気象衛星 NOAA 受信方法


● (No.444) 気象衛星 NOAA 受信方法 (2005年 7月6日)
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本日(7/6)、気象衛星 NOAA からの信号を初めて受信しました。 本日の午前
のパス(10:50-11:05JST) で、NOAA-17 からの独特な信号音(137.620 MHz)を
初めて確認し、午後のパス(14:05-14:19JST) で、NOAA-18 から 画像データ
(137.9125MHz) を取得しました。 2012年現在、周波数は以下のとおり変更,
また 2014年3月現在、正常動作しているのは NOAA-15,18,19 の 3機です。


 アンテナ :APT-2CP (Hamtronics)
 受信機  :R139    (Hamtronics)
 受信ソフト:WXtoImg (Freeware)

 Weather Satellites
 NOAA-15 :  137.620  1702.500 MHz
 NOAA-17 :  137.500  1698.000 MHz
 NOAA-18 :  137.9125 1707.000 MHz
 NOAA-19 :  137.100  1698.000 MHz

 R139 Settings
 Channel 1, 137.100  MHz
 Channel 2, 137.400  MHz
 Channel 3, 137.500  MHz
 Channel 4, 137.620  MHz
 Channel 5, 137.9125 MHz

気象衛星 NOAA とは、米国海洋大気庁 (National Oceanic and Atmospheric
Administration) が所有する低軌道気象衛星のことです。

日本の気象衛星「ひまわり」は静止衛星と呼ばれています。「ひまわり」は
地表から 36,000km の距離にあり、地球を24時間で1周する軌道上にあるの
で、それで空に静止 (常に日本付近を観測できる) しているようにみえるの
です。それに対して気象衛星 NOAA などは極軌道衛星といわれ、地表から約
800km という低い軌道上にあり、約90分で地球を一周します。

NOAA 衛星は (2012年現在)15,18,19号が稼動しており、気象観測用の雲画像
だけではなく、地表の植生の分布状況の観測、オゾンホールの観測や海流、
海面温度、火山活動等の観測に成果を上げ、実用衛星として活躍しています。

NOAA のデータ伝送は、AVHRR (Advanced Very High Resolution Radiometer,
改良型高解像度放射計) で取得した画像データを、二種類の方法で、リアル
タイムに地上に送信しています。

一つは空間分解能 1.1km の AVHRR データをそのままデジタルデータとして
伝送する HRPT (High Resolution Picture Transmission, 高解像度伝送)、
もう一つは空間分解能を 4kmに落としファクシミリ信号のアナログデータと
して伝送する APT (Automatic Picture Transmission, 自動画像伝送) です。

APT は 137MHz帯 なので、無指向性アンテナと安価な受信機で受信ができま
すが、HRPT は 1.7 GHz帯 なので、パラボラアンテナと専用受信機が必要と
なります。

APT の無指向性アンテナとしては Hamtronics社の APT-2CP、受信機 R139、
指向性アンテナとしては WOODHOUSE COMMUNICATION社の APT-4x4A などが、
知られています。

http://www.hamtronics.com/
http://www.time-step.com/
http://www.view2earth.com/catalogue/hpyagis.html

解析ソフトウェアは、WXtoImg が標準として使われています。

WXtoImg 入手先 http://www.wxtoimg.com/downloads/
WXtoImg ヘルプ http://www.wxtoimg.com/support/ja_wxgui.html
WXtoImg 解説1 http://blog.livedoor.jp/ar5000a/archives/50189846.html
WXtoImg 解説2 http://blog.livedoor.jp/ar5000a/archives/50196402.html
WXtoImg 解説3 http://blog.livedoor.jp/ar5000a/archives/50190196.html

これらは、受信機からの音を PC のサウンドボードにマイク端子から入力し、
諸設定の後に、自動的にそれをデコードして画像に変換します。録音の機能
もあり、信号が入ってくると録音し始め、HDD に WAVファイルとして保存を
します。

