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スクレロ・ウイップレイ
白虹
(アリゾナ州ココニノ郡)
まるで火星のような不毛な大地。ここはネイティヴアメリカンの居留地の中なのですが、この先にサボテンがあると云って彼らが丘を登って案内してくれたとき、「いくらスクレロでもこんなに乾ききった場所では生きられないだろう、たぶんオプンチアくらいしかあるまい」と思ったものです。時は5月、ここの標高は1500mくらいありますが、吹く風は熱く感じました。だから、ガレガレの石だらけの丘の上に花をつけたこの植物を見つけたときは思わず声をあげてしまうほどの感動がありました。
ここの白虹は、自生環境のインパクトだけでなく、外形的にほかの白虹とはかなり異なる印象をもつ植物です。まず、刺が短めで、なによりの特徴である上向きに撥ねた白い平刺がほとんど目立ちません(よく見ると、あるにはあります)。それにぜんたいの刺いろが黄色〜アメ色というのも、白虹では珍しい。一方で花は淡い黄色で、漏斗状の小輪であるところは白虹らしくもあります。こうした感じの花は彩虹山では見られないものです。この付近は数十マイル北に行けば彩虹山も自生していますが、この植物には彩虹山と重なる特徴はあまり見当たらず、白虹に通ずる点が多いのでそう扱われているのは妥当なところでしょう。
写真を見てもらえば一目瞭然ですが、どの個体も日焼けの跡が痛々しく、球体の半分くらいはケロイド状になっていたりします。この年の春は雨が降ったのか、どの個体も綺麗に花を咲かせていましたが、実生苗を見つけることは出来ませんでした。一方で干上がって枯れてしまった個体は散見されましたが。まあ、現時点は特に厳しい状況におかれているのだとは思いますが、彼らをまのあたりにして、まるで火星みたいな焼け焦げた不毛な場所で生き抜いているサボテンに改めて敬意を感じました。そういう意味でもとても印象深いスクレロです。
Scl.whipplei ssp.whipplei
(Coconino Co. ARIZONA)
This "add form" wipplei survives on almost barren red sand like
"Mars". A scorching sun burns the ground and whipplei plants
are nearly "baked". I find some plants "dried up" and
no juvenile plant here. I think the condition for them to prosper is very
hard at the present time. Plants in this locality have short yellow-brown
spine and typicaly upward central is not conspicuous while their pale yellow
flower have typical funnel form.
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