にした形です。

 この知識は、2,30年前に、仮名を調査したときのものですので、最近は、違うのかもしれません。

** 「アプタ・ペッ」 「うばゆりの根を掘る・川」は、知里真志保説のようですね。

これは、「知里真志保説の変形のようですね。」の意味です。



虻田

nupkes (2001/08/24 15:28)

 「北海道 駅名の起源」の「虻田」には、「ハプ・タ・ウシ いつもそこでウバユリの球根を掘った所」とし、「ハプ」は樺太方言としています。
 また、「この地のアイヌは古くは樺太アイヌと同系と考えられ」としています。

 服部四郎方言辞典p.93には、「食料の粉の意味で」「ko,-ho」は記載されていますが、このような意味の「hap」は記載されていません。

 知里真志保「分類アイヌ語辞典 植物編」p.204には黒百合の鱗茎の意味で「hax < hap」が記載されています。このことらしいのですが、ウバユリではないのが不思議です。

 「アプタ・ペッ」 「うばゆりの根を掘る・川」は、知里真志保説のようですね。



(無題)

永瀬研二 (2001/08/24 15:22)

ありがとうございました.どうやら他のアイヌ語地名も知里氏の小辞典と比較すると怪しそうです.やはり東北以南の地名はアイヌ語と関連付けない方がいいんでしょうか?これからは他のきちんとしたアイヌ語の地名語源辞典を参考にしますね.まずは山田氏の本でしょうか?もちろんこちらのHPも参考にさせていただきます(^^)
あくまで趣味で地名の由来を調べてるんですが,やはり現地に赴いて実際に目で確かめながらの方がいいんでしょうね…



RE:ん

佐藤和美 (2001/08/24 12:26)

>「ん」というのはいつ頃発生したのでしょうか。

「ん」という文字がいつごろから存在するかということでしょうか?

とりあえず『大辞林』から。


(1)五十音図格外の仮名。鼻音の有声子音で、撥音またははねる音といわれる。これは実際の発音では、後続音の有無や種類により、両唇鼻音、歯茎鼻音、軟口蓋鼻音、後舌と軟口蓋との閉鎖をゆるくした鼻音など各種の別がある。
(2)平仮名「ん」は「无」の草体。片仮名「ン」ははねる音を象徴的に示す記号「∨」からの転かという。〔「ん」は、本来、五十音図・いろは歌には含まれないが、それぞれの末尾に付記されることがある。五十音順・いろは順では、それぞれその最後に置かれる〕



アイヌ語地名

佐藤和美 (2001/08/23 12:36)

阿蘇(asoy-ye「穴を作っている溶岩」)
アイヌ語も日本語も意味不明。

明石(wakka-ush「水のあるところ」)

「wakka-us-i」だったらアイヌ語としては成立しますね。ただし「ワッカウシ」が「アカシ」になるかどうか(なったかどうか)はわかりませんが。

伊香保(ika-pop「山越えのたぎり立つところ」)
ika (山や尾根や川)を越えて近道して(行く)。
pop 煮立つ。

単語は存在するけど、「ika」も「pop」も動詞ですね。無関係の動詞を無理やりくっつけて地名をでっちあげたという感じがします。動詞だけで地名をつくるというのもなかなかの根性ですね。

「アプタ・ペッ」 「うばゆりの根を掘る・川」 、「ap-uta-kotan」で「銛先のところ」
ap 釣り針
uta 該当の意味なし
kotan 集落
アプタ 該当の意味なし





blue (2001/08/22 23:35)

「ん」というのはいつ頃発生したのでしょうか。



失敗

massangeana (2001/08/22 17:34)

>Pabuk (中国語では pabu ?布) と呼んでいます。

JIS になかったために「?」になってしまった字は, 「巾白」です。



大ナマズ台風

massangeana (2001/08/22 17:33)

「台風」の由来はとりあえずほっといて ^^; 時事ネタ。

いまの台風を11号と番号で呼んでいるのは日本だけで, ほかの国のニュースでは
Pabuk (中国語では pabu ?布) と呼んでいます。
例: Typhoon Pabuk Kills Six in Japan but Weakening (Yahoo! News)
 http://dailynews.yahoo.com/h/nm/20010822/wl/weather_japan_storm_dc_6.html
台風の名前については, 気象庁の「台風のアジア名」のページを参照。パーブックは
コラムII の 2番目です。
 http://www.kishou.go.jp/know/typhoon/asianame/ty_name.html

気象庁のページには「大きな淡水魚」としか書いてありませんが, これはメコンオオ
ナマズ (Pangasianodon gigas) のラオ語での名前で, 「パー」は魚の意。タイ語では
プラーブックと呼びます。
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」
附属書I に指定された希少種ですが, 日本には 1992年にタイから送られたプラーブッ
クが長崎ペンギン水族館にいます。
 http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/penguin/tokusyoku.htm
ちなみに台風10号の名前はウサギだったのですが, ベトナムあたりにちょっと現れて
すぐ消えてしまいました。



Re^2: ジパング

松茸 (2001/08/22 13:29)

 massangeanaさま、重ねがさねのご教示ありがとうございます。

 『東方見聞録』の平凡社東洋文庫本(1971)の訳注によると;
・パリ国会図書館本(「イタリア語がかった中世フランス語」で記述)
  Chipngu
・グレゴワール本(フランス語訳)
  Sypangu
・ゼラダ本(ラテン語訳)
  Cipingu
・ラムージオ本(イタリア語訳)
  Zipangu
だそうです。
 たしかに「ジパング」よりも「シパング」「チパング」「ツィパング」の方が適切のようですね(東洋文庫本では「チパング」を採用)。(^^;

 なお、「北京音」と想像したのは、「倭」「日本」ではなく「日本国」をとっていることから、元朝政権の周辺の人物をインフォーマントにしたのでないか、と考えたこともあります。
# あるいは、いったんモンゴル語化されたものの音写か?

PS. こういうページを発見:
http://luggnagg.com/va/amazon/OED/OED-CDROM2.html

http://www.bartleby.com/61/67/J0016700.html



Re:台風

未菜実 (2001/08/22 12:35)

http://www.fontworks.com/typography_jiji_1997_019.html
にも詳しく載っています。
何が本当なんでしょうか?



RE:台風

佐藤和美 (2001/08/22 12:08)

台風の語源ですが、以下のHPを見つけました。
http://sunak2.cs.shinshu-u.ac.jp/~nakano/misc/lang65.html
http://hp.vector.co.jp/authors/VA008237/f34.htm

どうも私には台風の語源はよくわかりません。



(無題)

永瀬研二 (2001/08/22 10:06)

今日の産経新聞のコラムに「台風」について書いてありました.ちゃんと名付け親までわかっている言葉だったんですね.それまでは野分が台風をあらわす言葉だと書いてありました.野分って,つい100年くらい前まで使われてた言葉だったんですね.
勉強不足で失礼しました(^^;



ちょっと訂正

massangeana (2001/08/21 18:32)

>ニパングやイパングでないので, 「日」をジのように発音する北方の方言に由来と
>考えるのが妥当なのでは。
この部分はよく考えずに書いてしまいました。「…北方の方言に由来すると考えても
おかしくない」程度にしておきます。



Re: ジパング

massangeana (2001/08/21 18:25)

松茸さん:
>やはり「ジパング」は当時(13世紀末)の北京音に由来するものでしょうか?

