天然素材のシャボン玉

対象年齢:小学校中学年以上。
       おとなの人が手伝ってあげれば,小学生未満からOK。


 今のせっけんと同じようなものが日本に伝わったのは室町時代の,鉄砲伝来の頃。「シャボン」という名前も,ポルトガル語のsabao(シャボー),ラテン語のsapo(サボー)から来たものです。
 当時はまだ,せっけんは超高級品。今のように,「せっけん」が普及する前の江戸時代。人々は,米ぬかや灰汁を,洗剤として使ったり,サイカチの実やムクロジの実を泡立てて,せっけんのように使っていました。
 サイカチやムクロジには,サポニンという成分があり,これが,せっけんのように泡立ち,よごれを落とす効果を持っているのです。

 そして,江戸時代にも,シャボン玉遊びがありました。
 江戸時代のシャボン玉遊びを再現してみましょう。

【用意するもの】
・ムクロジの実またはサイカチの実
・お湯,耐熱容器,ストローなど


【やってみよう】

 ムクロジの実で,シャボン玉を作ってみます。

 まず,ムクロジの実をさがしましょう。
 ムクロジの木は,東北地方の南部より南に生える木なので,北東北,北海道の人はごめんなさい!



 たわわに実をつけるムクロジ。
 秋になると,黄葉がきれいです。
 実が落ちるのは,9月〜11月ごろ。



 実はこんな形です。
 熟すと黄色くなり,11月ぐらいには,しわが寄ってきます。
 中には黒くて大きなタネ。
 このタネは,お正月の羽根つきの羽に使います。
 シャボン玉の材料は,タネのまわりの「果肉」の部分。

 これにお湯を注いで,サポニンを溶かし出します。



 しっかり泡立っています。

 お湯の量は,ムクロジの実1個あたり,50〜100mlぐらい。濃い目に作って,少しずつ薄めながら,シャボン玉が作りやすい濃さに調節すると良いでしょう。

☆洗剤として使うときは,ムクロジの実の重さの400倍ぐらいの量のお湯で溶かします。




シャボン玉を作ってみましょう!


 サイカチで作る場合



 これがサイカチの実。長さ20〜30cmぐらいの,大きなさやを持つ豆です。



 これでも小さいほう。豆はそんなに大きくありませんが,さやがとても大きい。


 サイカチからシャボン液を作るときは,サイカチの実を,さやごと細かくきざんで鍋に入れ,10分ぐらい煮ます。サイカチはムクロジよりもサポニンが少ないので,水はやや少なめにします。サイカチを洗剤として使う場合は,サイカチの実の重さの300倍ぐらいのお湯で煮出します。



【注意】
・熱いお湯や火を扱うので,小学生以下の子は,大人の人といっしょに実験しましょう。
・サポニンは,粘膜を刺激する薬の成分として使われるものです。口の中に入れないように,気をつけてください。
・もし,ちょびっと口に入ってしまっても,中毒にはなりませんが,ものすごく渋い味がします。


【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
 シャボン玉はなぜ,できるのか?
 せっけんも,ムクロジのサポニンも「界面活性作用」という作用によって,水の膜をつくります。せっけんの成分とサポニンは,分子レベルではかなり違うものなのですが,特性が良く似ているので,サポニンがせっけんの代わりに使われています。

 また,サポニンは,その毒性を利用して,魚を取るのに使われることもありました。ムクロジの実を池に投げ入れ,魚が麻痺して浮き上がったのを取るのです(こうやって取った魚を人が食べても,中毒は起こしません)

 ムクロジやサイカチ以外にも,身近なものでサポニンを多く含むものとしては,エゴノキの実なども利用できます。

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