特に、2005年5月20日に打ち上げられた NOAA-18 は、本日現在 137.9125MHz
(将来的には 137.100MHz) で送信しており、センサ1 (可視光線) とセンサ2
(近赤外線) が使用されていますので、例えば上記の WXtoImg ソフトウェア
において、"Vegetation (NOAA 1-2)" を設定すると、植物分布カラー画像が
得られます。

NOAA-18 は、先日まではセンサ1 (可視光線) とセンサ2 (近赤外線) が使用
されていましたが、最近では他の NOAA 衛星と同様に、センサ3 (熱赤外線)
に変更されました。そのため、夜間でも画像解析が可能になっています。

NOAA-18 を昼間に受信すると、MCIR と MSA 画像の両方が、綺麗に WXtoImg
ソフトウェアによって画像表示されることがわかりました。

  MCIR ... Map Colour Infra Redray
           NOAA衛星のセンサー4 の赤外線画像を用いて
           高い雲は白く、低い雲は灰色に、地表を緑色、
           海を青色にして雲を明るく表示する。

  MSA .... MultiSpectral Analysis
           NOAA衛星のセンサー2 とセンサー4の画像分析
           に基づき、どの領域が雲や地表か海かを判断
           して多重波長解析を行い、鮮明な疑似色画像
           を表示する。

次の URL(numbr44b.htm) の下段の、2005年 9月17日(MCIR) と 9月19日(MSA)
の画像を比較してみて下さい。MSA の方が MCIR より立体的に見えます。

http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr445.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr44b.htm


2007年 1月8日, NOAA-17 MSA 受信画像




2008年2月3日 02:20JST, 09:40JST


 
WXtoIMG update

気象衛星受信用ソフト WXtoImg が、Ver2.8.11f にバージョンアップしました。
今朝(2008年2月3日)の関東地方は大雪です。 昨日深夜(本日早朝) に受信した
NOAA-18 画像と 本日午前に受信した NOAA-17 画像に写っている雪雲の変化を
ご覧下さい(上図)。なお、この WXtoIMG Ver2.8.11f の使用に先立ち、諸設定
が必要なので、それを備忘録として記しておきます。


1.自局緯度経度設定  Options - Ground Station Location
2.記録フォルダ設定  Options - File Names and Locations
3.画像種類記録選択  Options - Auto Processing Options - Image Settings,Create images
4.画像品質設定    Options - Image and Movie Options
5.衛星仰角設定    Options - Recording Options
*.各設定保存     Options - Save Options
6.軌道要素更新    File - Update Keplers
7.受信開始      File - Record - Auto Record

  サウンドカード確認 Options - Recording Options
  コントロールパネル サウンドとオーディオデバイス - オーディオ - デバイス確認
            音声 - 音声再生 - デバイス - 音量 - オプション - プロパティ
                 音声録音 - 音量 - オプション - プロパティ
            音量 - デバイスの音量 - 詳細設定 - オプション - プロパティ
            オーディオ - 音の再生 - デバイス - 音量 - オプション - プロパティ
                 録音 - 音量 - オプション - プロパティ


 1.          2.          3.          4.          5.          6.          7.
      



WXtoimg の調整

WXtoImg の受信画像は、往々にして大きく斜めに表示されることがあります。
原因は、PC サウンドカードのサンプリング周波数の不一致にあるのですが、
このことについて、
http://www.wxtoimg.com/support/ja_wxgui.html

に詳しく対処方法が書かれていますので、その主要部分を次に抜粋します。

WXtoimg の調整をしましょう

より良い画像に必要なのは、受信場所の緯度と経度、最新の衛星軌道要素です。
それと、録音の音量調整も必要です。また、貴方がお使いのサウンドカードの
サンプル割合とサンプリング周波数を一致させましょう。
貴方は、一度だけこの周波数修正を行う必要があります。