これは「東方見聞録」の話でしょうか。東方見聞録はよく知らないのですが, 異本が
非常にたくさんあり, 固有名詞の表記が諸本で大きく異なっているため, もとの綴り
がどうだったかはよくわからないと聞きました。日本らしき島の綴りも Cipangu や
Chipangu や Zipangu などいろいろあるようで, どれが本来の意図だったのやら...
かりに Zipangu だとしても, どう発音したのかよくわかりません。「ツィパング」の
つもりだったのかも。そもそも東方見聞録の原文が何語で書かれていたのかも正確に
はわからないようですし。

どう読ませるつもりだったのかがわからない以上, 中国語のどの方言の音に基くか
正確にわかりようがない, というのが正直なところではないかと思いますが, まあ
ニパングやイパングでないので, 「日」をジのように発音する北方の方言に由来と
考えるのが妥当なのでは。

下の場所にイタリア語版テキストがあり, Zipangu になっていますが, もとになった
本が何なのか書いてない... [155, 156 章が Zipangu の話]

http://www.provincia.ps.it/privati/bberti/behaim/milione/map.htm



Re×2:台風

未菜実 (2001/08/21 18:07)

中国では現在は”台風”と書きます。もっとも、”風”は中がメになっていますが。^^;
颱はtyphoonの音を移す時、音符の台に風の意味を加えるため、偏に風を付けた形声文字です。



RE:別について

佐藤和美 (2001/08/21 12:56)

アイヌ語「ペツpet」は「川」という意味ですが、この「ペツ」に宛てられた漢字が「別」です。
アイヌ語では「ペツ」のつく地名が多いので、「別」のつく地名も多くなっています。



Re: ネスケ

massangeana (2001/08/21 12:36)

佐藤さん:

>ネスケの人、フォントが表示されないかもしれませんが

最近正式に公開された 6.1 では, 日本語のページの中にアクセントつき文字を
まぜても正しく表示されるようになりました。まだ 4.* を使っていて文字が見
えない人はアップデートしましょう!

(国会図書館の図書検索システムも Windows 2000 + Netscape 6 でした)



(無題)

永瀬研二 (2001/08/21 12:15)

初めまして.すごくレベルが高いページでどきどきしています.
ところで,ひとつ質問があるのですが,「地名語源事典」(山中嚢太著・校倉書房)のアイヌ語はどのくらい信憑性があるのでしょうか.特に「山本直文」という人にかかると,阿蘇(asoy-ye「穴を作っている溶岩」),明石(wakka-ush「水のあるところ」),伊香保(ika-pop「山越えのたぎり立つところ」)など全国にアイヌ語地名が存在することになっています(思いっきり幽霊アイヌ語っぽいんですが…).後半には北海道が独立した項で扱われていますが,そこでも知里氏,更科氏,バチェラー氏の説が入り乱れていてどこまで信じて良いのかわかりません(例:虻田…更科説「アプタ・ペッ」で「うばゆりの根を掘る・川」 バチェラー説「ap-uta-kotan」で「銛先のところ」).
どうかご教授願います.

あと、下の方に「台風」の語源について考察がありましたが,中国では「颱風」と書いて,「台湾の方から吹く風」という意味があるという話を聞きました.以前,某歴史クイズ番組ではテュポーン説しか語られず,ちょっと自信を失い気味ですが…



別について

旭川出身 (2001/08/20 22:51)

初めて書込みします。
北海道の地名について最近不思議だなぁって思ったことについて教えて欲しく書き込みます。
それは、北海道の地名に「別」と書く地名が多いことです。
例えば、別海町、士別町、陸別町、江別市、札幌市厚別区・…市町村名で約24ほどありました。
また、地域でも「別」のつく地名が多く見受けられます。
どう言う意味があり、どうしてなんでしょうか? 教えて下さい。



まだまだ『地名の世界地図』(その5)

松茸 (2001/08/20 20:52)

->GAUCHAさまへ:
>もちろん、この文章の前に、モンタルボが書いた物語というのが既に
>話題として提示されているのだろうと想像してのことです。
……原本をご覧にならない方には信じられないでしょうが、そういう提示は一切なされていません。
 こういう本が有名出版社から出され、よく売れているというのが、日本の実情なのです。

* "Cobo Das Agulhas"
 公式(?)ページ:
http://www.capeagulhas.org/facts.html
他、「偏角が0になることが語源」という説はありますが、《ヴァスコ・ダ・ガマが命名した》というのは典拠不明。
 ちなみに『理科年表』では、1995年のアグーリャス岬での偏角は−24度程度です。(^^;

* 宗教ネタです。

p.142:
 「「旧約聖書」の「エデンの園」は、実際には、ティグリス・ユーフラテス川の下流にあった町だと考えられている。エデンとは「喜びの町」を意味する。ここを追われた人びとは、カルデアのウルに住んでいたアブラハムに率いられて荒野を旅し、乳と蜜の流れる町と形容されたカナーンに行き着く。」
……コメント不能。
# 「エデン」がヘブライ語で〈喜び〉というのはOK。

p.148:
 「ベツレヘムとは、[中略]ミサ用のパンを用意した家にちなんで名づけられた」
……ユダヤ教に「ミサ」があるのか?

p.151
 「聖戦は、すべてのイスラム教徒に課せられた義務である。」
……「すべての」というと、女性や子供も含んでしまう。

p.206:
 ソドムとゴモラの滅亡についての「この聖書の記述から、死海はSea of Loto(ロトの海)ともよばれていた。」
……やっぱりギャンブルはいけません。(^^)

p.223上段 ユタ:
 「キリスト教の一派、モルモン教徒」
……きわどい。

p.244下段 バチカン市国:
 「十二使徒の一人ペテロを祀るサンピエトロ寺院」
……(^^;

p.258下段 ザグロス山脈:
 「「ザグロス神」。古代ペルシアの復活神の名からとられた。」
……典拠不明。オルフェウス教の神格「ザグレウス」のつもりか?

p.262下段 イスラエル:
 「イスラエル人の祖ヤコブが夢の中で天使と戦い」
……「ベテル」の挿話(『創世記』28章の後半)と「ペヌエル」(同32章後半)とが混線?

p.272下段 マカオ特別行政区:
 「航海の守護聖女といわれた阿媽{あま}を祀る阿媽閣廟」
……こっちこそ「守護神」にしてほしい。



Re:台風

未菜実 (2001/08/20 20:23)

ギリシャ神話の怪物Typhon(テューポーン)→typhoon(英語)→台風
と音をそのまま漢字に移した物で意味は関係ありません。



台風について

服部 (2001/08/20 19:33)

「台風」の台ってどういう意味ですか?



