<那谷寺>
(なたでら)石川県小松市
旅行日 '95/12
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北陸を代表する大温泉、粟津温泉と山代温泉とのなかほどにあるのが那谷寺(なたでら)。ご本尊は十一面千手観音で、石段を登った上にある拝殿のさらに奥、岩窟中に安置されています。また境内は白い奇岩がむきだしになっている特異な景で有名。
山中温泉にしばらく逗留した芭蕉は、八月五日(陽暦9月18日)小松へ引き返す途中この寺を詣でます。『奥の細道』本文では山中温泉の条と順序が入れ替わっています。
奇石さまざまに古松植ならべて、萱ぶきの小堂岩の上に造り、かけて殊勝の地なり。
<現代語訳>(境内は)奇石がさまざまな形で重なり、その上に古い松が生え並び、萱(かや)ぶきの小さなお堂が、岩の上に懸け造りしてあって、いかにも尊くすばらしいところである。
山水画がごとき静寂さを感じさす描写です。が、なにしろ現在は、付近に大温泉街がひしめき合っていますから、観光バスに積まれた団体さんがひっきりなしに訪れます。
私がここを訪ねたのは雨が降った日の翌日。そのためか白く見えるはずの奇岩もやや黒ずんで見えました。
続いて、芭蕉の句(↓)へ。
<芭蕉の句>
石山の 石より白し 秋の風
(いしやまの いしよりしろし あきのかぜ)
<句意>
(昔から秋風を白風というが、今この石山に吹き渡る)秋の風は石山の石よりも白い感じが漂う。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より
易しいようで解釈の難しい句。「石山」については、近江の石山寺(滋賀県大津市)であるとする説と、眼前の那谷寺の石山であるとする説とがあります。
右写真は『翁塚』。「山中の温泉に行ほど〜殊勝の土地也」の件と「石山の〜」の句が刻まれています。
<ギャラリー>
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