テレメトリデコーダー WDECPSK 翻訳


● (No.241) テレメトリデコーダー WDECPSK 翻訳 (2000年12月5日)
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衛星AO-40のテレメトリデコーダー『P3T』と、そのフォーマットの解説の入手先
については、以前 紹介したとおりです。

  http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/numbr135.htm
  http://www.cstone.net/~w4sm2/software2/P3t_AP.zip
  http://www.amsat-dl.org/p3d/tlmspec.txt

この P3T は、デモデュレータ-『G3RUH PHASE3 400bps PSK DATA DEMODULATOR』
を介して、リアルタイムに AO-40のテレメトリを解読するためのプログラムです
が、先日、フランスの AMSAT-F から、ハードウェアなしで リアルタイムにテレ
メトリを解読するためのプログラム『WDECPSK』が発表されました。 このシェア
ウエア・プログラム「wpskdec.zip」 は、次の所から入手することができます。

  http://www.ccr.jussieu.fr/physio/amsat-france/

本日、このプログラム『WDECPSK』のヘルプテキストの翻訳許可を AMSAT-F から
得ましたので、ここに紹介します。



F1HDD   Christophe Mercier 作成
F6BVP   Bernard Pidoux 著
JE9PEL  脇田美根夫 訳


                     『WDECPSK version 1.1a』

                a real time stand alone AMSAT-OSCAR 40
                        PSK 400 bauds telemetry
                   demodulation and decoding software


             リアルタイム スタンドアローン AMSAT-OSCAR 40
                       PSK 400 ボー  テレメトリ
                        復調・解読ソフトウェア


はじめに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 このソフトウェアは、衛星AO-40 から送信される 400 bauds PSK テレメトリを
コンピューターのサウンドカードを経由して受信し、 Windows 95-98-2000, NT 
上で動作します。オーディオ信号が、SSB/VHF 受信機から得られている間、テレ
メトリを完全に解読します。

 WDECPSK は、PSK復調に関する最も強力なアルゴリズムの一つを用いて、ノイズ
率の理論的な限界から それほど離れていない弱い信号の PSK でさえも、復調す
ることが可能です。


テレメトリ信号の説明
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 AO-40 のテレメトリは、位相変調とマンチェスター差分信号で 送信されます。
通常のテレメトリ フレームは、、4バイトの文字でロックされたフレームに続い
て 同期している約130個の 'P' の文字から構成されています。 このフレームは
512文字と、2バイトの CRC_16 から成ります。次のフレームも同じパターンで繰
り返します。 フレーム長の時間は、12.96秒 ( = 130+4+512+4)*8/400 ) です。
復調した後、フレームは 256個のバイナリー値に続く 256個の ASCII文字で表現
されます。 

 オーディオ周波数スペクトル(周波数領域)は、搬送波が復調されると 一つの谷
あるいは、二つの細い槍(ヤリ)に分けられた 二つの丘のように見えます。 中心
の谷は、全信号が 1600 Hz の幅の搬送波周波数に一致しています。

 (訳注:衛星AO-40が打ち上げられた直後の翌日11月17日に、FFTDSPプログラム
     を用いてこのスペクトルを受信し、gif形式に変換した画像ファイルを
     次の URL に登録してあります。まさに、このとおりの画像です。)
      http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/01117p3d.gif

 テレメトリ信号を受信するためには、信号を制限することを避けるために 適切
な周波数に調整された SSB VHF 受信機を必要とします。 中心周波数は、1200Hz
から 1800Hz の間になるでしょう。受信機を信号の中心周波数に調整する方法に
ついては、後で説明します。


ハードウェアの設定の準備
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 衛星がいつ可視範囲にあるか、衛星に向けてアンテナをどこに向けるか を知る
ために、衛星追尾プログラムを使用します。 VHF 受信機を、周波数 145.898MHz
の周辺に合わせ、受信モードは SSB にします。テレメトリは FMモードでは受信
できません。 AO-40 のビーコンを、音色がリズミカルに変化する 連続的な音と
して聞くことができるでしょう。

 テレメトリビーコンのオーディオ信号を認識する手助けとして、サンプル .WAV
ファイルを、この URL から ダウンロードすることができます。ファイルのアイ
コンをクリックすると、コンピュータの音声スピーカーで 音を 10秒間聞くこと
ができるでしょう。 もし できないならば、次の 必要な接続と設定の仕方 を読
んで下さい。


接続
 ̄ ̄ ̄
 コンピュータのサウンドカードのライン入力端子に、ケーブルと 受信イヤホン
ジャックを接続します。あるいは、コンピュータのマイクロホンを受信機の音声
スピーカーの傍に近づけます。すると、受信機の音をコンピュータの音声スピー
カーから聞くことができるでしょう。