RE:『地名〜』に関してマルチレス

佐藤和美 (2001/08/19 16:51)

松茸さん
>*『ローランの歌』:
> Google検索で、電子化テクストページ:
>http://www.umanitoba.ca/faculties/arts/french_spanish_and_italian/roland3.htm
>を発見。"Califerne"が出ています。

オー、ありましたか。私は多分ないだろうと思ってたんですが。(^^);
そうすると、
「中世のフランス詩『ローランの歌』のなかに、カリフォルヌCaliferneという想像上の国が出てくる。一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボによるこの物語では、カリフォルヌはインド諸島の奥深くあるカリフォルニアCaliforniaという島になった。」
この文章の
「一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボによるこの物語では、」を「『ローランの歌』を基にしたスペインの作家モンタルボにより一五一〇年頃に書かれた物語では、」に替えれば、だいたいOK?
(1510年頃か、1500年頃かという問題はありますが)



追伸

GAUCHA (2001/08/19 12:11)

もちろん、この文章の前に、モンタルボが書いた物語というのが既に話題として提示されているのだろうと想像してのことです。



RE:カリフォルニア

GAUCHA (2001/08/19 11:26)

P96
「中世のフランス詩『ローランの歌』のなかに、カリフォルヌCaliferneという想像上の国が出てくる。一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボによるこの物語では、カリフォルヌはインド諸島の奥深くあるカリフォルニアCaliforniaという島になった。」

・この文章では「中世のフランス詩『ローランの歌』」を「一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボ」が書いたと受け取れます。著者はいったい何考えてる?

私はこの本を読んでいないので、前後関係が分かりません。でもこの部分を読むかぎり

中世のフランス詩「ローランの歌」をヒントにして、1510年にスペインのモンタルボが物語を書いた。その際、モンタルボは、「ローランの歌では」カリフォルヌだった地名をカリフォルニアに変え、インド諸島の奥深くにある島という設定にした。

と解釈できます。



アフリカ大陸最南端の岬の名(『地名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/08/19 09:55)

P90
8刷「彼らは喜望峰をまわって、羅針盤の針が北東に切り替わる最南端の岬をアガラスAgulhas(針)とよんだ。」

「羅針盤の針が北東に切り替わる」という表現がとても気になります。
一般的には羅針盤の針はつねに南北(磁極の)を指すはずですが。

ところで岬の名です。
9刷「アグリャスAgulhas」
10刷「アグーリャスAgulhas」
こんなことに気がつくのは私くらいのもんでしょう。(^^);



『地名〜』に関してマルチレス

松茸 (2001/08/19 02:12)

* 日本:
 massangeanaさま、ご教示ありがとうございます。
 やはり「ジパング」は当時(13世紀末)の北京音に由来するものでしょうか?

* Cherry:
http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/ptext?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0057%3Aentry%3D%2356739

http://www-ang.kfunigraz.ac.at/~katzer/engl/Prun_mah.html
など、アッシリア語"karshu"を語源とする説も発見しました。
 なお、BC74年説の根拠のひとつとしては、プリニウス『博物誌』の:
http://www.ukans.edu/history/index/europe/ancient_rome/L/Roman/Texts/Pliny_the_Elder/15*.html#102
| Cerasi ante victoriam Mithridaticam L. Luculli non fuere in
| Italia, ad urbis annum DCLXXX. is primum invexit e Ponto,...
があります(ローマ紀元680年はBC74年に相当)。
 もっとも、下記のページ:
http://www.city.sagae.yamagata.jp/cherry/cherry-road.html
のように異説もありますが。(^^;

*『ローランの歌』:
 Google検索で、電子化テクストページ:
http://www.umanitoba.ca/faculties/arts/french_spanish_and_italian/roland3.htm
を発見。"Califerne"が出ています。



カリフォルニア(『地名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/08/18 08:48)

「カリフォルニア」の語源です。

P96
「中世のフランス詩『ローランの歌』のなかに、カリフォルヌCaliferneという想像上の国が出てくる。一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボによるこの物語では、カリフォルヌはインド諸島の奥深くあるカリフォルニアCaliforniaという島になった。」

・この文章では「中世のフランス詩『ローランの歌』」を「一五一〇年頃のスペインの作家モンタルボ」が書いたと受け取れます。著者はいったい何考えてる?

・そもそも『ローランの歌』に「カリフォルヌCaliferne」は出てくるのか?

・後の版で「カリフォルヌCaliferne」は「カリフォルヌCaliforne」に変更されてるようですけど、「Califerne」じゃ「カリフォルヌ」って読めないですよね。

木村正史編著『アメリカ地名語源辞典』(東京堂出版)
カリフォルニア
「州名は1500年頃にスペインのガルシア・オルドニェス(Garcia Ordóñez de Montalvo)が書いた空想物語『エスプランディアンの偉業』(Las Sergas de Esplandián)の中にある California という島にちなんでいる。」
(ネスケの人、フォントが表示されないかもしれませんが、ごめんなさい。)

『地名の世界地図』と『アメリカ地名語源辞典』に書いてあること、ずいぶん違いますね。

UEJさんの「カリフォルニア」の項、まだ見てなかった。(^^);



RE:「アイヌ語正典」

nupkes (2001/08/17 22:48)

>ukakaは知りませんが、ukaでしたらあります。これは「堅雪」ですね。
>萱野辞典・中川辞典でしたら載っていたと思います。

両辞書に、確かにそのように記載されていました。

>upepe、もしくはupepe-wakkaはあくまで「雪解け水」もはずです。
>雪にはならないはずです。

 「アイヌ語正典」では、「掌に載って「溶けて流れる雪」」としていますので、少し意味が近いですね。これに対しての知見を、私は持っていません。

>実際にアイヌ語の会話なり口承文芸など実際のアイヌ語野文章を理解する能力は
>ないと思われます。

「アイヌ語正典」に対する評価が定まっていないことは、承知しています。ですから、私は、論文の引用には使用していません。
 
 ある地域における調査で、「siとmoの対」においては従来説では説明しきれないことに気づきました。ところが、このことに問題意識を持っている文献がないのです。
 唯一「アイヌ語正典」だけが、このことを問題にしているのです。また、この解釈で某地域の解釈が可能となるのです。驚くべきことでした。

 そのことに気づいたとき、数年後の論文には、このことを記載しようと思ったのですが、昨年末でアイヌ語地名調査を断念しましたので、日の目を見ることはないと思います。



「アイヌ語正典」

poronup (2001/08/17 11:44)

ukakaは知りませんが、ukaでしたらあります。これは「堅雪」ですね。萱野辞典・中川辞典でしたら載っていたと思います。
(今、手元にありません)

upepe、もしくはupepe-wakkaはあくまで「雪解け水」もはずです。雪にはならないはずです。

さてさて。
一部では支持を得ている『アイヌ語正典』(新泉社)ですが、まず、これは公刊された著作物ですから、引用するのは問題ないはずです。
著作健法の第32条にこうあります。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

私は件の本を通読してませんが、その中のいくつかの論考は読みました。まず気になったことを書きますと、この著者はアイヌ語を実際に聞いたりしたことがないのではないでしょうか。
実際にアイヌ語の会話なり口承文芸など実際のアイヌ語野文章を理解する能力はないと思われます。

例をあげれば、nupuriを頭の中で勝手に語義解釈してnupriなどと書いてます。これは考えられません。

確かに、論考の中に述べられている解釈や意見については興味深いものも含まれていますが、私はあまり信頼できる文献だとは思っていません。実際のアイヌ語とは関係なしに頭の中で作り上げられたアイヌ語解釈が多いように思えます。

ただ、最終的な判断は、全体を通読してから出すべきだと思うので一度通読してみようと思っています。ま、通読したとして評価が180度ひっくり返る可能性は低いと思いますが(笑)。

しかし、この本を評価する人がいるのも事実です。以前から気になっていたのですが。

nupkesさん、何でしたらこの本の評価について意見交換してみませんか?



