9600bpsセミナー by JE1CVL


● (No.690) 9600bpsセミナー by JE1CVL (2010年12月27日)
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私(JE1CVL)にとって 9600bps は何とか使える状況になって来ていますが、今だ完璧
とはいきません。そこで 取り組み経過をまとめておく意味でも、自分自身へのセミ
ナーを開きます。とりとめもなく、極 少しずつ書いて行くことになると思います。

「9k6」 などと表現することがあります。 k(キロ) は千の意味で、そのまま 9600 で
すね。私、浦島太郎でこの「9K6」さえ何だろうと思ったことがあります。「bps」は
「ビットパーセカンド」 です。一秒間に 9600ビットの信号をやりとりする意味です。
アルファベットは 8ビットで一文字表せますので、一秒間に 1200字処理できるとい
うことになります(この辺、初歩中の初歩を書いてます。しばらく我慢) 9600baud
と表現することがあり、単に「ボー」と読みますが「Baud Rate」のことで、bps と
は異なる単位です。 デジタル信号をアナログの搬送波にのせて運ぶ時に用いられる
伝送速度の単位で、1秒間に何回変調・復調を行えるかを表します。(下記補足参照)

COM ポートの信号のやり取りの早さを表す時にも bps を使いますが、この場合には
38,400bps くらい平気で使っていると思います。 これはパソコンの能力ですから、
私が言わんとする「RF」、つまり電波に載せて使う場合の「Baud Rate」とは意味が
違います。「AFSK」なりで使う場合の 9600bps について解説しようとしています。


【9600bpsセミナーA】

音声レベルで聞く 1200bps は「ピギャー」ですが、9600bps は「サァーッ」です。
人間は 3,000Hz くらいまで空気振動が聞こえると言われていますが、ちょとそこま
ではムリでしょう。でも「8823海底人ハヤブサ」は「3万サイクル音の笛」を吹くと
助けに来てくれるのでしたね。(古い:これが分かる人は昭和20年代生まれ) 聞こえ
るかもしれない 3,000Hz の 3.2倍が 9600 ですから、人間の耳で聞き分けられるレ
ベルではありません。でも 仮に人間の耳が 9.6KHz の空気振動が聞きわけられると
したらどうでしょう。どんな風に聞こえるのでしょうか。それもそうですが いくら
HiFiスピーカーでも 9.6KHz が出るようには作ってないですね。おっと「HiFi」 最近
耳にしなくなりました。 横道へそれました。でもこの辺が肝心で、パソコン(以下:
PC) で Audio 信号を扱うのにサウンドカードを使いますが、いったい周波数特性は
どうなっているのでしょうか。実は 9600bps成否の鍵がこの辺に潜んでいるのです。
成否の鍵はいっぱいあってその一つに過ぎませんが...  PCにはオンボード(マザー
ボード内臓) のサウンドカード、PCIスロットなどに後付けするサウンドカードがあ
ります。


【9600bpsセミナーB】

9600bps を実験しながら実用化しよう というセミナーですが、忘れないうちに私の
経験から結論を先に書いておきましょう。 それは「最初にインターフェース(以下:
IF) ありき」です。 9600bps を完全に受け渡しする IF が出来てないと、Audio を
扱うサウンドカードの性能確認に進めません。では、早速 IF の話に入りましょう。
1回路ずつ入っていきます。まず無線機から 9600bps を引き出す。これは相手から
送ってきた 9600bps信号をデコードする場合のことです。 1200bps は、スピーカや
マイクロホンジャックに繋いで可能ですが、9600bpsは、無線機の Data端子(一般に
ミニDIN6ピンソケット)からでないと信号処理は無理です。YAESU (スタンダード),
ICOM とも Deta端子の接続は同じです。 4番ピンが 9600bps の信号が出て来るとこ
ろです。これにステレオプラグに繋いで、PC のマイク (もしくは LINE IN) に繋ぎ
ます。ステレオプラグは右左を繋いでモノラルにした形にします。 これだけの状態
で、9600bps の信号をデコードするかどうかの実験をします。10KΩのボリュームに
10μF の電解コンデンサを噛まして PC に繋ぎます。1〜10μF の間でコンデンサを
取り替えて実験します。私の場合 1μF で成功しています。 電解コンデンサの +
は、無線機側です。


【9600bpsセミナーC】

「9600pbs の信号はどこにある?」 デコード実験をするのに「9600bps」の信号が無
くては出来ません。方法は四つあります。 (1)関東では 144.640MHz で 9600bps の
APRS信号が盛んに流れていますのでこれを使う(ちなみに 144.660MHz で 1200bps)。
(2)9600bps の信号が出る専用無線機を用意する(TM-D710、TS-2000など)。(3)2台目
の PC とリグがもう一台がある場合には、そちらに 9600bps の信号が出せる環境を
構築する。モデルとしては「無線機+AGWPE+UISS」ですが、IFが先なのでこの環境
は無理がありますでしょうか。 (4)9600bpsが使えるハードTNC(TNC-505, TNC-555,
TNC-291G など)と、EXTERM で 9600bps を出せるようにする。