 もし できないならば、Windowsアクセサリの "sound volume" または "Master 
volume" を使って、適切な入力をする必要があります。 この方法には、Windows
バージョンが関係します。このための早い処理は、スタートメニューをクリック
して Execute と Sndvol32 として OK をクリックすることです。この Sndvol32
は 二回実行しなければなりません。一回は 録音オプションのため、そしてもう
一回はこれを閉じずに再生オプションして、両方のレベルを調節するためです。
この後に 次の処理を行ないます。 もし Windows 98 であれば、次の Windows
メニューを順次開きます。

  スタート - プログラム - アクセサリ - エンタテイメント
                       - ボリュームコントロール

 アクセサリ ボリュームコントロールを開いて、オプションとプロパティを選び
ます。 そして録音をクリックします。 ライン入力は選択するべきです。また、
マイクロフォンボックスは、もし、AO-40 のビーコンの音を録音する必要がある
ならば選択します。 しかし その動作は、マイクロフォンを通して得られる異な
るノイズに対しては効果的ではないでしょう。

 そして OK をクリックします。 ボリュームコントロールアクセサリは、デスク
トップ上に残ったままでしょう。 カーソルは、オーディオ録音レベルに セット
されているでしょう。 

再び、次のようにします。 スタート - プログラム - アクセサリ - エンタテイメント                        - ボリュームコントロール 新しい "ボリュームコントロール" アクセサリを開いて、オプションと プロパ ティを選びクリックします。 そして、再生を選択します。 ボリュームコントロ ール、WAVE、ライン入力を選択し、OK をクリックします。 ミュートボックスと 全ミュート を選択していないことを確認します。 もし必要ならば、カーソルで オーディオレベルを調節します。 これで コンピュータの音声スピーカーから、 受信機の音を聞くことができるでしょう。 もし できたならば、次に進んで下さ い。 接続を調べなくてよいかどうか。 例えば ステレオジャックの場合、白RCA プラグは単一管(MONO canal)と同一で す。 これでまた、WAV音声ファイルのアイコンをクリックすると、その音を聞く ことができるでしょう。 ソフトウェアの設定  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ まず、WDECPSK.ZIP を ハードディスクの中のディレクトリにコピーしなければ なりません。そのファイル群を、UNZIP ソフトウェアを用いて解凍して下さい。 ウィンドウの中でディレクトリを開くと、次の 6個のファイルがあるでしょう。 wpskdem-fr.htm と wpskdem-en.htm は (英語とフランス語の) HTM型式の この ドキュメント、wpskdem-fr.txt と wpskdem-en.txt は テキスト型式、Wdecpsk. hlp は ヘルプファイル、Wdecpsk.exe は プログラムです。 このプログラムを 何度もすぐに実行させるために、WDECPSK のショートカット をデスクトップ上に作成することを推奨します。ショートカットを作るためには wdecpsk 上で右クリックして、アイコンをデスクトップ上にドラッグします。そ して、"ショートカットの作成" をクリックします。 もし WDECPSK を実行させたければ、デスクトップ上のアイコンをクリックする だけで大丈夫です。 今 それをしてみます。 WDECPSK は実行され 最初のウィン ドウが開きます。

テキストを読んで下さい。 もし、私たちのマイクロプロジェクトの援助として このプログラムに対する寄付を、AMSAT に送ってくれれば、貴局のコールサイン (Indicatif) とともに入力する登録番号キー(コード)を、受け取ることができま す。 もし これをすれば、貴局の p3d ファイルは 'WDECPSK NOT REGISTRED' と いうメッセージは示されなくなるでしょう。しかし、このバージョンでは、バグ の可能性以外は、既に制限なしに全ての動作をします。 OK をクリックすると、 WDECPSK のメインウィンドウが開きます。 受信機を、衛星AO-40 のビーコンに合わせ、Start と FFT をクリックします。 すると、FFT (Fast Fourier Transform 高速フーリエ変換:信号の周波数を計算 する数学的手法) という表題の第二のウィンドウが開きます。不規則な赤い曲線 が(画面上で)踊っているのを見るでしょう。