RE:RE:アイヌ語と雪

nupkes (2001/08/17 08:12)

>「ある本」ってなんの本か知らないけど、その本の内容が問題なら初めからそう書けばいいんじゃないですか?

「ある本」とは、藤原聖明「アイヌ語正典」です。巻末に引用禁止となっているため詳しく書けないのです。
 この書籍の他の部分は、驚くほど刺激的で、なるほどと頷くことばかりです。
 しかしながら「雪」に関するここの部分は、他文献にては確認できないのです。

>nupkesさん、私よりもアイヌ語の資料多く持ってるはずだけど、なんで回りくどくこの伝言板に質問(?)してくるんですか?

私は、必要とする資料は、購入できるものは購入し、購入できないものは道立図書館でコピーしました。それでも、見逃したのか、「ukaka,upepe」は確認できません。
 他の内容から考えて、これを不正確とは考えづらいのです。
広く、教えを請うしかないのです。



RE:アイヌ語と雪

佐藤和美 (2001/08/17 07:16)

nupkesさん
>ある本にアイヌ語の雪として「upas,ukaka,upepe」が記載されていました。
>信頼性についてお教え下さい。

「upas」は「雪」で問題ないでしょう。

知里真志保『地名アイヌ語小辞典』(北海道出版企画センター)から。
upepe
「増水」
paykar-upepe
「春の増水;雪解に川の水が増すこと。」

「upepe」は「雪」じゃないですね。

「ukaka」は私の持ってる資料では該当なし。


ところで、nupkesさん、私よりもアイヌ語の資料多く持ってるはずだけど、なんで回りくどくこの伝言板に質問(?)してくるんですか?
「ある本」ってなんの本か知らないけど、その本の内容が問題なら初めからそう書けばいいんじゃないですか?



Re: 日本

massangeana (2001/08/17 01:25)

松茸さん:
地名の世界地図,すごい本みたいなので敬遠してます :-)
> 「アルファベット表記のジャパンJapanは、「日の出の国」を福建語で
>ジペンクオJih-pen-kuoとよび、唐代にはクオ「国」を省略してジーペン
>といったため。」

もはやどこからツッコんだらいいのかわかりませんが...
1. 福建語最古の文献は 16世紀のもの。時代錯誤もいいところ。
2. jih-pen-kuo はどう考えても福建語じゃないでしょう。いまのビン南語なら
  jit-pun-kok で,ぜんぜんちがいますね。
  jih の h が入声をあらわしたものだとすると,南京あたりの音でしょうか。
3. おっしゃるように,中国で「日本」という言葉を使ったのは唐代以降でしょう。
4. ジーペンはどうかんがえても現代北京音ですよね。



IPA

リュウ (2001/08/16 21:26)

どーも、リュウといいます。
先日、IPAのホームページらしきモノを見たのですが、・・・
英語で読めません・・。(現在中3)
あと、音が聞けるようなのですが、・・・
やはり、英語で読めません・・。
どなたか、音声記号を掲示していて、さらに音を聞かせてくれる
ホームページをご存知の方いませんか?(そんな都合のいいホームページ無いか・・。)
どうぞよろしくお願いします!!



チェリー(『地名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/08/16 10:33)

きのう、本屋で『地名の世界地図』12刷6月30日見つけました。
6月6日の大量指摘はどうも盛り込まれてないようです。

さて「チェリー」の語源です。

P25
「黒海沿岸には、この他にも、古代ギリシア時代に由来する興味深い町がある。現在はギレスンとよばれているが、当時はケラススCherasus(赤い実)とよばれていた。この地方特産の甘くて赤い実のなる林があることで知られていたからである。だからこの木の実も、ケラススとよばれるようになった。それを前七四年、ローマの将軍ルクルスがたいそう気に入り、ローマに持ち帰って栽培するようになって以来、ローマではこの実はケラシア、のちにフランス語でスリーズといった。さらにノルマン系フランス語でシェリーズ、そう、英語のチェリーcherry(サクランボ)である。」

・「ケラススCherasus(赤い実)」と書いてあれば、「Cherasus」という単語が存在して、その意味が「赤い実」だということになるけど。マユツバものですね。

・「ケラスス」が「赤い実」という意味だとしておきながら、「だからこの木の実も、ケラススとよばれるようになった。」とその実の名が地名に由来するかのように書いてるのはいったい?

・ギリシア語では「kerasos」、「Cherasus」じゃない。

・ラテン語では「cerasus」、どうやらこれが「ケラススCherasus」みたいですね。

・俗ラテン語では「cerasia」、これが「ケラシア」ですか。「前七四年」? この西暦あってるのかな? 「前七四年」に俗ラテン語って話されてた?

・フランス語、「ノルマン系フランス語」、英語、どれも「リー」と伸ばしてるけど、「チェリー」っていう日本語訛りにあわせた?

・「ノルマン系フランス語」ね。なぜわざわざ「系」入れてる?



アイヌ語と雪

nupkes (2001/08/16 10:18)

 ある本にアイヌ語の雪として「upas,ukaka,upepe」が記載されていました。
 信頼性についてお教え下さい。



選手宣誓

GAUCHA (2001/08/16 07:05)

甲子園大会の開会式の、選手宣誓で「正々堂々とプレーすることを誓います。」と言っていました。30年前は「正々堂々とたたかうことを誓います。」でしたよね。いつから野球大会の選手宣誓は「正々堂々とプレーすることを・・・」になったのか、ご記憶の方はいませんか。また、国体などの総合体育大会での選手宣誓ではどうなっているのでしょう。「プレーする」は球技ではよく使われるけど、もちろん相撲では使わないし、陸上競技や体操競技でも使われていないんじゃないかと思うのですよ。(何しろ日本に住んでいないもので)だから、総合的なスポーツ大会では「正々堂々と競技することを・・・」かなと予想しているのですが。



まだまだ『地名の世界地図』(その4)

松茸 (2001/08/16 01:38)

p.255上段 ウズベキスタン共和国:
 「ウズベクの語源は、十五世紀〜十六世紀のモンゴル帝国のひとつで、この地に定住したキプチャク汗国の君主ウズベクの名に由来する」
……民族名の由来としては成立するようですが;
・キプチャク汗国が成立したのは13世紀、ウズベクは14世紀の王であり、時代錯誤。
・ウズベキスタン地域はチャガタイ汗国→ティムール帝国の領土であり、キプチャク汗国が支配したことはない。
# 平凡社『世界大百科事典』の「ウズベク」の項を要約しようとして、失敗した
# ようです(あるいは、孫引きの伝言ゲームか)。

p.269下段 トルコ共和国:
 「トルコはチュルクが英語で転訛したもので」
……『大辞林』の「トルコ」の項:
http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search.cgi?MT=%A5%C8%A5%EB%A5%B3&search=%B8%A1%A1%A1%BA%F7&sw=2
では
| [(ポルトガル) Turco]
となっている。
# あるいは「Turk から Turkey が〈派生〉した」のつもりか?

