冬でも元気な虫をさがそう

対象年齢:小学生未満からOK。小さい子は,おとなの人といっしょにね。


 虫をさがすのは夏がいい?
 ところが,冬でも元気にうごいている虫がいます。
 冬にみられる虫は,夏にみられる虫と,ちょっと,ちがうようですよ。
 さ,冬の虫さがしに出かけましょう!


【用意するもの】
 ……あたたかい服装で出かけましょう。何も持っていかなくでもOK。虫めがねや図鑑があれば,もっと楽しめるでしょう。
 晴れてあたたかい日のお昼ごろに出かけましょう。

【観察しよう】
 虫の冬越しと言えば,卵や「さなぎ」かな?直翅目(ちょくしもく)……コオロギやバッタ,カマキリのなかまは,卵で冬を越すものが多く,卵をうむ場所も,土の中や草の茎の中など,寒くなりにくい場所が多いのですが,カマキリの仲間は,茎などに卵塊(らんかい)をうみます。卵塊には空気がたくさん入っていて,断熱材のようになっています。


 チョウセンカマキリの卵塊。スポンジみたいに見えるけど,けっこう固い。

 ところで,直翅目の中にも,成虫で冬を越す種類があります。ツチイナゴやクビキリギスなど。かれらは,秋に成虫になり,そのまま冬をすごし,春になるとふたたび活動をはじめて,卵をうみます。冬でも,あたたかい日には,すこしだけ動きだすことがあります。


 クビキリギス。これは「緑色型」ですが,枯れ葉と同じ色の「褐色型」もいます。

 成虫のまま冬を越す虫は,チョウのなかまにもいます。
 タテハチョウのなかまには,成虫で冬を越す種類が少なくありません。
 そのほかにも,ウラギンシジミやムラサキシジミなども,成虫で冬を越します。


 ひなたぼっこをするムラサキシジミ。
 体温を上げるために,はねをひろげる。

 冬に咲く花もあります。サザンカやツバキ,ヤツデ,シロダモ,ビワなど,さがしてみると,冬に咲く花って,けっこう見つかります。冬に咲く花は,だれに花粉をはこんでもらうのでしょう?
 ……ツバキなどの大きくて目立つ花は,おもに小鳥に花粉をはこんでもらいますが,ヤツデなどは,虫に花粉をはこんでもらいます。
 ヤツデが花をつけるころ,ハチはもう,活動していません。ヤツデの花粉をはこんでくれるのは,冬の日だまりぐらいの気温でも動ける,ハエやハナアブなどです。

 
 ヤツデの花のみつをなめるハナアブのなかま。鳥に花粉をはこんでもらうツバキは,鳥が見つけやすい,赤い色をしていますが,ヤツデの花は,ハナアブやハエに見つけてもらえればよいので,花びらはありません。

 わざわざ冬に羽化する虫もいます。
 身近な場所では,フユシャクのなかまが見つかります。
 フユシャクは,寒いときに羽化して,卵をうみます。
 はねがはえるのはオスだけで,メスは成虫になっても,飛べるようなはねがはえません。オスはメスの出すにおいをめざして,飛んでいきます。
 冬に羽化することの良い点はなんでしょう?……敵が少ないこと,虫の数が少ないので,メスを見つけやすくなることなどが考えられます。それにしても,真冬だけ成虫のあらわれる虫って,すごいですね。

 これは,1月に見つけた,フユシャクのなかま。
 木の幹にとまっています。
 前の日に雪がふって,木のまわりは雪でまっ白でした。


【もう少し観察してみよう】
 冬のあいだ,虫たちはどうしているのかな?……そんな素朴な疑問を解決するには,観察してみるのがいちばんです。
 図鑑を見ると,冬はどうしているか,説明の書かれている図鑑もありますから,それをヒントに,いろいろと探してみるといいと思います。
 この他にも,テントウムシやカメムシのなかまも成虫で越冬していて,落ち葉や木の皮のすき間などでじっとしている姿が見つかるかも知れません。もちろん,ちょっと暖かい日には,少し,動き出します。
 もし,田んぼで観察させてもらえるなら,田んぼの土を少し掘ってみると,ヤゴなどの水生昆虫の越冬が観察できます。
 また,雑木林の地面の腐葉土をめくってみると,いろいろな虫が見つかります。運が良ければ,カブトムシの幼虫も見つかるかも知れません。

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