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 Scl.spinosior ssp.spinosior
 "Escalante desert small form"

       (Iron Co.UTAH)

Escalante-desert of the South-Western Utah is the area where one cannot access without long drive on bad dirt road. Most of Sclero&Pedio are alive in such a place. S.spinosior here has small spherical body and its spine arrangement is somewhat delicate, thinner and more sparse than species.. Sometimes, the plants living here are reminiscence of S.pubispinus. And also may be kind of linkage plant to ssp.blainei. Actually some experts regard the plants here as 'blainei'.
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The following picture is of the colony some miles west of above pictures. Many juvenile plants are observed but no adult specimen. The colony had been perished once by some reason, may be by insect attack, and has been recovered again recently. Such things happen frequently in genus Sclerocactus.

 
 スクレロ・スピノシオール
 黒虹山
’エスカランテフォーム’
(ユタ州アイアン郡)


なだらかな丘陵が果てなくひろがるエスカランテ沙漠はユタの南西部にあります。このエリアはかつては鉱山などもあって鉄道も通っていたらしいのですが、いまはそれらも廃線となって、数十マイルごとに無人のゴーストタウンが残されているのみ。道路も舗装されておらず、悪路を何時間も走行しなければアクセス出来ません。草に埋まった鉄路、うち捨てられた床屋に食堂。しかしそんな風景も燦々と降る陽光と乾いた風のなかではなにか懐かしげで、ちょっと楽しい眺めに思えたりします。
 
 このエリアの黒虹山にも様々なタイプがありますが、概して小型で刺も繊細なものが多いようです。小型である点では、変種とされる ssp.blainei(シュレセリと日本では呼ばれるもの)にも似ており、アメリカの研究者のなかにはこのコロニーをblaineiに含める考え方もあります。とくに幼苗の刺の様子は同じと言っても良いくらいです。しかし2枚目の写真くらいの成球になるとネヴァダのblainei ならもっと刺が巻きあがるようにからみますが(これは次のページでご紹介します)、こちらの黒虹山はあくまで女性的な繊細な刺のままです。そうした観点からは基本種と ssp.blainei の中間にある植物のように思えます。そして、もうひとつの近縁種、S.pubispinus のことも思い起こさせる顔の植物です。
 



 ちなみに、下に2枚掲載した幼苗の写真は、上の写真のコロニーから10数マイル離れた場所でほぼ同じ特徴の植物です。ここは、案内してくれた人によれば1980年代までは多数の大株があったものの、その後絶滅したと思われていた場所だそうです。今回久しぶりに実生苗の復活が見つかったとその人は喜んでいました。このサイズが最大で、子どもばかり十数個体ありました。
 特定のスクレロ・ペディオのコロニーは、穴を空けて植物体を食害する昆虫(蛾・甲虫)の幼虫)と「いたちごっこ」のような関係にあるそうです。つまり、大株が揃った頃になるとこの虫がやってきて片っ端から食い荒らし、およそ目に付く植物は根絶やしにしてしまう。しかし植物がなくなると虫もいなくなり、そうすると地中に残された種子がコロニーをリカバリーするという訳です。スクレロ類の種が発芽しにくいかわりに10年近く発芽能力を保持するのもこのあたりに理由があるのかも知れません。同じようなサイクルは白虹山にもたびたび見られるそうで、実際に山をあるくと死屍累々、枯れた株ばかり何十個体と出会いショックを受けることがありますが、きっとそれらも数十年周期でコロニーが消長を繰り返しているのでしょう。