p.270上段 日本:
 「アルファベット表記のジャパンJapanは、「日の出の国」を福建語でジペンクオJih-pen-kuoとよび、唐代にはクオ「国」を省略してジーペンといったため。」
……二方面に疑義が。
1) 「日本(にほん/にっぽん)」の「(ラテン)アルファベット表記」なら、やはり"Nihon", "Nippon"では?
 一方、「表記」"Japan"だけでは読み方は不確定(ドイツ語なら「ヤーパン」、とか)。
 massangeanaさまではないですが「ラテン文字は英語の独占物じゃないんですよー。」
2) こちらの方が重大ですが、唐代=中古音の時代に「ジペンクオ」「ジーペン」などという音があったのか? また、それが資料として残存しているのか?
 「日本(国)」の初出は(日中ともに)唐代とされているので、それ以前の用例があれば大発見のはずです……。



冬とアイヌ語

poronup (2001/08/15 20:59)

私の知っている範囲で書きます。
スキーやソリは、北海道で一般的ではなかったようですが、樺太では日常的に使われていました。

『知里真志保著昨集』(平凡社)に収められている「樺太アイヌの生活」(山本祐弘との共著)と『樺太アイヌ・住居と民具』(相模書房。絶版)に参考になる記述がありました。

スキーは、シトゥ(situ)と言っていました。形は現在のスキーにそっくりです。接地面にアザラシの皮を張っていました。北海道の場合、雪の上を歩くためのカンジキはありましたが、スキーはなかったようです。
現在のスキーは単なるスポーツですが、アイヌの場合は冬、狩りに行くとき履く実用的な意味のあるものだったそうです。
※ スキーについては、シト(sito)と書いてある個所もありますが、どちらが正しいのか分かりません。地方差か、聞き取り違いだと思います。


ソリは、犬ゾリを使っていました。木で作られたソリそのものはシケニ(sikeni)と言います。ただ、犬とつながれた状態のものはヌソ(nuso)と言いました。

有名な話ですが、1910年の白瀬陸軍中尉の南極探検隊に2人の樺太アイヌの隊員がいました。山辺安之助と花守信吉です。彼らは犬ゾリを引く樺太犬の管理係として活躍したそうです。彼らなしには南極点到達は達成できなかったでしょう。

そうそう。
冬と言えば、ダイアモンド・ダストがありますね。
千歳のアイヌ語では「クルッペ・イメル(kuruppe-imeru)」と言ったそうです。クルッペは「霜」、イメルは「稲妻」です。鮮烈で美しい表現だと思います。

ちなみに、これまた有名な話ですが、道東のアイヌ語で「氷」を指すrupは、分解するとru-p、溶ける・もの、です。日本語とは発想が逆ですね。水が凍ると氷になりますが、rupは溶けるものだからwakka(水)になるわけです。
もともとアイヌ料理であるルイベの「ル」も同じです。口の中で溶ける「食べ物(イベ=イペ)」だからルイベなのです。



RE:冬

佐藤和美 (2001/08/15 07:30)

アイヌ語、ひろってみました。

冬  マタmata
雪  ウパシupas
氷  コンルkonru/ルプrup
ソリ ソリsori

スキーはないですねぇ。そもそもスキー自体が昔はなかったですから。
ソリは日本語から入ったものです。
コンルも日本語から入った可能性大。



色+海

UEJ (2001/08/15 05:17)

以下、広辞苑より、
紅海:一種の藻類のために海水の色が紅を呈することがあるからいう
黄海:黄河の水の流入により黄色を呈する。
黒海:硫化物を含むので黒く見える。

由来は書いていませんでしたが、白海(ロシア北西部にある大湾)というのもあります。



Re: 紅海(『地名の世界地図』)

松茸 (2001/08/15 03:33)

* 紅海
『大辞林』の「紅海」の項:
http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search.cgi?MT=%B9%C8%B3%A4&search=%B8%A1%A1%A1%BA%F7&sw=2
『大英百科事典』の"Red Sea"の項:
http://www.britannica.com/eb/article?eu=109261&tocid=0&query=red%20sea
をはじめ、藍藻の死滅による変色が語源だというのが〈定説〉のようです。
 しかし『地名〜』p.203の「褐色の桂藻」には絶句。

* エリトリア
 どうも〈軍事占領が1885年・法的領有が1890年〉ということらしいです。
 ちなみに、以前に話題になった「バビロン捕囚」も、〈ユダ王国の征服が前597年(第一次捕囚)・イェルサレムの破壊が前586年(第二次捕囚)〉だそうです。  「敗戦の日」も、今日=8月15日(玉音放送・米英軍との休戦発効)か、9月2日(降伏文書調印)なのか、議論がありますね。



紅海について

未菜実 (2001/08/14 18:35)

紅海について、載っていたので、参考までに。^^;

「カルタゴ 消えた商人の帝国」
       (服部伸六 現代教養文庫 社会思想社)24p〜26p
--------------------------------------------------------------------------
幻の名著として名高い「十九世紀ラムース辞典」によると、シバの女王の国は「ヒミヤール族の国」とも称していたことが判る。
(中略)
ところでこのヒミヤール(Himyar)という語は、母音をはぶくとHMRという子音になる。セム語の系統の言語では子音だけを書いて母音はない。HMRには現代アラブ語でも「赤い」という色を表しているという話だ(ジャン・マル「フェニキア人と共に」)。そうすると、ヒミヤール人の居住地であった現在の南イエーメンの前面の海を「紅海」(英語でRed sea フランス語でMer rouge)と呼ぶのは偶然ではなさそうだ。
ギリシャ人はこれを「エリトリの海」と称したが、これも赤と関係があるということであり、ギリシャ人がフェニキア人を指して「ポイニックス」と読んだのもやはり赤い色という意味であるらしい。
ゲルハルト・ヘルムの「フェニキア人 古代海洋民族の謎」(関楠生訳、河出書房新社)によると、
「(赤い人びとを意味する)という説が正しければ、これらの新来者は、のちに世界的に名声を博する名を、すでにたいそう早くからつけられていたことになる。ギリシャ語のポイニックスも、はぼ「紫の国から来た人びと」、あるいはもっと簡単に「赤い人びと」と訳することができる。フェニキア人はいずれにせよ、たいていはカナン人と称していた アレクサンドロスがテュロスを征服した時代にもなおかつそうだったのである」とある。
カナーンと言う呼び名も、ヘルムによると、
「低地人を意味するか、もしくはアッカド語のキナフ、すなわち紫から派生したものであるとすれば、赤い人びとを意味する。」ということになる。
いずれにしても、フェニキア人には赤とか紫とかの色がつきまとっていつようだ。
通説によると、フェニキア人はアモリ人がシナイ半島を北上する民族移動の途次、カナーンの地にこぼれ落ちたものがその先祖ということになっている。
シバの女王の民がヒミヤール族と呼ばれて赤い色と関係あるとすれば、フェニキアもカナーンも赤い色とかかわりがあり、フェニキア人の出生の謎は「赤」がキーワードとも考えられそうだ。

--------------------------------------------------------------------------
では、何故、フェニキアと赤もしくは紫が関係するかと言うと、それは染料の「貝紫」がキーワードだと思います。
以下は私のメルマガの予定稿の一部です。
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★貝紫
古来から、ヨーロッパや日本では紫の色が珍重されてきました。

古代ローマ、ギリシャではアッキガイ科の貝の鰓下腺(さいかせん=パープル腺)から採れる紫色の染料、貝紫が珍重されました。
この紫は、シーザーの紫衣やクレオパトラの帆船などに使われたことで有名ですが、ローマ時代には凱旋将軍のみに許された色で、ローマが帝政になってからは皇帝の色とされました。
一枚のマントを染めるのに15,000個の貝を必要としたと言います。

この、高貴な緋紫の染料のもととなる貝紫を始めたのが、後にフェニキア人(緋紫の人々という意味)と呼ばれる人々です。現在のレバノンあたりに住んでいました。
彼らはアルファベットのもとになった、フェニキア文字の発明者としても有名ですね。後ローマと対決するカルタゴもフェニキアの殖民都市でした。
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きさらぎ (2001/08/14 15:00)

はじめまして。書き込みなんて初めてなんですが、ちょっぴり参加させてください。
私は今新潟に住んでいますが、地元は北海道です。北海道の厳しい寒さも雪も大好きです。
そこで、アイヌ語で冬に関する言葉を教えて欲しいんです!「雪」とか・・・あと「スキー」や「そり」なんてのもあったんでしょうか??



