タンポポのせいくらべ

対象年齢:小学生未満からOK。
       1人でやってもつまらないから,観察会などに利用して,ワイワイ楽しんでください。


 春の花と言えば,タンポポ!
 タンポポを使って,いろいろ観察してみましょう。
 小学校に入る前の子供たちでも,じゅうぶんに楽しめる観察内容を考えてみました。

【用意するもの】
定規か巻尺。ルーペや虫めがねがあると,もっと楽しい。

【観察しよう】
 まずは,クイズを1つ。
タンポポの花は,花びらが何枚あるでしょう?

……正解は1枚!
 タンポポは,「集合花」と言って,花びら1枚1枚が,ちゃんと,おしべとめしべを持った,1つの「花」になっています。もし,タンポポの「集合花」から,花びらを1枚だけ残して,他の花びらをぜ〜んぶ取ってしまっても,ちゃんと,1つだけ種ができます。

 では,もうひとつ,クイズ。
タンポポの「集合花」1つには,何枚の花びらがあるでしょう。
がんばって数えてみてください。

ちょっとだけヒント。
 わたしたちが「タンポポ」と言っている花には,「セイヨウタンポポ」,「カントウタンポポ」など,いくつかの種類があります。種類によって,花の大きさが少し違うのですが,小さい花なら100枚前後,大きい花なら200枚ぐらい,花びらがあります。
 この花びら1つ1つが,種になるんですから,すごいですね。

 花びらを観察するとき,1つの花びらにおしべとめしべが,ちゃんとくっついているのを観察しましょう。どれがおしべでどれがめしべかな?


 これが,タンポポの花1個。いちばん下が,種になる部分(子房)。
 綿毛もついています。



 セイヨウタンポポの花を半分に切ってみました。
 花の構造がよくわかります。



 さて,タンポポは花が終わると,種を作ります。タンポポの種には綿毛がついていて,風で遠くに飛ばされるのは知っていますよね。そのとき,タンポポにはもうひとつ,種を遠くまで飛ばす工夫があります。

 タンポポは花が咲き終わると,いちど,茎をかたむけて,風の当たりにくい,低い場所で,種を作り始めます。そして,だんだん種が成熟してくると,こんどは,茎をどんどん伸ばして,種をできるだけ高い場所に持ち上げようとします。こうして,タンポポは,花よりもずっと高いところまで種を持ち上げて,風に乗せるのです。
 では,タンポポの花の高さと種の高さをくらべてみましょう。未成熟な種は,花よりも低い場所に,成熟した種は,花より高い場所にあります。


 3月頃のタンポポのようす。花の高さと種の高さが,おもいっきり違いますね。


 ところで,タンポポの茎は,どのぐらい長くなるのでしょう?
 気温の高い時期のほうが長くなります。
 タンポポが生えている環境条件にもよりますが,5月ごろには,1m近い長さの茎を持ったセイヨウタンポポが見つかることがあります。茎の長いやつは,もう,種が成熟して飛んでゆく準備ができているから,ちょっと失敬して摘んでも,ほとんどダメージにはなりません。子供たちが何人かいたら,誰が一番長いタンポポを見つけるか,競争してみるのも面白いかも。このゲームの最後には,集めたタンポポの種を,みんなでフーッと吹き飛ばして遊びましょう。


【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
 タンポポには,いくつかの種類があります。おおざっぱに分けると,日本に昔からある(在来種)黄色いタンポポ,ヨーロッパ原産の黄色いタンポポ,日本在来の白いタンポポの3種類。日本在来の黄色いタンポポは,分類学者によっていろんな説がありますが,いくつかのグループに分けられます。首都圏ではカントウタンポポ,近畿ではカンサイタンポポ,といった分けかたをしています。白いタンポポも何種類かあるのですが,シロバナタンポポが,いちばん普通に見られます。ヨーロッパ産のタンポポはセイヨウタンポポです(アカミタンポポと言う亜種などもありますが…)。どの種類のタンポポが,どんな場所に生えているのか,調べてみると面白いと思います。

 おまけのお話。
 セイヨウタンポポは,明治時代に,最初は「野菜」として日本に入ってきたんだそうです。
 食べてみる?(私は食べたことありますよ)

→「身近な自然で遊ぼう」目次へ
→Home