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「ダルジール&パスコー」シリーズ作品リスト 2002/05/05

!注意! 年は本国での発表年。日本での出版年ではありません。

●長編

1. 社交好きな女 (ポケミス) "A Clubbable Woman"1970

デビュー作。妻が頭蓋骨骨折で死亡。家にいた夫は無罪というが。夫とは同じラグビークラブの会員であるダルジールは、部下パスコーを使ってその周辺を探らせるが…… [TOP]

2. 殺人のすすめ (ポケミス) "An Advancement of Learning"1971

大学の記念像の台座をクレーンで持ち上げるとそこには頭蓋骨が。さらに学内スキャンダルの渦中の女子学生が死体で発見され、ダルジールとパスコーは真相に挑む。

その大学内で教職にあったのがパスコーのかつての恋人エリー(エレナ・ソーパー)だったりして、ふたりは事件を通じて再会してしまうわけです。あぁ…… [TOP]

3. 秘められた感情 (ハヤカワ文庫) "Ruling Passion"1973

婚約中のパスコーとエリーが、学生時代の友人たちと週末を過ごそうとコテージを訪ねると血塗れの死体。失踪した友人が犯人と疑われ……。事件の第一発見者として、当事者となり、捜査官として友人を疑わなければならない立場となったパスコーの苦悩も見所。 [TOP]

4. 四月の屍衣 (ハヤカワ文庫) "An April Shroud"1975

パスコー夫妻の結婚式に招かれたダルジールはその帰り、車の故障である家に泊まることになったのだが……。ダルジールを感じたい方はこの作品を。大人のミステリです。 [TOP]

5. 未訳 " A Pinch of Snuff " 1978

苦労しいしい原書で読みました。それだけの価値はある傑作です(断言)。わたしの英語力ではほとんどのウィット、ユーモアを読みとれていないはずなので(辞書引かないで読む派なんで…と言い訳)、ぜひ翻訳してほしい。

児童虐待などの社会問題が強く意識され、それにストーリー、ミステリ度のバランスがすばらしい。シリーズのその後の方向性が打ち出されている作品です。ウィールドも登場します。 [TOP]

6. 未訳 " A Killing Kindness " 1980

苦労しいしい原書で読みました。女性が絞殺される事件が続き連続絞殺魔として人々が恐れるなか、犯人が新聞社に予告電話をしていたことが明らかに。そして……と、このシリーズにしては被害者の数が多い作品。予告電話の声の分析など、地道な捜査を積み重ねていって最後にパアッと真相が明らかになる、ヒルらしい展開。

社会的要素としてはジプシーをクローズアップしていて興味深いです。 ウィールドはしっかりレギュラーとして定着、エリーは妊娠後期に入っています。

そういえば、本作ではウィールドの友人・モリスのことが少し出てきます。だからとにかく……シリーズは一作残らず翻訳出してくださいよぅ。>早川書房様 [TOP]

7. 薔薇は死を夢見る (ポケミス) "Deadheads"1983

シリーズのなかでも異色作。製陶会社会長が、人殺しがいるからなんとかしてほしいとパスコーに訴えてきた。しかしその内容は雲をつかむような話と思われた。思われたが……

パスコーとエリーの娘ローズは9ヶ月です。 [TOP]

8. 死にぎわの台詞 (ポケミス) "Exit Lines"1984

三人の老人がなくなっていくが、それぞれ死ぬ間際に短い言葉を残している。それを手がかりに事件の真相に迫っていく。「老い」がテーマの作品です。 [TOP]

9. 子供の悪戯 (ポケミス) "Child's Play"1987

大富豪の女性が死んだ。遺言には、1944年に戦線で行方不明になった一人息子へ全財産を遺贈する旨記されていた。そこへ現れた一人の男。男はほんとうに一人息子なのか? そして殺人事件が……。遺産相続という超古典的テーマの、かなり水準の高い現代形です。

作品全体の構成が、芝居仕立て(三幕構成)。Playというタイトルから来ているのかもしれません。 [TOP]

10.闇の淵 (ポケミス) "Under World"1988

炭坑町が舞台。炭鉱町での事件、犯人とされた男。その男が死に、息子が町に戻ってくる。事件について新情報が警察にもたらされ……

この作品では、エリーの行動が直接事件に関わってきます。 [TOP]