紅海(『地名の世界地図』)

佐藤和美 (2001/08/14 13:26)

『地名の世界地図』から「紅海」ネタです。

P204
「古代エジプト時代、砂漠をいいあらわす言葉はデシュレ(赤)から派生したデシュレトである。砂漠を越えた外国もデシュレトとよばれていたから、砂漠の向こうにある海の呼称は「赤い砂漠に囲まれた海」、つまり「紅海」なのである。
 ギリシア人たちはそれをそのまま意訳してエリュトラErythraeiといい、」

P279
「エリトリアState of Eritrea(中略)紅海の語源となったギリシア語のエリュトレムerythraeum「赤い」に地名接尾辞-iaがつき、「赤い土地」。一八八五年にイタリアが支配下におき、そう名づけた。」

・古代エジプト時代の言葉が語源だという根拠はなにか。古代エジプト時代の言葉は何語のつもりか。

・砂漠は赤いか? 紅海は砂漠で囲まれているか? 「赤い砂漠で囲まれた海」は赤くなくても「赤い海」というのか?

・著者は「デシュレト」が英語の「desert」(砂漠)と関係ありと言いたい?

・著者の中には「Nile」の語源が「ナイルはイル(川)に、ナという冠詞がついただけ、つまり「川」なのである」(P199)と書く人もいます。「古代エジプト時代の言葉」は詳しいようです。(笑)

・ギリシア語が「erythraeum」と「Erythraei」で語形が違う。

・エリトリア「Eritrea」の語尾は「-ia」じゃないけど、それで「地名接尾辞-iaがつき」と言っちゃっていいのか?

・イタリア支配以前に「エリトリア」という地名はなかったのか?

・イタリア支配は1890年から。

『コンサイス外国地名辞典』(三省堂)
「1890以来イタリアの植民地。」

数日前に「それにこの本の西暦は全てチェックしないと信用できない、というすごさ!」と書きましたが、これもその一例ですね。



Re: コモロ

massangeana (2001/08/14 01:12)

Web をちょっと眺めてみました。

 http://www.ai.org.za/html/Restricted/body_comores.html
 "Their name is a corruption of Jazair al-Komr (Islands of the Moon),
  the name given to them by Arab mariners. "

 http://www.getawaytoafrica.com/gateway_article.asp?FEATURE_ID=215
 "The islands were first visited by early seafaring Arabs who called them
  Djazair al Qamar (The Islands of the Moon), which has since been modernised
  into the French Les Comores and English, Comoros."

 http://www.action-nationale.qc.ca/francophonie/comores.htm
 "Les Arabes nommerent l'archipel Jazayr al-Qamar (les 《 iles de la Lune 》)
  d'ou leur nom actuel de Comores."

 http://www.culture.fr/culture/dglf/ressources/pays/KM.HTM
 によると, 現在のアラビヤ語正式名称は「Jumhuriyat Juzur al Qamar
 al Ittihadiyah al Islamiyah 」, 略して「Juzur al Qamar」

jazair と juzur はいずれも jazira (島)の複数形なので, 「月の島々」みたいなん
ですが... 「月の山」という説もあるんでしょうね, たぶん...

青蛙さん:
>それにしても、“djebel”って、いつごろ、どこの転写でしょうね。
独立前はフランス統治下にあったので, たぶんフランス式なのでしょう。
フランス語では j は摩擦音なので, 破擦音を表すのに dj を使うのは自然だと
思いますし, a が e に近づくこともあったでしょうから, さほど変なつづりと
いうわけではありませんが, ただそれを日本語の本でそのまま使うのはちと奇妙
ですね。



まだまだ『地名の世界地図』(その3)

松茸 (2001/08/13 01:02)

* "al-qamar"
 アラビア文字が読めない(文字を識別できない)もんで、Web上のネタに依拠して書いたんですが……。m(_ _)m
 改めて調べてみたら、コーランの第54章がずばり"Al-Qamar"でした。

* モンタナ州
 州観光局(?)の公式サイトにもラテン語説が出ています。
http://www.visitmt.com/virtualvisitor/faq.htm
 ただし、「スペイン語地名を、州名に採用するときラテン語形に変えた」可能性も捨てきれないので、もっと資料を探してみます。

* サルディニア
 「イギリス England」のような《日本語での慣用+現地での公式地名》とみなせば、何とか許容範囲だともいえますが……。
 でも同頁の“Carthage Nova”は不可ですね。
 また、p.239上段・イタリアの項で「サルディーニャ王国」となっているのも、弁護の余地なし。

* 佐藤さま曰く:
> 203ページに「この紅海を機上から見る機会がたびたびあるが、」ってあるけど、石油買い付けの商社マンか?
……ネタ本の丸写し(『地名の由来を知る事典』他)のおそれもあるので、即断は出来ません。
 (英語以外の)外国語がダメというのは、今時の商社マンとしては少しまずいでしょう。

* ネタの追加です。

p.225下段 [首都]ハバナ:
 「San Cristobal de la Habana「ハバナの聖クリストファ(・コロンブス)」」
……(^^;

p.227下段 セントビンセント・グレナディーン諸島:
 「聖ビンセンチオはブドウ作りの守護神」
……同じページの「クリストファルス」は(指摘されて)直しているのに。
 「守護神」というと、「葡萄酒でもかぶって反省しなさい!」とかを連想します。(^^;

p.230下段 メキシコ合衆国:
 「メヒコとは、アステカ帝国の守護神メヒクトリMexictli「神に選らばれし者」という意味がある」
……下記のページ:
http://department.monm.edu/span326/Axoltl/levinson.htm
によれば、Mexictliの音写は「メシクトリ」。

p.234上段 [首都]アスンシオン:
 「一五三七年、スペイン人のファン・デ・サラサールが建設。正式名は[中略]Nuestra Senora de la Asuncio´n「聖母の昇天祭の日の我が聖母」」
……特殊アルファベットが不統一なのはともかく、疑義がいくつか。
・訳全体にはコメントしません(^^;が、nuestraを「我が」とするのは明らかな誤訳。
・スペイン語人名Juanの音写は「ファン」より「フアン」では?
・コロンビア百科事典の"Asuncio´n"の項:
http://www.bartleby.com/65/as/Asuncion.html
によれば、建設者に異説がある。

p.235下段 [首都]ラパス:
 「プエブロ・ヌエボ・デ・ヌエストラ・セニョラ・デ・ラ・パス「平和の聖母(マリア)のいます、我が新しい町」と名づけた」
……ここでもnuestraを「我が」とした上に、かかり方まで間違い。