実際のサンプリング割合

WXtoImg のサンプリング割合は 11025Hz です。しかし、貴方がお使いのサウンド
カードがごくわずかに早かったり、または遅いサンプリング割合になっています。
(例えば、11025.26Hz ならば、わずか 0.0026% だけ速いことになります。)
そこで、サウンドカードの水晶発振子の速度を WXtoImg に正確に教えましょう。
「斜めな画像の修正(サンプリング周波数の調節)」に詳しくあります。

斜めな画像の修正(サンプリング周波数の調節)

ここでは PLL を不使用にし、サンプリング割合をより正確に指定します。先ずは、
[Options] にある [Disable PLL] を選び、PLL を不使用にします。
次に、[Projection] にある [Normal] を選びます。

次に、[File] にある [Open Audio File...] から解析する録音記録を選んで下さい。
頭上を通過した NOAA 衛星の録音を使うのが良いでしょう。
(A,B の2チャンネルの画像が表示されます。)

解析された画像が表示されるのを待って下さい。表示された画像はドップラー効果
のために、上から下まで全体が斜めになっているでしょう。
PLL 未使用の場合にこれは正常です。

[Image] にある [Slant Correction...] を選んで下さい。画像上部を表示し、
画像中の斜線上でマウスボタンを押したまま、斜線の端まで赤線を引いて下さい。
斜線上にマウスポインタがあることを確認して、ボタンを放して下さい。

割り出されたサンプリング割合が表示されるでしょう。WXtoImg は、全ての衛星に
サンプリング割合を割り出します。この割合は未だ有効ではないので、
[Estimate and set sampling frequencies for all satellites] に印を付けて選び、
[Set] を押して下さい。

次に、[Options] にある [Disable PLL] の印を外して下さい。
(この機能を選んでいない状態にし、PLL を使います。)
再解析された画像は、真直ぐになるでしょう。

まだ斜めならば、[Options] にある [Disable PLL] に印が無いことを確認して
下さい。それでも画像がまだ傾斜するならば、もう一度上記の方法を再確認しながら
行って下さい。

最後に改めて、[File] - [Auto Process] として画像を再作成します。

WXtoImg を終えると、割り出したサンプリング割合の指定は、保持されます。
でも念のため、[Options] にある [Save Options] を選び、サンプリング割合を
保存しましょう。

衛星ごとにサンプリング割合を決めるならば、[Set only XXX sampling frequency]
に印を付けて選びましょう。厳密なサンプリング割合を必要とするのは、
Meteosat衛星 と Okean衛星です。
                                 (以上抜粋)


NOAA-19 打ち上げ

米国の気象衛星 NOAA-N-Prime(NOAA-19) が、2009年2月6日 19時22分JST
に打ち上げられました。 すでに、この NOAA-19 にも対応した受信ソフト
WXtoImg Ver 2.9.4 が公開されています。(137.9125MHz)

NOAA-19
1 33591U 09005A   09037.47464079 -.00000043  00000-0  00000+0 0    16
2 33591 098.7318 346.7380 0015655 243.2097 116.8530 14.10795454    03


http://www.nasa.gov/mp4/312237main_van_020609_noaa_launch_pod.mp4
http://www.f1afz.fr/satellites/sat_meteo/satellites_meteo.php
http://www.nasa.gov/mission_pages/NOAA-N-Prime/main/
http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/noaapice.htm
http://www.oso.noaa.gov/news/index.asp
http://www.dk3wn.info/p/?p=2658
http://www.wxtoimg.com/


NOAA-19 初受信画像 (Vegetation)

2009年2月6日に新しく打上げられた NOAA-19 を、初めて受信してみました。
(137.9125MHz, sensors 1 & 2, WXtoImg Ver2.9.4)
まだ初期運用なので、センサ1(可視光線)とセンサ2(近赤外線) を使用した
Contrast と Vegetation(植物分布画像) しかできません。いずれ近いうち
に、センサ3(熱赤外線) を使用した MCIR, MSA の運用がされると思います。


