<羽黒山>
(はぐろさん)山形県鶴岡市(旧・東田川郡羽黒町)

旅行日 '94/12 '97/9

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 芭蕉が出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)を尋ねたのは現在の暦で7月20日から25日にかけて。梅雨もそろそろ明けようという頃。
 さて、先ずは羽黒山(はぐろさん)を訪ねます。山といっても標高は414mなので登るのは容易。ましてや現在ならばクルマで頂上まで上がれてしまう訳ですけれど、ここは是非、ふもとの随神門から全長1.7km、2446段の石段をあるいて登りましょう。
 参道の両側には樹齢350年から500年の杉並木が続きます。森閑としたなか、穢れ多き我が身も、清らかになってゆく(ような気がする)・・・。



 参道を歩き始めて5分ほど。杉木立のなかに忽然と現れるのは羽黒山五重塔。室町初期、慶安五年(1372)の築(平将門の建立とも伝えられますけれど)で国宝。東北地方の日本海側では唯一の国宝建造物です。もちろん芭蕉もこの塔を見たことでしょうね。
 白木造りで柿葺(こけらぶき)、高さは29.4m。神仏習合時代を今に伝える貴重な遺構です。現在は出羽三山神社の末社のひとつで、祀られているのは大国主命なのだそうです。



 参道を3分の2ほど登ると脇へ入る道があり、樹林をしばらく進むと少々開けた所に出ます。ここが南谷(みなみだに)。かつて羽黒山の別院、紫苑寺があった場所で、芭蕉はここを宿所としました。
 建物跡には苔むした礎石のみが点々と残り、優雅であったろう庭園の泉水も、今は朽ちた葉に面を覆われ、時の流れを感ぜずにはいられません。


 山頂までもう少し。ふつうは1時間ほどで行けるはずなのですが、私の場合、途中土砂降りの雨にたたられたり南谷へ寄道したりで、3時間余りもかかってしまいました。
 朱塗りで茅葺の壮大な社殿は、三神合祭殿(さんじんごうさいでん)。羽黒山、月山、湯殿山の神様を祀ります。なぜ三山の神様が一所に祀られているかというと・・、うぅ〜、めんどくさ〜。詳しいことは、ガイドブックかなんかで調べてください。

続いて、芭蕉の句(↓)へ。



<芭蕉の句>


 有難や 雪をかほらす 南谷

(ありがたや ゆきをかおらす みなみだに)


<句意>
ああ、尊くも有り難いことであるよ。ここ南谷では、下界をよそに、南風が霊山の残雪の香をかおらせて、清浄な空気がみなぎっている。
 右写真は南谷に建つ句碑(部分)。


ここではもう一句紹介します。




 涼しさや ほの三か月の 羽黒山
(すずしさや ほのみかづきの はぐろやま)

<句意>
涼しいことであるよ、(夕闇の中、木立を通して)ほのかに見える三日月の浮かんでいる羽黒山の上にいると。
三省堂・新明解シリーズ「奥の細道」(桑原博史監修)より




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