赤い曲線は、オーディオ信号の任意の周波数の量、つまり 信号の周波数スペク トルを表しています。 そして 緑の垂直な直線もあります。 これが、この FFT ウィンドウの中で、信号スペクトルの二つの丘のだいたい真ん中にくるように、 (RIT を使いながら)無線機の周波数を繊細に合わせます。そうしたら、それ以上 無線機の周波数には触りません。 FFTウインドウの水平カーソルを動かしながら、赤い曲線の二つの丘の間の谷間 にある緑の垂直な直線を、ちょうど一列に並ぶようにします。この瞬間、VCO の ボックスに表示されている周波数は、1500 の周辺を示しているでしょう。 緑の直線の長さは、信号の大体のノイズ率を表しています。長いほど、WDECPSK は 信号の解読を良く実行するでしょう。 ひずみが生じないように、必要以上の オーディオを入れないようにオーディオレベルを調節して下さい。経験によれば 緑の垂直な直線は、ウィンドウの 2/3 の長さであるべきです。 今やソフトウェアは、VCO が 信号の中心周波数上でロックしている時に、テレ メトリの解読を始めるでしょう。Acquisition(捕捉) と Sync_car(文字同期) の ボタンは、ソフトウェアが文字の解読を実行している時に、黒点で表示します。 Sync_block(ブロック同期)ボタンは、文字ブロックの解読が良好に行われている 時に、表示します。 Raw Data または P3D 形式を選択することができます。 最初の場合は、デコー ドされないバイナリデータの形で リアルタイムに表示します。 後者は、AO-40 のテレメトリデータを、フレームが完全にデコードされた時に表示します。この 時、メインウィンドウにおいて人間が読めるメッセージで表示します。 デコードされた最新のテレメトリフレームにおける CRC (Cyclic Redundancy_ Check:循環反復チェック) が正常であるならば、プログラムは Last Frame CRC Valid ボタンに黒い点が入り、そうでない場合は Not Valid ボタンが 黒で表示 されるでしょう。