2009年2月11日 12:47-13:02JST, NOAA-19 初受信画像(日本中薄雲)




夜中の NOAA-19 (MCIR)

2009年6月4日 02:14-02:19JST, 137.9125MHz Elv 58
日本を横断する強力な雲の帯。梅雨前線のように見えます。




NOAA-19 は 2009年6月27現在、センサー2, 4 の通常モード(137.100MHz)
に変更になっています。NOAA-18 は現在 137.9125MHz です。

NOAA-18, 137.9125 MHz
NOAA-19, 137.1000 MHz
http://www.wxtoimg.com/support/

NOAA 18 / NOAA 19 Frequency Change
NOAA 18 and NOAA 19 changed frequencies on 23 June 2009, with NOAA 18 now
on 137.9125 and NOAA 19 on 137.10. If your copy of WXtoImg hasn't picked up
this change, see the Support section for more information on how to ensure
you pick up these changes automatically.

NOAA 18/19: Getting Frequency Changes
Start WXtoImg;
in Options -> Active APT satellites
    -> check box "Update this table when..."; Press OK;
then select: File -> Update Keplers; and
finally select: Options -> Save Options.

Getting NOAA 19 Kepler Updates
Start WXtoImg;
in Options -> Internet Options -> Select "Celestrak"; Press OK;
then select: File -> Update Keplers; and
finally select: Options -> Save Options.


NOAA-15 / NOAA-17 の周波数が、2010年10月12日に変更になりました。

NOAA-15, 137.620 MHz
NOAA-17, 137.500 MHz

NOAA 15 and NOAA 17 swapped frequencies on 12 October 2010, with NOAA 15
now on 137.620 and NOAA 17 on 137.500. If you haven't picked up the changes,
you should check Options -> Active APT Satellites, and ensure Update this
table when updating Keplers is selected. File -> Update Keplers will pickup
the new frequency changes. Options -> Save Options will ensure the frequency
changes are saved for the next time you start WXtoImg.


《参考》

http://www.wxtoimg.com/
http://www.hamtronics.com/
http://wwwb.pikara.ne.jp/matusita/
http://www6.ocn.ne.jp/~kkcy.sky/noaa.html
http://www3.sympatico.ca/konecny/weather.htm
http://www.nasa.gov/mission_pages/noaa-n/main/
http://noaasis.noaa.gov/NOAASIS/ml/status.html


《補足1》

NOAA 気象画像
137MHz preamp #1
137MHz preamp #2
137MHz preamp #3
NOAA-19 気象衛星
気象衛星NOAA using FCD + WXtoImg
気象衛星NOAAレシーバーの製作(CQ出版社)
NOAAレシーバー製作用部品フルセット(鈴木電子研究所)
気象衛星受信設備見積もり


《補足2》

HRPT (High Resolution Picture Transmission)

NOAA 15        1702.500  Omni HRPT Weak
NOAA 18        1707.000  RHCP HRPT Good
NOAA 19        1698.000  RHCP HRPT Good
Feng Yun 1D    1700.400  CHRPT
Feng Yun 3A    1704.500  RHCP 
Feng Yun 3B    1704.500  RHCP 
Feng Yun 3C    1701.300  RHCP
Metop-A        1701.300  RHCP AHRPT Good
Metop-B        1701.300  RHCP AHRPT Good
Meteor M N1    1700.000  MHRPT
Meteor M N2    1700.000  MHRPT
Meteor M N2-2  1700.000  MHRPT Good
Meteor M N2-3  1700.000  MHRPT
Meteosat-7     1691.000  HRPT
Meteosat-8     1691.000  HRPT
Meteosat-9     1695.150  HRPT
TATYANA2       1707.900  HRPT

http://sat.cc.ua/index.html
http://www.satsignal.eu/software/hrpt.htm
https://sgcderek.github.io/blog/beginner-hrpt-guide.html
https://gist.github.com/JVital2013/ed848cdd92900777eee849dc74186b2c



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