受信モデルは「無線機+AGWPE+UISS」とします。 まず 9600bps の受信だけですか
ら、AGWPE の baudレートを 9600bps に設定して UISS を立ち上げます。 信号は無
線機のデータ端子4番 → 10KΩ可変抵抗 10μF電解コンデンサ → PC のマイク端子
(ステレオプラグにモノラル接続したプラグ) という流れになります。UISSの画面に
9600bps の PACKETS が「サァーッ」という音とともにデコードされれば OK です。
デコードしない場合の調整点は,〔ア〕サウンドとオーディオデバイスの録音のマイ
ク音量調整,〔イ〕10KΩ抵抗の調整,〔ウ〕10μF電解コンデンサを低い値(1μF く
らいまで)へ順に変更して見る です。これ以外に調整点はないわけですが、解決し
ない時は、受信信号を目で見る方法があります。 AGWPE には「オシロスコープ」が
内臓されてますので、それで見ます。AGWPE の「Sound Card Tuning Aid」を開いて
「Osciloscope Style」 , 「Sine Wave」 にチェックを入れて波形を見ます。見た目1p
くらいの波形が振れていれば大丈夫と思います。





9600bpsセミナーD】

次は送信となります。先に PTT回路について述べますと、無線機のミニDIN 6ピンの
3番とアース間が PTT回路です。 RS232Cソケット(メス) の 7番へ繋ぎます。 5番が
アースですので、シールド線の網線をここに繋ぎます。 PTT の回路は Tr1個、小型
ダイオード 2個と、抵抗 2つのおなじみの回路です。

9600bps の信号をソフト TNC から送りだすのは、スピーカジャックからです。ステ
レオプラグをモノラルの形に結線して、無線機のミニDIN 6ピンの 1番に繋ぎます。
私の場合、直流成分をカットした方が良い結果が得られると思い、1:1 の音声トラ
ンスを使っていますが、入手困難と思われますので、最初はこれを使わないで 電解
コンデンサと抵抗を噛ましての接続で実験して見たらどうでしょう。

UISS は送信状態にする Key が三つありますね。Text/data, Position (Beacon),
Messege, それぞれ送信して 9600bps が受信できる環境で実験します。私の場合は
送信「AGWPE+UISS+FT-847」、受信「TM-D710」でデコードしています。








↑ 回路図を書く良いツールが見当たらないので、エクセルで作りました。お粗末ご
勘弁を... 9600bpsを送信する前段として無線機の設定も必要です。FT-847 の場合
MENU23番の PKT RATE を 9600 にします。私の場合、1200 のままでないと、なぜか
9600 が出て行かないという変なことが起きていますが...





 1cm^3



【9600bpsセミナーE】

9600bpsの場合「デコードはするが送信がうまく行かない」と言う人がいるかと思え
ば、「送信はするが デコードしない」と言う人がいます。どこかに原因があるわけ
ですので、一つひとつ潰して行くしかありません。

「受信」は、IF では抵抗とコンデンサだけなので、その数値を変えても変化なしの
場合は「サウンドカード」を疑うしかありません。思いきって 後付けのサウンドカ
ードを導入してみる手があります。「送信」も IF の場合では、無理に音声トランス
を使わなくても成功例はあるようですので、抵抗とコンデンサを変えて試します。
最後の手段として音声トランスを使う方法があると言うことです。なぜ サウンドカ
ードかと言えば、Audio信号を扱うのですから微妙な周波数特性によりリグとの整合
に問題があることが考えられるからです。

送信の場合、リグの設定でも注意する箇所が幾つかあります。 Baud Rate を 9600
にするのはもちろんですが、FT-847 の場合ではマイクゲインは「左いっぱいに回し
切る:ゼロ」などがあります。 APRS専用リグ TM-710 でさえ、9600bps では「スケ
ルチが開いたままでは送信しない」などの難点があります。

成功に導く順序としては、〔ア〕IF を適合させ,〔イ〕リグの設定をまちがいなく,
〔ウ〕ソフト部分で送受信音声レベルを調整、このようにして 精度を高めて行きま
す。あと ハードTNC にも注意書きがありますが、「ノイズ対策も忘れずに」と言う
ことです。 PC のモニターケーブルはノイズの発生源(アンテナ!)と言うことです
ので、IF のケーブルにはフェライト・フィルター(フェライト・コアー)を付けて
ノイズによる悪影響を取り除くようにします。意外と IFコードはモニターケーブル
の近くを走らせてしまっているものです。

私の場合、以上のようなことをして 9600bps での APRS Packets は動作しています
が、まだ完璧とまでは言えません。 さらに細部を詰めて、精度を高めて行こうと思
っています。

PTT は特に問題はないと思います。送信状態にならない場合は接続よりも AGWPE の
場合で言えば「Tx Master」のレベル調整です。上げ過ぎると送信しません。

最後に残されていることは、送受信ともアンテナのゲインを上げることです。 早い
話し、FM 音声であればホイップアンテナで UP 出来たとしても、9600bps のパケッ
トを上げるには無理があり、それはそのまま 衛星へ届く電界強度が低いことに他な
らず、ある程度の電界強度を持って衛星に電波が届かないことには 9600bps は Di_
gipeat してくれないのではないかと思っています。最後の最後はアンテナと言うこ
とです。

以上、取り留めもなくセミナーを続けて来ましたが、アマチュア衛星で 9600bps を
使ってデジタル通信する場面が増えて来ていますので、その関門としても 9600bps
使用環境の完成が必要なので考察した次第です。 まだ、説明不足の感もありますが
以上をもってこのシリーズ【おわり】といたします。

なお記述に当たり、「9600BaudRate」 と表現した方が良い部分がありますが、「DATA
スピード」 の意味で統一して「9600bps」を使いました。
 ☆☆☆ 9600bps については、JA0CAW佐藤さんにいろいろとアドバイスを
    いただきました。Tnx. ☆☆☆


《補足》


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