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時代屋の女房

製作=松竹 
1983.03.19 
97分 カラー ワイド
製作 杉崎重美 中川完治 時代屋の女房 ビデオ表



⇒ 2013年11月、オーディトリウム渋谷にて
    展示ポスター

監督 森崎東
助監督 山田良美
脚本 荒井晴彦 長尾啓司 森崎東
原作 村松友視
撮影 竹村博
音楽 木森敏之
美術 芳野尹孝
録音 原田真一
調音 松本隆司
照明 飯島博
編集 杉原よ志
スチル 赤井薄且
 
配役  
安さん 渡瀬恒彦
真弓 夏目雅子
美郷   〃  
サンライズ・マスター 津川雅彦
ユキちゃん 中山貴美子
渡辺クン 趙方豪
今井さん 大坂志郎
今井さんの奥さん 初井言栄
トン吉のおやじ 藤木悠
トン吉のおかみ 藤田弓子
菊池松江 朝丘雪路
若者 沖田浩之
鈴木健一 平田満
平野旅館主人 坂野比呂志



       時代屋の女房  略筋  <野原編『森崎東篇』より>

 安さんは、大井三つ叉歩道橋のそばで<時代屋>という骨董屋をやっている。女房の真弓はある日突然猫の“アブサン”をあずかってくれとやって来て、彼女もそのまま居ついてしまったけれど、姓も年も、どこから来たのかわからない。家出癖があって、時々いなくなるが、一週間ぐらいで帰って来る。
 安さんには近所にいろんな友だちがいる。クリーニング屋の今井さん、喫茶(サンライズ)のマスター、(トン吉)って飲み屋の夫婦。今井さんの奥さんが売りに来た古いトランクの中から昔の汽車のキップが出てきた。昭和十一午二月二十六日の日付、安さんキップを返しに行ったら、翌日今井さんがトランクを買い戻して行った。以来今井さん何となくウキウキ、ゾワソワし始める。なんでも、四十六年前に今井さんが亭主持ちの女とかけ落ちし損った時のものなんだそうだ。五十過ぎで独身、遊ぴ人のマスターは、ウエイトレスのユキちやんとデキてたが、遊ぴが過ぎて店がつぶれ、従業員の渡辺クンとユキちやんは解雇される。
真弓がまたいなくなった。そういえばその日若い男がたずねて釆たっけ。今度は帰って来ないんじやないか、安さん考えながらトン吉で飲んでたら、カーリーヘアの美郷が入って来て、みんなと「少女A」の替え歌うたってドンチャン騒ぎ。なりゆきで安さん、美郷と寝たら、意外にもバージンで。彼女、結婚しに明日盛岡に帰るんだという。彼女に頼まれて安さん、大井町のホームを端まで走って、手を振って見送った。
 真弓から「のぞきからくり売ってくれる」って電話がマスターに入った。小樽まで都落ちするマスターも乗せて、盛岡へとライトバンを走らせる安さん。前に真弓と行ったことのある旅館に着いたら、真弓らしい女が若い男と少し前に泊ったという。安さんが五衛門風呂に入ってたら、いきなり「女房がお世話になりました!」と、中学の体育教師だって男に挨拶された。さては真弓の?と思う間もなく、マスターまで、「真弓ちゃんの胸の下のホクロにホレてた」なんて告白され、三人、シッチャカメッチャカのズブぬれとなり、判明したことは、体操の先生は美郷の結婚相手で、美郷は東京の人が好きになって結婚したくないっていってるという。もひとつ、宿の婆さんがモウロクしてて、真弓が若い男連れだったのは数ケ月前のことで、ニ、三日前は一人だってこともわかった。
 のぞきからくり乗せた安さんのライトバンが東京に入ったところで、この間真弓をたずねて来た若い男のライトバンとばったり。ラーメン食べながら話を聞くと、若い男の母親がガンで死んだ日、真弓と寝た。団地の主婦売春だと思ったが、忘れられず、ちり紙交換やりながら探してた。やっとみつけたけど、つきあってくれないとわかり「俺の死ぬところを見届けてほしい」と線路へ。彼女本気にして、彼女の方が列車にひかれそうになった。その後ラーメン食べて別れたきりという。ラーメン屋の女の子が今は恋人で、明るい顔してる彼。
 <時代屋>では、ガラスエ芸家だった父の元弟子で義母の松江が待っていた。父が死んだのだ。安さんの母が死んだ時来なかった父、「あなたが葬って下さい」と安さんはいぅ。松江は父より安さんの方が好きだった、店にあるぺルシヤのなみだ壷は実は自分が作づたもので、いつか安さんの涙を入れてほしかったという。「この間の女の子はどうしたの」松江が指さす方を見ると旅立つ前、連絡先を書いてった板片に「やっぱり盛岡に帰ります美郷」とあった。やれやれ。トン吉に飲みに行くと、今井さんがションボリしてる。久し振りで法事があって宮崎に帰った今井さん。会うのを楽しみにしてたかけ落ちの相手は杖ついて、白い髪だったんだって。<サンライズ>は<サンセット>って名を変えて、渡辺クンとユキちゃんが新規開店した。若い二人の嬉しそうなこと。真弓はやっぱり帰って釆ないのかな、安さん落ちこみかけた時、二階の窓から顔出してるアブサンを発見、アブサンの視線をたどると歩道橋の上を、初めて来た時のように銀色の傘をくるくる廻しながら歩いてきた真弓は、少しも悪ぴれず、にっこり笑うと「安さん!」と傘を高くあげて合図した。


時代屋の女房 ビデオ裏
時代屋の女房ビデオ箱