Pediocactus simpsonii ssp.minor
(Montezuma Co. COLORADO)
This area is fairly heavily forested by pinyon-oak and over 2000m in altitude. Plants grow in the shade of a tree. They have small spherical (or elongated) body and sometimes clumped.


  *枠のある写真はクリックして大画面にできます。
  *Click flamed picture to see larger size.
 
ペディオ シンプソニー ミノール
  星華玉
(コロラド州モンテズマ郡)


月華玉・星華玉は”コロラド州のサボテン”、と言っても良いくらい、この州に多く分布しています。中心をロッキー山脈が貫くコロラドは、ぜんたいに標高が高く森林地帯が広がっており、「森のサボテン」でもある月華玉の適地が多くあると言う訳です。
 このコロニーはコロラド南西部にあり、100マイルほど南には、あの月想玉の自生地がありますが、そこは標高1000メートル強の乾燥地で、草木も生えぬ乾ききった土地です。しかし、同じエリアでもこの写真の場所のように標高が2000メートルを超えれば雲が発生して雨が降り、森林の様相を呈してきます。スクレロ・パルビフロラスは砂漠から森が始まる際までの範囲に分布しますが、月華玉(星華玉)は沙漠と森林の境界線からさらに上に向かって生えているわけです。実際、この地域でもパルビフロラスと月華玉(星華玉)が同居する場所もありますが、この写真の場所はおそらく2500メートル近くあり、ここにはスクレロは見られません。
 写真では少しわかりにくいのですが、このあたりは木々がかなりの密度で生えており、なかを歩くのも困難なほどです。このコロニーの個体は、球体が扁平ではなく球状で小さく、群生する個体が多く見られます。群生株でも総径で20センチほどと小型で、いわゆるミノールタイプということになります。和名では星華玉と呼ばれるタイプ。しかし亜種とするほどの明確な相違があるかどうかは疑問に思えます。と言うか、これを分けるなら他にもいくつもタイプを立てなければならないだろうと言う感じです。
 星華玉は、林のなかで比較的陽あたりのよさそうなところを選んではいるようですが、なかには完全な日陰に育っている個体もあります。上から3枚目の写真は径1センチほどの実生子苗で、ノウルトニーととてもよく似ています。いちばん下の写真は、先に述べた日陰の株で、丈高く伸びて、まるで徒長した栽培個体のようです。木漏れ陽しかあたらない、標高の高い森の中。およそサボテンに似合わない場所ですが、それでもエスコバリアの北極丸(Esc.vivipara)だけは一緒に生えていました。これも寒さに強いことにかけては月華玉に負けない植物です。
 そんなわけで、月華玉の類は、おなじ難物と言っても雨がほとんど降らず草木も生えない灼熱沙漠に生きる白紅山などとは、まったく異なる性質の植物と云うことになります。自生地では土壌も腐食質に富んでおり、一定の湿度は保たれると思われます。冬季は積雪がある地域が多く、春先の雪解け水で一気に成長します。夏場はまったく動きません。栽培上もそうした点を考慮し、夏の高温多湿は避け、反対に冬季は少なくとも氷点下の冷気にあててやることが望ましいと思われます。
戻る



BACK
(English)