Scl.parviflorus ssp. cloveriae "brackii"
           (San Juan Co NM) クロベリアエ ”ブラッキィ”

Endemic to small area along the SanJuan river. Scattered populations can be found on rolling caly hills. This subspecies start to bloom very early stage of development only diameter 3cm.

  スクレロカクタス・クロベリアエ
     ”ブラッキィ”
(米ニューメキシコ州サンフアン郡)

 ”クロベリアエ”は、その扱いについて諸説あるスクレロです。例えば独のHochstatter はかつて白虹(whipplei)の亜種(whipplei sv. aztecia)としていましたが、結局は彩虹山(parviflorus)に含めてしまいました。一方でアメリカの Heil&Porter は、いぜん独立種と見なしています。
 非常におおざっぱに言えば、上向きに出る紙のような平たい中刺を有すること、やや小さく漏斗状に咲く花など「白虹(whipplei)に近い特徴を持った彩虹山(parviflorus)」といったところでしょうか。全体に刺数が少なく、彩虹山よりも小型とされています。
 しかし、私はこのcloveriaeを見ていると、彩虹山(parviflorus)と白虹(whipplei)はボーダーレスにつながっているように思えてきて、そもそも種として分けることが相応しくないのでは、とさえ感じます。彩虹山(parviflorus)という、たいへん適応力に富んだ種が、広範囲に放散した結果、変異の幅も非常に大きなものとなった・・・こう考えたほうがスッキリするのです。そんな理解から、このサイトではクロベリアエを彩虹山のなかに含めました。
 壮大なキャニオン、果てしない平原、そして高標高の灌木地帯・・・アメリカ南西沙漠の"主"として、あらゆるニッチに彩虹山は侵入しています。そして、ひとつとして同じ顔のコロニーがないと言えるほど変異の幅も広いのです。逆に言えば、彩虹山には"典型"が存在しないのです。私がすべてのスクレロのなかで彩虹山がとりわけ好きな理由も、そこにあります。

 ところで、このクロベリアエ”ブラッキィ”は、メサガーデンの園主、Steven Brack 氏にちなんで名付けられたものですが、クロベリアエのなかでもやや小型で、極く小さいうちから開花するという、より"白虹"的な特徴を持っています。10センチくらいに達した個体は典型的なcloveriaeの姿となります。花色は濃い紫色でコンパクトな美しいサボテンです。このタイプの自生地はサンフアン川沿いの、写真のような粘土質の丘に限られていて、中苗までは台地のひび割れに身を隠すように生育しています。場所の雰囲気は、すこし北に分布する月想曲(mesae-verdae)とそっくりですが、いちばん下の写真、幼苗の雰囲気も月想玉に似ています。小さいうちから開花するので、栽培するにも良いスクレロです。
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