11.骨と沈黙 (ポケミス&ハヤカワ文庫) "Bones and Silence"1990

ダルジールが殺人事件を目撃した。しかし、“犯人”の男は事故だという。警察に届く自殺をほのめかす手紙。差出人を突きとめよ、と命じられ、パスコーが動く。事件と、ダルジールが聖史劇に神の役で出演する話やなにやら、いろんなものが収斂していく様が見事な作品。

個人的にはシリーズ最高傑作です。いまのところ。 [TOP]

12.甦った女 (ポケミス) "Recalled to Life"1992

昔の上司の事件の再調査に乗り出したダルジールは、事件の鍵はアメリカにあるとアメリカに渡る。アメリカのダルジールとヨークシャーのパスコーのコンビネーションで真相に迫っていく、という作品。

ダルジールの若かりし頃が伺える作品。個人的には落ち込んでいるパスコーが見てられない!という作品です。 [TOP]

13.完璧な絵画 (ポケミス) " Pictures of Perfection " 1994

田舎の村で展開するお話。事件は小粒ですがいかにも「らしい」作品でお薦め。伏線もウィットも効いてます。今回の主役はウィールド。このシリーズが、ダルジール&パスコー&ウィールドの3人のシリーズとして定着した感があります。 [TOP]

14.幻の森(ポケミス) " The Wood Beyond " 1996

番外編的な前作、前々作から、本編に戻ったという感じ。祖母の死をきっかけに曾祖父ピーター・パスコーに関心をもつパスコー。動物愛護団体と衝突していた製薬会社の敷地から白骨死体が出て、ダルジールが捜査を開始。白骨は古いが、さらなる事件が……と並行する話が最後でぐーっと収斂されていく様は『骨と沈黙』で完成した、シリーズの典型。

パスコーとエリーとの仲はいい雰囲気に。ふたりの娘・ローズが学校に通ってます。 [TOP]

15.ベウラの頂 (ポケミス) "On Beulah Height" 1998

15年前、ある村で3人の少女が失踪した。そのとき犯人とされた青年も行方不明のまま村はダムに沈む。そして15年後、日照りでダムが干上がりかつての村の跡が見えるようになっていた折りもおり、少女失踪事件が起きる。15年前の青年が村に戻ってきたのか? 少女は殺されたのか? 現在、そして15年前の事件の真相が明らかに……。

ここまでの最長編の本作(厚い)、間違いなく代表作に数えることができるでしょう。

パスコーにとっては『幻の森』での悩みを引きずったうえ、少女失踪という娘のある身には気になる事件を捜査している真っ最中にその娘が病に倒れ入院するという、ハードな展開。ウィールドの心優しさにもあらためて惹かれます。ダルジールも……さすが、もてる(笑) [TOP]

16.武器と女たち(ポケミス) "Arms and the Women" 2000

エリーが襲撃された。犯人の狙いは何か? いわばエリーとローズのために、ダルジール&パスコー&ウィールドが立ち上がるといった作品。でもそう単純な話ではさらさらなく、なかなか大掛かりな話になってます。

かつて熱心だった社会運動から離れ、“主婦”しているわたしは何だろう、という疑問を抱えるエリーが新鮮でした。 [TOP]

17. 未訳 "Dialogues of the Dead" 2001

●短編集

1.パスコーの幽霊 (ポケミス) "Pascoe's Ghost"1979

収録作:

  • パスコーの幽霊
  • 屋根裏のトランク
  • リオデジャネイロの講演
  • 女権拡張論者の災難
  • スノウボール
  • 脱出経路
  • ダルジールの幽霊 [TOP]

2.ソ連に幽霊は存在しない (ポケミス) "There Are No Ghosts in the Soviet Union"1987

収録作:

  • ソ連に幽霊は存在しない
  • 小猫ちゃんを連れ戻して *シックススミス物
  • ブル・リング
  • 踏みにじられて
  • かわいそうなエマ
  • 混みいった時間 [TOP]

3.ダルジール警視と四つの謎 (ハヤカワ文庫) " Asking for the Moon " 1994

収録作:

  • 最後の徴集兵
  • パスコーの幽霊 *『パスコーの幽霊』にも収録
  • ダルジールの幽霊 *『パスコーの幽霊』にも収録
  • 小さな一歩

" Asking for the Moon"は「小さな一歩」の原題。「最後の狙撃兵」がダルジールとパスコーの出会い、「小さな一歩」はン年後のふたりの話。シリーズファンは読まなきゃいけないでしょう。

そういう本に再録を2つ入れて価格を吊り上げるのはいかがなものかとは思いますが。たしかに揃っているからなおおもしろいという側面もあるのだが。[TOP]

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