研究テーマ->ジャンル研究->民族音楽->スコットランド音楽
各民族音楽の特徴をとらえ、自動作曲や自動編曲を利用したコンピューター・ミュージックで再現するということを試みています。このページ ではコンピューター・ミュージックで各民族音楽の 特徴をもった曲の作成を行うという観点から、特に留意した点を中心にして紹介しています。  
特徴
スコットランドの音楽から、まず最初に連想されるのは、バグパイプでしょう。もともとバグパイプはアイルランドから伝わった楽器で、さらに古くは中東に起源があると言われています。(アフリカのガイタ呼ばれる楽器もバグパイプの一種です。)バグパイプだけでなく、地理的に近いアイルランドとは音楽的な類似性も多くみられます。バグパイプは、MIDIの音色として用意されているのですが、これをそのまま鳴らしても、スコットランド音楽っぽく聞こえません。そこで、「自動作曲システム」では、メロディーのそれぞれの音の前に、半音下、あるいは、上の装飾音をつけてみました。こうすると、バグパイプのボタンを押している感じがでます。音階は、やはりペンタトニックで、「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」が使用されます。沖縄音階のように、半音が入っていないので、どちらかというと、明るい感じになります。次に、ベース音ですが、スコットランド音楽では、ある単一の低音が鳴りつづけます。 (通奏低音と呼ばれることもあります。)これを、上で書いたようなメロディーと一緒に鳴らして見ると、かなり感じがでます。ドラムは、マーチ(行進曲)に使えそうなのを1つ作って、ひっつけてみました。ワンパターンで すが、それなりの雰囲気がでます。
スコットランドの民謡を演奏する際、「スコッチ・スナップ」という装飾音、あるいはリズムで演奏することがあります。「スコッチ・スナップ」というのは簡単に言うと、次のようなものです。たとえば、メロディの中の音の1つに4分音符のものがあったとします。これを16分音符と付点8分音符の2つに分割し、前のほうの音を装飾音とします。付点8分音符は、もとと同じ音高を使用します。前の16分音符の音高は、さらに1つ前の音と同じ音高か、あるいは、1つ前の音と、次の音の間の音をつなぐ音高にします。 (通常、4分音符を分割する音の組み合わせの場合は、前の音が付点8分音符、後の音が16分音符になることが多く、スコッチ・スナップのような逆の組み合わせは珍しいと言えます。)たとえば、「ド〜〜〜ミ〜〜〜ソ〜〜〜」というメロディがあったとします。「ミ〜〜〜」の部分に「スコッチ・スナップ」を入れるとすると、「ド〜〜〜ドミ〜〜ソ〜〜〜」や「ド〜〜〜レミ〜〜ソ〜〜〜」のようになります。
スコットランドの音楽の自動作曲は、リズムを工夫すると、さらに、それっぽくなると思いますので、「
自動作曲システム」の今後の課題にしたいと思います。
音階
スコットランドの音階は、いわゆる陽音階 「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」 と言われています。本当にそうなっているのかを幾つかの曲で調べてみました。
結果として、ドレミファソラシドのうち、「ファ」の音はほとんど使用されないということは言えます。「シ」の音もあまり使用されませんが、使われることもあるという感じでしょうか。 ちなみに、スコットランド音楽と近いイメージがあるアイルランド音楽では、スコットランド音楽よりも「シ」の音が使用される傾向が多いようです。興味のある方は、アイルランド音楽のページも参考にして比較してみてください。 「シ」は使うけど、「ファ」は使わないという傾向は
アンデス地方の音楽 同じです。
(集計はプログラムで機械的に行っていますので、装飾音などのために、多少、不正確になっている可能性があります。また、どの曲がスコットランドの曲で、どの曲がアイルランドの曲なのかよく分からない場合があり、選曲に間違いがある可能性もあります。間違いに気付いた方はページ下の郵便アイコンで表示されるフォームで連絡していただけると助かります。)
  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
蛍の光 29 0 14 0 23 0 0 16 0 18 0 0
アニー・ローリー 29 0 21 0 22 0 0 9 0 10 0 9
故郷の空 17 0 15 0 21 2 0 36 0 9 0 0
楽器

バグパイプ 複数の管がついている楽器です。
自動作曲ソフトによる再現
自動作曲システムのスコットランドの音楽スタイルでは、バグパイプの音を陽音階で演奏するようにしています。
自動作曲システムによるサンプル曲
 
     
有名な曲
関連リンク
バグパイプの曲をMIDIで聞きたい人は、「Laura's MIDI Heaven!」(英語サイト)の「Scottish Traditional Midi」のページに行きましょう。ページの左上にある「Amazing Grace」という曲を選んでクリックしてください。典型的なバグパイプの曲が聞けます。

   
 
書籍とCDの紹介
ラフ・ガイド・トゥ スコットランド音楽 というCDでスコットランドの音楽を聴くことができます。

スコットランド 旅する人々と音楽 (はじめて音楽と出会う本) はスコットランドの音楽について書かれた書籍です。