Re:まだまだ『地名の世界地図』

佐藤和美 (2001/08/12 14:34)

青蛙さん
>> 今、文春のアルバイトで「世界地図」シリーズ第4弾の校正・校閲をやってます。
>今度こそ佐藤さんのお名前がクレジットされるんでしょうか。
>それとも例の「21世紀研究会」とやらと十把一からげにするつもりなのでしょうか。

私は「21世紀研究会」とは無関係です。
こういう本に名前が出てもあまり名誉じゃないですしね。(^^);
ちなみに私のやってるのはフツーの校閲で厳密な校閲ではありません。
出版後に厳密な校閲やったらどうなるかは、私の関知するところではありません。

さて『地名の世界地図』

14ページに「サルディニア島Sardegna」という表記があります。
カナとアルファベットの表記がアンマッチですが、この本のいたるところにカナとアルファベットの表記のアンマッチがあります。このアンマッチに関しては文春はなおす気は全くありません。この件に関してはいくら指摘しても無意味ということですね。

「21世紀研究会」のプロファイリングでもやってみるとおもしろいかな?
「歴史学、文化人類学、考古学、宗教学、生活文化史学の研究者たち」
語学、言語学の関係者はいないですね。
歴史学の研究者はいるようですけど、この伝言板見てる人でこれを信じる人はいるのかな?
ちなみに最近では「オスマントルコ」とは言わず、「オスマン帝国」と表記するそうですね。そんなことは「歴史学の研究者」だったら当然知ってるはずだろうけど、この本では「オスマントルコ」が山ほどでてくる。
それにこの本の西暦は全てチェックしないと信用できない、というすごさ! 「歴史学の研究者」のわけないですね。
203ページに「この紅海を機上から見る機会がたびたびあるが、」ってあるけど、石油買い付けの商社マンか?
で、私のプロファイリングでは、
大学で「歴史学、文化人類学、考古学、宗教学、生活文化史学」を勉強し、今では世界各国にいる商社マンたち
こんなもんでどうでしょう?(^^)



州名

UEJ (2001/08/12 12:53)

> # 以上二つ、UEJさまへ。(^^;
松茸さん、ありがとうございます。
ようやくRhode Islandのコインをゲットしたのでホームページを更新しました。
(http://home.att.ne.jp/green/uej/coins/50states/)
オランダ語説というのは私は知りませんでしたが、
www.50states.comには
「Possibly named in honor of the Greek Island of Rhodes
or was named Roode Eylandt by Adriaen Block, Dutch explorer,
because of its red clay. 」
と書いてありました。その他複数のサイトに同様の記述あり。

Montanaの語源に関しては私もスペイン語説をよく耳にしますが、
ランダムハウス英語辞典には
「州名の起源:"mountainous regions"を意味するラテン語の名詞から.」
と書いてあります。
# 「regions」というのは単に地名の語尾「-a」のことを指しているのだろうか?



Re:まだまだ『地名の世界地図』

青蛙 (2001/08/12 02:23)

松茸さん:
> 皆さんいい加減うんざりでしょうが、懲りずに続けます。
ぜーんぜん、懲りてません。どうぞこれからも存分にお続けください。

> なお、「預言」と「予言」とでは意味がちがう。
辞書を当たるまでもなく
「預言」とは「言を預(あず)かる」こと。
「予言」とは「予(あらかじ)め言う」こと。
ですね。預言の方はキリスト教での宗教用語のようで「神から」と主語がつくようです。
ですから、キリスト教でいう預言者とは「(神から)言葉を預かった者」という意味ですね。って、文字そのままやん。
まあ、預言というと、私なんぞは「モーセの十戒」くらいしか思い浮かばないのですが、これって「汝姦淫するなかれ」(あんさん、えっちなことをしてはいかんよ)といった戒めであって、別に未来のことを言っているわけではないので、必ずしも「預言」=「予言」とはならないんじゃないでしょうかね。英語(prophecy)やフランス語(prophecie)では両方とも同じなのでややこしい。しかも、「預言」を「予言」と言い換えているものもありますし。例えば、『研究社 英和大辞典』(第5版)prophecy の項。

>  「アラブ人が、ジェベルdjebel「山」とエル・コムルel komr「月」で「月の山」とした」
> ……ローマナイズは"kumr"とすべきだろう。定冠詞も"al"がよい?
「月の山」は、正則アラビア語なら英語式で jabal al-qamar (massangeana さんと同じ)もしくは jabalul-qamari ですね。それにしても、“djebel”って、いつごろ、どこの転写でしょうね。

> モンタナ
『研究社 英和大辞典』(第5版)でも
 |Sp. montan~a mountain land
とありますね。そのスペイン語の montan~a が、ラテン語 montana を語源としているのでは?
montana は mons(山、語根は mont-)の形容詞・女性形です。


佐藤さん:
私がこの板で『〜の世界地図』を知ったときは、方々の書店を探してやっと入手したのですが、今ではどこの本屋でも平積みになっています。売れているらしい。

> 今、文春のアルバイトで「世界地図」シリーズ第4弾の校正・校閲をやってます。
今度こそ佐藤さんのお名前がクレジットされるんでしょうか。それとも例の「21世紀研究会」とやらと十把一からげにするつもりなのでしょうか。



月は

massangeana (2001/08/11 15:12)

古典アラビヤ語だと qamar です。「月の山」なら jabal al qamar。
(ローマナイズのしかたにもよるでしょうが...)



まだまだ『地名の世界地図』(その2)

松茸 (2001/08/11 02:16)

 〈言葉〉と関係の薄い箇所(単純誤記・地図の誤りなど)はオミットしますが、それでもなお……。

p.116:
 「公州を流れる錦江{クムガン}も百済時代には熊津{クムガン}とよばれていた。」
[ルビを{ }で囲んで表示しました]
……「ガン」は「江」の朝鮮式音読みなので、「熊津」に「クムガン」と振るのはおかしい。
 なお、『日本書紀』の雄略紀二十一年三月条に「久麻那利」(古訓「こむなり」)という地名が出てきますが、熊津をこれに当てる説もあります。

pp.191-192:
 「コモロ諸島[中略]地名は、[中略]アラブ人が、自国語でエル・コムルel komr(月)とよんだことによる。」
p.281下段 コモロ・イスラム連邦共和国:
 「アラブ人が、ジェベルdjebel「山」とエル・コムルel komr「月」で「月の山」とした」
……ローマナイズは"kumr"とすべきだろう。定冠詞も"al"がよい?

p.201:
 「リオ・デ・ラス・アマゾナス(アマゾネスたちの川)」
……ギリシア語「アマゾネス」は「アマゾン」の複数形なので重言。
 また、スペイン語だから「アマソナス」と音写すべき?(乞ご教示)

p.223上段 モンタナ:
 「Montana ラテン語でモンタナ「山の多い」」
……『コロンビア百科事典』の"Montana"の項:
http://www.bartleby.com/65/mo/Montana.html
| Montana’s very name is derived from the Spanish word
| montan~a, meaning mountain country.
をはじめ、スペイン語起源説をとる文献もかなりあります。

p.223上段 ロード・アイランド[略]:
……肝心の「州名の語源」が書かれていない!
 オランダ語説や「ロドス島」説があるようです。
# 以上二つ、UEJさまへ。(^^;



