スクレロ・ペディオ栽培例  その1
     Sclero-Pedio in cultivation    
vol.1 

とりあえず、うまく育っているときの「難物」たちの写真。おおむね安定して温室に住み着いていますが、なかにはすでに消えてしまったものもあります。栽培困難と言われる彼らにとって、私の栽培場はかなり居心地の悪そうな場所に位置しています。東京都内で、バス通りに面して空気は最悪。かつては沼があった場所なので夏は暑くて湿気も多い、狭い温室に植物すし詰め・・・それでも、少し気を使ってやれば何とか育ってくれるのだと言うことが分かりました。なんだ、難物じゃないじゃないか、もう極めたぞ、と思ったこともあります。けれど、その夏ちょっと目を離していたら、一気に1/3がダメになってしまいました。そんなかんたんに道を極められたら面白くないし、まあいいか。
 
Sclerocactus parviflorus
ssp. terae-canyonae (SB515)

7years from seeds, particularly well growing individual.

スクレロ・パルビフロラス
'テラエ・キャニョナエ’

実生から7年の個体です。順調に育って径6センチくらい。同期の苗でまだ3センチ足らずのものもあるので、バラツキは大きい。これはいわゆるトビ苗なのかな。野生株に負けない作でお気に入りです。

Sclerocactus mesae-verdae (SB1010)
4years from seeds. it is not so difficult
to cultivate as we think.

月想曲

4年目の春の開花です。昔の文献には「難物のなかの難物」と記され、自生地の一木一草ない荒れ果てた風景からもさぞや難しいんだろうと覚悟しての挑戦。たしかに発芽は悪いし、油断すればすぐ根から赤く腐る。でも白紅山よりはずっと楽。パルビの難しいタイプと同じくらいの難度。健康な個体は肌が青みを帯び美しい。冬場は大丈夫かと心配になるくらい縮みます。
Sclerocactus spinosior (SB591)
It tends to be stained with brown membrane on the epidermis.

黒虹山

黒虹山の名に相応しい美しい植物ですが私には白紅山のつぎに難しい。順調な株があっと気づくと根腐れするし、成長期をつかまえそこねると、茶膜があがったりして衰弱します。これはメサガーデンから小苗で購入して5年くらい育てているものです。一緒に買ったもう1本は消えました。
Sclerocactus parvflorus
(No locality data)
10years old plant purchased from Japanase nursery. It is rarely seen in catalogue in my country.

彩虹山

うちのスクレロでは古株の10年選手。国内の業者から指先くらいの苗(おそらく掻き子)を買ったもので、いまは径7センチ高さ15センチくらい。花や刺からみて、ユタ南東部のタイプのようです。この地域のパルビは落ち葉があるような場所に生えているものが多く、性質は月華玉に似て丈夫です。
Sclerocactus whipplei (SB472)
I think it's relateively easy to grow on its own root among Sclerocactus.

白虹

和名もあり古くから導入されていますが、名前が白虹山(白紅山)と紛らわしく、また植物はパルビと区別しにくいため、日本では混乱しているようです。
栽培は比較的容易でよく伸びます。これは実生6年目の開花。まだ本来の顔になっていません。成株は黒く太いかぎ刺と白い平刺で武装した迫力ある植物です。あと5年くらい枯らさなければそんな感じが出てくるかな・・・。
Sclerocactus pubispinus  (SB1013)
Relatively short life plant in scleros.
Flowering from small plant,not so difficult.

プビスピナ

黒虹山と類似点の多い、幼形成熟のスクレロ。小さくてペディオのような雰囲気もあります。やはり実生6年目の株。花はもっと早くから咲きます。これはまだ子供で、もう少し大きくなると黒虹山に似た長い刺が出ます。しかしあまり大きくは育たず、寿命10年くらいで枯れると言われています。
Sclerocactus polyancistrus (SB1773)
I think it is most difficult species among the genus.This plant is 'own root', rooted cutting shoot from grafted plant.

白虹山(白紅山)
言わずと知れた難物の帝王ですが、やっぱり栽培は難しい。機嫌が良ければ成長は早いけれど肉質が柔らかいので腐りやすいし、原因不明の成長障害(おそらく微量要素欠乏)がしばしば起こります。これは成長点がいじけて奇形化した刺が出たり、ガン化するなどの障害が生じるもの。
 この株は実生つぎ木苗の頭を刎ねて、吹いた子を挿し木したもの。掻いたときは3センチくらいでしたが、3年でこの大きさに。しかし残念なことに昨年(2001)夏に謎の病変でダメになってしまいました。
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