オンラインでテレメトリをデコードしている間、WDECPSK は コンピュータ内に 二つのファイルを作ります。 一つは DDMonthYearHHMMSS_p3d.tlm ファイルで、 後でオフラインで (例えば、DOS 上で動作する AMSAT-France DECPSK を使って) 衛星パラメータの解析のために読むことのできるテレメトリの生データからなる ファイルです。 もう一つは DDMonthYearHHMMSS_p3d.txt ファイルで、テレメト リパラメータをデコードした、人間が読めるファイルです。 WDECPSK のダウンロード  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ このソフトウェアは、AMSAT-Franceの SATEDUマイクロ衛星プロジェクトを援助 するために配布されたシェアウェアです。10ユーロか、10 US $ の寄付をお願い します。 AMSAT-France 16, rue de la Vallee 91360 EPINAY SUR ORGE France 申し訳ありませんが 私たちは、VISA あるいは Master Card を使用した寄付金 は受け取ることができません。 もし アメリカに居住しているならば、AMSAT-NA が VISA あるいは Master Card で受け取ることができます。 この寄付について は、AMSAT-NA に問い合わせていただき、AMSAT-F SATEDUプロジェクトまで お知 らせ下さい。 Wdecpsk 1.1a - AMSAT-F - 2000年 12月4日 - F6BVP 《訳者補足》 衛星AO-40 のテレメトリデコーダー『WDECPSK』への寄付、およびその登録番号 の入手の仕方について、フランス AMSAT-F に問い合わせしましたが、その結果 この AMSAT-F に所属し『WDECPSK』の著者でもある、F6BVP/Bernard Pidoux 氏 から下記のような返信を受け取りました。 結論的には次のようにして下さい。   寄付金額:10ユーロ または 10 US $ (以上)   寄付方法:エアメール(封書)で現金(紙幣)郵送   送付宛先:Bernard Pidoux        AMSAT-France        16, rue de la Vallee        91360 EPINAY SUR ORGE        France   番号受領:電子メールによる. 下に、往復メール《資料1,2》および、JF6BCC/今石氏による助言《資料3》、 書簡文例《資料4》を載せましたので参考にして下さい。 また、登録番号受領 は電子メールによりますので、書簡には 自局のコールサインとメールアドレス を忘れずに記載して下さい。 エアメールの表に宛先と自宅住所を記載しますが その書き方は郵便局発行の「ぽすたるガイド」を参照して下さい。 郵送料は、 日本の切手で 110円です。 なお、エアメールに現金を入れることは自己責任で お願いします。 不測の事態が生じても補償はされません。 《資料1》 Date: Tue, 05 Dec 2000 21:00:00 +0900 From: Mineo Wakita [je9pel@jamsat.or.jp] To: f6bvp@amsat.org Cc: pidoux@ccr.jussieu.fr,je9pel@jamsat.or.jp Hello Bernard, f6bvp. Thank you for your mail. Well, we want to donate to AMSAT-F SATEDU project. Which next donation will it be convenient to you ? 1. Postal Money Order 2. Cash (in a sealed letter) The following dwelling place address OK ? AMSAT-France 16, rue de la Vallee 91360 EPINAY SUR ORGE France And, can we receive a registration key via E-mail ? 《資料2》 Date: Thu, 07 Dec 2000 00:13:42 +0100 From: Bernard Pidoux [pidoux@ccr.jussieu.fr] To: Mineo Wakita [je9pel@jamsat.or.jp] Cc: "Jean-L. RAULT" [f6agr@wanadoo.fr] Subject: Re: Donation ? Mineo Wakita wrote : > > Hello Bernard, f6bvp. Thank you for your mail. > Well, we want to donate to AMSAT-F SATEDU project. > Which next donation will it be convenient to you ? > > 1. Postal Money Order > 2. Cash (in a sealed letter) The option number 2 is ok for us, until we find a better way ! Thank you very much. >The following dwelling place address OK ? > > AMSAT-France > 16, rue de la Vallee > 91360 EPINAY SUR ORGE > France That is the correct address. > And, can we receive a registration key via E-mail ? YES exactly. > ---------------------------------------------- > Name : JE9PEL/Mineo Wakita, JAMSAT member > Mail : je9pel@jamsat.or.jp > URL : http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/ > QTH : Yokohama Japan, GL:PM95TJ > Date : Dec 5, 2000 > ---------------------------------------------- -- 73 de Bernard, f6bvp Site AMSAT-France : http://www.amsat-france.org 《資料3》 Date: Tue, 05 Dec 2000 15:56:56 +0900 From: Yoshihiro Imaishi [imaishi@aa.mbn.or.jp] To: jamsat-bb@jamsat.or.jp Subject: [jamsat-bb:6592] Re: WDECPSK 翻訳 JF6BCC 今石です。 脇田さん、翻訳ありがとうございます。素晴らしい説明書ですね。今後 の配布パッケージにも入れてもらえるといいですね。 http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/numbr241.htm At 2000/12/05 15:10:16 OGURA katsuo wrote: > 寄付金の送金方法についてですが > 下記住所へ直接「国際送金為替」(郵便)で送金する方法でも > よろしいのでしょうか? 説明書には具体的な方法は何も書いてないですね (^^;)。別に構わない と思いますが、$10 相当額の送金にわざわざ \1,000 もかけて為替を作る より、仏フラン紙幣か米ドル紙幣を銀行で入手して、そのまま郵送すれば いいのではないかな、と思います。  フランスの郵便事情はわかりませんが、お金が入っていそうにない風体 の郵便物まで中抜きされるほど、ひどくは無いのでは?。記念切手を使わ ず普通の切手か証紙を使い、透かしても中身が見えないような封筒かアル ミ泊を使い、封筒の表面に要件が読み取れる記述をしなければ、結構いけ るんではないかと…。  私はまだ使い始めてないのですが、かなり有用そうなので、現金郵送の 方法で送ろうかと思っているところです。 # 国際郵便書簡にこっそり現金を入れるのが一番安全だ、って聞いたこと # かありますが、本当かな?。 気になるのは、寄付の結果貰えるという ID と code の送付方法ですね。 私は電子メールで貰えばいいと思っているんですが、SAE + IRC を入れて 返送してもらうようにすべきですかね?。 では。 - - Yoshihiro Imaishi 今石良寛 - 福岡県北九州市 JF6BCC, KH2GR (ex. T88J, T88IY, V63BP) imaishi@aa.mbn.or.jp http://plaza16.mbn.or.jp/~palau/ - - この電子メールは100%再生電子を使用しております。:-) 《資料4》 (書簡文例) I would like to order your software product "WDECPSK" for an amateur radio station JE9PEL. Please send me a Registration Number of the software "WDECPSK" via E-mail. I, Mineo Wakita, JE9PEL, am happy to make my donation, US $ (金額) to AMSAT-France. 7 Dec. 2000 My E-mail address is: je9pel@jamsat.or.jp My dwelling place address is: Mineo Wakita, JE9PEL *-*-*, Kuriki Isogo-ku, Yokohama 235-0041 Japan Daytime telephone number is: (電話番号) And I enclose a Cash for US $ (金額) herewith. ---------------------------------------------- Name : JE9PEL/Mineo Wakita, JAMSAT member Mail : je9pel@jamsat.or.jp URL : http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/ QTH : Yokohama Japan, GL:PM95TJ Date : Dec 7, 2000 ----------------------------------------------


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