鯛に追加

未菜実 (2001/08/10 15:27)

鯛に追加 ^^;
 タイと和名のつく魚は200種を越えるそうです。
 一方、わが国のタイ科の魚は9種ほどだそうです。



Re:ふしぎな話

未菜実 (2001/08/10 14:06)

魚の関係だけでも、いろいろあります。気のついたところで。。
クジラは魚で無いのに鯨。

チョウザメはサメの仲間ではありません。
 サメは軟骨魚類、チョウザメは原始的な硬骨魚類。

 なお、蛇足ですが、、登竜門を登る鯉は竜に化するとの言い伝えがありますね。「竜門」は中国の黄河上流の急流です。
 この伝説の元は「三秦記」と言う本です。そこには黄鯉魚と出ているんだとか。 この黄鯉魚は実は鯉ではなくチョーザメのことだそうです。
 このチョーザメは一年の決まった時期に黄河を遡上したとか。

ヤツメウナギに至っては、ウナギの仲間どころか、真の魚の仲間でもありません。
 ヤツメウナギは無顎類で魚以前の特徴をもつ動物です。
 普通の魚は軟骨魚類、硬骨魚類など

そう言えば〇〇ダイなんて鯛の仲間でないのが多いようですね。^^;



「世界地図」について

佐藤和美 (2001/08/09 12:07)

『地名の世界地図』ですが、5月15日に11刷が出たのを確認してますが、その後の版は見かけないですねぇ。
6月6日に大量に間違い・疑問点を指摘してますので、それが盛り込み済の版が出たら買おうと思ってたのですが。

今、文春のアルバイトで「世界地図」シリーズ第4弾の校正・校閲をやってます。
今回は「地名」、「人名」と違って言葉とは無関係なので、出版されてもこの伝言版で取り上げることはないと思います。
内容は…… ノーコメントです。(^^);



まだまだ『地名の世界地図』(その1)

松茸 (2001/08/09 00:52)

 皆さんいい加減うんざりでしょうが、懲りずに続けます。
# ご存じない方は特集ページをご覧下さい。

 第九刷をテクストとしました。そろそろ新刷に買い替えるべきか? (^^;


p.18:
 「オリンピア[中略]この地名は、ギリシア語ではないがインド・ヨーロッパ語族のものとわかっているので、太古に、はるか東の文化が影響したと考えられるものの、意味などはわかっていない。」
……「意味などはわかっていない」のに「インド・ヨーロッパ語族のものとわかっている」と断言する根性に◎。
 また、「太古に」云々は〈印欧語族の原郷問題〉を念頭においているようですが、この文脈で持ち出すのはまずいのでは? >ご専門のみなさん

p.22:
 「筆記用の革を[中略]ローマ人はペルガメナスとよぶ。」
……Pergamenusの読み損ないだが、「羊皮紙」の意味では女性形Pergamenaを専用するので、二重の間違い。

p.22:
 「音楽、預言などを司る神ミレトス」
……既報の追加ですが、これは「音楽、予言などを司る神アポロンの息子ミレトス」の誤り……いや〈捏造〉ですね、もはや。
・参照 Apollodoros:
http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/ptext?lookup=Apollod%2e+3%2e1%2e2
 なお、「預言」と「予言」とでは意味がちがう。>青蛙さま

p.23地図:
 「……古代ギリシア人の世界観」というキャプションで、「イストロス川(ドナウ川)」などとしながら、「ドン川」は現在の名のみ。「タナイス川(ドン川)」とすべき。

p.24:
 「ローマ皇帝コンスタンティヌスが」
p.284下段 セントヘレナ島:
 「ローマ皇帝コンスタンティヌスの母へレナ」
……文脈で判るが、同名の皇帝もいるから「〜一世」・「〜大帝」としたい。

p.49:
 「ドイツとポーランドの国境を流れるオーデル川河口付近」
……建前上“国境問題は解決ずみ”になってはいるが、「下流において」「現在の」と限定しないとやはり危ない。

p.63:
 「紀元前一〇〇〇年頃、ボルガ川流域にいた遊牧民オノグル族Onogur」
……もちろん「紀元後」の誤り。

p.70:
 「スラブ人とは、ロシア、[中略]スロベニアなどの国に広く分布する人びとをいう。」
……初刷の「ロシア……スロベニアの人びとをいう」よりは改善されているが、〈定義〉としてはやはりおかしい。
 なお、初刷で「マケドニア」の代わりに「セルビア」が入っていたミスは未訂正。

p.75:
 「西スラブでも端にあるということから、「辺境の国」とよばれたウクライナ」
……ウクライナ語は東スラヴ語に属する。
 “ポーランドなど西スラヴ人から見た呼称”のつもりのようです。



新聞記事の情報です

未菜実 (2001/08/08 10:42)

この掲示板、アイヌに関する話題が多いので、興味がある人も多いかと思って、情報です。

今日2001.08.08の日経新聞 文化欄に
コタンの調べ歌い継ぐ
 アイヌ口伝の歌や「ムックリ」保存へ奔走
             安東ウメ子

と題する記事が載っています。



ふしぎな話

佐藤和美 (2001/08/08 06:54)

「サンショウウオ」って魚じゃないのに、なんで「ウオ」がつくんでしょう? ふしぎだ。

「カナヘビ」って蛇じゃないのに、なんで「ヘビ」がつくんでしょう? ふしぎだ。

「ウサギ」って鳥じゃないのに、なんで「羽」で数えるんでしょう? ふしぎだ。

こういうの他にありますか?



おぉ!合っている

胡志明(偽无)  (2001/08/07 14:53)

●massangeana様
 確かにそうですなぁ。(広東語までは調べる術は無かったが)
為になります。勉強なりました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/6737/



京都議定書

ふる (2001/08/07 10:38)

佐藤さんの仰るとおりです。



TCP/IPと京都議定書

佐藤和美 (2001/08/06 07:33)

IT関連で「プロトコル」といえばよくでてくる言葉ですね。
例えば「TCP/IP」といえば、「Transmission Control Protocol/Internet Protocol」の略で、「プロトコル」が出てきてます。
「Protocol」は通信の手順の取り決めですが、英和辞典で「Protocol」を調べるとその意味の一つに「議定書」が出ています。
「京都議定書」は英語で「Kyoto Protocol」っていうのかな?



「言葉の世界」伝言板7月分

佐藤和美 (2001/08/05 08:50)

 「「言葉の世界」伝言板7月分」を追加しました。



RE:アイヌ語

佐藤和美 (2001/08/02 12:04)

マナさん
>アイヌ語で「呼吸」とは、何て言うのでしょうか?

アイヌ語「ヘセhese」が「息をする」という意味です。



Re: 英語の複数形

朝倉勇一 (2001/08/01 05:25)

 田邉さん、massangeanaさん、いろいろ情報をありがとうございました。
これらの情報を分析するのに時間がかかる(能力不足による)のと、私の使った資料探しのためにしばらくペンディングということでご理解ねがいます。



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