BACK






スクレロ・ウイップレイ
   白虹
(ユタ州サンフアン郡)


白虹は比較的分布エリアの狭い植物で、コロニーはアリゾナ中北部に集中しています。このユタのコロニーは、アリゾナ以外の州で知られているおそらく唯一の(ニューメキシコのcloveriaeグループを除けば)ものです。ユタの南東部は一面に彩虹山 (S.parviflorus) が分布していて、この場所の周囲にもいくつもの彩虹山のコロニーがあります。そのためこの植物も長くその1タイプであるように思われていたようですが、1980年代に米の研究者Heilがこの産地の植物を白虹として記載しました。いまのところユタのほかの場所では見つかっておらず、ここの白虹は一帯を彩虹山に包囲されて孤立した形になっています。  
 実際にここの植物を見ると、確かに白虹の顔をしています。2枚目の写真を見てもらうと分かりますが、この天を突く刺は白虹の特徴に合致しますし、花も黄緑がかった白色の漏斗状の小輪で、彩虹山とは異なっています。
 ここからほんの数マイル西には彩虹山のコロニーがあります。そちらは比較的大きなピンク花をつける典型的な彩虹山です。しかし、両者の交雑種と見られる植物はないとHeilは述べています。ふたつのコロニーは虫が飛んでいけるくらいの距離なのですが、雑種が生じないのは開花時期がズレているからだと思われます。いちばん下に果実が熟して種がこぼれている個体の写真がありますが、同じときに彩虹山のコロニーでは開花中でした。ユタの白虹もアリゾナのものと同様、スクレロのなかでは早い4月に開花期を迎えるようです。
 この場所は標高1400mほどの石の多い比較的フラットな丘で、疎らな木々がありますが暑い場所でした。そういう意味ではアリゾナ中部の白虹自生地と共通点があるかもしれません。ちなみに彩虹山の自生地はもう少し高い場所 (1700mくらい)にあります。

 Scl.whipplei ssp.whipplei
     (SanJuan Co. UTAH)  

This may be the only known locality where S.whipplei occur in state Utah.. This colony of S.whipplei is surrounded by many sites of S.parviflorus. But it is said that there is no hybridization between both species. The plants in this isolated locality have typical feature of S.whipplei, conspicuous upright central spine, small tubular flower, and so on. It may be some kind of mystery about Sclerocactus.
日本語
English