デビッド・アレンはおそらく現役モデルアニメーターの中では最も優れた人物の一人であろう。しかし必ずしも「最も優れたモデルアニメーター」と「優れた作品をたくさん作っている」ということはイコールでは結ばれない。
アレンとオブライエンやハリーハウゼン達との決定的な違いは、アレンが映画史に残るような名作を作っていない点が挙げられる。また、アレンはあまりにもつまらない映画に参加し過ぎている点も挙げられるだろう。
しかし実はアレンは80年代に数多くの大作に参加している。例えば「トワイライトゾーン」、「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」、「ゴールデン・チャイルド」、「ニューヨーク東8番街の奇跡」、「ウィロー」などがある。しかしそれ以前は低予算SF映画やパロディ映画に多く参加し、90年代以降はロジャー・コーマンと並ぶほど悪名高いチャールズ・バンドのフルムーン・ピクチャーズで飼い殺しにされている。だが、アレンはあまりその状況を悲観していないようだ。何故か?実はアレンにとってはモデルアニメートをすることが全てであって、その作品の出来などはどうでも良いことのように思っていると考えられる。だから、低予算のろくでもない映画を量産するフルムーン・ピクチャーズはアレンにとっては定期的にモデルアニメートの仕事を与えてくれる素晴らしい会社のように思えているのかもしれない。
しかし最近では、ビデオリリースされたIMAXシアターで上映された「Special Effects」のキングコングのパート、さらには完成が待たれる構想30年のモンスター超大作「The Primevals」が控えている(でもフルムーンじゃどうなるか分からないな)などアレンの活躍はこれからだという雰囲気がちょっとだけ漂い始めているのも事実である。
がんばれアレン!
……と一生懸命エールを送っていたが、1999年デビッド・アレン氏はガンのために亡くなられました。享年54歳。未完の大作『The Primevals』は激安野郎チャールズ・バンドによって製作が引き続き行われることが約束されたのだが、いまだに完成の報は無い。とにかくアレンは働き尽くめであった。もっともアレンは自分の好きなモンスターたちを作り続けていたいたわけで、そういう意味では非常に幸せな生涯だったのかもしれない。とにかく安らかに眠って欲しいものである。合掌。